地域送配電網に考慮した資源統合計画策定を LBNL報告書

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)は8月19日、電力会社が策定する資源統合計画(Integrated Resource Plan: IRP)において、地域送配電網の要素を効果的に反映させるための戦略や優良事例をまとめた報告書を発表した。10州や州電力会社事例を分析し、需要予測の共有や、ボルト/VAR最適化(volt-VAR optimization: VVO)や省エネ電圧削減技術の活用、ロードマップ導入による計画の段階的改善などが共通課題の解決に寄与していると紹介している。電力需要の拡大に伴い、配電・送電双方への投資が急速に増大する中、基幹電力系統と送配電網計画を包括的に連携させることで、電力会社内の縦割り構造を解消する提案で、電力網投資の最適化やコスト削減、ステークホルダーとの信頼構築を実現できると結論付けている。 LBNL “Strategies for Considering Local Grids in Bulk Resource Planning” (08/19/26) https://emp.lbl.gov/news/strategies-considering-local-grids-bulk-resource-planning

ランド研究所、AI生物兵器リスクへの多層防御提言

ランド研究所(RAND)は8月18日、生物学研究への人工知能(AI)活用から派生した生物兵器脅威に対処するため、多層防衛型のバイオセキュリティ戦略をまとめた。AIツール活用による新たな病原体作成に端を発した生物兵器展開リスクと生物学的事故をいかに軽減していくかに焦点を当てており、地球規模の公衆安全リスク回避に向けた大規模公的投資が急務と呼びかけている。特に発案段階から兵器化までの各工程への段階的なリスク軽減技術導入やアクセス・展開制御、物理的阻害策などを何層にも取り入れて配置する防御態勢構築を提言しており、現状の研究機関や民間主導の自主的対策では不十分と指摘した。また、政府に対してアクセス制御やユーザー検証の最低基準策定を求めており、複数領域にまたがる不審な動きを分析・共有する情報プラットフォーム構築の必要性も強調した。昨今の 先端AIモデルへの脅威現状を受け、政府関係者も、リスク軽減に向けた早期投資の重要性について認識しているという。 RAND “Building a Defense-in-Depth Biosecurity Strategy for the AI Era” (08/18/26) https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA4999-1.html 参照記事: NEXTGOV/FCW “Report calls for deterrence mechanisms, government participation in AI-biology security” (08/19/26) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/08/report-calls-deterrence-mechanisms-government-participation-ai-biology-security/415517/?oref=ng-homepage-river

ペンシルバニア州、データセンター許可に新条件

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は8月19日、ペンシルベニア州における25メガワット(MW)超の大規模データセンター計画を対象とした新たな優先的認可制度について報じた。ジョシュ・シャピロ州知事(Josh Shapiro)が18日に発令した知事令に基づくもので、電力確保や環境面での要件受諾が条件となっている。州環境保護局(Department of Environmental Protection: DEP)が新たな審査プロセスを設けるとし、事業者に対し、地元電力網からの新規電源調達や、再生可能エネルギーなどのクリーン電力導入比率の段階的引き上げ、系統増強費用の自己負担などを求める内容となっている。急増するデータセンター建設に伴う投資の投機化や地元コミュニティへの影響が問題視されていることから、州は事業者を絞り込むことで対応する。一方で、政策変更による透明性の高い案件の投資継続への影響を懸念する声や、新規投資停滞、インフラ投資減速による電力会社への影響を懸念する声も上がっているほか、独立系発電事業者への影響も指摘されている。 Utility Dive “Pennsylvania dangles permitting carrot for data centers that bring their own power” (08/19/26) https://www.utilitydive.com/news/pennsylvania-executive-order-data-centers/828261/

海事局とコーパスクリスティ港、SMR開発で連携

運輸省(Department of Transportation)の海事局(Maritime Administration: MARAD)は8月5日、テキサス州コーパスクリスティ港と小型モジュール炉(Small Modular Reactor: SMR)など先進技術の海事応用に関する協力覚書(Memorandum of Cooperation: MOC)を締結したと発表した。港湾マイクログリッド強化や次世代型船舶推進システムへのSMR統合の可能性を探る取り組みで、同省が5月に開始したSMR構想の一環となっている。コーパスクリスティ港は国内最大の石油輸出港であるとともに、液化天然ガス(LNG)輸出量も2022年以降81%増加しているなど国内主要エネルギー港であることから、同省はSMR導入により、異常気象や電力供給課題などあらゆる不測の事態に対応する海上供給網構築につなげるほか、造船業振興や燃料費削減を実現すると意欲を見せている。さらに、海事関連人材の育成も強化していく計画で、メキシコ湾岸地域全体への経済的効果も期待されている。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy and Port of Corpus Christi Sign Agreement to Explore Nuclear Maritime Technologies” (08/19/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-and-port-corpus-christi-sign-agreement

NSF、波動ベースの計算基盤研究を支援

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は8月19日、波動力学の原理を活用した計算技術開発に向け、2027年から2028年にかけて最大3,000万ドルを投資すると発表した。光、音響、量子デバイスなどを対象とした物理的原理や実証実験基盤の研究を支援していく計画で、NSF工学局(\Directorate for Engineering)の新興フロンティア研究イノベーション(Emerging Frontiers in Research and Innovation: EFRI)プログラムを通じ、2年間の探索的研究と4年間の領域横断的研究の双方に資金を提供する。同局は、基礎研究投資によるあらゆる産業への技術イノベーション促進効果について触れ、今回の波動ベースの計算技術と従来デジタル計算とのシームレスな統合実現に向けた投資により、人工知能(AI)や通信、高性能計算(High-performance computing: HPC)分野に大きな影響をもたらすと期待を寄せている。なお、2027年度の構想概要提出期限は11月19日で、詳細に関しては10月にウェビナー開催が予定されている。 NSF “NSF invests in foundational research on wave-based computing” (08/19/26) https://www.nsf.gov/eng/updates/nsf-invests-foundational-research-wave-based-computing

NLR、NERCと電力系統の信頼性向上で連携

ロッキー国立研究所(National Laboratory of the Rockies: NLR)は8月19日、北米電力信頼性協会(North American Electric Reliability Corporation: NERC)と基幹電力システムの信頼性向上に向けた新たなパートナーシップを立ち上げたと発表した。電力システムの変化に関する理解を深め、安価で信頼性の高い電力供給を継続するための機会特定を進めていくとし、初期の取り組みとして、NERCの高解像度データ(より精度の高い設備位置情報も含む)をNLRの電力網モデル化機能に統合し、より精緻な分析を行っていく。これにより長年の研究成果を実践的なツールへ昇華させ、業界全体の系統計画や信頼性解析に新たなアプローチをもたらすとし、NLRは、非営利の国際規制機関であるNERCの知見とNLRの研究能力を組み合わせることで、エネルギー資源確保に向け、将来を見据えた手法確立を支援していくと意欲を示している。 NLR “NLR and North American Electric Reliability Corporation Launch Partnership To Advance North American Grid Reliability” (08/19/26) https://www.nlr.gov/news/detail/program/2026/nlr-and-north-american-electric-reliability-corporation-launch-partnership-to-advance-north-american-grid-reliability

米国アカデミー、ARPA-Eへの支援継続提言

米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)は8月20日、エネルギー省(Department of Energy)傘下のエネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency–Energy: ARPA-E)が国のエネルギー・イノベーションにおいて貴重な役割を果たしているとし、議会に対して継続的かつ安定的な資金提供を行うよう求める報告書を発表した。NASEMは、先端技術の導入リスクを軽減しつつ、最先端エネルギー技術開発を推進しているARPA-Eの取り組みを評価し、支援企業の特許取得数も増加していると説明した。また、こうした取り組みにより民間投資が引き上げられているとし、商業化推進を担うSCALEUPプログラムの資金枠を約4,000万ドルから1億2,000万ドルに増額するよう提言している。さらにARPA-Eに対しても、人工知能(AI)や量子計算、核融合などの成長分野対応に向け、ニーズに応じた機動性向上や人材採用戦略の多様化、失敗事例からの教訓評価に関する発信を呼びかけた。 NASEM “ARPA-E Plays Unique and Valuable Role in Energy Innovation and Should Be Reliably Funded, Says New Report” (08/20/26) https://www.nationalacademies.org/news/arpa-e-plays-unique-and-valuable-role-in-energy-innovation-and-should-be-reliably-funded-says-new-report

MDA、極超音速弾道ミサイル対応可搬式レーダー調達へ

アクシオス(Axios)は8月19日、ミサイル防衛局(Missile Defense Agency: MDA)が、少数部隊が駐留する前哨基地から弾道ミサイルや巡航ミサイル、極超音速ミサイルを追跡できる可搬式レーダーを調達すると報じた。ヨルダンにあるRTX社製のAN /TPY−2レーダーなどの早期警戒レーダーへのイランによる攻撃など、固定式センサーや既設基地が標的となっている課題に対応するもので「前方配備型次世代レーダー(Forward-Based Mode: FBM Radar Next)」の競争入札に向けた詳細を公開している。試作機は、大型輸送機C-17への搭載や到着後数時間での設営、また反撃を回避するために数分での撤収が可能な仕様を求めているほか、既存の指揮統制ネットワークとの連携や低コストでの大量生産も重視しており、MDAは敵の能力が高度化する中で、機動性と生存性に優れた高精度センサーの必要性が高まっていると説明した。事業は今後複数の開発・試験が予定されているが、具体的な開始時期についてはまだ明らかにされていない。 Axios “U.S. seeks super-mobile missile defense radar” (08/19/26) https://www.axios.com/2026/08/19/missile-defense-agency-fbm-radar-hypersonics

CATFが地熱情報サイトを公開 次世代技術の共同開発加速

クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は8月19日、地熱分野関連機関の研究力や各国の地熱状況を可視化する「地熱フロンティア知識共有プラットフォーム(Geothermal Frontier Knowledge Sharing Platform)」を公開したと発表した。世界地図上で主要事業の詳細や研究機関の実証能力、国別の専門性を確認できる無料のオンラインサイトで、次世代地熱開発加速に向け、研究者や産業界、政策立案者らが連携を図ることを目的に構築された。CATFは開発の現状把握により資金提供の対象を絞り込むことができる上、投資家も専門家への直接アクセスで情報精査が可能になると説明しており、特に超高温岩体などの高エンタルピー(物質が持つ熱エネルギーの総量)資源の活用には、現在分断されている研究や資金調達、産業を結び付ける必要があると同基盤設立の意義を強調した。なお、使い方については、8月28日にシンクジオエナジー社(ThinkGeoEnergy)と共同で公開ウェビナーを開催する予定となっている。 CATF “New global platform maps next-generation geothermal research capacity to drive collaboration and speed up development” (08/19/26) New global platform maps next-generation geothermal research capacity to drive collaboration and speed up development

DIU、ブリッジ事業を加速 防衛産業基盤を強化 

国防総省(Department of Defense)は8月18日、防衛産業基盤の強化に向け、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)が「ブリッジ・プログラム(Bridge Program)」を展開していると発表した。省内手続きを簡素化し、民間技術の導入を加速することが目的で、機密施設の整備迅速化やサイバーセキュリティ技術認証の期間短縮、試作段階からの実証試験支援など3つの主要施策を柱に掲げている。これまで数年かかっていた機密インフラ稼働を数カ月に短縮する共同資金調達・整備モデルを採用しており、既にピッツバーグやオースティン、サンフランシスコ、ボストン、サウスカロライナ州チャールストン、シカゴ、クリーブランド、ケンタッキー州ルイビル、ニューヨークなど全国9カ所での民間機密共有施設の整備に着手している。7月16日に発表されたペンシルベニア州での100億ドル規模の防衛投資にも同様の手法を採り入れており、実証段階から初の大規模な実用化に向けた同省取り組みの節目と位置付けられている。 Department of Defense “Defense Innovation Unit Develops Program to Supercharge Defense Industrial Base” (08/18/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4575421/defense-innovation-unit-develops-program-to-supercharge-defense-industrial-base/