エネルギー省とNIH、バイオハブ社と超知能イノベーションで提携

エネルギー省(Department of Energy)の科学局(Office of Science)は10月7日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)及びバイオハブ社(Biohub)と、超知能(Super Intelligence: SI)を活用した生物学発展に向け提携する覚書(MOU)を締結したと発表した。SI技術を活用した最先端スパコンや自動実験システムなどを活用し、世界規模でのオープンなデータ駆動型科学の新基準確立を目指すもので、エネルギー省傘下の国立研究所が誇る計算能力と研究基盤、バイオハブ社の技術力、NIHの医療データを融合し、疾病理解の深化や創薬、バイオテクノロジーのイノベーションを加速する。エネルギー省による5年間で5億ドル超を投じる基礎細胞研究に対し、バイオハブ社は5年間で5億ドルを投じ仮想生物学構想(Virtual Biology Initiative: VBI)で補完する計画で、細胞が生体機能にどのように関わり、反応しているかなど生体システムの予測モデル構築に向けた生物学的基盤データを整備する計画となっている。 Department of Energy “DOE, NIH, and Biohub Partner to Build Foundational Data for Predictive Biological Super Intelligence Models” (10/07/26) https://www.energy.gov/science/articles/doe-nih-and-biohub-partner-build-foundational-data-predictive-biological-super

アンドゥリル社、ボルチモア新造船所建設に37億ドル

ワシントン・サン紙(The Washington Sun)は10月6日、メリーランド州ボルチモアに37億ドルを投じて大型造船所を建設する防衛新興のアンドゥリル・インダストリーズ社(Anduril Industries)計画について報じた。かつてベツレヘム・スチール社(Bethlehem Steel)が軍事用船舶を建造していた歴史的造船街スパローズ・ポイントに「アーセナル2(Arsenal-2)」と名付けた200万平方フィートの施設を建設し、バージニア級攻撃型原子力潜水艦向け部品を製造する。これに伴い、造船所自体ではなく潜水艦部品の供給に関して海軍と最大29億ドルの製造契約を締結した。建造遅延が常態化する海軍の製造能力を約15%増強する狙いがあり、魚雷発射管などの製造から着手する。また、この計画を通じて、3,100人以上の常勤雇用を含む1万4,000人規模の雇用創出を見込んでおり、2029年に採用を開始する計画を示した。先端ソフトウエアを活用した製造手法を導入し、製造工程の細分化を通じて熟練工不足の解消を図るとし、2030年の操業開始を目指している。 The Washington Sun “Anduril Plans a $3.7 Billion Baltimore Shipyard for Virginia-Class Submarines” (10/06/26) https://www.washingtonsun.com/defense/anduril-plans-baltimore-shipyard-for-submarines

メリーランド州PSC、総出力440MW規模の蓄電システム導入 

メリーランド州公益事業委員会(Public Service Commission: PSC)は10月1日、同州の次世代エネルギー法(Next Generation Energy Act)に基づく第1回目の電力調達入札において、送電網接続型蓄電事業2件を蓄電容量クレジットの付与対象として条件付きで選定したと発表した。出力400メガワット(MW)規模のプリンスジョージズ郡チョーク・ポイント蓄電計画と出力40MW規模のガレット郡ジェイド・メドウIII蓄電計画が対象で、持続時間4時間にあたる計440MWの蓄電容量をPJM系統に対し提供する。公聴会などを経て費用対効果や一般家庭の影響額を月額約6.98セントに抑えるなど住民への影響を考慮し決定された。具体的には15年間の固定枠組みによる契約により、同系統電力市場の価格変動リスクを抑えて、事業者への安定した収益確保と融資獲得を支援し、将来の大規模蓄電計画に向けた資金調達につなげる。州全体で1,600MWの蓄電容量確保を計画しているが、今回の目標800MWに届かなかったため、来年1月までに第2回募集の受付を開始する。 Maryland Public Service Commission “Maryland Public Service Commission Announces First-Round Energy Storage Awards” (10/01/26) Maryland Public Service Commission Announces First-Round Energy Storage Awards

量子コンピューターによる暗号解読への対策が急務 GAO報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は10月6日、量子コンピューターの実用化に伴う暗号解読の脅威に対し、連邦機関の準備が大幅に遅れているとする報告書を発表した。2030年代にも暗号解読が可能な量子コンピュータ(Cryptographically relevant quantum computer: CRQC)が登場し、機密情報の漏洩や不正アクセスの危険が生じる可能性があるとの専門家の指摘を受け、GAOが主要24機関に対し調査を実施した。これによると、CRQCがもたらす脅威対処に重要なポスト量子暗号(Post-quantum cryptography: PQC)移行に向け、インベントリ作成や移行に必要な資金の特定、アルゴリズムのテストといった準備手順に対応する機関は皆無であったことが明らかになった。専門知識の不足や移行計画の欠如が要因で、GAOは対象機関に対し脆弱な暗号の把握や予算の確保など計89件の勧告を行っており、安全な暗号移行への早期対応を強く求めている。 GAO “Quantum Computing: Federal Actions Needed to Prepare for Emerging Cyber Threat” (10/06/26) https://www.gao.gov/products/gao-27-108740

運輸省、宇宙向け商業ライセンス取得加速で規則案提示

運輸省(Department of Transportation)は10月6日、宇宙空間への商業打ち上げ・再突入に関する規制を合理化し整備するための連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)による5つの新規則案を発表した。同省の宇宙政策管理・調整・実施(Space Policy Administration, Coordination, and Execution: SPACE)タスクフォースと連携して策定したもので、商業宇宙輸送に関するライセンス認可規則「パート450(Part 450)」を簡素化し、オンライン申請の導入や安全分析の集約・重複排除など、世界最高水準の安全性を維持しつつ事業者負担を軽減する内容となっている。2025年に世界で行われた329回の商業打ち上げのうち、217回が米国によるものでトランプ大統領の宇宙政策に沿い、2030年までに年間1,000回打ち上げる計画がある。2035年にはFAA認可による打ち上げと再突入の回数が年間1万回にまで急増すると予測されていることから、同省は産業の急速な発展に伴う規制整備が必要と説明した。なお、規則案に対する意見公募は11月4日まで受け付ける。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy Announces Five Actions to Accelerate Commercial Space Licensing” (10/06/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-announces-five-actions-accelerate

JIATF-401、対ドローン向け指向性エネルギー兵器システムを選定

国防総省(Department of Defense)は10月5日、省庁間合同タスクフォース401(Joint Interagency Task Force 401: JIATF-401)による対無人航空機システム(Counter-unmanned aircraft systems: C-UAS)向け指向性エネルギー兵器の実証プログラム用システムを選定した。2026年度国防権限法 (National Defense Authorization Act: NDAA)に基づき、エアロバイロンメント社(AeroVironment)やボーイング社(Boeing)、コード・テクノロジーズ社(Kord Technologies)、エピルス社(Epirus)の4システムを選定し、本土防衛における高出力レーザー(High-energy laser: HEL)及び高出力マイクロ波(High-powered microwave: HPM)の運用を拡大する。今年初めにJIATF-401と連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)によるニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル射場でHEL安全リスク評価を実施するなど、同省はドローン防衛における指向性エネルギーの有効性を強調しており、関係機関と連携して実戦環境での性能やコスト評価していく方針を示した。 Department of Defense “Systems Selected for JIATF 401 Directed-Energy Counter-Drone Pilot Program” (10/05/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4619430/systems-selected-for-jiatf-401-directed-energy-counter-drone-pilot-program/

エネルギー省、SiC活用原子炉部材開発に5,000万ドル支援

エネルギー省(Department of Energy)の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は10月5日、炭化ケイ素(SiC)被覆管素材の開発加速に向け、最大5,000万ドルの資金を提供すると発表した。研究用原子炉での照射試験に必要な12フィート(約3.7メートル)の被覆管燃料棒を3年間で製造する計画で、冷却材と燃料を隔てる被覆管材料に耐熱性など極限環境に優れた特性を持つ炭化ケイ素を活用する。国内軽水炉の性能向上と今後の原子炉運用における柔軟性を確保することが目的で、ウラン燃料ペレットを包む金属管に代わるSiCを活用した被覆管の開発を通じて発電所の安全確保かつ運用コスト削減を達成する。同省は、この取り組みを照射性能データ収集や原子力規制委員会(U.S. Nuclear Regulatory Commission: NRC)による許認可取得など、商業展開に向けた重要なステップとなると位置付けており、参加応募の締切を12月7日とした。 Department of Energy “DOE Office of Nuclear Energy Announces $50M in Funding to Revolutionize Reactor Cladding Material” (10/05/26) https://www.energy.gov/ne/articles/doe-office-nuclear-energy-announces-50m-funding-revolutionize-reactor-cladding-material

ITIF、軌道上データセンター建設に関する政策提言を公表

シンクタンクの情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は9月28日、宇宙空間でデータ処理を行う「軌道上データセンター(Orbital Data Centers)」に関する政策提言を発表した。地上データセンターの代替施設ではなく、地球観測や衛星の自律運用など特定の宇宙環境ワークロードを補完する施設と位置付けるよう提言しており、軌道上でのデータ処理によりダウンリンク(衛星などから地上へのデータ送信経路)への負荷を軽減し、確保したデータ容量を地球観測、遠隔探知・観測、宇宙船の自律型飛行などの用途へ割り当てることで、現場での応答性の向上につなげることができると説明した。また、排熱処理や放射線対策などの技術課題に加え、高コストやサイバーセキュリティ上のリスクを指摘した上で、法規制策定の遅れが新技術の試験運用と導入など検証の阻害要因にならないよう、電波割当の明確化や衛星ライセンス取得の迅速化、宇宙ゴミ(デブリ)の削減対策など実験環境の整備を政府に促している。 ITIF “Policy Considerations for Orbital Data Centers” (09/28/26) https://itif.org/publications/2026/09/28/policy-considerations-for-orbital-data-centers/

NSF、2026年度予算10億ドル超が未執行

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は10月5日、2026年度米国科学財団(National Science Foundation: NSF)予算のうち、10億ドル以上が未執行(unspent)のまま翌年度へ繰り越されたと伝えた。連邦助成に関する情報を提供するグラント・ウィットネス(Grant Witness)の最新データによると、本年度の研究資金執行額は64億ドル(6,218件)にとどまり、前年度の83億ドル(8,647件)から約23%減少するなど研究助成金の交付大幅減が背景にあるという。通常は研究予算を2年かけて使い切るが、NSFは今回、政府の優先課題に資金を再配分するために繰り越したと一部メディアに説明した。大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の「研究グランドチャレンジ(Grand Research Challenges)」構想への拠出に向け予算の約10億ドルを保留しているとのネイチャー誌(Nature)による年初報道もあり、交付遅延にもかかわらず所外研究予算約340億ドルを使い切った国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)とは対照的となった。 AIP “NSF ends fiscal year with more than $1 billion unspent” (10/05/26) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-october-5-2026

国家情報長官、「超知能タスクフォース」トップも兼任

NEXTGOV/FCWは10月5日、トランプ大統領がジェイ・クレイトン国家情報長官(Jay Clayton)を、人工知能(AI)政策責任者に指名したと報じた。大統領自身が立ち上げた「トゥルー・ソーシャル(True Social)」上で、クレイトン氏をAI担当責任者へ任命すると投稿したもので、120日以内にリスク分析や政府の対処方針をまとめる新たな委員会「超知能フォース(Super Intelligence Force)」を率いるよう命じた。AIを活用した脅威に対する懸念拡大に加え、AIシステムを支えるデータセンター構築などをめぐる政治的議論が交わされている現状を受け、政府やその関連組織、重要インフラ事業者、AI開発企業との調整役を担う。特に、脅威通知の迅速化とその対応能力の強化、また、過剰規制を回避し、先手を打つリスク対策を構築していく方針を示しており、記事は、サイバーセキュリティリスクなどの安全対策や中国との技術競争を念頭にしたAI政策を地政学的、国家安全保障の課題として位置づける政府意向が明らかになったと伝えた。 NEXTGOV/FCW “Spy chief Jay Clayton takes on White House’s AI portfolio” (10/05/26) https://www.nextgov.com/people/2026/10/spy-chief-jay-clayton-takes-white-houses-ai-portfolio/416413/?oref=ng-homepage-river