バイデン大統領、懸念国における国家安全保障技術及び製品への米国投資に対処する大統領令に署名

バイデン大統領は8月9日、「懸念国における一部の国家安全保障技術及び製品への米国投資に対処に関する大統領令(Executive Order on Addressing united States Investments In Certain National Security Technologies and Products in Countries Of Concern)」に署名した。この大統領令は、財務長官(Secretary of the Treasury)が、半導体及びマイクロエレクトロニクス/量子情報技術/人工知能という3部門で、国家安全保障上、重要となるセンシティブな技術を伴う活動に関与している事業体のある懸念国への米国投資の一部を規制する権限を認めるものである。この大統領令の付属資料で、中国(香港特別行政区とマカオ特別行政区を含む)が「懸念国(country of concern)」として特定されている。また、これにあわせて、米財務省(Department of the Treasury)が、本プログラムの範囲について検討するための定義の提案を行う「提案規則に関する事前通知(Advanced Notice of Proposed Rulemaking: ANPRM)」を発表した。本プログラムは、パブコメ期間を経て実効となる。 White House “President Biden Signs Executive Order on Addressing United States Investments In Certain National Security Technologies And Products In Countries Of Concern” (8/9/23)

NSF、量子科学及び工学活動に3,800万ドルを投入

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、量子情報科学及び工学(quantum information science and engineering: QUISE)への支援を拡大する。NSFは、「量子情報科学及び工学における能力の拡大(Expanding Capacity in Quantum Information Science and Engineering: ExpandQUISE)」プログラムを通じて、持続可能なエネルギーの創出から、サイバーセキュリティの向上に至るまで、様々な手法の進展に取り組む22件の最先端研究プロジェクトに3,800万ドルの投資を行なう。トラック1として、広範なQISEの経験を持つ機関と協力して取り組む個人研究者による17件のプロジェクト(3年間で最高80万ドル)と、トラック2として、QISEの研究経験が豊富な外部の研究協力者とペアを組む最大5名のチームによる5件のプロジェクト(5年間で最大500万ドル)にグラントを提供する。 National Science Foundation “More institutions to participate in quantum science and engineering with $38M from NSF” (8/15/23)

インフレ低減法の結果、ソーラー及び貯留企業が1,000億ドル以上を米経済に追加

ソーラー・エネルギー業界協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)が8月14日に発表した報告書「インフレ低減法の影響(Impact of the Inflation Reduction Act (IRA))」によれば、IRAの施行後、米国のソーラー及び貯留企業は、民間部門へ1,000億ドル以上の投資を発表しており、米経済の強化に貢献している。昨年、51件のソーラー製造施設が発表もしくは拡張されており、ソーラー及び貯留製造は現在米国内で急成長している。これらのソーラー施設の新設及び拡大により、米国のコミュニティに約200億ドルの投資が行われ、IRAの制定以来、ソーラー・サプライチェーン全体で155ギガワット相当の生産能力が発表されている。加えて、14の新規もしくは既存施設の拡張を通じて、65ギガワット時のエネルギー貯留製造能力が発表されている。 Solar Energy Industries Association “Solar and Storage Companies Add Over $100 Billion to U.S. Economy as a Result of the Inflation Reduction Act” (8/14/23)

米国内のほぼ全ての郡でエネルギー雇用が増加

エネルギー省(Department of Energy)は8月16日、米国内の郡レベルにおけるエネルギー雇用に関するデータを発表した。それによれば、2022年にほぼ全ての郡でエネルギー雇用が成長している。エネルギー省が発表したのは、6月に発表された「2023年米国エネルギー及び雇用報告(2023 U.S. Energy and Employment Report: USEER)」に掲載された全国及び州レベルのデータに基づく郡別のデータ。郡レベルのUSEERデータ(発電、移送と流通と貯蔵、燃料、エネルギー効率、自動車及び部品の5つのエネルギー部門が対象)のキー・ファインディングとして、①2021から2022年の間に米国の郡の95%でエネルギー雇用数が増加した、②全てのエネルギー部門で、地理的に最も広範に分散しているのは、エネルギー効率の雇用で、同雇用は今後も成長が予測される、③自動車の雇用も広範に分散されている、などが挙げられている。 Department of Energy “DOE Finds Energy Jobs Have Increased in Nearly Every County in America” (8/16/23)

NATO、技術系スタートアップに投資する11億ドルのファンドを創出

北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization: NATO)に加盟する23カ国が、スタートアップ企業に投資する新たな基金「NATOイノベーション・ファンド(NATO Innovation Fund)」を設立し、10億ユーロ(11億ドル)を拠出することにコミットを表明した。スタートアップ企業に直接投資するだけでなく、「責任があり、安全で自由で人的エンパワーメントという根本的原則によって先導されている」とNATOがみなす技術及び企業を見つけるというより大きなミッションの一部として、スタートアップを支援する他のファンドへの間接的投資も行う。NATOは、このイニシアチブを「世界で初となる、複数の自治国によるベンチャー・キャピタル・ファンド」と位置づけている。NATOイノベーション・ファンドは、米国の諜報コミュニティによるIn-Q-Telに類似する点もある。ただし、米国とカナダは現時点ではこのNATOイノベーション基金への参加を正式に表明していない。このため、基金は、両国に本部を置く企業に投資することはできない。 Defense One “NATO creates $1.1B fund for tech startups” (8/10/23)

NIST、「サイバーセキュリティ枠組み」の主要な更新草案を発表

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、約10年前の2014年に発表したサイバーセキュリティ・ガイダンスを大幅に更新した「サイバーセキュリティ枠組み2.0(Cybersecurity Framework (CSF) 2.0)」を発表し、パブコメの募集を行った。更新の草案は、サイバーセキュリティの概況の変化を反映し、あらゆる組織がCSFを実践することがより容易な形になっている。パブコメの受け付けは11月4日まで行われる。NISTは新たな草案を発表することは計画していないが、今秋にワークショップが計画されている(発表は間もなく)。CSF2.0の最終版は2024年初頭に発表される見通しである。更新草案における大きな変更点として、①枠組みの対象範囲が拡大された、②サイバーセキュリティ・プログラムの総体的な成功の支柱として5つの主要機能(特定、保護、検知、応答、回復)が提示されていたが、今回新たに「統治」が追加された、③CSFの実践に関するガイダンスが改良及び拡張された、などが挙げられる。 National Institute of Standards and Technology “NIST Drafts Major Update to Its Widely Used Cybersecurity Framework” (8/8/23)

商務省、無線イノベーション基金による最初のグラントを発表

商務省(Department of Commerce)の米国電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)は8月8日、「公共無線サプライチェーン・イノベーション基金(Public Wireless Supply Chain Innovation Fund)」による一次グラントとして約550万ドルを発表した。無線イノベーション基金(15億ドル)は、オープンで相互運用が可能な無線ネットワークの開発を支援するもので、バイデン政権の「米国への投資(Investing in America)」議題の一部である。オープンで相互運用が可能な無線機器は、競争を促進し、世界的なサプライチェーンの対応力を強化し、消費者とネットワーク運用者の費用を低減する。ノースイースタン大学(Northeastern University)、ニューヨーク大学(New York University)、ディープSig社(DeepSig Inc.)が一次ラウンドのグラントを受益し、エネルギー効率の評価、相互運用が可能な機器の性能測定、スペクトル共有手法の試験に関連する活動のR&D及び試験に取り組む。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Awards First Grants from Wireless Innovation Fund” (8/8/23)

NIH、労働組合結成努力への反対を撤回

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、キャリア初期の研究者による労働組合結成への取り組みについて、その法的位置づけに疑問を呈していたが、今般、潜在的な組合会員による投票に反対しないことを表明した。これを受けて、労組結成提案者の一人で、国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse: NIDA)に勤務する神経薬理学のポスドク、マージョリー・レビンスタイン氏(Marjorie Levinstein)は、「NIHは正しい選択をした」と述べる。同氏はその他の提案者と共に6月、NIH施設で働く非常勤の研究者4,800名(ポスドクや大学院生、学士号取得後の研究者を含むグループ)の過半数が労組結成を支持するか否かを決める投票選挙を行うよう、連盟労働関係局(Federal Labor Relations Authority)へ申告した。申告後、NIHの高官が、NIHの訓練プログラムの下で任命された研究者は、労組結成権を持つ「職員」ではないと主張した。しかしその後、その反対を撤回したことで、投票選挙への道が開かれた。もし労組結成努力が成功すれば、米国内の連邦機関でキャリア初期の研究者による初の労組が形成される。 Science “NIH withdraws opposition to unionization effort” (8/10/23)

大統領府、省庁のR&D優先事項として新興技術を重視

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は8月17日、「連邦省庁の2025年度予算における研究開発の優先事項(Muti-Agency Research and Development Priorities for the FY 2025 Budget)」を連邦省庁のトップへ通達した。それによれば、バイデン政権の研究優先事項分野として、責任ある人工知能(AI)の進展、新興技術の国家安全保障目的への活用、米経済の脱炭素化の3点が挙げられている。通達は各連邦機関が2025会計年度の予算を策定する際のガイダンスとして、7つのR&D優先分野を提示している。それらは、①信頼できるAI、②国家安全保障技術、③気候危機ソリューション、④ユニバーサル医療のより良いアウトカムを支援するシステム、⑤社会的不平等の改善、⑥イノベーション技術における米国の競争力の広範な支援、⑦米国の比類なき研究能力の強化と進展と活用。 Nextgov “Emerging technologies star in White House R&D priorities” (8/17/23)

エネルギー省、インフレ低減法1周年に報告書を公表

エネルギー省(Department of Energy)の政策局(Office of Policy)は8月16日、「米国エネルギーへの投資:インフレ低減法と超党派インフラ法が米国のエネルギー経済及び排出削減にもたらす大幅な影響(Investing in American Energy: Significant Impacts of the Inflation Reduction Act and Bipartisan Infrastructure Law on the U.S. Energy Economy and Emissions Reductions)」と題する報告書を発表した。2つの歴史的法律がどのようにして、排出を早急に削減し、国家安全保障を強化し、米国の世帯と企業に数十億ドルの電力代の節約をもたらすかを示したもの。それによれば、2030年までに、米国世帯は最大380億ドルの電力代を節約でき、米国の正味原油輸入は最大59%削減されて米国エネルギー安全保障が強化され、温室効果ガスの排出が最大41%削減されて気候目標へ向けた大幅な進展が実現できる可能性がある。 Department of Energy “DOE Releases New Report on Anniversary of Inflation Reduction Act Detailing How POTUS’ Investing in America Agenda will Strengthen U.S. Economy by 2030” (8/16/23)