2009年の民間研究開発費、世界的に減少する中、中国は増加

欧州連合(EU)が、世界中の企業による新製品やサービスの研究開発費を調査し発表している年間スコアボードの2009年版が10月26日に発表された。これによれば、2009年は経済危機を受けて企業の研究開発費が世界的に1.9%減少したのに対し、中国の研究開発費は実に40%も増加したという。EU企業による研究開発費は2009年に2.6%減少し、米国企業による同費は5.1%の減少となった。日本企業は高い投資を堅持しており、アジアのその他の企業も投資を大幅に増加した。EUの報告によれば、日本のトヨタが2年連続で最大の研究開発投資(68億ユーロ、95億ドル)を行っており、ついでスイスの製薬大手ロシュ(Roche)の65億ユーロ(91億ドル)、マイクロソフト(Microsoft)の60億ユーロ(84億ドル)となっている。 boston.com “2009 global research outlays down, but not China” (10/26/10)

地球工学問題が議会初の報告書で注目を集める

下院科学技術委員会(House Science and Technology Committee)のバート・ゴードン委員長(Bart Gordon、民主党、テネシー州)が10月29日、地球工学(Geoengineering)に関する議会初の報告書を発表した。ゴードン委員長は、「報告書は地球工学を承認するものでは全くなく、連邦政府による既存の研究能力がこうした活動にどのように活用でき得るかを考察するための努力である」とした上で、「我々に残された選択肢を理解するために研究を行う必要がある」と述べている。報告書は、本件に関しては国立科学財団(National Science Foundation:NSF)が先導機関としてふさわしいとしている他、支援機関として複数の機関を挙げている。 The Washington Post “Geoengineering sparks international ban, first-ever congressional report” (10/29/10)

米国政府、遺伝子に特許は認められるべきでないとの見解を発表

連邦政府は10月29日、これまでの政策を翻し、ヒトおよびその他の遺伝子は自然の一部であることから特許取得を認められるべきではないとの見解を示した。連邦政府によるこの新たな見解は、乳がんおよび卵巣がんに関連する2つのヒト遺伝子に認められた特許に対する訴訟で、法廷助言者(friend of the court)として司法省が発表したものである。司法省は、「これは、米国特許商標局(U.S. Patent and Trademark Office:USPTO)や国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)などの政府機関が長年支持してきた方針に反するものであることを認識している」としている。遺伝子の特許性は長期にわたり論争の的となってきたが、この新たな見解は、医薬品およびバイオ技術業界に大きな影響をもたらす可能性がある。 The New York Times” U.S. Says Genes Should Not Be Eligible for Patents” (10/29/10)

米国、高速鉄道事業に24億ドルの投資を発表

運輸省(Transportation Department)は10月28日、「23州において54件の高速鉄道プロジェクトに24億ドルを投資する」ことを発表した。レイ・ラフード運輸長官(Ray LaHood)は声明の中で「高速鉄道が、雇用創出や製造拠点の活性化、経済開発の促進、環境に優しい輸送手段の提供につながるユニークな機会であることを各州政府は理解している」と述べている。同省によれば、30社以上の鉄道製造および部品会社が超特急列車のネットワークを構築するために米国内で事業拠点を確立または拡大することに合意しているという。最大の助成金を受けるのはカリフォルニア州で9億157万4,000ドル、次いでフロリダ州の8億800万ドル、イリノイ、アイオワ、ネブラスカ各州の2億3,000万ドルとなっている。 REUTERS “U.S. announces $2.4 billion for high-speed rail” (10/28/10)

NIH、生物医学文献の画像データベース、「イメージ」を始動

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の国立医学図書館(National Library of Medicine:NLM)の一部門である国立バイオ技術情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)は、医学および生命科学の文献に掲載されている250万点以上の画像や統計を収録したデータベース、「イメージ(Images)」を開発し、その運営を開始した。イメージは、臨床現場や研究者など幅広い利用者に活用されると期待されている。現在、イメージに収録されているデータはNCBIの生物医学や生命科学文献のフルテキスト・デジタルアーカイブ「パブメド・セントラル(PubMed Central)」に収録されている画像や統計で、今後はNCBIが所有するその他のリソースも含まれる可能性がある。 NIH News “NIH introduces Images, a database of images in biomedical literature” (10/28/10)

NERC、エネルギー源の多様化と需要増加の減速を予測

北米電力信頼度協議会(North American Electric Reliability Corporation:NERC)は10月20日、今後10年間の電力グリッドの状況を予測した報告書、「2010年長期信頼度評価(2010 Long-Term Reliability Assessment)」を発表した。これによれば、米国の電力グリッドは、風力および太陽光発電の大幅な増加を含め、エネルギー源の大幅な変化を経験することになり、2019年までに風力および太陽光で18万メガワットの電力が北米に追加されるという。ただし需要ピーク時の電力の90%以上は化石燃料、原子力、水力発電によって供給される見込みとしている。一方で不況により、長期的なエネルギー使用量は大幅に減速することが予測されており、さらに今後10年間で省エネ努力が進むことから電力需要の成長は鈍化するとしている。 EERE News “NERC: U.S. Power Grid to Feature Diverse Energy Sources, Slow Demand Growth” (10/27/10)

内務長官、国有地における史上最大のソーラー・プロジェクトを承認

内務省は10月25日、国有地における史上最大規模の太陽光プロジェクト、ブライズ・ソーラー・パワー・プロジェクト(Blythe Solar Power Project)を承認した。同プロジェクトでは、1,000メガワット(30~75万世帯分のエネルギー供給が可能)の発電が予定されている。本プロジェクトはパロ・ベルデ・ソーラーI社(Palo Verde Solar I)によって提案されたもので、カリフォルニア州リバーサイド郡ブライズの西方にある7,025エーカーの国有地を使用する。本プロジェクトにより、建設時のピークには1,066人の雇用が、そして正社員として295人の雇用創出が期待されている。内務省は10月初めにも国有地における再生可能エネルギープロジェクトを5件承認しており、今回が6件目となる。 DOI.gov “Salazar Approves Sixth and Largest Solar Project Ever on Public Lands” (10/25/10)

農務省、地方の活性化促進を目的とした再生可能エネルギーイニシアチブを発表

オバマ政権による再生可能エネルギー生産の推進、雇用の創出、気候変動の影響の緩和に対する取り組みの一環として、トム・ビルサック農務長官(Tom Vilsack)は10月21日、①バイオマス作物支援プログラム(Biomass Crop Assistance Program: BCAP)の最終規則の発表、②バイオ燃料に関する連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)との新合意、③バイオ燃料の国内生産が経済効果をもたらすと分析した農務省の報告書の発表について発表した。BCAPは、適格再生可能バイオマス作物の開始および生産に対する支援と、適格のバイオマス変換施設に販売される適格原料の輸送費に対するマッチングファンドという2つの支援策で構成されており、米国バイオ燃料業界創出に貢献することが期待されている。FAAとの新合意は、森林や残留作物、その他の環境に優しい原料から航空燃料を開発することを目的としたもの。また、農務省報告書は、石油をコスト競争力のある国内バイオ燃料と置換することにより、輸入石油が削減でき、これによって燃料価格は下がり、米経済に効果をもたらすとしている。 USDA FSA “Agriculture Secretary Vilsack Announces Renewable Energy Initiatives to Spur Rural Revitalization Throughout the Country” (10/21/10)

NIH、研究者多様性を推進するプロジェクトに助成金給付

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は、科学的労働力の多様化を推進することを狙いとした新たなイニシアチブとして、6件の研究プログラムに合計1,200万ドル(3年間)の助成金給付を行うと発表した。新イニシアチブは「科学的労働力を推進するためのパスファインダー・アワード(Pathfinder Award to Promote Diversity in the Scientific Workforce)」と呼ばれ、米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)を通じて資金が提供される。パスファインダー・アワードは、非常に革新的な手法を提案する創造性の高い女性・マイノリティー研究者へ提供される。 NIH News “NIH Recovery Act grants to foster scientific workforce diversity” (10/26/10)

NSF、新たな植物ゲノム研究に助成金給付

国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は今年で13年目となる植物ゲノム研究プログラム(Plant Genome Research Program:PGRP)の新たな受益機関28件を発表した。これらの受益機関に対する助成金は合計1億190万ドルに上る(各2~5年間で63万4,000ドル~960万ドル)。助成を受けて行われる研究は、ゲノムの構造や機能に関する情報を収集するための研究およびツール開発である。これらの研究により、気候変動や菌類病原体、かんばつなど様々な要素によって変化する環境に植物がどのように対応するかに関する理解を深め、とうもろこしや綿、米、大豆など経済的に重要な作物の遺伝子に関する知識を深めることが期待されている。 National Science Foundation “NSF Awards New Projects for Plant Genome Research” (10/25/10)