ファースト・ソーラー社、インフレ低減法による税クレジットを最大7億ドルで販売

財務省(Department of Treasury)及び内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)が、インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)で規定された国内再生可能エネルギー機器製造事業者向けの税インセンティブの範囲について、その定義を正式発表してからわずか1週間後、米ソーラー・パネル製造企業大手のファースト・ソーラー社(First Solar)が、この税インセンティブを最大限に利用し、現金収入を得た。同社は、最大で7億ドル相当の税クレジットを販売する2件の取引を成立させた。同社のような国内の総合ソーラー製造事業者は、国内生産したソーラー・モジュールを対象に1ワットにつき最大約16セントの税クレジットを得ることができる。しかしこうしたインセンティブは、実質的には企業の連邦税を割引するもので、その企業に課せられた税額によって限界がある。IRAでは、こうした限界を回避できるよう、IRAの下で得た税クレジットをオープン市場でいかなる企業にも販売できるようにした。ファースト・ソーラー社は、意欲的な購入者として国際的なフィンテック及び支払企業のファイサーブ社(Fiserv)を見つけ、税クレジットを1ドルにつき0.96ドルで販売する。「IRAの意図するところは、国内の製造事業者が成長及びイノベーションへの再投資に必要な流動性を提供することで国内の高価値製造を意欲付けることである」と、ファースト・ソーラー社の最高経営責任者(CEO)は述べる。        Canary Media “First Solar cashes in with sale of IRA tax credits worth up to $700M” (1/3/24)

エネルギー省、鉱化及び電気化学研究を通じて炭素転換技術への投資を計画

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は12月21日、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)からの資金を、炭素排出物を、環境的責任と経済的価値を伴う製品へ大規模に転換する取り組みへ資金を提供する意向を表明した。この資金提供公募(FOA)が実現すれば、これらの資金は、①炭素排出物を、工学ポリマー/樹脂前駆体、特製化学品、汎用化学品などの価値ある製品へ転換する電気化学転換プロセスの研究開発、②製油所を炭素活用及び付加価値製品の生産へと改良する可能性を調べるフィージビリティ調査、の2つの焦点分野を支援する。このFOAは2024年第1四半期に発表される見通しである。 National Energy Technology Laboratory “DOE Plans To Invest in Carbon Conversion Technology Through Mineralization and Electrochemical Research” (12/21/23)

エネルギー省、水素製品のための効率的なガス化に関する情報を模索

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は、低費用のクリーン水素製品を実現するため、バイオマス及び混合廃棄原料を合成ガスに転換する革新的なガス化設計の戦略及び技術について情報を模索する「情報の要請(Request for Information: RFI)」を発表した。このRFIは、FECMによる「水素と炭素管理プログラム(Hydrogen with Carbon Management Program)」と、エネルギー省の「水素ショット・プログラム(Hydrogen Shot Program)」の取り組みを支援する。今回のRFIは、固形の混合バイオマス及び廃棄原料をクリーン水素に転換する上で、炭素捕獲に効果的なガス化プロセスのユニークな可能性に基づく。クリーン水素は、脱炭素化されたエネルギー担体や脱炭素化された輸送燃料などの合成に有益である。 National Energy Technology Laboratory “DOE Seeks Information on High-Efficiency Gasification for Hydrogen Production” (12/21/23)

SLACと日立アメリカ、電力グリッドの理解と管理を容易にできるプラットフォームを発表

エネルギー省(Department of Energy)傘下のSLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)とそのパートナーである日立アメリカ・エネルギー・ソリューション研究所(Hitachi America Energy Solutions Laboratory)は、電力グリッドのネットワークがどのように作動するのかシミュレーションする新たなオープンソースのソフトウェア・プラットフォームと、利用者が極めて簡単にその結果を理解、応用できるグラフィックインターフェースを発表した。これらの2つのツールにより、ユーティリティ機関が異常気象や山火事に対する分散システムを強化し、風力やソーラーなどの再生可能エネルギー資源を電力グリッドに統合し、顧客への料金率を設定することなどを支援できる。グリッド・シミュレーションのプラットフォームは、「アラス・エネルギー(Arras Energy)」と呼称され、エネルギー省がカリフォルニア州エネルギー委員会(California Energy Commission: CEC)の支援を受けて開発した。ウェブ・インターフェースは、「グロウ(GLOW)」と呼称され、日立がCECから資金を得て開発した。 SLAC “SLAC and its partners release a free, easy-to-use platform for understanding and managing electric grids” (12/18/23)

2016年以来初となる原子炉の商業運転開始

ジョージア州にあるボーグル原子力発電所(Vogtle nuclear power plant)で新たな原子炉が商業運転を開始した。同発電所を所有する企業の一つ、ジョージア・パワー社(Georgia Power)が発表した。米国内における原子炉の運転開始は、テネシー・バレー・オーソリティ(Tennessee Valley Authority)のワッツ・バー(Watts Bar)2号機が2016年に運転開始して以来、初めてとなる。新たに稼働するのはボーグル3号機(1,114メガワット)。ボーグル原発はジョージア・パワー社がその他の3つの電力企業と共同所有している。ボーグル3及び4号機は、原子炉の新設計となる「ウェスティングハウスAP100(Westinghouse AP1000)」を用いて建設された次世代先端原子炉。2009年に建設が開始され、当初は費用140億ドル、2016年(ボーグル3号機)及び2017年(同4号機)に商業運転開始の予定であったが、費用及びスケジュールともに大幅な変更となった。現在、総費用は300億ドル以上と試算されている。 Energy Information Administration “First new U.S. nuclear reactor since 2016 is now in operation” (12/26/23)

2022年に再生可能資源による発電が石炭発電及び原子力発電を上回る

米国の電力部門は2022年に、40億9,000万メガワット時(MWh)の電力を生産した。このうち、再生可能資源(風力、ソーラー、水力、バイオマス、地熱)による発電量は、石炭火力による発電量を初めて上回った。また、再生可能資源による発電は2021年に初めて原子力発電を上回り、2022年もその傾向は続いた。米国の電力生産で最大を占めるのは引き続き天然ガスによる発電で、米国における電力生産に天然ガスが占める割合は、2021年の37%から2022年は39%に拡大した。風力発電とソーラー発電の設備増加が、風力とソーラーの発電増加につながった。ユーティリティ規模のソーラー発電能力は2021年の61ギガワット(GW)から2022年の71GWに増加した。風力の発電能力は2021年の133GWから2022年は141GWに増加した。 Energy Information Administration “Renewable generation surpassed coal and nuclear in the U.S. electric power sector in 2022” (12/27/23)

NIST、ポスト量子の移行への準備について2つのガイド文書草案を発表

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、事業体が、暗号化のスキームを、潜在的な量子コンピュータからの攻撃を阻止することを意図した形へとシフトさせるようガイドとなることを目的として、2つの草案文書を発表した。2つの文書は、「量子の準備:暗号の発見(Quantum Readiness: Cryptographic Discovery)」と、「量子の準備:相互運用性と性能のための標準草案の試験(Quantum Readiness: Testing Draft Standards for Interoperability and Performance)」。前者は、暗号化ツールに、デジタル・ネットワーク上の欠陥的なセキュリティ設定を見つけるタスクをさせる機能試験計画について概説している。後者は、量子耐性のあるアルゴリズムを既存のネットワーク・インフラと調和させる方法を強調し、制御された非運用環境における互換性の問題への解決策も提示している。NISTは、ポスト量子の暗号化の移行で最初のステップを標準化する最前線にある。 Nextgov “NIST releases 2 draft guides to prepare for post-quantum migration” (12/20/23)

NSF、AI担当部長の特別アシスタントを任命

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は12月20日、人工知能担当部長の特別アシスタント(special assistant to director for artificial intelligence)に、テス・デブランク=ノウルズ氏(Tess deBlanc-Knowles)を任命したと発表した。デブランク=ノウルズ氏はこの新たな役割において、人工知能(AI)関連問題及びAIについて最近発表された大統領令の中のNSFによる実践部分について、部長室(Office of the Director)内の先導役となり、NSFリーダーシップ・チームのメンバーとして機能する。また、NSF内でAIイニシアチブに関する共同作業を促進し、AIに関して現在進行中の国家プロセスへの生産的関与に取り組む。デブランク=ノウルズ氏は、技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: TIP)における「技術政策及び戦略の戦略的顧問(Strategic Advisor for Technology Policy and Strategy)」の役割も継続する。同氏は最近、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)における2年以上の任務を完了したところで、OSTPでは、国家AIイニシアチブ局(National AI Initiative Office)で上級政策顧問を務めていた。 National Science Foundation “NSF appoints new special assistant to the director for artificial intelligence” (12/20/23)

エネルギー省、クリーンエネルギー労働力の訓練に4,000万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は現在、エネルギー効率の認定を通じて労働力のアップスキルを図ることを目的として、競争的な資金提供への応募を受け付けている。超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)からの資金拠出を受けて実施される「エネルギー監査員訓練(Energy Auditor Training: EAT)」プログラムは、エネルギー監査や商業及び住宅建造物の調査を実施する個人に訓練を提供する州政府へ、最高4,000万ドルを提供する。米国内に適格の建造物労働力を増大させるため、そして全国的なエネルギー効率改善措置の実践を支援するため、EATプログラムは建造物性能の専門家やエネルギー監査員、その他のエネルギー効率の労働者が、米国のより持続可能な未来へ向けた改良に備えができていることを確実にする。エネルギー省の州・コミュニティエネルギープログラム局(Office of State and Community Energy Programs)がEATプログラムを監督する。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $40 Million to Train the Clean Energy Workforce” (12/20/23)

CSET、報告書「AIの拡張:AIの先端における費用とパフォーマンス」を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「AIの拡張:AIの先端における費用とパフォーマンス(Scaling AI: Cost and Performance of AI at the Leading Edge)」と題する報告書を発表した。人工知能(AI)における最近の進展は、主にAIモデルのサイズと規模、訓練のためのコンピューティング予算次第となっている中、CSETは、こうした傾向が今後も継続するか否かについて調査を行った。その結果、経済的なインセンティブは規模の拡大に比例しておらず、更なる投資に対するリターンは低減する可能性がある。こうした効果により、超大規模なAIモデルの成長は既に鈍化している可能性がある。AIにおける今後の進展は、単にコンピュータ資源へ予算を増大させるよりも、モデルの縮小ならびに既存モデルの独創的な使用に多くを依存するようになるかもしれないと、報告書では結論づけている。 Center for Security and Emerging Technology “Scaling AI: Cost and Performance of AI at the Leading Edge” (December 2023)