連邦資金を受けて行われる臨床試験の倫理問題に関する報告書発表

大統領バイオ倫理問題研究委員会(Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues)は、報告書「倫理科学:人を対象とした研究における被験者の保護(Moral Science: Protecting Participants in Human Subjects Research)」を発表した。この報告書は、1940代後半にグアテマラで行われた研究で米国研究者が1,300人以上のグアテマラ人を故意に梅毒などに感染させたことが明らかになったことを受けて実施されたものである。報告書によれば、連邦資金を受けて国内外で行われている人を対象とした研究に自発的に参加する人々は、インフォームド・コンセントや第三機関の倫理審査、リスクの最小限化などを義務付けた連邦共通規則(Common Rule)により、十分に保護されているという。ただし、改善の余地はあり、研究の追跡を容易にする制度や負傷した参加者に対する補償制度の創設を検討すべきであるとしている。 Science Insider “Panel Calls for Closer Tracking of U.S.-Funded Human Research, Proposes Compensation Fund” (12/15/11)

ニューヨーク州、ゲノミクスやバイオ開発に4,970万ドルを交付へ

ニューヨーク州は、地域経済開発評議会イニシアチブ(Regional Economic Development Council Initiative)を通じて、様々なバイオ系の経済開発プロジェクトに4,970万ドルを投資する計画である。受益機関は、研究所、インキュベーター、企業など幅広く、プロジェクトの中心はバイオ医療研究であるが、農業バイオ技術やバイオエネルギーなども含まれている。ニューヨークバイオ協会(New York Biotechnology Association)は、「これらの投資は約25万人の直接的・間接的雇用を支える業界の成長を促し、年間320億ドルを超える州の経済生産に貢献する」と述べている。 GenomeWeb Daily News “NY State Funds New Genomics, Biotech Development” (12/12/11)

小型原子炉が米国原子力競争力復活に貢献か

シカゴ大学エネルギー政策研究所(Energy Policy Institute at the University of Chicago: EPIC)のロバート・ロズナー所長(Robert Rosner)が作成した報告書「小型モジュラー原子炉:米国における原子力発電の鍵(Small Modular Reactors – Key to Future Nuclear Power Generation in the U.S.)」によれば、小型原子炉(発電能力600メガワット以下で、工場でモジュラー・コンポーネントとして建設され、目的地で組み立てられるタイプの小型原子炉)は、米国の原子力発電の未来において鍵を握る存在かもしれないと結論している。「小型モジュラー原子炉は、高価値雇用の造成に大きな刺激となり、原子炉技術分野における米国のリーダーシップ回復につながり、福島原発事故以降の世界において米国のリーダーシップを強化するであろう」と報告書はとりまとめている。また、ロズナー所長はこの報告書とともに、現行コストで大型原子炉を建設した場合のコストを試算した「ギガワット規模の現行資本コスト分析(Analysis of GW-scale Overnight Costs)」も発表している。 UChicago News “Small reactors could figure into U.S. energy future” (12/13/11)

エネルギー省、エネルギープラス・モデリング・ソフトウェアの最新版を公表

エネルギー省(Department of Energy)は12月7日、建造物用エネルギー・モデリング・ソフトウェア「エネルギープラス(EnergyPlus)」の最新版(v7.0)を公表した。エネルギープラスは、建造物の冷暖房や換気、照明に必要とされるエネルギー量を計算するもので、建築家や工学者がよりエネルギー効率の高い建造物を設計する際、研究者が新たな建造物やシステムの設計をする際、政策策定者がエネルギー・コードや標準を開発する際などに利用される。今回公表されたエネルギープラスv7.0は、v6.0版に比べて実行速度が25~40%速くなった他、より優れた能力を多く有している。 EERE News “DOE Releases New Version of EnergyPlus Modeling Software” (12/7/11)

ハーバード・ビジネス・スクールが「米国競争力プロジェクト」を立ち上げ

ハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School)のニティン・ノーリア学長(Nitin Nohria)は12月13日、米国企業の競争力を強化し、国民の生活水準を高めるためのアイデアや行動を生み出す包括的な取り組みとして「米国競争力プロジェクト(U.S. Competitiveness Project)」の立ち上げを発表した。プロジェクトの主導者は、HBSのマイケル・ポーター教授(Michael E. Porter)とジャン・リブキン教授(Jan W. Rivkin)で、HBSの教員やその他の大学の学者などが協力する。また、企業の指導者やHBSの卒業生、政策策定者などもプロジェクトの研究活動に支援を提供し、最初の研究報告は「ハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)」2012年春特別号に掲載される。ポーター教授は、「競争力強化は政府の仕事と考えられることが多いが、企業の指導者達が競争力強化で中心的役割を果たすことは可能であり、またそうすべきである。我々のプロジェクトは、米国の繁栄を推進する上で企業指導者に何ができるかを考えていく」と述べた。 Harvard Business School “Harvard Business School Launches U.S. Competitiveness Project” (12/13/11)

メルク社、中国での研究開発に15億ドルを投資

製薬大手のメルク社(Merck)は、中国における研究開発活動に今後5年間で15億ドルを投資する計画であると発表した。同社の中国進出は製薬大手の中では遅参であるが、投資規模としては最大となる。メルク社の副社長でメルク研究開発アジア(MSD R&D Asia)の現地責任者であるチャン・ミン-チェン氏(Zhang Ming-Qiang)は、「メルク社は中国の製薬市場が10~15年後に世界最大となると予想している」と述べた上で、中国における2つの重要課題として、①有能な若手研究者は豊富にいるが、師となるようなベテラン研究者が不足している、②中国の規制環境が不明である、を挙げた。 Science Insider “Beijing Lands $1.5 Billion Merck Research Commitment” (12/12/11)

エネルギー省、燃料電池電気自動車用の革新的な水素貯蔵技術研究開発のため700万ドル以上を交付

エネルギー省(Department of Energy: DOE)のエネルギー効率再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)は12月12日、燃料電池式電気自動車に使用される水素貯蔵技術進展を目的として、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州における合計4件のプロジェクトに対して700万ドル以上を交付すると発表した。3年間に及ぶプロジェクトで、圧縮水素貯蔵システムのコスト削減と、水素貯蔵向けの先端原料の開発に取り組む。受益機関もコスト分担金として約200万ドルを提供する。 Energy.Gov “Energy Department Awards More Than $7 Million for Innovative Hydrogen Storage Technologies in Fuel Cell Electric Vehicles” (12/7/11)

オバマ大統領、商務長官と国家経済会議(NEC)委員長を大統領製造業政策局の共同議長に指名

オバマ大統領は12月12日、商務省(Department of Commerce)のジョン・ブライソン長官(John Bryson)と国家経済会議(National Economic Council: NEC)のジーン・スパーリング委員長(Gene Sperling)を、大統領製造業政策局(White House Office of Manufacturing Policy)の共同議長として指名した。製造業政策局はNECの一部で、連邦省庁と協力しながら製造業プログラムの実施や製造業政策の開発の調整に取り組む。ブライソン長官は企業幹部としての経験が豊富であり、商務省は米国輸出の推進や中小製造業者支援、先端標準の開発などで強みを持つことから、同長官の共同議長就任は政権の製造業政策を支援する上で貴重な存在となると期待されている。 White House “President Obama Names Commerce Secretary John Bryson, NEC Chair Gene Sperling as Co-Chairs of White House Office of Manufacturing Policy” (12/12/11)

景気対策資金を使ったNIHグラントが2万1,000以上の雇用創出・維持に貢献

2009年の米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)により、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が2年間で82億ドルの外部研究資金を得た時、レイナード・キングトンNIH所長代理(Raynard Kington)は、「各グラントにより複数の雇用が創出され経済刺激につながる」と議会証言を行った。本件に関して政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)が11月に発表した報告書によれば、同資金により2009年12月に1万2,000件の正規職員(full-time equivalent: FTE)ポジションが支援(support)され、その数は2011年6月には約2万1,000件に達したという。NIHの担当官はGAOに対して、「まだ雇用データを編集中であるが、景気対策資金により、最終的には5万4,000件のFTEが支援されるだろうと考えている」と述べている。また、GAOの同報告書によれば、回答した研究責任者のうち、受益資金を「新規採用に使った」と回答したのは30%だったのに対し、「現職員の維持に使った」と回答したのは50%に上った。 Science Insider “NIH’s Stimulus Money Created at Least 21,000 Jobs” (12/13/11)

ヒト胚性幹細胞へのアクセスが困難と感じる研究者が多数

米国内で205名のヒト胚性幹細胞研究者を対象に行った調査結果によれば、ほぼ4割の研究者がヒト胚性幹細胞株の入手が大幅に遅延するという問題に直面し、さらに25%の科学者は研究用に希望していた細胞株を入手できなかったという。調査は、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)公共政策学部(School of Public Policy in the Ivan Allen College of Liberal Arts)のアーロン・レビン准教授(Aaron Levine)が行った。回答した研究者らは、ヒト胚性幹細胞株へのアクセスが困難な主要因として、①物質移転合意(material transfer agreement)の取得が困難、②内部の機関監督委員会による研究承認が得られない、③細胞株の所有者が共有を拒否、④連邦政策、の4点を挙げている。レビン准教授は、「調査結果は、ヒト胚性幹細胞の入手が困難あるいは不可となることは、米国における幹細胞研究の妨げになるという懸念を裏付けている」と述べている。 Newswise “Scientists Have Trouble Accessing Human Embryonic Stem Cell Lines, Says Survey” (12/12/11)