バイデン政権、完全性の高い任意炭素市場に関する新たな原則を発表

米国の歴史的な気候目標を達成する上で必要な投資を促進する野心的な行動にコミットしているバイデン政権は、そのコミットメントの一環として、5月28日、「任意の炭素市場に関する合同政策声明及び原則(Voluntary Carbon Markets Joint Policy Statement and Principles)」を発表した。これは、完全性の高い任意の炭素市場(Voluntary Carbon Markets: VCMs)を進展させるための米政府のアプローチを成文化したものである。財務省(Department of Treasury)、農務省(Agriculture)、エネルギー省(Energy)の各長官や、ジョン・ポデスタ上級補佐官(国際気候政策担当)(John Podesta)(Senior Advisor for International Climate Policy)などの高官が共同署名した原則及び声明で、明確なインセンティブとガードレールを実施することで、野心的かつ信用性の高い気候行動を促進し、経済機会を創出することを確実にしながら、VCMの責任ある開発を進展させることへの米政府のコミットメントを示す。政府が示した「VCMへの責任ある参加」の原則には、①炭素クレジット及びそれを生み出す活動は、大気の完全性に関する信頼性の高い基準に合致し、真の脱炭素を示すものであること、②クレジットを生み出す活動は、環境的及び社会的悪影響を避け、該当する場合は、共同の利益と透明性、包含的な利益共有を支援するものであること、③クレジットを使用する法人購入者は、自分達の価値チェーン内で測定可能な排出削減を優先付けること、など7点が挙げられている。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Announces New Principles for High-Integrity Voluntary Carbon Markets” (5/28/24)

バイデン政権、米国の電力グリッド強化を目的とした連邦=州イニシアチブを開始

バイデン政権は5月28日、「連邦=州による現代的グリッド導入イニシアチブ(Federal-State Modern Grid Deployment Initiative)」を開始し、初期参加メンバーとなる21州のコミットメントを発表した(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ワシントン、ウィスコンシンなど)。グリッド現代化における課題への対処として行われてきた米政権による立法上の成果と行政措置を基に、本イニシアチブを通じて、州や連邦事業体、電力部門の関係機関が結集し、電力部門が直面している21世紀の課題と機会に対処するグリッドが早急かつコスト効果の高い形で導入されるよう支援することを狙いとしている。イニシアチブに参加する州は、現代的なグリッドのソリューション導入を支える取り組みを優先付けることにコミットしている。また、米国気候同盟(U.S. Climate Alliance)は、イニシアチブの参加州を対象に、政策、技術、分析的な援助が用意されていることを発表し、エネルギー省(Department of Energy)は、ユーティリティ機関や政策策定者など向けに、様々なレベルの分析を支援する一連の技術援助プログラムを強化する。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Launches Federal-State Initiative to Bolster America’s Power Grid” (5/28/24)

核脅威イニシアチブ(NTI)、危機時における原子力施設に関する新たな論文を発表

世界的な危機が、民生の原子力施設に対する新たな脅威を増大的かつ集中的に呈する中、核脅威イニシアチブ(Nuclear Threat Initiative: NTI)は今般、新たな論文「危機時における原子力施設(Nuclear Facilities in Times of Crisis)」を発表した。リスク軽減のための既存の戦略を評価した上で、政府や業界、その他の関係機関が、対応力を高めるためにできる追加のステップを勧告している。論文は、軍事衝突と自然災害という2種類の危機について分析している。そして、勧告として、①軍事衝突の際に施設を保護する政治的及び法的コミットメントを確立、強化することで、原子力施設への攻撃を抑止する、②原子力施設の対応力を強化し、応答と緊急時の対応計画を改善する、③兵器に使用可能で最も危険な核マテリアルを燃料サイクルから遠ざけることで、原子力施設で勃発する可能性がある危機を抑止する、④原子力施設近隣での軍事衝突に対処するための国際行動規範を開発することで溝を塞ぎ、将来の計画を立てる、の4分野で勧告を提示している。 Nuclear Threat Initiative “NTI Releases New Paper on Nuclear Facilities in Times of Crisis” (5/23/24)

「AI時代における科学的完全性を守るには、人的説明責任と責任が必要」との論説

5月21日付けの米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表された論説において、学際的な専門家グループは、人工知能(AI)を研究に使う際は、人的な説明責任(accountability)と責任(responsibility)に関する5つの原則に従うよう要請した。それらは、①透明性のある開示と帰属、②AIによって生成されたコンテンツ及び分析の検証、③AIによって生成されたデータの文書化、④倫理と平等に関する焦点、⑤継続的な監視と監督と一般の関与、の5点。執筆者達はまた、「科学におけるAIの責任ある使用に関する戦略的評議会(Strategic Council on the Responsible Use of AI in Science)」を発足させ、技術の進展に伴い、責任とベスト・プラクティスについて、継続的なガイダンスと監督を提供するよう提案した。 National Academies “Human Accountability and Responsibility Needed to Protect Scientific Integrity in an Age of AI, Says New Editorial” (5/21/24)

EPA、2023年の「エネルギー・スター認定ビル」の上位都市を発表

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は5月22日、エネルギー・スター(ENERGY STAR)の認定を受けた商業ビル/多世帯住宅ビルの件数が最も多かった都市のリスト(2023年版)を発表した。1位はロサンゼルス市で、エネルギー・スター認定ビルが876件あった。以下、ワシントンDC(631件)、ニューヨーク(390件)、アトランタ(373件)、サンフランシスコ(368件)と続く。商業ビルが消費するエネルギーは、米国の温室効果ガス排出全体の16%を占め、年間費用は1,900億ドル以上。一般的なビルと比べて、エネルギー・スターの認定を取得したビルのエネルギー消費は平均35%少なく、二酸化炭素の排出も35%少ない。EPAは、エネルギー・スター認定ビルの件数に基づく都市の順位を示した年間リストを2009年から毎年発表している。 Environmental Protection Agency “EPA Names Top Cities for ENERGY STAR Certified Buildings in 2023″ (5/22/24)

ミネソタ州、2040年までに100%炭素フリー電力基準という目標達成を目指す

ミネソタ州議会で最近、許認可改正に関する重要な一連の条項が盛り込まれた法案可決され、ティム・ワルツ知事(Tim Walz)の署名を受けて法制化される見通しとなった。これは、クリーン・エネルギー業界、ユーティリティ機関、州当局、規制担当者、環境非営利組織が、州内のエネルギー許認可プロセスの改良に向けて9カ月にわたって行なってきた取り組みの成果である。ミネソタ・エネルギー・インフラ許認可法(Minnesota Energy Infrastructure Permitting Act)により、州内の大規模エネルギー・プロジェクトの許認可承認を責務とするミネソタ公益事業委員会(Mionnesota Public Utilities Commission: MN PUC)の許認可プロセスについて、冗長性を削減し、効率性の大幅な強化を目的とした重要な変更が実施される。同州政府は昨年、2040年までに公益事業の顧客向け小売販売の100%を、炭素フリー資源から調達もしくは購入すること、2035年までにその55%は再生可能資源とすることを義務付ける法律を制定した。 American Clean Power “Minnesota Governor to Sign Energy Infrastructure Permitting Act into Law, Delivering Essential Reforms to Meet State’s 2040 100% Carbon-Free Electricity Standard” (5/20/24)

商務省、半導体用ガラス基板技術開発支援のため、アブソリックス社との予備的規約を発表

5月23日、商務省(Department of Commerce: DOC)は、米国の技術リーダーシップを進展させる一助として、CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act)の下、韓国企業のSKC社の関連会社であるアブソリックス社(Absolics)との間で、最高7,500万ドルの直接資金を提供する、拘束力のない予備的規約覚書(preliminary memorandum of terms: PMT)を交わしたことを発表した。このCHIPS投資を通じて、ジョージア州コビントンにおける12万平方フィートの施設建設と、半導体の先端梱包に使用される基板技術の開発を支援する。アブソリックス社との間の投資提案は、新たな先端マテリアルの製造によって半導体サプライチェーンを支援する商業施設へのCHIPS投資としては、初めてとなる。本件は、コビントンで、1,000人(試算)の建設雇用と、約200人の製造及び研究開発雇用を支え、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)のイノベーション能力を強化し、地元の半導体人材パイプラインを支えることが期待されている。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces Preliminary Terms with Absolics to Support Development of Glass Substrate Technology for Semiconductor Advanced Packaging” (5/23/24)

DIUと国防総省のミッション・パートナー、5Gの干渉問題で協力

国防総省(Department of Defense)の活動は、衛星通信(satellite communications: SATCOM)システムの信頼性と有効性に大きく依存している。しかし、5G無線技術の世界的な通信インフラへの統合は、大きな試練を呈している。SATCOMの機器が使用している帯域幅はしばしば5G無線周波数スペクトルと大幅に重複し、それがSATCOMの受信信号の品質と信頼性に悪影響をもたらすことがあるためである。5G技術が世界の多くの地域で急速に普及しつつある中、本問題は特に顕著になっている。今般、アイダイレクト・ガバメント社(iDirect Government)が、同社の5G同一チャンネルの軽減能力のプロトタイプ化を行うべく、採択された。5Gの干渉を無効化することを目的としたこのイニシアチブでその有効性が証明されたら、広範な無線周波数の干渉問題対策として、大幅なブレイクスルーをもたらす前兆となると期待されている。 Defense Innovation Unit “Defense Innovation Unit, DoD Mission Partners Join Forces To Combat 5G Interference Challenges” (5/21/24)

IARPA、無限に生成される波形に関する情報の要請

情報高等研究開発活動(Intelligence Advanced Research Projects Activity: IARPA)は5月24日、「無限に生成される波形(Endless Generative (End-Gen) Waveforms)」と題する情報の要請(Request for Information: RFI)を発表した。様々な伝播媒体で通信波形を任意に生成できる方法論について、関係機関からの情報を模索している。ポイント・トゥ・ポイントの通信は、様々な異なる目的において、無数のミッション空間の中核となるものである。現在、多くの通信チャンネルは、平均的な伝播媒体の需要に対応することを意図した固定波形を使用している。こうした波形の静的な性質は、伝播媒体の時間的空間的変動を考慮すると、通信チャンネルの安定性にとって不利となる場合がある。こうしたことから、オンデマンドで波形を生成できる通信枠組みは極めて魅力的となる。 Intelligence Advanced Research Projects Activity “ENDLESS GENERATIVE (END-GEN) WAVEFORMS RFI” (5/24/24)

米国のR&D活動資金、企業拠出が大半

米国科学審議会(National Science Board: NSB)が5月21日に発表した「研究開発:米国のトレンドと国際比較(Research and Development: U.S. Trends and International Comparisons)」によれば、米国は研究及び実験的開発(R&D)の最大の実施者で、R&Dの国内総支出は8,060億ドル(2021年)となっている。次いで、中国(6,680億ドル)である。米国におけるR&D資金全体は急増しているが、連邦政府が資金提供する基礎研究の割合は過去10年間に下落した。米国のR&Dに占める企業支出の割合は1980年代に連邦支出を上回り、現在は、米国のR&D活動の支配的存在となっている。企業によるR&D支出は6,930億ドル(試算)で、米国のR&D全体に占める割合は78%であった(2022年)。企業投資のほぼ80%は、実験的開発である。この報告は、NSBのガイダンスの下で米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)が作成している科学工学指標(Science and Engineering Indicators)(2024年版)の一部。 National Science Foundation “New report shows that business R&D funding dominates the U.S. R&D enterprise” (5/21/24)