アイダホ国立研究所、マイクロ原子炉の米国市場を分析

アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory: INL)が発表した報告書「米国市場におけるマイクロ原子炉の応用(Microreactor Applications in U.S. Markets)」によれば、先端原子炉の導入を模索する開発業者は、エネルギー集約産業と原子炉に優しい法を備え、広範な社会的容認がある州で、高い市場の可能性を見出すことができるという。報告書は、マイクロ原子炉の応用について、州レベルの法律、規制、経済、技術的意味合いを評価し、先端原子炉を早期に導入する可能性が高い州として、アラスカとワイオミングを挙げている。マイクロ原子炉は、小型モジュール炉の一つで、電力出力は1~10メガワット・エレクトリカル(Mwe)の範囲で、アラスカ州での水産物加工やワイオミング州での鉱業事業など、遠隔地での産業応用に適している。更に報告書は、将来の研究が必要な分野として、マイクロ原子炉に対する一般の容認または抵抗に関するより良い理解などを挙げている。 Idaho National Laboratory “NEW STUDY EXAMINES US MARKETS FOR MICROREACTORS” (5/15/23)

国防総省、機密扱いのサイバー戦略を議会へ提出

国防総省(Department of Defense)は5月26日、2023年版の機密サイバー戦略を先般議会へ提出したと発表した。また、今後数か月以内にその新たなサイバーセキュリティ手法について機密扱いでない要旨を公表する計画であるという。国防総省の報道発表によれば、2023年版の機密サイバー戦略は、2022年国防戦略で示されたサイバー空間の概念と防衛目的を実施可能にするための国防総省としての方向性を示したものである。3月にはバイデン政権の国家サイバーセキュリティ戦略が発表されており、今回の更新版のサイバー戦略の議会への提出はこれに続くものとなる。機密扱いとならない形で発表されたファクトシートによれば、国防総省の新たなサイバー戦略は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を含む実世界での経験と、「悪質なサイバー活動が米国本土に影響を及ぼす前に積極的に混乱に陥れる」という積極的防衛(defending forward)政策を通じた重要なサイバー空間活動の実施に省としての焦点が高まっているという点に基づいている。また、同盟国と共に、サイバーの対応力を構築し、国際法と国際的に認められたサイバー空間の標準への順守を奨励することで、国としての責任ある言動を促進するという「積極的な追跡活動(hunt forward operation)」を継続していく。 Nextgov “DOD Submits Classified Cyber Strategy to Congress” (5/26/23)

米政府、国家人工知能研究開発戦略計画2023年更新版を発表

国家科学技術会議(National Science and Technology Council: NSTC)の「人工知能に関する選出委員会(Select Committee on Artificial Intelligence)」は今般、「国家AI研究開発戦略計画 2023年更新版(National Artificial Intelligence Research and Development Strategic Plan 2023 Update)」を発表した。2016年と2019年に発表された国家AI R&D戦略計画を改定したもので、従来からの8つの戦略を再確認するとともに、「AI研究における国際協力の原則と協調的手法を確立する」という9件目の戦略が追加された。従来からの8つの戦略は、①責任あるAI研究への長期的投資、②人間とAIの共同作業のための効率的手法の確立、③AIの倫理、法律、社会的影響について理解し、対処する、④AIシステムの安全性とセキュリティを確実にする、⑤AIの訓練と試験のための共通の公的データセット及び環境を開発する、⑥規格標準とベンチマークを通じてAIシステムを測定、評価する、⑦AI R&D労働力の国家的ニーズをよりよく理解する、⑧官民パートナーシップを拡大し、AIの進展を加速させる。 Federal Networking and Information Technology Research and Development “NATIONAL ARTIFICIAL INTELLIGENCE RESEARCH AND DEVELOPMENT STRATEGIC PLAN 2023 UPDATE” (5/23/23)

国防総省科学技術総局、遠隔アイデンティティ検証技術実証チャレンジのトラック2を発表

国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の科学技術総局(Science and Technology Directorate: S&T)は、「遠隔アイデンティティ検証技術実証(Remote Identity Validation Technology Demonstration: RIVTD)」チャレンジのトラック2(Track 2)の開始を発表した。輸送安全保障局(Transportation Security Administration: TSA)、国土安全保障捜査法医学研究所(Homeland Security Investigations Forensic Laboratory)、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)とのパートナーシップによって実施されるRIVTDは、アイデンティティを示す文書が正当であることを検証するための技術や、自撮りの写真が本人であることを確認するための技術などを評価する一連の技術チャレンジである。トラック2では、IDの文書と自撮りの写真を比較し、詐欺を検知するソフトウェアの能力を評価することに焦点が当てられる。RIVTDの各トラックの目標は、業界が、よりセキュアで正確で利用しやすい技術を開発できるようにすること、現実的で高度な攻撃に対して客観的なパフォーマンス測定を行えるようになること、商業・政府での応用において、これらの技術の総合的な性能やリスク、公平性などに関する質問に回答できるようにすることなどである。 Department of Homeland Security ” News Release: DHS S&T Announces Track 2 of the Remote Identity Validation Tech Demo Challenge” (5/23/23)

零細企業における国内R&D活動は2018年から2020年の間に24%増加

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、国内の零細企業(従業員が10名未満)は2020年に56億ドルの研究開発(R&D)を実施した。これらの企業はまた、他の機関による国内のR&D活動に11億ドルを提供した。零細企業によるR&D活動は、2018年の45億ドルから2020年には56億ドルとなり、24%増加した。製造業における零細企業のR&D活動は同期間に13%増加し、非製造業における国内R&Dは25%の増加となった。 National Center for Science and Engineering Statistics “Among Microbusinesses, Domestic R&D Performance Increased by 24% from 2018 to 2020” (5/24/23)

国立エネルギー技術研究所、商業天然ガス発電技術の柔軟性の特性に関するベースライン調査報告を発表

国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)は今般、「化石エネルギー発電所の費用と性能に関するベースライン 第5版:柔軟な運用のための天然ガス発電ユニット(Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Plants, Volume 5: Natural Gas Electricity Generating Units for Flexible Operation)」と題する報告書を発表した。エネルギー・システムの設計者によるデータの必要性に対処し、研究開発のためのベースラインとなることを目的として、9件の一般的な商業天然ガス発電ユニットについて、性能と費用の双方の柔軟性の特性をまとめた報告書である。低炭素の再生可能発電資源(風力やソーラーなど)の断続的なアウトプットは、グリッドの安定性や信頼性に課題をもたらしている。現在、再生可能資源によるアウトプットが削減している間は、信頼性の高いオンデマンドの電力を提供するために化石燃料型の発電技術が使用されている。再生可能資源による発電が増大する中、需給調整型(dispatchable)の発電機が必要とされている。報告書の共同執筆者は、「既存の石炭火力発電所は、負荷追従型資源としての依存度が高まりつつあるが、断続的な再生可能資源発電を追従する上では現行の天然ガス技術の方がより優れている」と述べる。 National Energy Technology Laboratory “NETL PUBLISHES NEW BASELINE STUDY REPORT ON THE FLEXIBILITY ATTRIBUTES OF COMMERCIAL NATURAL GAS POWER GENERATION TECHNOLOGIES” (5/30/23)

国防総省、革新的技術の調達及び導入を加速させる試験的プログラムの第2次受益プロジェクトを発表

国防総省(Department of Defense)は5月22日、「革新的技術の調達と導入の加速(Accelerate the Procurement and Fielding of Innovative Technologies: APFIT)」と題する試験的プログラムを通じて、資金を受益する第2次プロジェクトを発表した。APFIT試験的プログラムの目的は、技術の開発から生産まで迅速に移行させ、兵士がそれらの技術を導入することを加速させることである。APFITの資金提供は、戦いに勝利する戦闘能力の実現を、当初の予定よりも1~2年早めていると同時に、中小企業や非伝統的国防開発能力への投資を通じて米国の産業基盤への寄与にもつながっている。APFITは、2022年度国防授権法(National Defense Authorization Act of FY22)によって、兵士の需要に合致するものの、導入のための必要資金に欠けている革新的技術・製品や成熟技術・製品のための競争的でメリットベースのプログラムとして確立された。2022年度には1億ドルの予算が充当され、10件の国防総省プログラムが各1,000万ドルを受益した。議会は2023年度のAPFIT予算として1億5,000万ドルの予算を充当しており、11の国防総省プログラム局が資金を受益した。プログラム局はこれらの資金を使って革新的技術の調達に取り組む。 Department of Defense “DoD Announces Second Set of Projects to Receive Funding From the Pilot Program to Accelerate the Procurement and Fielding of Innovative Technologies (APFIT)” (5/22/23)

国防総省、将来の紛争につながる社会政治的要素に関する学術的研究に1,800万ドルを提供

国防総省(Department of Defense)は、特に米国の国家安全保障に関連するトピックの社会的及び行動的科学に関する基礎研究を支援する「ミネルバ研究イニシアチブ(Minerva Research Initiative)」の下、11の大学ベースの教員チームに、1,800万ドルのグラントを提供する。「我々が住む動的な世界で直面している課題の多くは、社会的なものか、社会的要素を備えたものである」と、国防総省の高官は語る。ミネルバ研究イニシアチブは、教員研究者ネットワークを通じて、社会科学コミュニティに強い結びつきを構築し、国家防衛戦略(National Defense Strategy)で確立された優先事項をガイドとしながら、国防総省が将来の課題についてより良い理解と準備を得られるよう支援する。選出されたプロジェクトは、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)のマリエル・ボロウィッツ教員(Mariel Borowitz)を主任研究員とし、将来の活動状況における抑止力をトピックとする研究など合計11件。 Department of Defense “DoD Awards $18 Million for Academic Research on the Socio-Political Drivers of Future Conflict” (5/26/23)

バイデン政権、人工知能の責任ある研究開発導入の進展を目的とした新たなステップ

バイデン政権は5月23日、個人の権利と安全を守り、米国民のための成果をもたらす人工知能(AI)の責任ある研究開発及び導入を進展させる新たな取り組みを発表した。今回の発表に含まれたものは次の通り。①連邦投資の焦点をAIの研究開発に当てるためのロードマップ更新版。大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は、「国家AI研究開発戦略的計画(National AI R&D Strategic Plan)」を発表した。これは2019年以来の更新版である。②重要なAI問題に関する一般からの意見の要請。OSTPは、AIリスクの軽減、個人の権利と安全の保護、AIを生活向上に役立てるための国家的優先事項について意見を模索している。③教育におけるAIに関連したリスクと機会に関する新たな報告書。教育省(Department of Education)の教育技術局(Office of Educational Technology)が、「AI及び指導と学習の未来:見解と勧告(Artificial Intelligence (AI) and the Future of Teaching and Learning: Insights and Recommendations)」を発表した。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Takes New Steps to Advance Responsible Artificial Intelligence Research, Development, and Deployment” (5/23/23)

エネルギー省、非営利組織のビルのエネルギー効率向上に4,500万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は5月24日、「米国の非営利の更新(Renew America’s Nonprofits)」グラントへの応募受付を開始したと発表した。これは、501(c)(3)に認定されている非営利組織が所有、運営するビルでの消費エネルギーを削減するプロジェクトを支援する資金提供機会(FOA)である。超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)からの資金拠出を受けて競争的に実施される。「米国の非営利の更新」グラントは、非営利組織の関係機関の間のパートナーシップを創出する重要な機会で、これによって同部門における広範なエネルギー改良を促進する。この資金へのアクセスを模索する非営利組織の技術的及び事務的能力を強化するため、エネルギー省は、集合的モデルを採用する。このモデルの下、適格のプロジェクトを見つけ、技術的援助を提供する役割を担うことに関心がある非営利組織を対象に、「プライム受益者(Prime recipient)」として5~15件の大型グラントを提供する。プライム受益者は、他の非営利組織の施設におけるエネルギー効率プロジェクトのグループを編成し、支援する。こうした「非営利組織が非営利組織を支援する」モデルは、エネルギー及び費用節約プロジェクトのパイプラインの土台を構築することを意図したもので、グラントの期間を過ぎても影響が続くことが期待されている。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $45 Million to Improve Energy Efficiency for Nonprofit Buildings” (5/24/23)