「国立点火施設により米国は世界のIFE研究を主導する独自の機会を得た」との報告

最近発表された報告書「慣性核融合エネルギー(inertial fusion energy: IFE)の基礎研究ニーズ(IFE Basic Research Needs)」によれば、ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)の国立点火施設(National Ignition Facility: NIF)における昨年12月5日の歴史的な核融合の点火により、米国は、未来のクリーンエネルギーとしての核融合開発を追求する取り組みにおいて、世界の科学コミュニティを更に先導する「独自の機会」を得た。この機会を活用するには、頑強で早急なペースでのIFE研究プログラムが必要で、こうしたプログラムは産官学の取り組みを調整して行われるべきとしている。今回発表された報告書は、エネルギー省(Department of Energy)の科学局(Office of Science)がスポンサーとなって作成されたもので、昨年6月に行われた3日間のワークショップと、専門家委員会による数か月間の取り組みの結果としてまとめられた。 Lawrence Livermore National Laboratory “Ignition gives U.S. ‘unique opportunity’ to lead world’s IFE research” (2/6/23)

国土安全保障省が米国地球変動研究プログラムに参加

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)長官で大統領補佐官(科学技術)(Assistant to the President for Science and Technology)のアラティ・プラバカー氏(Arati Prabhakar)氏は2月9日、米国地球変動研究プログラム(U.S. Global Change Research Program: USGCRP)の14番目のメンバーとして国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)が参加したことを発表した。ほぼ20年ぶりの新メンバーとなる。USGCRPは、地球の環境を形成するもの(人為的及び自然の双方)及びそれらが社会に及ぼす影響について理解するため、連邦研究並びに投資を調整する。DHSは、頻繁に発生しつつある自然災害への準備及び対応における経験を含め、重要な洞察や観点をUSGCRPへもたらす。USGRPは199年地球変動研究法(Global Change Research Act of 1990)によって設立され、OSTPの下で運用されている。 White House “Department of Homeland Security Joins the U.S. Global Change Research Program” (2/9/23)

NASA、アイデアやソリューション調達のための新たな枠組みを開始

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)の調達局(Office of Procurement)は、「NASA調達イノベーション・ローンチパッド(NASA Acquisition Innovation Launchpad: NAIL)」を立ち上げた。多様な価値観からイノベーションを奨励し、リーチを拡大し、障害を排除し、最終的にNASAの目標に到達、更にはそれを上回ることにつながるアイデアとソリューションの調達を模索する。質問やアイデアの提出は、順次受け付けられる。「この新たな枠組みは、NASAの調達活動を合理化する一歩であり、我々は、労働力や業界からのコメントを期待している」と、NASAのパム・メルロイ副長官(Pam Melroy)(Deputy Administrator)は言う。NAILの枠組みは、革新的な調達技法とスマートなプログラム管理ツールを促進することを意図したものである。NASAはまた、NAILを活用し、公共のフォーカス・グループや業界のフィードバックを通じて業界の見解との間をつなぐ橋を構築することを狙いとしている。 National Aeronautics and Space Administration “NASA Launches New Framework for Procurement Ideas, Solutions” (2/9/23)

ブルッキングス、研究大学の地域へのインパクトを検証

ブルッキングス研究所(Brookings Institution)は2月9日、「研究大学はどのようにして地域経済を強化する形へと進化していくのか:より良い再建・地域チャレンジからのケーススタディ(How research universities are evolving to strengthen regional economies: Case studies from the Build Back Better Regional Challenge)」と題する論文を発表した。大地域経済圏には優れた研究大学があるが、その逆は常に真実とは限らない。その理由は、大学の研究と、商業化ならびにより広範な地域開発の間の結びつきは、自動的なものでもなければ直接的なものでもないからである。本報告書は、商務省(Department of Commerce)の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)による「より良い再建・地域チャレンジ(Build Back Better Regional Challenge)」プログラム(10億ドル)を基に、研究大学が先導する最も有望な多系統型経済戦略について分析したものである。その考察点として、①研究大学による地域経済への影響は、周囲を取り巻く産業や地域社会との関連性次第である、②連邦政府による拠点ベースの産業政策は、研究大学を地元の産業クラスター及び周囲の地域社会とを結びつけるものである、などが挙げられている。 Brookings Institution “How research universities are evolving to strengthen regional economies” (2/9/23)

エネルギー省、大型風力タービンの費用低減を目的としてマテリアルと製造に3,000万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は2月10日、風力タービンがより効率的に電力を生産できるよう、軽量複合材料を含むマテリアルのコスト効果の高い国内製造の進展を目的として、3,000万ドルの資金提供機会(FOA)を発表した。軽量複合材料のマテリアルは、より効率的な風力発電を可能にしたり、自動車の重量を軽減するなど、様々な形で排出を削減し、これらは燃費の向上につながっている。今回のFOAでは、風力エネルギー技術に関連する複合材料マテリアルの製造性と性能の強化を模索する。申請者は、①大型風力ブレードの付加製造、②ブレード以外の風力タービン・コンポーネントの付加製造、③大型風力ブレード(製造、マテリアル、持続可能性の進展)のトピック分野の一つに焦点を当てたプロジェクト案を提出する。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces $30 Million for Materials and Manufacturing to Lower Costs of Large Wind Turbines” (2/10/23)

エネルギー省、「エネルギー安全保障・イノベーション財団」を開始

エネルギー省(Department of Energy)は2月9日、エネルギー省として初となる関連財団について、一般市民及び関係者からの意見を求める「情報の要請(request for information: RFI)」を発表した。「2022年CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act of 2022)」を根拠法とする「エネルギー安全保障・イノベーション財団(Foundation for Energy Security and Innovation: FESI)」は、変革的な科学と技術ソリューションを通じて米国の継続的な安全保障と繁栄を確実にするというエネルギー省のミッションの遂行を支援する非営利組織として設立される。その鍵となる狙いは、民間部門及び慈善コミュニティとの関与によって資金を調達・投資を行い、新規または既存のエネルギー技術の商業化を加速させることである。今回のRFIでは、エネルギー省がどのようにしてFESI及びその活動対象となるコミュニティと関与していくか、関係機関がどのようにFESIと直接関与していくかについて情報を求めている。 Department of Energy ” DOE Launches Foundation for Energy Security and Innovation” (2/9/23)

DARPA選出チーム、空気と水と電気から風味のある食品を開発

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)のコルヌコピア(Cornucopia)プログラムは、空気、水、電力の3つの原材料と最小限の補充品を用いて(または補充品を全く使わずに)、微生物ベースで健康的で多様な食品を作り出すことに取り組む。この取り組みが成功すれば、兵士は遠隔地で、栄養があり食欲をそそる食品をオンデマンドで作ることができる輸送可能なシステムを活用でき、費用高で不安定な食品サプライチェーンを回避できる。コルヌコピア・プログラムの下、①ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory)がノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)などと提携するチーム、②SRIインターナショナル(SRI International)、キベルディ社(Kiverdi Inc.)などによるチーム、など合計4チームによる研究手法が選出された。現在3チームが契約を締結し、人間の主要栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂肪、食物繊維を全て含んだ微生物バイオマスの実証に取り組んでいる。 Defense Advanced Research Project Agency “Teams Begin Work to Develop Tasty Food from Air, Water, and Electricity” (2/3/23)

大統領府、メンタルヘルスに関する研究の優先事項について報告

大統領府は、今般、「メンタルヘルスの研究優先事項に関する大統領府報告(White House Report on Mental Health Research Priorities)」と題する報告書を発表した。政権全体としてのメンタルヘルス研究の重要かつタイムリーなニーズと機会を概説したもので、この種としては初めてのものである。 なお、2022年5月には、バイデン大統領が、「団結アジェンダ(Unity Agenda)」の一環として、米国におけるメンタルヘルスについて理解し、アクセスし、治療する方法を変革する戦略を発表した。加えて、各州政府が「988自殺・危機ライフライン(988 Suicide and Crisis Lifeline)」(米国の自殺防止ネットワーク)へ移行できるようにするため、約5億ドルを提供している。 White House ” White House Report on Mental Health Research Priorities” (2/7/23)

米国アカデミー、「NIST施設は、その使命や経済/国家安全保障/安全面に悪影響」と報告

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「米国標準技術局の施設の資本ニーズに関する技術評価(Technical Assessment of the Capital Facility Needs of the National Institute of Standards and Technology)」と題する報告書を発表した。報告書によれば、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)の施設は、現代化が遅れており、その状態はNISTのミッション遂行に悪影響を及ぼしている。具体的な例として、「ある一つのラボでは、毎年10~3月の低湿度によって静電気が発生し、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の温室効果ガス排出基準を順守するために使用される機器が操作不能になっている」という。報告書は、NISTの施設の現代化と持続可能性のある管理を進展させ、NISTが米国のイノベーションと競争力を進展させる測定科学・標準を提供し続けられるようにすること、NISTの専門的サービスと能力に依存する企業やその他の機関の要件に対応し続けられるようにすることを勧告している。 National Academies “Deficient Facilities Adversely Affect National Institute of Standards and Technology’s Mission, With Economic, National Security, and Safety Impacts, Says New Report” (2/7/23)

NIST、小型機器保護のための「軽量暗号」アルゴリズムを選出

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は2月7日、小型機器によって生成されるデータの保護に関して信頼できる手法を見つけるプログラムの下、アスコン(Ascon)と呼ばれる暗号アルゴリズム・グループ(ファミリー)を選出したと発表した。今年後半に「軽量暗号標準(lightweight cryptography standard)」として発表される。このアルゴリズムは、モノのインターネット(IoT)によって生成、移送される情報を保護することを意図したもので、その対象には、無数の小型センサーやアクチュエーターの他、埋め込み式医療機器、道路や橋の内部に設置されるストレス検知器などの小型技術も含まれる。こうした機器の電子リソースは限られていることから、軽量暗号技術が求められている。現在、アスコン・ファミリーには7つの種類があり、その一部または全部が、NISTが発表する軽量暗号標準の一部となる可能性がある。 National Institute of Standards and Technology “NIST Selects ‘Lightweight Cryptography’ Algorithms to Protect Small Devices” (2/7/23)