放電時間が8時間以上の場合、蓄熱及び圧縮空気エネルギー貯蔵は、リチウムイオン電池より安価

ブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)が5月30日に発表した報告によれば、放電時間が8時間以上の長期エネルギー貯蔵(long-duration energy storage: LDES)技術を比較すると、最も安価な方法は、蓄熱エネルギー貯蔵と圧縮空気エネルギー貯蔵で、その費用はリチウムイオン電池よりも低い。報告書によれば、設置されたシステムの世界的な平均設備投資コストは、蓄熱エネルギー貯蔵の場合は1キロワット時当たり232ドル、圧縮空気エネルギー貯蔵の場合は同293ドル、これに対して4時間のリチウムイオン電池貯蔵の場合は同304ドルである。ただし、世界的な平均は、中国における大幅に低い平均設備投資コストが反映されている。報告書は、「他国は依然としてLDES技術の商業化初期段階にあるが、中国は既にギガワット時規模のプロジェクト開発が進んでおり、特に圧縮空気エネルギー貯蔵とフロー電池が顕著である」と分析している。ただし、「電気自動車の急速な普及によって、リチウムイオン電池の費用は大幅に下がったが、今後十年間で非リチウムイオン系のエネルギー貯蔵技術の費用が、リチウムイオン電池ほどの規模で下落することはないだろう」とBNEFは見ている。 Utility Dive “Thermal and compressed air storage cheaper than lithium-ion batteries for 8-plus hour durations: BNEF” (6/4/24)

ローレンス・リバモア国立研究所等、スパコンを利用して発見した癌治療薬の臨床試験を開始

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)とブリッジバイオ・オンコロジー・セラピューティクス社(ブリッジバイオ)(BridgeBio Oncology Therapeutics: BridgeBio)は6月6日、多くの種類の癌に関係する特定の遺伝子変異をターゲットとする医薬品について臨床試験を開始したと発表した。この新薬「BBO-8520」は、LLNL、ブリッジバイオ社、フレデリック国立癌研究所(Frederick National Laboratory for Cancer Research: FNL)で行われている国立癌研究所(National Cancer Institute: NCI)のRASイニシアチブによる共同作業の成果である。この医薬品は、エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所としては初めて、ミッション用途の高性能コンピューティングにおけるエネルギー省のリーダーシップと、LLNLが人工知能(AI)及び従来型の物理学ベースの創薬を統合して開発したプラットフォーム、そしてFNL及びNCIとの間の効果的なパートナーシップによって発見された。こうした合同の取り組みは、LLNLとブリッジバイオ社、ブリッジバイオ社とFNLの間の共同研究開発契約(cooperative research and development agreement: CRADA)から生まれたもので、CRADAを通じて、3つの機関が、癌治療の最も困難な側面である「医薬品を市場化するまでに長い時間がかかる」「有望な医薬品候補の高い失敗率」といった問題に共に取り組むことで結集した。 Lawrence Livermore National Laboratory “LLNL and BridgeBio announce trials for supercomputing-discovered cancer drug” (6/6/24)

内務省、メリーランド州のオフショア風力を促進

オフショア風力の機会を拡大し、政府全体で気候危機対策と良好賃金雇用の創出に取り組むというバイデン政権のコミットメントの一環として、内務省(Department of the Interior: DOI)は6月7日、海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management:BOEM)とメリーランド州が、同州海岸沖の風力エネルギー生産の協力開発を支援する覚書(Memorandum of Understanding: MOU)を交わしたと発表した。MOUの下、BOEMとメリーランド州は、オフショア風力リースの可能性が考えられる地域を開拓・特定する現行の取り組みを継続する。BOEMはまた、オフショア風力のリース・エリアの立地作業に伴う課題に対処し、共同作業を強化するため、メリーランド州及びその他の関係機関との間で、「大西洋中部政府間再生可能エネルギー作業部会(Central Atlantic Intergovernmental Renewable Energy Task Force)」の招集を継続する。 Department of the Interior ” Biden-Harris Administration Leaders Announce Steps to Advance Offshore Wind Progress in Maryland” (6/7/24)

DARPA、兵士の警戒心を安全に強化する方法を研究

兵士が与えられた任務を遂行している間の状況は、睡眠不足につながり、ひいては兵士の警戒心やパフォーマンスに悪影響をもたらす可能性がある。睡眠不足後も警戒心(覚醒度)を維持するために行われている現行の手法には、カフェインや長時間の訓練、処方箋による覚醒剤などの使用が含まれる。これらの刺激剤には効果があるものの、後遺症などの弊害もあり得る。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「兵士の警戒心有効化(Alert WARfighter Enablement: AWARE)」プログラムは、光によるシミュレーションと光医薬品(photo-pharmaceuticals)の組み合わせ(特定の種類の光がある場合のみ効果のある医薬品の種類)を組み合わせることで、特定の脳回路をターゲットとし、脳の機能に安全な刺激を施しながら、管理された一定時間の間の警戒心の向上につなげることを目指す。 Defense Advanced Research Project Agency “Improving Warfighter Alertness Safely Without Off-Target Effects” (6/5/14)

電解槽は、米国内で小規模ながらも成長中の水素生産資源

米国内の開発事業者は、電解槽の技術を使って水素生産を拡大する計画を立てている。これは、今後数年間に、水素生産が現行の炭化水素原料から離れていく可能性があることを示す初期の兆候である。エネルギー省(Department of Energy)の水素プログラム記録(Hydrogen Program Record)が収集した情報によれば、電力を使って水から水素を生産する電解槽の設置が計画通り実施されると、米国の製造能力は、現在の116メガワット(MW)から4,524MWへと増加するという。国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)によれば、現在商業的に導入されている電解槽技術には2種類あり、いずれも競争的でいるためには更なる改良が必要とされている。現在、米国では複数の電解槽プロジェクトが計画されているが、商業的に消費されている水素のほとんどは、水蒸気改質法(Steam Methane Reforming: SMR)によって生産されている。 Energy Information Administration “Electrolyzers are a small but growing source of U.S. hydrogen production ” (6/6/24)

米国ソーラーパネル製造事業者の製造能力は今年第1四半期に71%増加

ソーラーエネルギー業界協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)とウッド・マッキンゼー社(Wood Mackenzie)が6月6日に発表した「2024年第2四半期 米国ソーラー市場洞察(U.S. Solar Market Insight Q2 2024)」報告によれば、米国内では今年第1四半期に過去最高となる11.8ギガワット(GW)のソーラー・モジュール製造能力が新たに追加された。これは、過去最大の四半期成長となる。そして、米国におけるソーラー製造能力は合計200GWとなった。更に、報告書によれば、2023年には40GW以上の新たなソーラー製造能力が追加されたことが明らかになった。ウッド・マッキンゼー社は、米国のソーラー業界は2024年に新たに40GWの能力を追加すると予測している。ユーティリティ規模の市場の大幅な成長(約10GW)が第1四半期の成長を牽引した。フロリダ州とテキサス州は、ユーティリティ規模の成長で力強い成長を示した一方、カリフォルニア州の住宅ソーラー部門は、州政策の変更が影響し、ここ2年間で最悪の不振となった。 Solar Energy Industries Association “American Solar Panel Manufacturing Capacity Increases 71% in Q1 2024 as Industry Reaches 200-Gigawatt Milestone” (6/6/24)

NSF、新たなTRUSTプロポーザル評価プロセスで研究セキュリティを強化

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、新たなリスク軽減プロセスとして、「セーフガードと透明性を使った信頼性の高い研究(Trusted Research Using Safeguards and Transparency: TRUST)」枠組みを発表した。TRUST枠組みは、国家安全保障リスクの可能性があるグラント・プロポーザルを評価するNSFのガイドとなる。改定された手順は、研究やイノベーションへの公的資金の投資を保護し、国際協力を強化する一助となると期待されている。NSFの研究セキュリティ戦略及び政策チーフ局(Office of the Chief of Research Security Strategy and Policy: OCRSSSP)が策定したTRUST枠組みは、3部門で構成されている。それらは、①進行中の人事の任命やポジションの評価に焦点を当てる、②開示やその他の要件を用いて不履行事例を特定する、③潜在的に予測可能な国家安全保障検討事項を含める、の3点で、特に3番目はNSFにとって新しい大きな取り組みとなる。TRUSTのプロセスは2025年度から3段階にわたって実施される。 National Science Foundation “NSF enhances research security with new TRUST proposal assessment process” (6/6/24)

カリフォルニア州で販売された新車トラック/バス/バンの6台に1台がZEV

カリフォルニア州が6月6日に発表した報告書によれば、2023年におけるカリフォルニア州のゼロ排出の中型・大型トラック(新車)販売は前年の2倍となり、現在、ラストマイル配送や貨物輸送、スクールバスなどのサービスを目的として販売される新車6台につき1台がゼロ排出の中型・大型車となっている。2023年にカリフォルニア州では1万8,473台の中型・大型のゼロ排出車両(ZEV)が販売され、同州は、「先端クリーン・トラック(Advanced Clean Trucks: ACT)」の目標を予定より2年早く達成し、必要台数の5倍の車両を販売している。2021年以来、合計2万6,921台の中型・大型のZEVがカリフォルニア州で販売された。 California Air Resources Board “1 in 6 new trucks, buses, and vans in California are zero-emission” (6/6/24)

IARPA、外国による悪意のある影響を評価する手法について情報を要請

情報高等研究開発活動(Intelligence Advanced Research Projects Activity: IARPA)は、外国による悪意のある影響(Foreign Malign Influence: FMI)を評価する手法について情報を模索している。FMIには、外国政府、非政府、もしくはその代理が、他国の人民や政治の姿勢及び認識、もしくは言動に影響を及ぼし、自分達の利益を進展させようとする、破壊的で、宣言されていない(秘密であることを含む)、強制的または犯罪的な活動が含まれる。IARPAはまた、説明責任と透明性を確実にするため、将来のFMI研究における潜在的な市民リバティやプライバシーの検討事項についてより良く理解することにも関心を持っている。 Intelligence Advanced Research Projects Activity “METHODOLOGIES TO ASSESS FOREIGN MALIGN INFLUENCE RFI” (6/6/24)

エネルギー省、炭素管理プロジェクトに資金提供の意向を通知

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー・炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は6月5日、気候変動の課題の解決を目的として業界や学術機関と協力して行われる研究開発プロジェクトを支援するため、資金を提供する意向を発表した。この意向通知(Notice of Intent)は、「炭素管理(Carbon Management)」と題する資金提供公募(FOA)の下で6回目の募集となる。複数プログラム及び複数年のプロジェクトで、①炭素転換、②二酸化炭素の排除、③点源での炭素捕獲、④炭素輸送及び貯蔵、のいずれか(または全て)のトピックを対象とする。 National Energy Technology Laboratory “DOE Issues Notice of Intent To Fund Carbon Management Projects, Meet Climate Change Challenges” (6/5/24)