米国のエネルギー貯留設置、2023年第3四半期に過去最高を更新へ

米国クリーン電力協会(American Clean Power Association: ACP)とウッド・マッキンジー社(Wood Mackenzie)が発表した最新の「米国エネルギー貯留モニター(U.S. Energy Storage Monitor)」によれば、米国のエネルギー貯留市場は2023年第3四半期に全部門で合計7,322メガワット時(MWh)を導入し、過去最高を記録した。モニター報告によれば、米国のグリッド規模部門における四半期の導入は前期比27%増の6,848MWhで、メガワット及びメガワット時の双方で過去最高を更新した。ACPの最高政策担当者(Chief Policy Officer)は、「エネルギー貯留の導入は劇的に増加しており、将来のエネルギー混合にとり重要であることを証明している。再び過去最高の四半期記録となったことで、エネルギー貯留が米国のエネルギー安全保障及び信頼性の強化にとって先導的技術の選択肢となりつつあることは明白である」と述べる。今年第1~第3四半期に導入されたエネルギー貯留は1万3,518MWhに達し、既に2022年通年の1万1,976MWhを上回っている。 American Clean Power ” US Energy Storage Installations Set New Record in Q3 2023″ (12/1323)

NEVIの資金を受けた初のEV充電スタンドが開設(オハイオ州とニューヨーク州)

バイデン政権は、「全国電気自動車インフラ(National Electric Vehicle Infrastructure : NEVI)公式プログラム(NEVI Formula Program)」を通じて資金提供を受け、オハイオ州とニューヨーク州で最初の電気自動車(EV)急速充電スタンドが開設されたことを発表した。超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)は、高速道路で少なくとも50マイルごとに設置される信頼性の高いEV充電インフラの構築に良好賃金の米国雇用を創出するため、今後5年間に50億ドルを投資する。バイデン大統領就任以来、EVの売上は3倍増となり、民間投資は爆発的に増加、公共利用できる充電器は70%増加した。新たな充電スタンドは、充電における溝を是正し、充電能力を追加し、急速充電ネットワークの信頼性を強化する。これらの取り組みはまた、運輸省(Department of Transportation)による「充電及び補充インフラ任意グラント・プログラム(Charging and Fueling Infrastructure Discretionary Grant Program)」によって補完される。新たな充電スタンドは今後も開設され、メイン州、ペンシルバニア州、バーモント州では既にスタンドの建設が進んでいる。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Celebrates Opening of Nation’s First NEVI-Funded EV Charging Stations in Ohio and New York” (12/15/23)

データセンター新設や業界の進展を受け、米国の電力需要は急増

グリッド・ストラテジーズ社(Grid Strategies)が12月12日に発表した報告書「電力需要の横ばいの時代は終わった(The Era of Flat Power Demand is Over)」によれば、米国の電力負荷は、グリッドの計画者が従来予測していたよりも早い勢いで大幅に増加している。その要因として、新たな製造事業や業界、データセンターの成長などが挙げられており、電気化や水素生産、異常気象なども寄与している。報告書の分析は、主として連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission)に提出されたデータを基にしたもので、それによれば、グリッドの計画者は、全国的な電力需要は今後5年間に4.7%増加すると考えていることを示している。2022年の予測では、わずか2.6%の増加であった。報告書は、「電力グリッドは大幅な負荷増加への準備が整っていない。地域間の移送能力が低い点は、一部の地域においては負荷の増加が新規の導入を上回った場合、信頼性に重要なリスクを呈する」と結んでいる。 Utility Dive “US electricity load growth forecast jumps 81% led by data centers, industry: Grid Strategies” (12/13/23)

シアトル市、大型建造物に2050年までに温室効果ガスの排出ゼロを義務付け

シアトル市議会は12月12日、既存の大型建造物を対象に、今後温室効果ガスの排出を削減し、2050年までに排出ゼロを達成するよう義務付ける建造物性能基準を全会一致で可決した。市議会の報道発表によれば、この画期的基準により、同市の中核的排出は10%削減される見通しで、シアトル市史上最も野心的な建造物の排出削減計画となった。建造物の性能基準は、全国の都市や州で排出削減戦略として注目を集めつつある。シアトル市は比較的その先駆けであり、ボストンやニューヨーク市、ワシントンDCなど、こうした政策を正式に可決した数少ない都市の仲間入りをする。シアトル市の新たな性能基準は、性能ベースで、所有者はその達成方法を選択することができる。初期の基準と報告の要件は2027年から開始する。ただしシアトル市は所有者を罰則することは回避したいと考えており、特に資源が少ない所有者には配慮する。市当局は2022年からアクセラレータ・プログラムを開始し、非営利や資源不足の建造物の所有者に無料の技術支援や訓練を提供し、建造物性能基準の順守を援助している。 Utility Dive “Seattle requires large buildings to zero out greenhouse gas emissions by 2050” (12/13/23)

米国における風力発電の導入、2023年第3四半期にここ数年で最低水準に急落

S&Pグローバル市場インテリジェンス(S&P Global Market Intelligence)のデータによれば、再生可能発電の開発事業者が今年第3四半期に設置した風力発電能力は前年同期の半分であった。これは、少なくともここ5年間で最も鈍化した四半期記録で、米国の電力グリッドに接続された新規の風力発電能力はわずか288メガワット(MW)であった。この数値は、第3四半期に急増したソーラー発電の設置と対照的であり、今年最初の2四半期(合計で2,871MWの新規風力発電能力が稼働)からも大きな逸脱となる。2023年第3四半期現在、新規に設置された風力発電能力は3,159MWで、前年の第1~3四半期の合計(5,361MW)を下回る。それでもインフレ低減法(Inflation Reduction Act)による新たな連邦インセンティブもあり、2024年の見通しは明るく、1万7,040MWが2024年に稼働する予定である(そのうち2,736MWは現在建設中)。 S&P Global Market Intelligence “US wind installations crater in Q3 2023 to lowest level in years” (12/6/23)

ブルー水素、副産物の売上と低費用の燃料なしにエネルギー省の費用目標を達成できないとの予測

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory)が発表した報告書「水素ショット技術評価:熱転換手法(Hydrogen Shot Technology Assessment: Thermal Conversion Approaches)」によれば、技術の進展により、ブルー水素(天然ガスから抽出し、排出を最小限にするために炭素捕獲技術などと組み合わせて生産する水素)の生産費用は、2030年初めまでに1キログラム当たり1.33~1.40ドルまで引き下げることは可能であるという。しかし、予期せぬ進展が起きない限り、ブルー水素の費用は、エネルギー省が2021年に設定した「1キログラム当たり1ドル」という目標に到達することは難しいと予測されている。ただし、副産物の売上により、プルー水素生産費用がエネルギー省の価格設定を下回る可能性はある。エネルギー省の報告は、エンベラス・インテリジェンス・リサーチ社(Enverus Intelligence Research)による独立した分析の結果(1キログラム当たり1ドルを達成するには、天然ガスの低価格と政府助成が重要であると指摘)と極めて類似したものとなった。 Utility Dive “Blue hydrogen won’t hit DOE price target without byproduct sales and low fuel costs: report” (12/8/23)

フォード社とレジディオ社、「EV-住宅電力パートナーシップ」を開始

フォード社(Ford)とレジディオ・テクノロジーズ社(Resideo Technologies, Inc)は12月7日、「自動車から住宅(vehicle-to-home: V2H)」によるエネルギー管理の恩恵について模索する合同シミュレーション・プロジェクト「EV-住宅電力パートナーシップ(EV-Home Power Partnership)」を発表した。電気自動車(EV)の電池で最適な住宅エネルギー管理を支える可能性を探ることが狙いである。フォード社の双方向性EV「F-150ライトニング(F-150 Lightning)」の所有者を対象に、同車による充電機能と、レジディオ社のスマート・サーモスタット(温度自動調節器)を組み合わせ、消費者が支払う月間電力代を節約し、電力グリッドの負担を軽減し、クリーン・エネルギーの利用を可能にしつつ、住宅所有者の快適さを支援するという可能性について、研究、試験、定量化する。本プロジェクトは、フォード社による知的バックアップ電力(Intelligent Backup Power)技術(停電時に住宅へ電力を供給する技術)を基盤にしており、F-150ライトニングにはその機能がある。プロジェクトは2024年上半期に完了する見込みである。 Ford “FORD AND RESIDEO LAUNCH ‘EV-HOME POWER PARTNERSHIP’ PROJECT DRIVING VEHICLE-TO-HOME ENERGY MANAGEMENT BENEFITS FOR CUSTOMERS” (12/7/23)

エネルギー省、建造物エネルギー効率及び対応力強化に5億3,000万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は12月18日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、最新版のエネルギー規則や、ゼロ・エネルギー規則、建造物性能標準、及びこれらの規則と同等の省エネを達成する革新的な規則の導入に、最高5億3,000万ドルの技術援助グラントが有用であると発表した。これは、エネルギー省による「建造物の最新かつゼロ・エネルギー規則(Latest and Zero Building Energy Codes)」プログラムで、州及びコミュニティ・エネルギー・プログラム局(Office of State and Community Energy Programs: SCEP)が管理運営し、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)から拠出を受ける。プログラムは、州政府、準州政府、地方自治体で一定の条件を満たす部門が対象である。受益する州やその他の地方自治体部門は、これらの資金を使って、最新の建築技術のスキルを有する労働力開発の取り組みを調整することができる。こうしたスキルには、手頃な費用で健全な建造物を適切に導入、運用、実現する方法も含まれる。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $530 Million for Building Energy Efficiency and Resilience to Cut Consumer Costs” (12/18/23)

グーグルやAES社などが24時間365日体制の再生可能エネルギー証明市場を創設へ

AES、コンステレーション(Constellation)、グーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)などの各社は、エネルギー市場の運営事業者であるレベルテン・エネルギー社(LevelTen Energy)と協力し、「グラニュラー証明取引同盟(Granular Certificate Trading Alliance)」(granularは「粒度」の意で1時間未満の単位)を創設する。時間と場所を明確にした再生可能エネルギー証明を取引する新たな市場を設計するという。レベルテン・エネルギー社が12月14日に発表した。新たな取引プラットフォームは2024年始動の予定。グラニュラー証明は、従来の「再生可能エネルギー証明(renewable energy certificates: RECs)」と同様に、再生可能エネルギー生産者が、自社の事業に電力を提供しているクリーンエネルギーについて検証可能な主張をできることを望む企業やユーティリティ機関へ販売できる他、ほとんどのRECとは異なり、グラニュラー証明には、電力が生産された時間や場所に関する情報が含まれる。この背景には、自社が24時間365日体制でクリーンエネルギーを調達していることを証明したいと望む組織の関心がある。 Utility Dive “Google, AES, others to create marketplace for 24/7 hourly renewable energy certificates” (12/14/23)

財務省、インフレ低減法に基づくクリーン・エネルギー税クレジットのガイダンスを発表

財務省(Department of Treasury)は12月14日、製造事業者がインフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)による先端製造生産クレジットの適用を受けるためのガイダンス(草案)を発表した。IRAセクション45Xに基づく税クレジットの目標は、国内のクリーン・エネルギー生産にインセンティブを提供することで、その対象には、風力タービン用ブレード、ソーラー・パネル用ウェハー、電気インバーター、電池、重要鉱物が含まれる。企業は税クレジットを2030年まで受けることができ、その後は段階的に削減されて2032年で終了する。この規則は重要鉱物の税クレジットには適用されない。財務省は、ガイダンス(草案)へのパブコメを60日間受け付ける。 Utility Dive “Treasury releases guidance on IRA clean energy tax credits” (12/15/23)