LLNL、カリフォルニア大と戦略的提携 先端科学や核融合で共同研究

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は6月16日、カリフォルニア大学マーセド校(University of California Merced)と最先端科学技術のさらなる進展に向けた戦略的提携協定を締結したと発表した。教員の参画機会拡大や、学生向けインターンシップの拡充を通じ、次世代の科学者やエンジニア育成を目的としており、両機関はこれまでも夏季データサイエンス・プログラム開催や、全米各地の国立研究所の研究者との交流機会を設けるなどして連携してきた。また、米国の安全保障やカリフォルニア州のイノベーション強化に向け、今回の協定により、さらに相互有益性をもたらす永続的な関係へと発展させていくという。主に、先進材料・製造、核融合科学、スマート農業・環境バイオサイエンス、バイオディフェンス・人類の健康の4分野での共同研究を実施するとし、同大学内に共同施設や研究スペースを整備する計画を進めるほか、研究所職員のための学内ワークスペースも設置する予定である。 LLNL “Agreement opens new opportunities for LLNL, UC Merced” (06/16/26) https://www.llnl.gov/article/54551/agreement-opens-new-opportunities-llnl-uc-merced

エネルギー省、配電用変圧器の省エネ基準導入で情報提供要請 供給網への影響調査へ

エネルギー省(Department of Energy)は6月15日、配電用変圧器の省エネ基準が、国家安全保障や国内の製造能力、供給網(サプライチェーン)の強靭性、主要材料の価格などに与える影響に関する情報提供要請(Request for Information: RFI)を発行したと発表した。配電用変圧器や電気鋼板などの送電網インフラの供給網が国防に不可欠である一方、国内の生産能力不足や調達期間の長期化などによる海外依存が深刻な課題であるとする、4月20日に発令された大統領決定を受けたものである。現行の省エネ基準は2024年4月に策定され、2029年に施行される予定となっているが、同省は、施行開始に向け、最終決定された基準に合わせた設備の再設計に伴う投資や市場環境など、企業への不当な負担や不利益をもたらしていないかなどの見解も求めている。意見や情報の受け付け締め切りは、7月15日までとなっている。 Department of Energy “DOE Issues Request for Information (RFI) on Energy Conservation Standards for Distribution Transformers” (06/15/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/doe-issues-request-information-rfi-energy-conservation-standards-distribution

エネルギー省、水力発電開発支援プログラム公募 第2弾は技術検証を加速

エネルギー省(Department of Energy)傘下の水力発電・水力運動エネルギー局(Hydropower and Hydrokinetic Office: H2O)は6月16日、水力発電技術試験向けバウチャープログラム「水力発電試験ネットワーク(Hydropower Testing Network: HyTN)」の第2段階募集を開始したと発表した。水力発電技術開発者と全米21の試験提供機関を仲介するもので、今回新たに技術経済性分析や数値モデリング・シミュレーションなどの機能が追加され、利用可能な試験機能は65以上に拡充された。水力発電は米国の事業規模再生可能エネルギー発電の27%を占めるが、増加する電力需要に対応するためには、技術革新や施設の整備が不可欠となっている。同省はこうした開発企業が抱える試験施設へのアクセスに対応することで、新技術の実用化を加速させたい考えである。応募対象は既存の部品やコンピューターモデルを持つ国内企業や学術機関で、採択企業には希望施設での試験を行うためのバウチャーが支給される。なお、締め切りは7月23日と指定された。 Department of Energy “H2O Announces New Round of Voucher Program for Hydropower Testing” (06/16/26) https://www.energy.gov/cmei/water/articles/h2o-announces-new-round-voucher-program-hydropower-testing

エネルギー省、タイへ原子力技術輸出

エネルギー省(Department of Energy)は6月16日、原子力技術やその関連支援のタイへの輸出を認可すると発表した。企業の義務は報告のみで、米国企業は同省の事前承認を得ることなく、特定の原子力技術などをタイへ輸出できるようになる。安全保障を目的とした次世代原子炉技術の展開や原子力輸出の促進を掲げる大統領令に基づくもので、米国のエネルギー分野における優位性加速や新たな市場開拓を目的としており、今回の追加で、一般認可の対象国・地域は計51となった。同省傘下の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)が管轄する外国原子力活動支援に関する規則(Part 810)では、米国に敵対的でない特定の活動を承認しており、同省は、他国との原子力協力協定の交渉支援や、オンライン認可システム「e810」の自動化促進などを通じて、輸出承認プロセスの合理化を継続的に進めている。 Department of Energy “Solar generation in CAISO surpassed natural gas in the first five months of 2026” (06/16/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/us-department-energy-streamlines-american-civil-nuclear-exports-thailand

中国の先端AI、米国安全保障の脅威に CNAS報告

新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は6月21日、中国の先端人工知能(AI)システムが国家安全保障に深刻な脅威をもたらすとの報告書を発表した。アリババ社(Alibaba)や百度(バイドゥ)社(Baidu)、ディープシーク社(DeepSeek)など7企業がコーディングや推論、エージェントタスクなど多岐能力を備えたAIを開発し、これらの「オープンウェイト」での公開や、米国競合を下回る破格のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)価格で世界中に拡散しているという。中国製AIによる脅威は、軍事能力やサイバー攻撃強化、検閲や世論誘導、産業支配の領域にまで及んでおり、特にDeepSeek製は米国製モデルに比べて悪意ある指示に従う確率が12倍高いなどの具体的な脅威も確認された。報告書は中国製モデルの能力に焦点を当てたリスク評価への注力を促しており、リリース後72時間以内のリスク評価公開や、脅威アラートの発出、同盟国との情報共有など6政策を提言している。 CNAS “Red Lines Understanding the National Security Risks of China’s Advanced AI” (06/12/26) https://www.cnas.org/publications/reports/red-lines

フィッチ、北米公益事業・電力部門の見通しを下方修正 中立から悪化へ

格付け大手フィッチ・レーティングス社(Fitch Ratings)は6月12日、北米の公益・電力セクターの2026年中期見通しを、これまでの「中立」から「悪化」へと引き下げたと報じた。データセンター急増や電化、製造業の国内回帰に伴い、電力需要自体は2030年まで年2.0~2.5%のペースで成長する見込みであるが、設備投資の増大に伴う電気料金の上昇が懸念されている。36州で予定されている11月知事選を控え、電気料金が選挙戦の主要争点として浮上しており、政治や規制当局による料金値上げへの反発という構造が顕在化しつつある。実際にインディアナ州やメリーランド州などで電気料金抑制のための法案が可決されたほか、ペンシルベニア州のエクセロン社(Exelon) 子会社のPECOエナジー社(PECO Energy)が料金値上げ申請を取り下げるなど、既にコスト回収の遅れや難航が表面化し始めた。電力各社は一般消費者への負担転嫁を防ぐためデータセンター向けの専用料金設定などを模索しているが、足元の巨額投資負担の相殺には至らないとみられている。 Fitch Ratings “Fitch Ratings Revises North American Utilities & Power Outlook to Deteriorating” (06/08/26) https://www.fitchratings.com/research/us-public-finance/fitch-ratings-revises-north-american-utilities-power-outlook-to-deteriorating-12-06-2026 参照記事: Utility Dive “Utility sector outlook deteriorates on affordability concerns: Fitch” (06/15/26) https://www.utilitydive.com/news/utility-sector-outlook-deteriorates-affordability-rates-fitch/822888/

中国の宇宙産業、急速な垂直統合で米国とのイノベーション格差を縮小

情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は6月8日、中国宇宙産業が中国共産党の支援を受けて強力な商業セクターへと発展し、米国とのイノベーション格差を縮小しているとの報告書を発表した。中国は宇宙機やロケットの膨大な垂直統合型製造拠点を構築しており、測位・航法・時刻同期(Position, Navigation, and Timing: PNT)や地球観測衛星の分野で世界をリードしている。また、独自の宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」の運用を2022年に開始したほか、対衛星兵器(Anti-satellite weapons: ASAT)などの軍事宇宙能力も高めているという。その一方で、実用的な再利用型ロケットや大規模な衛星インターネット・コンステレーションといった主要技術がいまだ不足しており、低軌道ブロードバンド分野では米国に後れを取っているという。報告書は特許や論文数での中国の台頭を指摘し、米国の宇宙領域における優位性維持には、国内での打ち上げ能力強化や国際パートナーとの緊密な連携が必要不可欠であると提言した。 ITIF “How Innovative Is China’s Space Industry?” (06/08/26) https://itif.org/publications/2026/06/08/how-innovative-is-chinas-space-industry/

データセンターの全国基準は見送り EPA、各州に判断促す

ポリティコ誌(Politico)は6月10日、急成長を続けるデータセンター業界に対し、トランプ政権が全国一律の環境要件や推奨基準を設定する方針はないと報じた。環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)がワシントンで開催されたエネルギー・サミットで明らかにしたもので、大気汚染や水消費を抑える技術は存在するものの、各地域の状況に合わせた最適な対応は州や地方自治体が最も熟知しているとし、データセンターは冷却方式や電力需要、地域環境がそれぞれ異なるため一概に同一視できないとの見解を示した。その上で、許認可手続きを除けば、EPAの役割は原則として助言にとどまるとの姿勢を明確にし、水利用を抑える密閉型の設計やハイテク企業による電力網増強費用負担などのベストプラクティスを共有しつつ、技術的専門知識の提供で地域を支援していく意向を示した。一方でEPAは、電力需要急増に対応するため、石炭火力汚染規則の撤回や、非常用ディーゼル発電機の運用規制緩和を進めている。 Politico “EPA won’t set nationwide standards for data centers” (06/10/26) https://www.politico.com/news/2026/06/10/zeldin-data-centers-states-00956574

ジェファーソン研究所、データセンター起工 AI活用の次世代研究を推進

エネルギー省(Department of Energy)傘下のトーマス・ジェファーソン国立加速器機関(Thomas Jefferson National Accelerator Facility: JLab)は6月12日、バージニア州ニューポート・ニューズの敷地内に新設する「ジェファーソン・ラボ・データセンター(Jefferson Lab Data Center: JLDC)」の起工式を開催した。政府が推進するAI科学構想「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」の基盤インフラとなる約3万平方フィート規模の高性能データ施設(High Performance Data Facility: HPDF)拠点となる予定で、同省傘下の全科学プログラムにおける科学データのアクセス・分析・共有方法を変革する。商業用とは異なり、科学研究データの一元管理や高度分析、リアルタイムのストリーミングに加え、AI応用へと特化した設計で、同省はデータや先端計算、実験機器を融合した同施設設立により全米の研究者への研究応用につなげると説明した。州政府が計4,930万ドルを拠出するなど、連邦・州・自治体、地域大学連合が連携するモデルケースとしても注目されている。 JLab “Jefferson Lab Breaks Ground on New Building to Power Next Generation of Scientific Discovery” (06/12/26) https://www.jlab.org/news/releases/jefferson-lab-breaks-ground-new-building-power-next-generation-scientific-discovery

国防総省「戦争省」への名称変更 上院軍事委員会が承認

ポリティコ誌(Politico)は6月11日、上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)が国防総省(Department of Defense)の正式名称を「戦争省(Department of War)」に変更することを承認したと報じた。トランプ政権による軍のイメージ強化に関する取り組みで、先週、下院軍事委員会を通過した。敵対勢力への強いメッセージ性を込めた改称により、国の確固たる姿勢を世界に示す狙いがあり、現在、本会議承認に向けた取り組みが進んでいる。一方で、民主党議員からは、外交を放棄して不確実な戦争に突入する現実を反映した「幼稚な動き」であるとの批判が上がっている。連邦議会予算局(Congressional Budget Office: CBO)は、完全な改称には最大1億2,500万ドルの費用がかかると試算しているものの、記事は、毎年議会を通過する国防権限法案(Defense Policy Bill)の草案に上下両院の委員会がこの改称案を盛り込んだことで、年内に法制化される可能性が一段と高まったと伝えている。 Politico “Senate panel approves Department of War name change” (06/11/26) https://www.politico.com/live-updates/2026/06/11/congress/senate-panel-approves-department-of-war-name-change-00958970