米著作権局人工知能に関する新たなイニシアチブを開始

米著作権局(U.S. Copyright Office)は3月16日、人工知能(AI)によって浮上した著作権法及び政策の問題について精査する新たなイニシアチブを開始した。その対象には、AIツールを使って生成された作品の著作権やAIの訓練における著作権付き資料の使用といった問題も含まれる。このイニシアチブは、生成AI技術の最近の目覚ましい進歩や個人及び企業によるそうした利用の急増に直接対応するもので、著作権局は、議会や一般市民から、著作権と関連する問題について精査するよう要請を受けている。また、既にAIによって生成されたコンテンツを含む作品の登録申請も受理している。こうした作品の著作権性や登録に関する問題に対処するため、著作権局は新たに「登録に関するガイダンス」を発表している。ガイダンスは、AIによって生成されたコンテンツが作品に含まれている場合、著作権の申請者はそれを開示する義務があることを明確にしている。著作権局は今春を通じてアーティストやクリエイティブ産業、AIデベロッパー及び研究者、法律家と共に公共の傾聴セッションを主催する。 U.S. Copyright Office “Copyright Office Launches New Artificial Intelligence Initiative” (3/16/23)

エネルギー情報局、住宅エネルギー消費調査における消費と支出のデータを発表

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が発表した「住宅エネルギー消費調査(Residential Energy Consumption Survey: RECS)」によれば、2020年の米国世帯の平均的な消費エネルギーは2009年よりも減少した。2020年RECSデータによれば、米国世帯は平均76.8MMBtu (million British thermal units)のエネルギー(電気、天然ガス、プロパン、燃料油を含む)を消費した。この消費量は2015年のRECSの試算と比較的同じであるが、2009年の89.6 MMBtuより大幅に減少した。2020年のRECSの主要な考察点として、次のような点が挙げられている。①米国世帯は2020年に平均1,884ドルをエネルギーに支出した。②より多くの暖房を必要とする地域では平均してより多くのエネルギーを消費した(例えば、アラスカ州の世帯の平均エネルギー使用量は125.1MMBtu)。③空調を使用している世帯がわずか57%、小型の暖房器を使用している世帯が5%のハワイ州では、世帯の平均エネルギー使用量は30.3MMBtuで、1世帯当たりの消費量は米国内で最低。④全国的には、全体のエネルギー消費に占める割合は、電力(47%)と天然ガス(45%)となっているが、この割合は州によって大きく異なる。 Energy Information Administration “EIA releases consumption and expenditures data from the Residential Energy Consumption Survey” (3/29/23)

OSTP、地球低軌道における米国競争力維持に向けた戦略発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は3月31日、「地球低軌道の国家研究開発戦略(National Low Earth Orbit Research and Development Strategy)」と題する戦略文書を発表した。地球低軌道(Low Earth Orbit: LEO)の今後の研究開発(R&D)における米国のリーダーシップについて、バイデン政権のビジョンを示したものである。米国は、宇宙研究及び技術開発へのゆるぎない投資や戦略的パートナーシップと共同作業のおかげで、宇宙における卓越した世界的位置づけを維持している。米国が月や火星への探査を進め、LEOの使用が増大し、国際宇宙ステーション(International Space Station)が段階的な閉鎖を開始する中、宇宙研究で米国の卓越性を維持することは重要である。戦略文書は、LEOにおける米国のリーダーシップのための政策目的として、①画期的な科学技術の進展、②米政府の共同作業とパートナーシップの強化、③市場機会とイノベーションと持続可能性の推進、④国際協力の強化、⑤STEM教育と労働力開発の促進、の5点と、それらを支える活動を特定している。 White House “Maintaining U.S. Preeminence in Low Earth Orbit” (3/31/23)

GAO、核エネルギーが直面する根本的課題について報告

核融合には、炭素排出や長期的な核廃棄物、もしくはメルトダウンのリスクを伴わずに電力を生産できる可能性があり、研究者や企業は核融合に関する様々な概念を追求している。2022年には、国立点火施設(National Ignition Facility: NIF)で核融合の点火(投入を上回るエネルギー量を生成)が達成された。しかし核融合技術が商業的に電気を生産できるようになるにはいくつかの課題がある。例えば、核融合エネルギーを使用する発電所内で予想される過度な状況に耐えられる新たなマテリアルを開発する必要がある。政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「核融合エネルギー:潜在的に変革的な技術は依然として根本的な課題に直面している(Fusion Energy: Potentially Transformative Technology Still Faces Fundamental Challenges)」と題する報告書を発表した。報告書は、核融合エネルギーが直面する課題への対処やその恩恵を強化する一助となり得る4つの政策選択肢を策定した。具体的には、①現行努力の維持、②官民の努力の調整、③核エネルギーのための共通資産の構築、④意思決定における一般市民との関与、を挙げ、それぞれについて機会と検討事項を提示している。 Government Accountability “Fusion Energy: Potentially Transformative Technology Still Faces Fundamental Challenges” (3/30/23)

バイデン政権のEV税クレジットのガイダンス、中国に関する不確実性をもたらす

バイデン大統領が消費者向けの電気自動車(EV)に税クレジットを拡大した際に定めた厳しい調達要件は、確実性を推進することを狙いとしたものだが、その一方で中国に関連のある自動車は今後の不確実性が予測される。財務省(Department of Treasury)は3月31日、インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)におけるEV向け税クレジット(7,500ドル)の適格性に関する規則を発表した。それらは複雑ではあるが、政府がどのように要件を取り扱い、税クレジットの半分が北米産の電池パーツを備えた自動車に適用されるようにしているかを示している。残りの半分は、米国もしくは自由貿易協定(free trade agreement)のパートナー国による電池鉱物を使用している自動車であることを義務付けている。財務省が「自由貿易協定」という定義を使用している点は、今後の貿易取引によって自動車及び電池企業に柔軟性を提供するかもしれない。しかしこうしたガイダンスには様々な注釈があり、例えば、「懸念される海外事業体(foreign entity of concern)」によるパーツもしくは鉱物で生産されたEVは適格とはならない。「懸念される海外事業体」は中国とロシアと結び付きのある企業へ適用される可能性がある(財務省はこの用語の定義は今後発表予定としている)。また、EVの調達規則の厳格化と引き換えにIRAに賛成票を投じたジョー・マンチン上院議員(Joe Manchin)(ウェストバージニア州選出民主党)は、財務省が発表したガイダンスに不満を表明しており、提訴する可能性も浮上している。 Axios “Biden EV tax credit guidance leaves uncertainty on China” (3/31/23)

メリーランド州知事、「2035年までに州内の新車販売は電気自動車のみとすべき」と発言

メリーランド州のウェス・モーア知事(Wes Moore)は3月13日、メリーランド州環境省(Department of the Environment)のセレナ・マクウェイン長官(Serena Mcllwain)、その他の州及び地方自治体の選出議員と共に、「先端クリーン自動車II(Advanced Clean Cars II)」へのコミットメントを表明した。メリーランド州では、2035年までに州内で販売される全ての乗用車がゼロ排出車両となることを目標としている。できるだけ早く規則が採択されるよう、州環境省は、州の大気質管理諮問評議会(Air Quality Control Advisory Council)の今年最初の会合で、規則提案を行った。評議会は、省が新たな基準を実行するための規則提案を前進させるよう勧告することを表決した。州の環境規制当局は、提案規則のプロセスに従い、公聴会やパブコメ受付を行い、規則が9月に実効となることを目指す。こうした方策を支持する一派は、モーア知事やマクウェイン長官の行動を称賛しているが、下院共和党議員は新基準の採択を急ぐ知事の動きを批判している。 WYPR News “Moore: Maryland must sell only electric vehicles by 2035” (3/13/23)

NIHが受理した所外研究の完全性に関する申し立てに関するトレンド

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の所外研究局(Office of Extramural Research)は3月22日、NIHのグラント・プロセスに関連する研究の完全性への申し立ての総合的なトレンド情報を公開した。2013年から2022年にNIHが受理した研究の完全性に関する申し立ての件数(新規)は、2013年104件、2014年110件、2015年89件と、2017年までは平均100件前後となっているが、2018年以降は急増している(2018年342件、2019年549件、2020年531件、2021年573件、2022年564件)。また、所外研究局は、その種別(研究の不正行為、ピアレビュー、外国の干渉、ハラスメント、グラント不正、その他)の件数も発表している。そのハイライトとして、①研究の不正行為は、概ね毎年100件未満であったが、2019年から急増した。この理由として、2018年後半にNIHが受益者に不正行為は通知するよう念を押したことが考えられる、②ピアレビューの規則違反申し立ても2018年以降増加しており、その理由として前述と同様の点が考えられる、③外国の干渉に関する申し立ては2017年頃から追跡が開始された。その件数は2019年が最大で、その後減少している、などが提示されている。 extramural NEXUS “Trends in Extramural Research Integrity Allegations Received at NIH” (3/22/23)

韓国のLGエナジー社、アリゾナ州に56億ドルを投じて電池工場を建設へ

韓国のLGエナジー・ソリューション社(LG Energy Solution Ltd.)は3月24日、約56億ドルを投じてアリゾナ州に電池製造複合施設を建設する計画を発表した。米国がよりクリーンなエネルギーへと移行する中、外国企業は一連の新工場建設計画を発表しており、本件はその最新事例となる。LGエナジー社によれば、新たな電池工場は主に北米の電気自動車(EV)市場向けとなる。同社がEV向け電池製造工場の新規建設計画を発表したのは昨年だが、今回の発表まで具体的な動きはなかった。今回発表された投資金額は、当初の建設計画の4倍となっている。米国はEV向け電池の国内サプライチェーン強化と中国への依存低減を模索しつつ、環境に優しい技術へのシフトを速めようとしており、電池メーカーは米国内でより大きな生産基盤を構築するよう求められている。バイデン政権によるインフラ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)は、米国内で販売されるEVに数十億ドルの税控除を提供しているが、それは特定の電池コンポーネントが北米で製造される場合のみに適用される。 Wall Street Journal “South Korea’s LG Energy to Build $5.6 Billion Battery Plant in Arizona” (3/24/23)

NIST、技術移転に関する規則更新版で、介入権の変更に関する点を取り下げ

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は3月24日、連邦資金によって開発された技術の商業化に関する規則を更新した最終規則を発表した。特筆すべき点として、NISTは、連邦機関が「介入権(march-in rights)」を行使して、連邦資金で開発された製品の価格を低減するよう企業に強制することを明確に制限する案は追求しないことを決定した。一部の提唱団体は国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に対して、介入権を行使して特定の処方箋薬の価格を低減するよう請願しているが、NIHはそうした請願を繰り返し却下している。NISTは、最終規則の中で、草案規則について受け取ったコメントの大半は、介入権の提案に関するものであったこと、そして本件は更なる調査に値すると結論したことを説明している。 Federal Register “Rights to Federally Funded Inventions and Licensing of Government Owned Inventions” (3/24/23)

エネルギー省、浮体式オフショア風力サプライチェーン開発のためのプライズでフェーズ1の勝者を発表

エネルギー省(Department of Energy)は3月29日、「浮体式オフショア風力準備プライズ(Floating Offshore Wind ReadINess (FLOWIN) Prize)」のフェーズ1の勝者を発表した。これは、浮体式オフショア風力エネルギー業界が抱える最大のサプライチェーン課題に対処する初のコンペである。コンペは3つのフェーズで行われ、浮体式風力プラットフォームの設計者、製作者、プロジェクト拠点開発事業者を対象とし、製造及び物流上の溝を埋めることを狙いとしている。今回、フェーズ1の勝者として選出されたのは9社で、それぞれ10万ドルの賞金と7万5,000ドル分のバウチャー(エネルギー省傘下の国立研究所が提供する技術支援)が贈られる。フェーズ1の勝者は、フェーズ2へ進む資格を与えられ、各チームは、浮体式オフショア風力エネルギーの下部構造設計の大量生産及び導入への経路開発に取り組む。 Department of Energy “DOE Announces Winners in First Phase of Prize to Develop Floating Offshore Wind Supply Chains” (3/29/23)