企業による大学研究への資金拠出の増加率、連邦政府出資金のそれを上回る

米国科学審議会(National Science Board: NSB)が発表した「学術機関の研究開発(Academic Research and Development)」によれば、2012年から2021年の間に、企業が拠出した大学の研究開発(R&D)資金の増加の伸びは、連邦政府によるそれよりも大きかった。ただし、大学のR&Dの資金全体に占める割合は依然として連邦政府資金が最大である。報告書のその他のハイライトとして、①2021年に大学のR&D資金で連邦政府が占める割合は55%で、2012年の61%から低下した、②生物/生物医学/医療科学のR&D支出が、大学によるR&Dの主たる原動力となっている、などが挙げられている。 National Science Foundation “Business funding for university research grew faster than federal funding in 2021” (10/5/23)

INDUS-Xの海洋知能・諜報・認識(ISR)と水中通信のチャレンジがスタート

9月初旬に「インド=米国防衛加速エコシステム(India-U.S. Defense Acceleration Ecosystem: INDUS-X)」諮問グループ会合で初めて発表されたINDUS-Xチャレンジの最初の2件が開始した。1つ目のチャレンジは、「国防エクセレンス・イノベーション:海洋の知能・諜報・認識(Innovations for Defense Excellence (iDEX) Maritime Intelligence, Surveillance, and Recognizance (ISR))チャレンジ」で、石油流出検知と追跡技術を模索する。賞金合計額は15万ドル。2つ目のチャレンジは、「iDEX水中通信チャレンジ(iDEX Underwater Communication Challenge)」で、高帯域の水中通信をサポートできる新たなハードウェア及びソフトウェア技術を模索する。賞金総額は15万ドル。いずれのチャレンジも、今年11月10日まで受け付けており、米国内で所有・運営されている初期-中期段階のスタートアップもしくは非伝統型企業が対象となっている。 Defense Innovation Unit “INDUS-X Maritime ISR and Underwater Communications Challenges Launched” (10/4/23)

DIU、「長期貯留基地」で空軍、海軍、国防長官室と協力

エネルギー対応力を分散させることは、国防総省(Department of Defense)が基地や戦闘時の後方支援活動における広範な事業活動(人道的活動から自然災害対策、脅威への対抗の援助など)を維持する力となる。このため、重要施設には現在、エネルギー集約型事業活動や、対応力のある電力システムのバックアップを目的として、先端のエネルギー貯留システムのプロトタイプが装備されている。これは「長期貯留基地(Extended Duration for Storage Installations: EDSI)」プロジェクトで、電池、基地や戦地のエネルギーなどが常に稼働できるよう、電力の最低閾値と稼働可能時間を強化し、国防総省の基地やエネルギー・プラットフォームで対応力のある電力システムのバックアップを実現する。国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は、空軍(U.S. Air Force)、海軍(U.S. Navy)と協力し、EDSIプロジェクトのプロトタイプ契約を、セルキューブ社(CellCube, Inc.)など3社に発注した。 Defense Innovation Unit “Defense Innovation Unit Partners with Departments of the Air Force, Navy and Office of the Secretary of Defense to Extend Duration Storage for Installations (EDSI)” (10/3/23)

AAAS、議会での政策開発支援として、STPFラピッド・レスポンスAIコホートを開始

米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)は、議会指導者による法案の作成(特にAIに伴う新興の機会と課題に関連する法案)を支援するため、わずか2か月というスピードで、人工知能(AI)に関する新たなフェローシップ・プログラムを考案し、開始した。チャットGPT(ChatGPT)及びその他の生成AIツールが発表されて以来、AIへの議会の関心は急速に高まっている。AAASの科学技術政策フェローシップ(Science & Technology Policy Fellowships: STPF)プログラムの下で実施される「STPFラピッド・レスポンス・AIコホート(STPF Rapid Response Cohot in AI)」は、議会オフィスもしくは委員会で専門スタッフとして活動する6名の科学者で構成され、その多くは一年間に及ぶ任務を今週から開始した。フェローは、AIの倫理や情報の完全性、知的財産、人権、アルゴリズム・リスクといった急務の問題について、議会にガイダンスを提供することになる。STPF担当者は、「AAASは、半世紀にわたりSTPFプログラムを実施しており、このような短期間で支援と人材プールをまとめたのは今回が初めてである」と述べる。AIコホートは、様々なAI技術の開発と導入の複雑さについて専門性と知識を持った者が選出された。 American Association for the Advancement of Science “AAAS Launches STPF Rapid Response Cohort in AI to Support Policy Development in Congress” (10/5/23)

アルゴンヌ国立研究所とパーデュー国立研究所が合同研究職の創設で合意

エネルギー省(Department of Energy)傘下のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)とパーデュー大学(Purdue University)は、特定の研究者が双方の機関に所属することを認める制度で合意した。この合同任命の基本合意の下、任命された研究者はアルゴンヌ国立研究所とパーデュー大学の施設及び専門性へのアクセスを得る。アルゴンヌ国立研究所との合同任命を受けたパーデュー大学の教員は、事前に合意されたアルゴンヌ国立研究所の資源及び施設にアクセスできると共に、同研究所の研究者と共に寄与、協議する機会を得る。パーデュー大学のグアン・リン教授(数学及び機械工学)(Guang Lin)が、このアルゴンヌ=パーデューのパートナーシップで最初の任命を受けており、その他の教員も今後、合同任命を受ける見通しである。 Argonne National Laboratory “Argonne National Laboratory, Purdue University agree to create joint research positions” (10/5/23)

エネルギー省、高性能超伝導体の開発・国内製造プロジェクトに1,000万ドル

エネルギー省(Department of Energy)は10月5日、超電導テープの新たな製造技術の開発に取り組む3つのプロジェクトに1,000万ドルを提供すると発表した。低費用の高温超電導(high-temperature superconducting: HTS)テープは、米国における正味ゼロエネルギーの未来への移行に大きな意味合いを持つ可能性がある。本件はエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)による「予備的トピック:導体のための新規超電導技術(Exploratory Topic: Novel Superconducting Technologies for Conductors)」で、今回受益するのは、ヒューストン大学(University of Houston)、高温超電導社(High Temperature Superconductors, Inc.)、MetOxテクノロジーズ社(MetOx Technologies)の3つ。受益プロジェクトは、グリッドや電気航空、電気ベースのモーターや発電機に応用が可能な超電導ケーブルの開発に取り組む。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces $10 Million for Projects Working to Develop and Domestically Manufacture High Performance Superconductors” (10/5/23)

原子力科学諮問委員会、原子物理学ロードマップを発表

エネルギー省(Department of Energy)及び米国科学財団(National Science Foundation: NSF)に原子物理学について助言する原子力科学諮問委員会(Nuclear Science Advisory Committee: NSAC)は、10月4日、10カ年計画のロードマップである「長期計画(Long Range Plan)」を承認した。同計画には、米国の原子力科学研究プログラムを進展させ、次の世代の科学者のための研究の方向性を設定する4つの主要優先事項が盛り込まれている。その最優先事項は、米国による大幅かつ持続的な投資によって実現できる科学的発見のための素晴らしい機会を最大限にするため、原子物理学の理論的、実験的、そしてコンピュテーショナルな研究の予算を強化することである。この勧告が導入されれば、エネルギー省傘下のオーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)が。米国の原子物理学の主力拠点となり、関連プログラムやサービスを今後10年間に亘って提供することになる。 Oak Ridge National Laboratory “ORNL is poised to have a major role in the future of nuclear physics” (10/6/23)

ブルックヘイブン国立研究所、機密でハイリスクの資産を適切に管理していないとの評価

エネルギー省(Department of Energy)の監査官室(Office of Inspector General)が10月4日に発表した報告は、ブルックヘイブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory)における資産管理プログラムと、国家安全保障や輸出管理の検討対象、及びそれらが公衆の衛生と安全にもたらす影響を考慮して「機密」に分類される品目を管理するための連邦規制を同研究所がどのように順守しているかをまとめたものである。報告書によれば、ブルックヘイブン国立研究所は、在庫の管理もしくは分類を適切にしていない。同研究所の高官は、2011年度の在庫で、連邦規則によって「慎重を要する」とみなされる在庫(輸出管理の対象となる情報技術設備を含む)の65%を適切に分類しておらず、それらは合計7,500万ドルに相当する。また、「輸出管理の対象でハイリスク資産」と分類される在庫(レーザーやオシロスコープ、化学/生物学的機器など)の5%についても分類を怠っており、それらは合計1億8,300万ドルの在庫価値に相当する。こうした問題の原因として、ブルックヘイブン国立研究所で在庫に関する規則が十分に実践されていないこと、同研究所の高官が、「規則は一部の品目には該当しない」と誤った認識をしていたことが挙げられている。 Government Executive “National lab isn’t properly tracking sensitive and high-risk property, OIG says” (10/4/23)

NSFとフランス国立研究機関が覚書に署名し、2件の主導機関機会を発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)とフランス国立研究機関(French National Research Agency: ANR)は9月26日、米国とフランスの研究コミュニティの間の共同作業を奨励する包括的な枠組みを確立し、合同で支援する活動を展開するための原則を設定する覚書(memorandum of understanding: MOU)に署名した。MOUは、米国の研究者がNSFから資金を、フランスの研究者がANRから資金を、それぞれ受益して行われる国際的な共同作業の枠組みを提供する。NSFとANRは、「主導機関機会(lead agency opportunity)」のメカニズムを用いて、双方の国からの申請者が協調的なプロポーザルを提出することを認め、そのプロポーザルは主導機関における単一のレビュー・プロセスを経る。NSFとANRは、今回のMOUの署名にあわせ、2つの新たな主導機関機会を発表した。 National Science Foundation “NSF and the French National Research Agency sign a memorandum of understanding and announce two new lead agency opportunities” (10/5/23)

国務省、長官の科学技術顧問を発表

国務省(Department of State)は、国務長官(Secretary of State)の新たな科学技術顧問(Science and Technology Adviser)に、パトリシア・グルーバー氏(Patricia Gruber)が就任すると発表した。グルーバー氏はこの役割において、科学技術顧問室(Office of the Science and Technology Adviser)を率い、外交政策に影響するであろう科学技術のトレンドを予測し、国務省内のSTEM能力を強化し、国内外の科学技術コミュニティの関係機関と省を結びつける。グローバー氏の就任は、省内の全てのレベルの活動に科学技術の専門性が注入されることを確実にするというアンソニー・ブリンケン長官(Antony Blinken)のコミットメントを示すものである。 Department of State “Announcing New Science and Technology Adviser to the Secretary of State” (9/25/23)