バイデン大統領、大量破壊兵器テロリズム対策と核・放射線マテリアルの安全保障の進展を目的とした国家安全保障メモランダムに署名

バイデン大統領は3月3日、世界における大量破壊兵器テロリズムへの対抗と核及び放射線マテリアルの安全保障の進展を目的とした国家安全保障メモランダム(National Security Memorandum: NSM)19号に署名した。このNSMは、非国家当事者による化学・生物・放射線・核兵器の使用に対抗する米国政策を統合し、連邦省庁機関の統一された優先事項を提示し、大量破壊兵器(weapons of mass destruction: WMD)テロリズムの脅威の防止、軽減、対応について、州/地方自治体/部族/国際/民間部門のパートナーと協力するというバイデン政権のコミットメントを確認するものである。バイデン政権は、新興技術が将来の平和的応用にもたらす恩恵とこれらの技術が拡散するリスクを管理することにコミットしており、持続的なクリーンエネルギー及び核マテリアルの安全保障ゴールを支える先見的な米国政策を確立した。NSM19号で示された米国政策は、3つの野心的な取り組み(WMDテロリズム対策、核マテリアルの安全保障の進展、放射線マテリアルの安全保障の進展)とそのゴールについて概説している。 White House “FACT SHEET: President Biden Signs National Security Memorandum to Counter Weapons of Mass Destruction Terrorism and Advance Nuclear and Radioactive Material Security” (3/2/23)

エネルギー省、量子情報科学における将来の労働力の育成について情報を要請

エネルギー省(Department of Energy)は3月6日付けの連邦広報(Federal Register)で、「量子情報科学における将来の労働力の育成(Preparing a Future Workforce in Quantum Information Science)」と題する情報の要請(request for information: RFI)を通達した。量子情報科学(Quantum Information Science: QIS)は急成長の新興分野であり、量子コンピューティングやシミュレーション、通信、検知などのイノベーションを生み出す可能性がある。そのQISは、研究開発から設計及び製造に至るまでの幅広い分野で十分に訓練された労働力を必要とする。エネルギー省は、QISのキャリアを目指す学生を育成するために必要な手法について、高等教育機関からの意見を募集している。エネルギー省は特に、同省傘下の国立研究所ネットワークがQISの労働力開発に寄与できる形について関心を持っている。 Federal Register “Preparing a Future Workforce in Quantum Information Science” (3/6/23)

エネルギー省、超党派インフラ法による60億ドルの民生原子力クレジット・プログラムの第二次アワードのガイダンスを発表

エネルギー省(Department of Energy)は3月2日、60億ドル規模の「民生原子力クレジット(Civil Nuclear Credit: CNC)プログラム」の第二次アワードの申請ガイダンスを発表した。CNCプログラムは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)によって設定されたもので、国内の原子炉の時期尚早な運用終了を防止することを目的としている。第一次アワードでは、申請できる適格者が「4年のアワード期間以内に閉鎖する意図を表明していた原子炉の所有者・運用者」に限定されていたが、第二次アワードは、4年のアワード期間内(2024年1月1日~2027年12月31日)に閉鎖のリスクがある原子炉の所有者及び運用者が対象となる。CNCプログラムは、化石燃料への依存を低減し、数千人の良好賃金のクリーンエネルギー雇用を維持するクリーン電力の有用性を確実にするため、原子炉の運用継続を推進する。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Releases Guidance for Second Award Cycle of Bipartisan Infrastructure Law’s $6 Billion Civil Nuclear Credits Program” (3/2/23)

バイデン=ハリス政権、国家サイバーセキュリティ戦略を発表

バイデン=ハリス政権は3月2日、すべての米国民に安全でセキュアなデジタル・エコシステムの恩恵を確保することを目的とした「国家サイバーセキュリティ戦略(National Cybersecurity Strategy)」を発表した。この十年間で、米国は、サイバー空間を、経済的安全保障と繁栄、人権と基本的自由の尊重など、米国の価値を反映させた形でゴールを達成するためのツールとして再構想していく。こうしたビジョンを実現するためには、サイバー空間における役割や責任、資源の配分方法について、根本的にシフトする必要がある。今回発表された戦略は、①重要インフラを守る、②脅威の実行者に混乱をもたらし、打破する、③セキュリティと対応力を促進する市場勢力を形成する、④対応力のある未来に投資する、⑤国際的なパートナーシップを構築し、共通の目標を追求する、の5点を支柱として、共同作業を構築、強化していく内容となっている。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces National Cybersecurity Strategy” (3/2/23)

日・米・蘭の半導体輸出規制取引の詳細のヒント

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は今般、「日・米・蘭の半導体輸出規制取引の詳細は見え隠れしている(Clues to the U.S.-Dutch-Japanese Semiconductor Export Controls Deal Are Hiding in Plain Sight)」と題する論文を発表した。バイデン政権は昨年10月7日、先端の人工知能(AI)及び半導体技術の対中国輸出を規制する新規制を発表し、20年以上ぶりとなる米国の対中国貿易政策の大幅な転換を図った。米国は同盟国との協議をしたものの、当初、単独でこれらを実践したことは、大きな外交的賭けであった。しかし、2023年1月に、オランダと日本が新たな半導体輸出規制に加わることで、米国の賭けは功を奏したと言える。ただし、日・米・蘭の間の新たな輸出規制の詳細は明らかになっておらず、CSISは、①オランダと日本の企業が世界の半導体バリューチェーンの中で果たす役割、②10月7日に発表された規制内容に基づくバイデン政権の政策の方向性、③オランダの輸出管理制度を下支えする法的権限の実情、の3点から三カ国間の取引の詳細を分析している。CSISは結論として、「現段階では取引の多くの詳細は不明で、今後も外交的な関与による調整が必要とされるものの、日・米・蘭の間の半導体輸出管理は主要な外交的達成事項である。ただし、ドイツや韓国といった、半導体で鍵となる国の参加が必要であり、更に欧州連合(EU)全体も参加することができれば最善だろう」としている。 Center for Strategic and International Studies “Clues to the U.S.-Dutch-Japanese Semiconductor Export Controls Deal Are Hiding in Plain Sight” (3/1/23)

ロジウム・グループ、インフレ低減法が米国とEUにもたらすクリーンエネルギー製造への影響について報告

米国におけるインフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)の成立に、欧州の政策策定者は2つの相反する反応を示している。具体的に、欧州は、IRAの成立によって、米国がパリ気候協定の下、連邦の気候規制及び州レベルの追加の気候行動があるという前提で、2030年の排出削減目標へ向けて信頼できる経路を持ったことに安堵している。それと同時に、欧州は、IRAを通じた米国のクリーンエネルギー製造投資へのインセンティブにより、欧州の産業競争力が損なわれる可能性があるのではと懸念している。これに対応する形で、欧州委員会(European Commission)は、欧州大陸のクリーンエネルギー製造への支援を強化する「グリーン・ディール産業計画(Green Deal Industrial Plan)」を提案した。こうした動きは、同盟どうしによる「助成金競争」につながっている。このような中、ロジウム・グループ(Rhodium Group)は、IRAを細かく分類し、それが欧州の業界にもたらす意味を分析した。IRAには米国のクリーンエネルギー業界に対する新たなインセンティブが含まれているが、欧州の産業を犠牲にする形で米国の製造業を直接支援するIRA支出の割合は、現在報じられているものよりも極めて低い。ロジウム・グループは、IRAによって米国内のクリーンエネルギー導入のペースは全体的に加速される見込みで、これはひいては米国内でのクリーンエネルギー製造の拡大及び欧州企業への機会創出、両地域におけるクリーンエネルギーの費用低減につながるだろうと指摘している。 Rhodium Group “Relay Race, not Arms Race: Clean Energy Manufacturing Implications of the IRA for the US and EU” (2/28/23)

エネルギー省、産業の脱炭素化を促進する応用研究開発プロジェクトに資金提供の意向を発表

エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)は最近、米国の産業部門で温室効果ガス排出の削減につながる応用研究開発実証プロジェクトを進展させる資金提供公募(FOA)を発表する意向を表明した。EEREの産業効率・脱炭素化局(Industrial Efficiency and Decarbonization Office: IEDO)が主導するFOAで、産業の脱炭素化に必要な次世代技術の開発につながり、米国をクリーン・エネルギー経済へと移行させるイノベーションを促進する。「2022年産業脱炭素化ロードマップ(2022 Industrial Decarbonization Roadmap)」と、昨年9月に発表されたFOAに続く今回のFOAは、産業脱炭素化へ向けた分野横断型手法に焦点が当てられ、先端マテリアル・製造技術局(Advanced Materials & Manufacturing Technologies Office)が資金拠出する「トピック3:予備的分野横断型R&D(Topic 3: Exploratory Cross-Sector R&D)」の「サブトピック3b:強化熱伝導マテリアル(Subtopic 3b: Enhanced Thermal Conductivity Materials)」が含まれる予定である。 Department of Energy “DOE Issues Notice of Intent to Fund Applied Research and Development Projects to Drive Industrial Decarbonization” (3/3/23)

エネルギー省、農村・遠隔地域社会で信頼性の高いクリーンエネルギーを進展させるため3億1,500万ドルを投資

エネルギー省(Department of Energy)は3月1日、エネルギーの費用の手頃性を改善し、気候対応力を強化するプロジェクトに3億ドル、農村の地域社会がクリーン・エネルギーの開発と導入に必要な能力を構築することを支援する賞金コンペに1,500万ドルを提供することを発表した。これらは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から資金拠出された「農村・遠隔地域のエネルギー改善(Energy Improvements in Rural or Remote Areas: ERA)」プログラムの重要な要素である。まず、エネルギーの手頃性を改善し、気候対応力を推進するプロジェクトへのアワードとして3億ドルを提供する。本プロジェクトにおける連邦の費用は1件当たり500~1億ドルと想定されている。と同時に、エネルギー省は、農村・遠隔地域でのエネルギーシステム改善にとって最大の障害となっている2つの問題(必要なパートナーシップの開発と、資金の確保)を排除する能力強化を支援することを目的として、「農村地域社会の活性化プライズ(Energizing Rural Communities Prize)」を開始する。1,500万ドルの資金を通じて、地域社会を政府の資金提供機関や、クリーンエネルギー・プロジェクトの実践を支援するパートナー・ネットワークと結びつけることで、パートナーシップの構築を支援する。 Department of Energy ” Biden-Harris Administration Invests $315 Million to Advance Reliable Clean Energy in Rural and Remote Communities” (3/1/23)

風力、ソーラー、電池が新規の米国電力能力に占める割合が増大

米エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が2月27日に発表した予備的月間発電在庫(Preliminary Monthly Electric Generator Inventory)によれば、風力、ソーラー、電池貯留が新規電力生産能力に占める割合は、毎年増加している。2023年には、これら3つの技術は、新規のユーティリティ規模の発電能力(開発業者が米国内で稼働開始を計画している発電能力)の82%を占める。米国内では、ユーティリティ規模のソーラー能力は、2010年まで振るわなかったが、ソーラーパネルの費用が大幅に下落し、州や連邦政府による寛大な税インセンティブが導入されるのに伴い、勢いづいた。2023年1月現在、米国内で73.5ギガワット(GW)のユーティリティ規模のソーラー発電能力(米国全体の約6%)が運用されており、2023年には、米国内の新規の発電能力の半分強はソーラー発電によるものと予測されている。同様に、米国内の風力発電能力は2000年までは取るに足らない規模であったが、税インセンティブやタービン建設費用の低減などにより、風力発電能力の成長が加速した。2023年1月現在、141.3ギガワットの風力発電(米国全体の約12%)が運用されている。一方、風力発電もソーラー発電もその生産能力は断続的で、風が吹いている時や太陽が輝いている時しか発電しない。こうしたことから、風力及びソーラー発電を貯蔵する電池貯蔵システムが、風力及びソーラープロジェクトと一緒に導入されるケースが増えている。 Energy Information Administration “Wind, solar, and batteries increasingly account for more new U.S. power capacity additions” (3/6/23)

エネルギー省、2023年度技術商業化基金を発表

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は3月3日、2023年度の「技術商業化基金(Technology Commercialization Fund: TCF)ベース年間予算 FECMプログラム主導のトピックに関する国立研究所の要請(Base Annual Appropriations National Laboratory Call for FECM Program-Led Topics)」を発表した。この募集は、民間企業がエネルギー省の国立研究所とパートナーを組み、ラボで開発された知的財産を、FECMの戦略的ビジョンの対象となる技術分野で商業化へ向けて進展させる機会となるものである。選出されたプロジェクトに約800~1,100万ドルの年間資金が有用となる見込みで、プロジェクトは、1~3年で実施される見通し。資金提供を受けることができるのは国立研究所のみで、国立研究所は、連邦以外のパートナーと協力してプロポーザルを提出することが奨励されている。対象となるトピックとして、①二酸化炭素排出のモニタリング・報告・検証、②水素の定量化など、4点が指定されている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Office of Fossil Energy and Carbon Management Releases FY2023 Technology Commercialization Fund to Support Partnerships Between Industry and National Labs” (3/3/23)