USAIDとNSFによるPEERプログラムが第一回目の採択事業を発表

米国国際開発庁(US Agency for International Development: USAID)は国立科学財団(National Science Foundation: NSF)と昨夏開始した共同プログラム、「研究における協力強化のためのパートナーシップ(Partnership for Enhanced Engagement in Research: PEER)」の最初の受益機関を発表した。PEERプログラムはUSAIDが資金を提供し、米国科学アカデミー(National Academy of Sciences: NAS)がUSAIDとNSFの協力を受けながら運営しているプログラムで、発展途上国における科学的・技術的能力強化のための投資を行う。今回は発展途上国63カ国から約500人の科学者がプロジェクト提案を行い、科学的メリット、開発の予測効果、米国科学者との協力体制などを基に専門委員会による審査・評価が行われ、25カ国から41件のプロジェクトが選出された。 National Science Foundation “USAID-NSF PEER Program Announces First Round of Awardees” (5/3/12)

NIH、治療薬開発促進を目的として業界や研究者との提携プログラムを発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の国立トランスレーショナル科学進展センター(National Center for Advancing Translational Sciences: NCATS)は、ファイザー社(Pfizer)、アストラゼネカ社(AstraZeneca)、イーライリリー社(Eli Lily)とパートナーを組み、研究者の新たな治療薬開発を支援するために、これら3社が数十件の化合物を提供するパイロット・イニシアチブを開始したと発表した。この新たなパイロット・イニシアチブ「既存の分子を利用した新たな治療法の発見(Discovering New Therapeutic Uses for Existing Molecules)」は、当初期待していた具体的な治療効果が見られなかった化合物を、別の疾病の治療薬として新たに開発することを意図したものである。例えばこれまでに、アジドチミジンは当初、癌治療薬として開発されたが有効性が見られず、後にHIVウィルスに有効な薬として確立されたことがある。今回のパイロット・イニシアチブでは、複数機関による参加プロセスを合理化するため、合意文書のテンプレートも作成されている。 National Institutes of Health “NIH launches collaborative program with industry and researchers to spur therapeutic development” (5/3/12)

大統領府、若者を対象とした約30万件の夏季雇用機会とオンライン・ツールを提供

オバマ政権は5月2日、低所得層や社会から疎遠している若者の支援する「夏季雇用プラス(Summer Jobs+)」イニシアチブの一環として、新たに95の企業及び非営利団体、3市、2つの連邦政府機関、大統領府が、約11万件の新規夏季雇用やその他の雇用機会を提供することにコミットしたと発表した。これにより合計で約30万件の雇用機会(有給の仕事、メンターシップ、インターンシップ、その他の研修機会)が提供されることになる。政権はまた、若者が雇用やインターンシップ、その他の雇用機会へのアクセスを得ることを支援するため、新たなオンライン検索ツール、「夏季雇用プラス・バンク(Summer Jobs+ Bank)」の始動を発表した。夏季雇用プラス・バンクでは、10件の求人ウェブサイトと協力し、一つのサイトで雇用機会を検索できるオンライン・リソースを提供する。 White House “White House Announces Nearly 300,000 Summer Jobs and Other Employment Opportunities for Youth and New Online Tool to Help Youth Access Opportunities” (5/2/12)

高品質と節約効果がグリーン住宅建設の鍵

マグロウヒル建設(McGraw-Hill Construction)は5月1日、スマート・マーケット報告(SmartMarket Report)「新築・改築グリーン住宅:住宅市場の変革(New and Remodeled Green Homes: Transforming the Residential Market)」を発表した。それによれば、建設市場におけるグリーン住宅の割合は、2011年に17%となり、170億ドル市場と試算されている。そしてこの割合は2016年までに38%に上昇し、870~1,140億ドル市場になると予想されている。また、新築・改築業者を対象としたアンケート調査の結果によれば、グリーン住宅市場の成長を牽引している要素は、①より高品質であること、②省エネによる節約効果、の2点であるという。 National Association of Home Builders “Quality and Value Driving Growth in the Green Building Market, According to New SmartMarket Report” (5/1/12)

エネルギー省とMITエネルギー・イニシアチブ、クリーンエネルギー分野における女性支援イニシアチブを発表

4月26日、ロンドンで開かれた第3回クリーンエネルギー大臣会合(Clean Energy Ministerial)で、エネルギー省(Department of Energy)は「クリーンエネルギー教育及び向上イニシアチブ(Clean Energy Education and Empowerment initiative: C3E)」の実践を支援する米国計画を発表した。C3Eイニシアチブは、クリーンエネルギー分野のキャリアを目指す女性を増やすこと、助成のリーダーシップ職への活用を支援することを狙いとしたプログラムである。このプログラムはMITエネルギー・イニシアチブ(MIT Energy Initiative)との提携によって実施され、C3Eの目標が米国内で意義のある活動に結び付くよう意図したものである。米国によるC3E計画は、①大使(クリーンエネルギー分野における女性の活躍支援に関心を持ち、C3Eの目標の主唱者として行動する優れた上級専門家が「大使」として活躍する)、②表彰プログラム(クリーンエネルギー分野における女性のリーダーシップや才能の進展で優れた個人を表彰する)、③シンポジウム(本件に関するシンポジウムを本年9月28日に開催する)、の3部構成となっている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy and the MIT Energy Initiative Announce a Women in Clean Energy Program for United States” (4/26/12)

世界最大の癌ゲノムデータベースが始動

カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz: UCSC)の研究者は5月1日、世界最大規模となる癌ゲノムデータベース「癌ゲノムハブ(Cancer Genomics Hub: CGHub)」を発表した。CGハブには国立癌研究所(National Cancer Institute: NCI)による「癌ゲノム・アトラス(The Cancer Genome Atlas: TCGA、20種の癌患者1万人を対象に、一般細胞と癌細胞のDNA配列を決定する大規模な取り組み)」から得られるシークエンシング・データや、NCIの小児癌及びHIV関連の癌のゲノム事業から得られるデータが収納される。CGハブのコンピューターシステムはサンディエゴ・スーパーコンピュータ・センター(San Diego Supercomputer Center)に設置され、癌患者のDNA及びRNAデータを5ペタバイド貯蔵する能力を有している。 Science Insider “World’s Largest Hub for Cancer Genomes Opens” (5/1/12)

日米研究チームがメタンハイドレート生産技術の現地試験を完了

エネルギー省のスティーブン・チュウ長官(Steven Chu)は5月2日、アラスカ州ノーススロープで行われていた現地試験が完了し、メタンハイドレート層から安定した天然ガス抽出を行うことに成功したと発表した。この小規模試験の成功を受け、エネルギー省は次の段階として、①北極やメキシコ湾岸などにおけるメタンハイドレート層について、場所の特定や特徴づけ、安全な天然ガス抽出を行うための技術研究に650万ドルを提供すること(2012年度)、②2013年度予算案で、国内外の提携機関と共にガス水和物に関する研究を進めるために500万ドルの予算を請求していること、を発表した。アラスカでの試験は、エネルギー省とコノコフィリップス社(ConocoPhillips)、日本の石油天然ガス・金属鉱物資源機構が提携し、コノコフィリップス社とノルウェーのベルゲン大学(University of Bergen)による共同研究を通じて開発された独自技術を使ってメタンハイドレート層から天然ガスを抽出する試験が実施された。 Department of Energy “U.S. and Japan Complete Successful Field Trial of Methane Hydrate Production Technologies” (5/2/12)

米国科学アカデミー(NAS)、新メンバー選出

米国科学アカデミー(National Academy of Sciences: NAS)は米国内で最も名誉のある科学社会であるが、その一方で「高齢の白人男性社会」とのイメージもある。そのNASが5月1日、若手かつ多様な新メンバーを発表し、イメージの転換を図った。今年選出された84名の新メンバーのうち26名が女性で、この数は過去最高である2005年の19名を大きく上回る。また、新メンバーの平均年齢も3.5歳下がり58歳となった。新メンバーの数自体も過去最高(昨年よりも12名多い)で、それがメンバー多様化の一因ともなっている。こうした多様化を象徴する新メンバーの一人に、庄小威氏(Xiaowei Zhuang)がいる。同氏は、40歳でハーバード大学(Harvard University)の教授、ハワード医療研究所(Howard Medical Institution)の研究員であり、多くの科学的賞を受賞している。 Science Insider “U.S. National Academy Gives Itself a Facelift” (5/1/12)

エネルギー省、北米炭素貯蔵地図を発表

エネルギー省(Department of Energy: DOE)は5月1日、カナダとメキシコのエネルギー関連省と共に、北米における潜在的な二酸化炭素貯蔵能力をまとめた初の地図、「北米炭素貯蔵地図(North American Carbon Storage Atlas: NACSA)」を発表した。NACSAによれば、北米には二酸化炭素排出の地質学的貯蔵能力が少なくとも500年分あるという。また、NACSAでは約2,250の二酸化炭素大型固定汚染源が存在することが明らかになっている。大規模な固定汚染源の場所と、様々な地質学的貯蔵の可能性がある場所を文書化することは、潜在的な炭素捕獲・活用・貯蔵(carbon capture, utilization and storage: CCUS)プロジェクトの利点や機会を定量化する上で有益となる。UACSAは紙版の地図の他にウェブサイトやオンライン・ビューアー(online viewer)も立ち上げている。 Department of Energy “Energy Department Announces New Mapping Initiative to Advance North American Carbon Storage Efforts” (5/1/12)

UCS、100万ドルの寄付を基に健全科学政策センター新設へ

懸念する科学者(Union of Concerned Scientists: UCS)は、物理学者で元IBM社副社長のルイス・ブランスコン氏(Lewis Branscomb)から100万ドルの寄付を受け、科学・民主主義センター(Center for Science and Democracy)を設立する。同センター(5月17日稼動開始予定)の狙いは、連邦科学における政治的影響の阻止し、米国政策が健全な科学的証拠に基づくものとなるよう推進することである。センターでは今後、教育者や宗教的指導者、経営者など科学コミュニティ外部の講演者を招いて統治における科学の重要性について講義を依頼する他、毎年2~3回のフォーラムを行う予定である。ただし、政治における科学的健全性を推進するUCSの活動については、「議論の党派的面を強調させることが多い」と批判的な声も上がっている。 Nature News Blog “Sound science policy center gets a million-dollar boost” (4/30/12)