Day: April 21, 2026
中国がAIの国際学会をボイコット 米中分断が露呈
ネイチャー誌(Nature)は4月14日、中国の主要研究機関による人工知能(AI)国際会議「ニューリプス(NeurIPS)」へのボイコットにより、米中両国関係の溝が拡大しつつあると報じた。同会議が、米国による制裁対象とする機関に所属する研究者の論文を拒否する方針を発表したことで、中国科学技術協会(China Association for Science and Technology: CAST)が会議への資金提供停止に加え、研究者への評価引き下げを表明し、運営側は後に方針を修正して謝罪したものの、CASTは態度を固辞している。中国拠点の研究者論文は同会議の過半数を占め、実行されれば大打撃を受けると専門家は指摘する。分断の背景には米国による技術流出規制などの国家安全保障措置や中国のAI自給自足を目指す戦略があり、オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute: ASPI)も米中AI研究協力は2019年をピークに減少し、中国は他国との協力を拡大していると指摘する。これを受け、科学が政治の犠牲にならないよう、同会議に学術的中立性への公的見解を求める声が挙がっている。 Nature “Boycott of major AI conference exposes a growing US–China divide” (04/14/26) https://www.nature.com/articles/d41586-026-01058-x
NASAとOPM、新型採用プログラムを開始 高度技術人材を登用
航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は4月17日、人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)と連携し、新規採用プログラム「NASAフォース(NASA Force)」を立ち上げたと発表した。同プログラムは高度スキルを持つ若手や中堅エンジニアなどを対象とした連邦政府全体の技術力強化に向けた国の人材育成イニシアチブの一環で、NASAの探査や研究、先端技術の分野に即戦力となる人材を配置し、航空宇宙分野での技術的優位性を維持する狙いがある。この取り組みに関して、NASAはアルテミス2号(Artemis II)ミッションの成功が新たな人材獲得への追い風になっているとし、OPMも国の技術的挑戦を支える次世代人材の公的部門への参画が重要であると強調した。最初の募集職種は任期2年(延長の可能性あり)の航空宇宙エンジニアのポジションで、今後数週間から数カ月で追加募集も予定している。NASAは内部人材の育成と技術的基盤強化を持続的に進めることで、人的基盤を整備し、国家宇宙政策を実現する構えである。 NASA “NASA, OPM Announce New NASA Force Website, Open Job Applications” (04/17/26) NASA, OPM Announce New NASA Force Website, Open Job Applications
連邦政府のAI導入、一部大規模機関に集中 ブルッキングス報告書
ブルッキングス研究所(Brookings Institution)は4月15日、連邦政府における人工知能(AI)の導入が過去3年間で大幅に加速している一方、その活用は一部の大規模機関に集中し、責任あるAI導入の拡大には構造的な課題が残るとする報告書を発表した。2023年から2025年のAI活用事例一覧、連邦雇用データ、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)の覚書、8機関の現・元連邦技術者へのインタビューなどに基づくもので、報告書は、過去3政権が連邦政府でのAI導入を優先課題に掲げるものの、人員不足やリスク回避的な組織文化、調達・予算上の障害が導入を妨げていると指摘している。またAI システムに対する国民の信頼が低いことも重大な懸念材料で、トランプ政権が「国民が期待する反応の良い政府の実現を支援する」ためにAI導入を重要視するなか、同研究所は技術人材とAIリテラシーの支援拡充に加え、調達・規制・予算に関わる構造的課題の改善、透明性による国民の信頼醸成が、責任あるAI導入促進に不可欠であると提言している。 Brookings Institution “Assessing the state of AI adoption across the federal government” (04/15/26) Assessing the state of AI adoption across the federal government
エネルギー省、ローレンス・バークレー国立研究所の契約管理に改善勧告 多数の不備で
エネルギー省(Department of Energy)は4月16日、ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)における専門家やコンサル企業との契約管理が法令や規定を遵守しておらず、改善が必要と発表した。同研究所を運営するカリフォルニア大学理事会(Regents of the University of California)は、技術的かつ専門的な助言を得る目的で外部コンサルタントを起用しているが、同省監査室(Office of Inspector General)の調査により、連邦調達規則の定義を満たさない契約の締結や必須である利益相反開示の未取得が判明した。また規定に反する元職員との契約締結や5年を超える長期契約の維持や、一般調達局(General Services Administration)の料金表のみを参考にした価格妥当性の判断など、詳細が不十分な請求書への支払い、不適切な旅費負担の可能性なども確認された。同省は、これらが調達及び監督業務における職務分離の欠如や内部規定の不備や方針の不一致に起因するとし、課題是正に向け、計10項目の勧告を行っている。 Department of Energy “Audit: DOE-OIG-26-32” (04/16/26) https://www.energy.gov/ig/articles/audit-doe-oig-26-32
世界50カ国で学問の自由が後退 独FAU大調査
独フリードリヒ・アレクサンダー大学(Friedrich Alexander University: FAU)のエアランゲン・ニュルンベルク校(Erlangen–Nuremberg)は3月、民主主義多様性研究所(Varieties of Democracy Institute: V-Dem)との共同研究に基づく学問の自由指数(Academic Freedom Index: AFI)の最新版を発表した。世界179カ国・地域を対象に、2,357人の各国専門家の評価と100万件超のデータを用いて、研究・教育の自由、学術交流の自由、大学の自治(制度的自律性)、キャンパスの健全性、学術的・文化的表現の自由の5指標で学問の自由を測定したもので、これによると2015年から2025年の10年間で50カ国における学問の自由が後退し、改善したのはわずか9カ国にとどまった。とりわけ大学の自治については、ポーランド、オランダ、カナダ、米国など欧米諸国を含む43カ国で大幅な低下が確認され、中でも米国の後退は際立った。米大学の自治権は過去10年で50%以上低下し、ハンガリーやインド、トルコなど権威主義化が進む国々よりも急激な悪化を示している。 FAU “Academic Freedom Index Update 2026” (03/XX/26) https://academic-freedom-index.net/research/Academic_Freedom_Index_Update_2026.pdf 参照記事: c&en “Academic freedom declines in US and 49 other countries, survey finds” (04/14/26) https://cen.acs.org/research-integrity/academic-freedom-declines-university-autonomy/104/web/2026/04