欧州のがん克服計画:欧州癌画像イニシアチブを開始

欧州委員会(European Commission)は1月23日、「欧州癌画像イニシアチブ(European Cancer Imaging Initiative)」を開始した。同イニシアチブは、医療提供者、研究所、イノベーターが、癌治療及びケアのための革新的なデータ主導型ソリューションを最大限に活用できるよう支援するもので、「欧州の癌克服計画(Europe’s Beating Cancer Plan)」の代表的なイニシアチブとなる。欧州連合(European Union: EU)内の癌画像データの資源及びデータベースをリンクさせ、デジタルインフラを創出することを目指しつつ、高い倫理基準の維持、個人データに関する信頼性、セキュリティ、保護を確実にする。欧州癌画像イニシアチブの始動と、「癌画像のための欧州連盟(EUropean Federation for CAncer IMages: EUCAIM)」プロジェクトと「医療のためのAI試験・実験施設(AI Testing and Experimentation Facility for Health: TEF-Health)」プロジェクトにより、2023年12月までに欧州全体のデジタルインフラ設計が完了し、協力のメカニズムが確立される見込みである。 European Commission “Europe’s Beating Cancer Plan: Launch of the European Cancer Imaging Initiative” (1/23/23)

エネルギー省、バイオ対策準備研究に1億500万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は1月25日、バイオ対策準備(biopreparedoness)の研究に1億500万ドルを提供すると発表した。エネルギー省の科学局(Office of Science)による資金提供で、「バイオ準備対策研究バーチャル環境(BIopreparedoness Research Virtual Environment: BRaVE)」イニシアチブに資するため、基礎研究によるブレイクスルーの加速を支援する。BRaVEは、エネルギー省のバイオ対策準備及び対応戦略を可能にする根本的科学を提供するもので、新たな軽減戦略を目的としたリアルタイムでの宿主病原体の動きの解読、など5つが対象分野となる。 Department of Energy “Department of Energy Announces $105 Million for Research to Support the Biopreparedness Research Virtual Environment (BRaVE) Initiative” (1/25/23)

ランド研究所、国防総省における国際基礎研究協力について報告

ランド研究所(Rand Corporation)は今般、「国防総省における国際基礎研究協力(International Basic Research Collaboration at the U.S. Department of Defense)」と題する報告書を発表した。これは、戦略的競合者の研究の強みや慣行を巡る懸念に対応する形で、国防次官室(研究・工学担当)(Office of the Under Secretary of Defense for Research and Engineering)の基礎研究局(Basic Research Office)がランド国防研究所(RAND National Defense Research Institute)に対し、国防総省(Department of Defense)における国際基礎研究協力(international basic research collaboration: IBRC)へのアプローチについて調査し、IBRCの活用を向上させる策の検討を要請して作成されたもの。IBRCには、「技術面での突然の脅威を削減できる」「パートナーや同盟国の投資を活用できる」といった利点がある。戦略的考慮によって一部の協力の科学的恩恵は増減されるが、IBRCに参加しないことは、機会の損失という代償をもたらすだろう。こうした上で、報告書は、「国防総省の研究資金提供者及び内部研究者が、国際協力を特定、評価、確立、実施する助けとなるよう、知識管理ツールを提供する」 などの改善策を提案している。 RAND Corporation “International Basic Research Collaboration at the U.S. Department of Defense” (January 2023)

エネルギー省、次世代電池・エネルギー貯留研究に1億2,500万ドルを拠出

エネルギー省(Department of Energy)は1月26日、充電式電池の基礎研究に1億2,500万ドル(4年間)を提供する資金提供公募(FOA)を発表した。費用対効果が高くクリーンなエネルギー資源の開発と導入を通じて米国のエネルギー・システムを変革及び脱炭素化するのに必要な基礎的知識を提供することが目的である。将来的な使用のために電力を持続可能な形で貯留する能力は、消費者家電から電気自動車に至るまでの多くの技術にとって重要である。現在、リチウムイオン電池や鉛蓄電池が主流であるが、これらには技術的限界がある。今回のFOAによって支援されるエネルギー・イノベーション・ハブ(Energy Innovation Hub)プロジェクトは、新たな電池化学、マテリアル、アーキテクチャーの発見と科学的探索を加速させ、いずれは輸送と電力グリッドに導入されるエネルギー貯留技術の変革へとつながると期待されている。 Department of Energy “Department of Energy Announces $125 Million for Research to Enable Next-Generation Batteries and Energy Storage” (1/26/23)

テキサス大学、AI分野での大規模オンライン修士号プログラムを提供へ

米国内有数のコンピュータ科学大学であるテキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)は、1月26日、人工知能(AI)の分野で大規模かつ低コストのオンライン理学修士号課程(online Master of Science degree program)の開始に取り組んでいると発表した。マイクロソフト社(Microsoft)などの大手技術企業はAIへ数十億ドルの投資を急いでおり、新たなプログラムは、AI労働力の迅速な拡大の一助となる可能性がある。一部の大手技術企業は、数年間の急速な成長を経た後、労働者の削減を実施しているが、AI分野の雇用は力強い成長が期待されている。テキサス大学オースティン校の幹部によれば、本プログラムは2024年春から始まり、学費や約1万ドルを計画している。この費用はAI教育をより手頃な費用で受けられるようにすることを意図したものである。対照的にジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)のオンライン理学修士号(AI)の費用は4万5,000ドル以上である。テキサス大学オースティン校の新たな理学修士号プログラムの開発資金の一部は米国科学財団(National Science Foundation: NSF)から受益した。 New York Times “University of Texas Will Offer Large-Scale Online Master’s Degree in A.I.” (1/26/23)

ITIF、「イノベーション能力で中国が米国を上回りつつある」と報告

ITイノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は1月23日、「目覚めよ、米国:イノベーション能力で中国が米国を上回りつつある(Wake Up, America: China Is Overtaking the United States in Innovation Capacity)」と題する報告書を発表した。ITIFによれば、イノベーションの主要指標や先端産業のパフォーマンスを見ると、総合的なイノベーションの総生産高で中国は米国を抜いており(2020年には中国は米国の139%)、経済の規模や人口などを考慮した比例基準でもその差が縮まりつつある(2010年に中国は米国の57.6%、2020年は同75.0%で、2035年までに中国が米国を追い抜く可能性がある)。こうした中、米国がリーダーシップを奪回するには、より戦略的かつ断固たる姿勢で対応する必要があると報告書は主張している。報告書のキーファインディングとして、①中国は、近隣のアジア強国が切り開いた道筋を追従する形で、イミテーター(模倣者)からイノベーターへと進化しつつある、②中国のイノベーション潜在能力は、高付加価値の先端業界において、米国及び同盟国の市場シェアを脅かしている、などが挙げられている。 Information Technology & Innovation Foundation “Wake Up, America: China Is Overtaking the United States in Innovation Capacity” (1/23/23)

NCSES、新型コロナが雇用や収入、職業上の関与に及ぼした影響に関する調査結果を発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、2021年における米国内の大学卒業者(大卒者)の数は約6,860万人で、約6,800万人が何らかの職を持った経験があり、その約5,200万人が現在雇用され、1,600万人が雇用されていない。雇用されている大卒者の数は2019年から2021年の間に120万人(2.5%)増加したが、雇用されていない同者数は250万人(17.9%)増加した。雇用されていない者の大幅な増加は、新型コロナのパンデミックの時期と一致しており、大卒者の労働市場における重要な変化を示す。NCSESの記事は、米国内の大卒者による被雇用状況及び「働いていない理由」、収入と給与、職業上の関与(自分の職業に関連する訓練を受けたり、会議に出席するなどの経験)について報告している。 National Center for Science and Engineering Statistics “Effects of the COVID-19 Pandemic on Employment, Earnings, and Professional Engagement: New Insights from the 2021 National Survey of College Graduates” (1/27/23)

NCSES:米国在住の博士号取得科学者・工学者、新型コロナのパンデミックによる一定の影響を報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、2021年には、米国の学術機関で取得した科学・工学・医療(science, engineering, or health: SEH)の研究博士号を保有する人口は、世界で118万5,750名(試算)であった。これは、2019年から3万6,950名(3.2%)の増加であった。このグループの中で102万3,650名(86.3%)が米国内に居住し(2019年から1.5%増)、16万2,100名が海外に居住(同15.9%増)している。新型コロナのパンデミックは、世界中で、物理的、心理的、経済的困難をもたらしているが、こうしたパンデミック関連の困難さは、教育水準などの人口動態的特性別のグループで見ると、必ずしも均等ではない。例えば、多少の例外はあるが、新型コロナ関連の影響による雇用の混乱の規模は、大学卒業者に比べると、米国で博士号を取得した者の間では「緩やか」と特徴づけることができる。米国で博士号を取得した科学者・工学者で、米国に居住している人々の失業率は、2019年は1.4%、2021年は1.6%と試算されている。これに比べ、米国在住の大学卒業者の失業率は、2019年の2.5%から2021年は4.5%に悪化した。更に米国明全体では、失業率は2019年の3.8%から2021年は6.2%に悪化した。 National Center for Science and Engineering Statistics “U.S. Residing Doctoral Scientists and Engineers Report Modest Professional Impacts from the Coronavirus Pandemic: Findings from the 2021 Survey of Doctorate Recipients” (1/27/23)

エネルギー省、拠点ベースの地域イノベーションの強化と促進に関する情報を要請

エネルギー省(Department of Energy)の技術移転局(Office of Technology Transitions)と科学局(Office of Science)は1月27日、エネルギー省傘下の国立研究所やプラント、サイトを活用して拠点をベースとしたイノベーション活動を強化するため、「情報の要請(request for information: RFI)」を合同で発表した。数十年間にわたり、エネルギー省傘下の国立研究所やプラント、サイトは、地元及び世界の経済成長を促進するイノベーションを触発してきた。これらの革新的なパワーハウスから新規のビジネスや良好賃金の雇用、生活水準の向上、環境の持続可能性が生まれている。エネルギー省は、国立研究所のシステムを活用しながら地域のエコシステムを推進、強化するイニシアチブが、どのようにして米国イノベーションの新たな波や経済的繁栄の動力となり得るか、という点について見解を収集することに関心を持っている。 Department of Energy ” DOE Announces a Request for Information to Strengthen and Catalyze Place-Based Regional Innovation” (1/27/23)

国防総省、中小企業戦略を発表

国防総省(Department of Defense)は1月26日、中小企業戦略(Small Business Strategy)を発表した。同戦略は、市場参入の障壁を削減することに焦点を当て、特別に確保されている競争を強化し、産業基盤を成長させるプログラムを活用することで、力強く、ダイナミックで頑強な中小企業産業基盤を推進する。中小企業支援を強化する国防総省の努力の一環として、中小企業戦略は、業界との関与を強化することに重点が置かれ、これには多くのツールや資源の提供が含まれる。こうした関与や訓練の取り組みは、全国に96件ある国防総省のAPEXアクセラレータ(APEX Accelerator)によって促進される。APEXアクセラレータ(旧称「調達技術援助センター(Procurement Technical Assistance Center)」)は、中小企業が準備態勢を強化し、国防総省と事業を行う機会を得られるよう支援し、国防市場への参入を加速させるための資源として機能している。 Department of Defense “DoD Releases Small Business Strategy” (1/26/23)