テネシー州で核融合の規制枠組みが発効、商業化へ前進

ニュークリアニュースワイヤー(NuclearNewwire)は6月12日、テネシー州による米国初の核融合装置に関する独自規制枠組み導入について報じた。必要な人員の確保や年1回以上の再訓練・試験、放射線安全責任者の任命、公衆安全・健康や財産を保護する設備施設と手順の確立などを義務付ける内容で、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)が核融合装置を商業用核分裂炉とは異なる枠組みで規制すると決めた2023年方針を受け、同州は今年3月に登録やライセンス供与の手順を定めた改正規則を提出していた。この動きは、同州オークリッジ近郊で出力400メガワット級の商業用実証プラント「インフィニティ・ツー(Infinity Two)」の建設を進めるタイプ・ワン・エナジー社(Type One Energy)事業を後押しするもので、同社は新枠組みのもと最初の認可を取得する見込みである。2028年にも着工予定で、業界からは州ごとの独自規制が乱立する懸念も、建設地選択の柔軟性などにより、州への権限移行は好意的に受け止められているという。 NuclearNewwire “Tennessee fusion regulations take effect” (06/12/26) https://www.ans.org/news/2026-06-11/article-8115/tennessee-fusion-regulations-take-effect/

気候科学報告書への妨害工作激化、化石燃料業界が訴訟リスク回避へ

ポリティコ誌(Politico)は6月11日、個別の自然災害に対する気候変動影響度を測定する研究分野「異常気象の因果関係特定(気候アトリビューション科学)」に関する取り組みに対し、化石燃料業界支持者らが妨害工作を行なっていると報じた。標的となっているのは、企業の温室効果ガス排出が災害を激化させているかを検証した米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)が近く発表する予定の報告書で、相次ぐ気候変動訴訟に直面している石油大手のエクソンモービル社(Exxon Mobil)などが、法廷での同社に対する責任追及を裏付ける強力な武器になり得ると懸念していることが裏にあるという。業界関係者らは、専門家15人で構成されるNASEMパネルの電子メール開示請求や情報収集を展開しており、既に同パネルから2人の専門家が辞任する事態を招いている。一連の動きについて、専門家らは、石油・ガス業界の法的責任を免責し、科学や対象科学者の信用を失墜させるための組織的な妨害工作と指摘しており、厳しく批判している。 Politico “Inside the campaign to discredit a key climate science report” (06/11/26) https://www.politico.com/news/2026/06/11/fossil-fuels-national-academies-climate-science-00897237

ジェネシス・ミッション採択結果を7月発表 AI活用で研究開発を推進

公共部門に特化したIT専門メディア・調査機関のメリトーク(MeriTalk)は6月9日、政府が推進する人工知能(AI)を科学的発見や国家安全保障に活用する構想「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」の選考結果を、エネルギー省(Department of Energy)が7月22日に発表すると報じた。マンハッタン計画やアポロ計画に匹敵する取り組みで、史上最強の科学ツールを開発すると説明している。昨年11月に始まった同構想は、量子コンピューティングや核融合エネルギー、医療など26の技術課題が特定され、公募には予想を大きく上回る約5,000件の提案が集まった。今回この中から約50件が採択される予定で、発表イベントには大手半導体企業幹部らも参加する予定となっている。また、この取り組みは国際的関心も高く、既に日本との間で、5年間で10億ドル規模の提携が発表されている。同省は、AI導入によって今後5年間で年間1兆ドルにのぼる研究開発成果の倍増を目指し、これまでの科学研究のあり方を根本から変革していく方針を示している。 MeriTalk “DOE to Unveil First Genesis Mission Awards July 22, Chief of Staff Says” (06/09/26) https://www.meritalk.com/articles/doe-to-unveil-first-genesis-mission-awards-july-22-chief-of-staff-says/

アンソロピックのAIモデル提供停止 政府、輸出管理対象に指定

NEXTGOV/FCWは6月13日、トランプ政権が人工知能(AI)を開発するアンソロピック社(Anthropic)に対し、最先端AIモデル2種への外国人アクセスを制限するよう命じたと報じた。対象となったのは「フェーブル5(Fable 5)」と「ミュトス5(Mythos 5)」で、同社は全てのサービス提供を急遽停止した。他社がミュトス5の「脱獄(ジェイルブレイク)」に成功したと主張し、安全保障上の懸念が浮上したことによる。これに対し同社は、指摘された抜け穴突破の仕組みはオープンAI社(Open AI)などの競合他社モデルにも当てはまると主張し、全顧客アクセスを遮断する正当性はないと反論している。対象モデルは攻撃的なサイバー作戦への悪用懸念も指摘されていたが、サイバー防衛やインフラ運用支援対応向けに、数日前に公開されたばかりだった。国防総省(Department of Defense)は決定を全面支持しているが、政府機関や同盟国による先端システム活用を複雑化させるほか、政治的判断による規制がイノベーションを損なうリスクも懸念されている。 NEXTGOV/FCW “Anthropic suspends top AI models after U.S. export control order” (06/13/26) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/06/anthropic-suspends-top-ai-models-after-us-export-control-order/414173/?oref=ng-home-top-story

海軍の無人自律システム開発、指導力と組織体制の課題解決が急務 GAO提言

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は6月15日、ロボット・自律システム(Robotic Autonomous Systems: RAS)を活用した海軍組織の体制構築を促す報告書を発表した。ウクライナや中東における海上での戦争で、ドローンなどの自律兵器緊急配備の必要性が高まっているものの、海軍対応が遅れていると指摘した。海軍は従来の機動部隊中心の運用モデルから、RASを組み込んだ分散型のハイブリッド艦隊への移行を目指して巨額の投資を計画しているが、一貫性のない指示や度重なる優先順位の変更で効率的な投資が損なわれ、従来艦船や潜水艦などの武器調達プログラムとの予算競争につながっているという。また領域ごとの組織縦割り化が技術革新を遅らせているとも指摘し、海軍に対し、RASをポートフォリオとして一元管理する組織体制の確立や、各利害関係者の役割の明確化などを求める3つの勧告を行った。GAOは緊急ニーズを満たすために最高幹部らによる迅速な行動が必要であると提言しており、海軍はこれに口頭で同意した。 GAO “Robotic Autonomous Systems: Navy Needs to Address Leadership and Organizational Challenges to Meet Urgent Needs” (06/15/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-109014

NIH、ヒトを対象とした新研究開発部署を設立 動物実験削減へ

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は6月15日、ヒトを対象とした研究技術の開発加速に向け、新たに「研究イノベーション・検証・応用局(Office of Research Innovation, Validation, and Application: ORIVA)」を設立したと発表した。プログラム調整・計画・戦略的イニシアチブ部門(Division of Program Coordination, Planning, and Strategic Initiatives: DPCPSI)傘下に設置され、3Dヒト組織モデルや計算科学ツールなど、ヒトの生物学的特徴をより正確に反映できる代替法「新アプローチ手法(New Approach Methodologies: NAMs)」の開発や検証、普及を推進する。従来の動物実験モデルはヒトとの生物学的差異による限界が指摘されており、再現性や効率性に優れた代替法の確立が求められていた。これに伴い、NIHは研究コミュニティへの資金提供やインフラ整備、複数機関による新手法評価・承認の促進によるアプローチを展開する方針で、動物実験モデルの削減に向け、透明性の高い評価に尽力し、人々の健康増進につなげる意欲を示している。 NIH “NIH launches new office to advance human-based research and reduce animal use” (06/15/26) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-launches-new-office-advance-human-based-research-reduce-animal-use

エネルギー省、ミシガン州へ16億ドル融資 天然ガスインフラ整備向け

エネルギー省(Department of Energy)は6月15日、ミシガン州の天然ガスインフラ整備に向け、16億ドルを融資すると発表した。トランプ大統領のエネルギー及び大型減税政策の一環で、同省傘下のエネルギードミナンス(支配または優勢の意)金融局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)がDTEガス社(DTE Gas Company: DTE)と融資契約を締結した。州内計7億ドル以上のコスト削減につなげる取り組みで、同省は電気代低減と信頼性確保に極めて重要な役割を果たすと説明している。具体的には、約800マイルの本管や配管の改修強化に充てる予定で、これには既存のコンプレッサー・ステーション(圧縮設備)の再構築も含まれている。需要が少ない時期に天然ガスを貯蔵して、ピーク時価格を抑える効果が期待されており、この融資によりコスト削減だけでなく雇用創出にもつながると強調した。同省はこの取り組みを通じて、国民へ安価かつ安定したエネルギーを供給していくとし、エネルギー資金調達のための新たな基準確立に向け、尽力していく姿勢を示している。 Department of Energy “Energy Department Delivers $1.6 Billion Loan to Lower Energy Costs for Michiganders” (06/15/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-delivers-16-billion-loan-lower-energy-costs-michiganders

エネルギー省、クリーンエネルギー助成を再開 連邦地裁判決を受け

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は6月12日、エネルギー省(Department of Energy)による11件のクリーンエネルギー助成、総額8,210万ドルの資金提供再開見通しについて報じた。連邦地方裁判所が同省の助成取り消しを無効と判断したことを受けたもので、米国化学工学会(American Institute of Chemical Engineers: AIChE)などの原告団が、政治的報復として標的にされたと主張していた。これら事業は前大統領選挙においてカマラ・ハリス前副大統領(Kamala Harris)に投票した「青い州(民主党支持州)」における取り組みで、同省のクリス・ライト長官(Chris Wright)は、議会証言で政治的関与を否定したものの、判事は原告勝訴の判決を下した。撤回対象には、同学会による重要鉱物回収プロジェクトへの4,980万ドルや、プロトン・エナジー・システムズ社(Proton Energy Systems)の水電解技術開発への610万ドルが含まれており、原告側は資金失効による具体的な経済的・非経済的損害を訴えていた。 Utility Dive “Judge overturns DOE’s cancellation of $82.1M in clean energy grants” (06/12/26) https://www.utilitydive.com/news/judge-overturns-doe-cancellation-clean-energy-grants/822818/

全米最大のサンジア風力発電プロジェクト、今月商業運転開始へ

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は6月12日、ニューメキシコ州のサンジア風力発電事業(SunZia Wind Project)の商業運転が今月中に開始されると発表した。発電容量3,650メガワット(MW)に上る同施設は計916基のタービンで構成されており、南カリフォルニアのアルタ(1,098MW)や北テキサスのグレート・プレーリー(1,027MW)など既存の主要風力施設を約3倍以上上回る規模で、全米最大の風力発電所となる。パターン・エナジー社(Pattern Energy)が約20年に亘る計画を経て2023年に着工した事業で、今回の稼働に伴い、同州の電源構成における風力の割合は45%に達する見込みである。発電した電力の大部分は、同時に建設された全長550マイルの高圧直流送電線を通じてアリゾナ州やカリフォルニア州南部へ送電される予定で、既に5月15日の段階で、カリフォルニア独立系統運用機関(California Independent System Operator: CAISO)管内における時間あたり風力発電量が7,122MWと過去最高を記録している。 EIA “Largest wind farm in the United States slated to begin commercial operations” (06/12/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=67766

エネルギー省、東地中海エネルギーセンター設立 キプロス、ギリシャ、イスラエルと連携強化

エネルギー省(Department of Energy)は6月11日、キプロス共和国、ギリシャ、イスラエル、ライス大学(Rice University)と共同で、テキサス州ヒューストンに東地中海エネルギーセンター(Eastern Mediterranean Energy Center)を設立するための意向宣言書(Declaration of Intent: DOI)に署名したと発表した。2019年の東地中海安全保障・エネルギー連携法(Eastern Mediterranean Security and Energy Partnership Act of 2019)に基づくもので、エネルギー需要急増を背景に、天然ガス開発や米国の液化天然ガス(LNG)インフラ整備、エネルギー輸送ネットワーク構築など、各国が共有する課題解決に向け連携する。特に炭化水素開発に関する最先端知見を加盟国と共有していくほか、電力網の信頼性向上や重要インフラの整備強化、新興技術支援に加え、科学技術交流や人材育成の取り組みも推進する。現在、米国は世界最大の石油・天然ガス生産国かつ世界最大のLNG輸出国であるが、今後数年間で輸出量を2倍以上に拡大させる方針を示している。 Department of Energy “United States, Cyprus, Greece, Israel and Rice University To Establish Eastern Mediterranean Energy Center in Houston” (06/11/26) https://www.energy.gov/articles/united-states-cyprus-greece-israel-and-rice-university-establish-eastern-mediterranean