バイオ製薬ベンチャー、R&D投資において存在感

情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は今般、「米国バイオ製薬のリーダーシップの維持:中小の研究集約型企業が米国のイノベーション・エコシステムで重要な理由(Preserving US Biopharma Leadership: Why Small, research-Intensive Firms Matter in the US Innovation Ecosystem)」と題する報告書を発表した。ITIFが、世界の研究開発(R&D)投入額が大きい世界組織上位2,500件(2021年)を調査したところ、中小企業で利益を上げていない企業はわずか260社であり、さらに、そのうちの193社(85%)は米国のバイオテクノロジー及びバイオ製薬部門のスタートアップ企業であったという。全部門における米国の収益前の中小企業の数は211であることから、その実に91%をバイオ製薬部門が占めることになる。ITIFは、これらのリスクテイカー企業が米国のバイオ製薬部門で担う役割と、イノベーションを追求して行うハイリスクな投資を鑑み、議会が的を絞った税制改革を行ってこれらの企業を対象としたインセンティブを最適化し、米国のバイオ製薬のリーダーシップを維持するよう要請している。 Information Technology & Innovation Foundation “Most Small Firms Ranking Among the World’s Top R&D Investors Are US Biopharma Start-Ups; New Report Urges Targeted Tax Reforms to Sustain US Biopharma Leadership” (8/21/23)

エネルギー省、原子物理学の加速器及び検出器向けの人工知能及び機械学習研究に1,600万ドル

エネルギー省(Department of Energy)は8月17日、原子物理学研究における科学的発見を加速させることを目的として、人工知能(AI)及び機械学習(ML)の手法を実践する15件のプロジェクトに、1,600万ドルを提供すると発表した。これらのプロジェクトは、原子物理学の実験やシミュレーション、理論、加速器運用にAI/MLのツールや手法を使い、科学的研究を拡大、加速することに取り組む。15件のプロジェクトは、科学局(Office of Science)による原子物理学プログラム(Nuclear Physics Program)の下、エネルギー省傘下の8つの国立研究所と22の大学の原子物理学研究者によって実施され、その内容には、ブルックヘイブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)で建設中の「電子‐イオン衝突型加速器(Electron-Ion Collider: EIC)のAI主導型検出器の設計などが含まれる。 Department of Energy “Department of Energy Announces $16 Million for Research on Artificial Intelligence and Machine Learning (AI/ML) for Nuclear Physics Accelerators and Detectors” (8/17/23)

エネルギー省、風力エネルギーに利用されるマテリアルに関するデータベースを発表

バイデン政権のクリーンエネルギー目標を達成するには、風力エネルギーの大幅な拡大が必要であり、風力エネルギー施設の建設や技術には様々なマテリアルが必要とされる。このような中、エネルギー省(Department of Energy)は8月15日、風力タービンやソーラー・パネルの製造に使用される具体的なマテリアル(鉱物やその他の基本的部品)を分類したデータベースを発表した。「再生可能エネルギー・マテリアルの特性データベース(Renewable Energy Materials Properties Database: REMPD)」と題するもので、この種のデータベースとしては初となる。また、これにあわせて、エネルギー省傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)が、開発事業者やユーティリティ機関、その他の関係者が、現行及び将来の風力エネルギー開発がマテリアルの世界的な需給に及ぼす影響について理解する一助となるよう分析した報告書「米国の風力エネルギー技術で使用されるマテリアル:2つの将来シナリオのための数量と有用性(Materials Used in U.S. Wind Energy Technologies: Quantities and Availability for Two Future Scenarios)」を発表した。 Department of Energy “New Database Helps Quantify Materials Needed to Support Growth in Wind Energy” (8/15/23)

CSET、技術及び国家安全保障政策へのシステム重視型手法について報告書を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「政策プレイブック:技術及び国家安全保障政策に関するシステム重視型手法の構築(The Policy Playbook: Building a Systems-Oriented Approach to Technology and National Security Policy)」と題する報告書を発表した。技術及び国家安全保障戦略に関するシステム重視型手法の枠組みを提示するもので、技術及び国家安全保障政策の3つの戦略的ゴール(①技術イノベーションを促進、②敵対者の進展を阻害、③安全で価値重視型の技術開発を推進)の間の関係について議論している。その上で、政策策定者がこれらの目標を追求するために利用できる15の「権力レバー(levers of power)」について説明している。それらは、競争政策、管理、資金調達と投資など9件の直接的権力レバーと、国際協力、情報共有など、直接的権力レバーを補強する6つの実現型権力レバーに分けられる。 Center for Security and Emerging Technology “The Policy Playbook: Building a Systems-Oriented Approach to Technology and National Security Policy” (June 2023)

ホワイトハウス、中国との合同研究に関する協定の延長を要請

バイデン政権は、中国との間で44年間継続されてきた科学協力協定の更新について、自らに6カ月間の猶予を与えた。しかし、両国間の緊張は高まり、議会共和党が「米国は中国との協力を終結すべきである」と主張する中、伝統的に平凡な外交協定であった本協定を巡る動きは、ホワイトハウスにとっては政治的綱渡りとなっている。米政権が、8月27日に失効予定となっていた「科学技術における協力に関する米中間協定(Agreement Between the United States and China on Cooperation in Science and Technology)」を6カ月間延長すると発表したことについて、米国の学術界は歓迎を示した。本協定は、1979年に当時のジミー・カーター大統領(Jimmy Carter)と鄧小平副首相が署名して以来、共和党、民主党の双方の大統領により、5年ごとに更新されてきた。歓迎派は、「乳児死亡の軽減から気候変動対策に至るまでの幅広いトピックについて合同基礎研究を実施することは、中国と同様の恩恵を米国にももたらしている」と主張する。一方、協定の反対派は、そうした見方は中国に対する危険なほどに浅はかな見方であり、米国の経済と安全保障に主要な脅威を呈すると考えている。 Science “’White House requests extension of agreement with China on joint research” (8/24/23)

米国の気候排出の40%は最裕福世帯に起因

PLOSクライメット誌(PLOS Climate)に発表された研究論文によれば、米国の温室効果ガス排出の40%は、米国の上位10%の最裕福層に起因するという。これは、マサチューセッツ大学アマースト校(University of Massachusetts, Amherst)のジャレッド・スター氏(Jared Starr)らが、過去30年間(1990~2019年)の世帯収入データを分析したもの。論文によれば、この期間に、下位90%の世帯における排出の割合は低下し、上位10%の最裕福層の割合は増加した。スター氏らは、30年間の米国世帯の収入データと、その収入を創出する際に発生する排出を結びつけて分析した。それによると、2019年には米国全体の排出の40%が上位10%の最裕福世帯への収入と結びついていることがわかった。また、上位1%の最裕福世帯(排出全体の15~17%を占める)の間では、投資収入が彼らの排出の38~43%を占める。分析結果は、政策策定者が潜在的な炭素税及びその構造について、間違ったアングルで見ていることを示唆する。報告書は、「消費ベースの炭素税は法制化が難航しているが、投資ベースの炭素税は、より公平で政治的に受け入れられ、かつ正当化できるものかもしれない」と述べている。 The Hill “40 percent of US climate emissions attributed to richest households: study” (8/17/23)

エネルギー省、パワーアメリカ研究所を更新

エネルギー省(Department of Energy)の先端マテリアル及び製造技術局(Advanced Materials and Manufacturing Technologies Office: AMMTO)は、「パワーアメリカ研究所(PowerAmerica Institute)への資金提供を更新することを発表した。パワーアメリカは、エネルギー省による最初のクリーンエネルギー製造イノベーション研究所(Clean Energy Manufacturing Innovation Institute)。今回の更新で、まず800万ドルが提供され、今後4年度にわたって追加の資金提供が実施される可能性がある。これを通じてエネルギー省は、ワイドバンドギャップ(wide bandgap: WBG)半導体の次世代技術の進展を継続させる。パワーアメリカは過去5年間で10件以上のWBG技術の商業化に成功しており、現在までに60件のプロジェクトの40%が商業段階に到達、もしくは到達予定となっている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Extends Commitment to Enhanced Semiconductors Through PowerAmerica Institute Renewal” (8/16/23)

DARPA、最適化された月の総合インフラ枠組みに取り組む

今後数十年間に、地球=月間、及び月において、科学研究と商業開発による経済ブームが起きると予想される中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、米国と諸国の平和的利用を目的として最適化された月の総合インフラへ向けたビジョンと経路を設計する革新的かつ革命的な技法を募集する。DARPAの「10カ年の月アーキテクチャ(10-Year Lunar Architecture: LunA-10)」能力調査は、将来の月経済を実現するため、今後10年間におけるリスクや商業的ソリューションを特定することを狙いとしている。調査期間は7カ月間。集合的なインフラ投資を通じて月面及び月周辺の科学的及び商業的活動の新たな機会を定義する分析枠組みを確立すること、関連の技術的課題を特定することを目指す。DARPAは、月インフラに関する最終的な分析枠組みは一般に公開することを計画している。 Defense Advanced Research Project Agency “A Framework for Optimized, Integrated Lunar Infrastructure” (8/15/23)

NIH、母体医療研究のセンター・オブ・エクセレンスを設立

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、「母体医療研究のセンター・オブ・エクセレンス(Maternal Health Research Centers of Excellence)」の設立に関し、初年度に2,400万ドルを提供する。これは、NIHによる「あらゆる人の母体医療と妊娠のアウトカムに関するビジョンの実践(Implementing a Maternal Health and Pregnancy Outcomes Vision for Everyone: IMPROVE)」イニシアチブの一部で、設立されるセンターは、妊娠関連の合併症や死亡を削減し、母体医療の平等を推進する革新的手法の開発と評価に取り組む。米国は、その他の高所得国と比べると母体の死亡率が高く、2021年には1,200名以上が亡くなった。今回設立されるセンター・オブ・エクセレンスには、アヴェラ・マッケンナン病院(Avera McKennan Hospital)やコロンビア大学(Columbia University)など10件の研究センターと、データ・イノベーション及び調整のハブとしてジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)が、実践科学ハブとしてペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)が参加する。 National Institutes of Health “NIH establishes Maternal Health Research Centers of Excellence” (8/17/23)

エネルギー省、米英間に環境に優しい海上輸送コリドーを開発することについて意見募集

米国は、ゼロ(及びほぼゼロ)の排出サイクルの燃料と技術による海上輸送ルートを「環境に優しい海上輸送コリドー」として構想し、コリドーのあらゆる側面で温室効果ガスのゼロ排出を達成するという野心を抱いている。環境に優しい海上輸送コリドーは、これらの燃料及び技術の早期かつ早急な導入を促進する可能性があり、海洋産業を完全な脱炭素化への軌道に乗せることができる。今般、米国と英国は、両国をつなぐ環境に優しい海上輸送コリドーを確立するための土台作りの一助として、同じタイミングながらそれぞれ異なる「情報の要請(Request for Information: RFI)」を発表した。港湾や輸送事業者、貨物所有者、燃料生産者、業界、学術機関、政府機関、その他の海洋関係者から、この米英間の環境に優しい海上輸送コリドーに関する事案について、意見を募集する。 Office of Energy Efficiency and Renewable Energy “DE-FOA-0003156: DEVELOPMENT OF GREEN SHIPPING CORRIDORS BETWEEN THE UNITED STATES AND THE UNITED KINGDOM” (8/7/23)