「中国は主要な技術研究で米国をしのいでいる」との報告

オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute: ASPI)が3月2日に発表した報告書によれば、44の技術分野のうち37分野で中国の研究者は米国の研究者の先を進んでいるという。その範囲は、防衛、宇宙、ロボティクス、エネルギー、環境、バイオテクノロジー、人工知能、先端マテリアル、量子技術と多岐に及ぶ。ASPIは、「長期的に見ると、研究分野における中国の優位な状況は、ほぼ全ての部門で現行の技術開発で中国が卓越する位置づけにあるというだけでなく、まだ存在していない未来の技術においても同様の位置づけであることを意味する」と結論している。研究競争で、中国と米国に近い国はなく、両国から大きく離れた所にインドと英国が位置し、韓国とドイツが続いている。報告書は、軍事と宇宙部門における中国の研究の高さは特に顕著であると指摘している。こうしたファインディングは、工学・化学・技術の最先端で米国を追い抜こうとする中国のたゆまぬ努力が実を結びつつあることを示す最新の兆候である。 Wall Street Journal “China Trumps U.S. in Key Technology Research, Report Says” (3/2/23)

2024年度大統領予算案、気候や連邦職員給与増などを優先

バイデン大統領は3月9日、6兆8,000億ドルという大規模な2024年度予算教書を発表した。気候及びクリーン・エネルギー・プログラムの連邦支出が増大し、連邦職員の給与が押し上げられる。また、大統領は、税収を増やすために法人及び富裕層への増税と、石油・天然ガス企業への税制優遇措置の終結を行うとしている。2024年度予算教書によれば、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の予算は前年度比19%増、内務省(Department of Interior)は同9.3%増、エネルギー省(Department of Energy)は同13.6%増となる。また、連邦政府内の職員の給与は、平均5.2%増加する。もちろん大統領の予算教書は希望リストであり、最終的には議会との間で妥協案へ向けて議論することになる。 E&E News “Climate, federal workers loom large in Biden’s $6.8T budget” (3/9/23)

国際無人車両システム協会(AUVSI)、商業ドローン向けのグリーンUASサイバーセキュリティ認定プログラムを開始

国際無人車両システム協会(Association for Uncrewed Vehicle Systems International: AUVSI)は2月23日、最高水準のサイバーセキュリティ及び国防授権法(National Defense Authorization Act:NDAA)のサプライチェーン要件に合致するよう精査された商用の無人航空システム(Uncrewed Aircraft System: UAS)の件数を拡大することを目的とした新プログラム「グリーンUAS(Green UAS)」を開始すると発表した。グリーンUASは、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)による「ブルーUAS(Blue UAS)」認定プログラム(DIUが国防総省(Department of Defense)による使途を目的として商用UASを早急に精査する)を反映した業界標準となる。DIUは、広範な商用ドローンのセキュリティ空間におけるイノベーションが、セキュリティの強化と、デュアル・ユース・システムの件数増加につながることを期待している。 Defense Innovation Unit “AUVSI Launches Green UAS Cybersecurity Certification Program For Commercial Drones” (2/23/23)

国防総省、将来の軍事プラットフォームの電気化を目的として商業電池のプロトタイプ作成へ

国防長官室(Office of the Secretary of Defense)、米陸軍(U.S. Army)の戦闘能力開発司令部(Combat Capabilities Development Command: DEVCOM)地上車両システムセンター(Ground Vehicle Systems Center: GVSC)などが、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)とパートナーを組み、「先端電池標準化のジャンプスタート(Jumpstart for Advanced Battery Standardization: JABS)」プロジェクトに取り組んでいる。標準化された電池モジュールを開発することは、国防総省の商業電池への需要シグナルを高め、商業部門が国防総省と共同作業する際の障害の低減にもつながると期待されている。DIUは昨年9月に、5社あるベンダーのうち、最初の1社であるGMディフェンス社(GM Defense)に国防総省のプラットフォームでの試験及び分析を目的とした電池パックのプロトタイプ開発を発注した。その後、昨年12月にはインベンタス・パワー社(Inventus Power)に電池モジュールのプロトタイプ開発で、2023年1月にはルシード社(Lucid)に電池モジュールのプロトタイプ開発で、カノー・テクノロジーズ社(Canoo Technologies)に電池パックプロトタイプ開発で、それぞれ契約発注が行われた。そして2月には、デルタ・コスワース社(Delta Cosworth)に高性能モジュール電池システムの開発について契約発注が行われた。 Defense Innovation Unit “Department of Defense to Prototype Commercial Batteries To Electrify Future Military Platforms” (2/27/23)

OSTP、循環経済イノベーション円卓会議を実施

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)とエレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)は2月22日、産業製品のイノベーションを加速させ、正味ゼロの循環経済を加速させる方法を模索する円卓会議を主催した。円卓会議には、業界や政策、地域社会、その他の関係機関のイノベーターが集い、産業の脱炭素化と正味ゼロ排出を実現できる循環経済のための画期的なイノベーションに関する機会と課題について議論した。参加者は、正味ゼロ経済のマテリアルを生産するには、①革新的な化学の開発、②再使用、修理、リサイクルを念頭に置く人々に同等以上のサービスを提供する製品及びシステムの設計、サプライチェーンの循環性を高める、といったことが求められる点について議論した。また、円卓会議の会話とケーススタディの事例から、循環経済のイノベーションに関して、①循環経済イノベーションは、脱炭素化及び正味ゼロ目標に寄与するだけでなく、経済成長及び雇用、環境正義などにも寄与する、②米国における循環経済イノベーションは様々な形態を取っている、③システム的なイノベーション及び実験は、循環経済創出の溝を埋めるために必要である、などの見解が台頭した。 White House “Readout of the White House Circular Economy Innovation Roundtable” (2/22/23)

CHIPS法は、先端コンピューティングにおける米国リーダーシップへの脅威に対処する最初の一歩に過ぎないとの報告

かつて米国の技術力は諸外国を上回り、国内ビジネスに競争的優位をもたらしていたが、それから30年経過した今、先端コンピューティングにおける米国のリードは弱まり続けている。マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の研究者が発表した報告書「先端コンピューティングにおける米国のリードはほぼ消散(America’s lead in advanced computing is almost gone)」は、米国のリーダーシップの減退を浮き彫りにしている。研究者の分析によれば、中国は、コンピューティングにおける米国との溝を塞いだだけでなく、これらの分野における米国のリーダーの約80%が「中国の競合者は能力を急速に向上させており、それは米国の競争力にとって広範な脅威である」と考えている。報告書は、「米国の先端コンピューティング分野におけるリーダーシップを奪回するための取り組みとして、2022年CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act of 2022)は重要なステップであるが、為すべきことはまだ多くある」とし、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)に対して複数の勧告を行っている。 Massachusetts Institute of Technology “Report: CHIPS Act just the first step in addressing threats to US leadership in advanced computing” (2/28/23)

NIH、対外研究グラントに関する2022年度データ発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の外部研究局(Office of Extramural Research)は3月1日、2022年度におけるNIHのグラント資金及び採択率に関するデータを発表した。これによると、NIHは2022年度に、333億ドルを競争的及び非競争的グラントのアワードに支出した。これは前年度から3.1%(10億2,000万ドル)の増加となる。アワードの件数は、2021年度の5万6,792件から1,576件増えて5万8,368件となった。新規の研究プロジェクト・グラント(RPG)の採択率は2021年度の19.1%から2022年度は20.7%に増加した。その理由は、2022年度に受理したRPGの競争申請書(5万4,571件)が前年度(5万8,872件)より4,301件少なかったことである。RPG一件当たりの平均名目費用は、2021年度の58万1,293ドルから2022年度の59万2,617ドルに増加した。 Office of Extramural Research “FY 2022 By the Numbers: Extramural Grant Investments in Research” (3/1/23)

ミシガン大学主導のコネクテッド及び自動化輸送の中西部ハブ、1,500万ドルで助成更新

ミシガン大学(University of Michigan)は、運輸省(Department of Transportation: DOT)から5年間で1,500万ドルの新たなグラントを得て、米国におけるコネクテッド及び自動化された自動車への移行を狙いとした地域の取り組みを引き続き主導する。グラントは、既存の「コネクテッド及び自動化輸送センター(Center for Connected and Automated Transportation: CCAT)」の更新及び拡大となるもの。同センターは、ミシガン州アン・アーバーを拠点とし、ミシガン大学が主導している。今回のグラントを受けてCCATの参加機関は、従来の6大学から9大学に増え、安全性と持続可能性に対処する新興技術と共に、米国輸送を大幅に進展させることに焦点を当てて取り組んでいる。CCATは、DOTが全国に展開する10件の地域大学輸送センターの一つで、2016年に6年間で1,576万ドルの資金を受けて開始された。 University of Michigan “$15 million for connected and automated transportation, renewing U-M-led Midwest hub” (2/22/23)

バイデン大統領、大統領輸出評議会のメンバー25名を指名

バイデン大統領は2月28日、大統領輸出評議会(President’s Export Council)に任命される25名の氏名を発表した。大統領府が発表した氏名一覧には、米国大手企業の最高経営責任者が数名含まれている。ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance)の最高経営責任者(CEO)、ロザリンド・ブリュワー氏(Rosalind Brewer)が評議会の副会長を務め、3Mの現会長であるマイケル・ローマン氏(Michael Roman)の名前も含まれている。大統領輸出評議会は、民間部門を代表して輸出拡大を提唱する他、輸出に影響を及ぼす米国プログラムについて、より広範な国家政策の勧告も行う。会長には、ビジネスマンで慈善活動家、市民リーダーとして35年のキャリアを持つマーク・イーイン氏(Mark D. Ein)が選出された。 UPI “Biden names 25 to President’s Export Council” (2/28/23)

大統領府、米国CHIPSの最初の資金提供公募を発表

バイデン政権は2月28日、商務省(Department of Commerce)傘下の米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)を通じて、「米国CHIPS(CHIPS for America)」の最初の資金提供公募(FOA)を発表した。半導体製造における米国リーダーシップの復活、半導体サプライチェーンにおける良好賃金雇用の支援、米国の経済及び国家安全保障の進展となる製造業のインセンティブを目的としている。初のFOAでは、最先端で現行世代かつ成熟ノードの半導体生産を目的とした商業施設の建設/拡大/改良に取り組むプロジェクトを募集する。商務省はまた、晩春には半導体マテリアル及び機器施設に関する公募、今秋には研究開発施設に関する公募も行う。さらに、「成功のためのビジョン(Vision for Success)」も発表しており、この中で、米国の経済及び国家安全保障を進展させるため、米国を2030年までに、「少なくとも2つの大規模な先端ロジックチップ生産クラスターの拠点とする」「大量生産が可能な複数の先端梱包施設の拠点とする」などの目標が掲げられている。 National Institute of Standards and Technology “Biden-Harris Administration Launches First CHIPS for America Funding Opportunity” (2/28/23)