バイデン政権、9件目となるオフショア風力プロジェクトを承認

内務省(Department of the Interior)は7月2日、アトランティック・ショア・サウス(Atlantic Shores South)オフショア風力エネルギー・プロジェクトを承認したと発表した。バイデン大統領のリーダーシップの下で承認された米国の商業規模のオフショア風力エネルギー・プロジェクトとして9件目となる。今回の承認により、内務省は、オフショア風力エネルギー・プロジェクトによる13ギガワット以上のクリーン・エネルギーを承認したことになり、これはほぼ500万世帯の電力供給に相当する。バイデン=ハリス政権の発足以来、内務省の海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management:BOEM)は4件のオフショア風力エネルギー・リースセールを実施している。また、最近は、2028年までに最大12件のリース・セールを行うスケジュールを発表した。アトランティック・ショア・サウス風力プロジェクトは、プロジェクト1及びプロジェクト2の2つの風力エネルギー施設と関連するエクスポート・ケーブルで構成されており、最大2,800メガワットの電力を生産する見通しである。 Department of Interior “Biden-Harris Administration Approves Ninth Offshore Wind Project” (7/2/24)

EPA、気候指標報告の更新版を発表

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は7月2日、第5版となる「米国における気候変動指標(Climate Change Indicators in the United States)」と題する報告書を発表した。報告書は、気候変動が人々の健康や社会、エコシステムに様々な形で増大的に影響していることを示す説得力のあるEPAの指標を複数提示している。その一例は次の通り。①地球と米国の気温-2023年は世界的に最も気温が高い一年となり、2016年は2番目に気温が高い一年となった。米国では過去数十年間に、暑い夏日がより一般的になりつつあり、夏の暑い夜は更に早いペースで増えており、夜間の冷却化が減少していることを示唆している、②米国都市部の熱波-米国内の主要都市で熱波はより頻繁に発生しつつある、③熱暑に関連する職場の死亡-1992-2022年に米国内の全産業部門で、熱暑のために986名の労働者が死亡しており、建設業界の労働者がその約34%を占めた。(記事ではこの他に、海洋温度、海洋熱波、海洋生物の分布、沿岸の洪水、山火事、生育期間、積雪、北極海の氷について記述している) Environmental Protection Agency “EPA Releases Updated Climate Indicators Report Showing How Climate Change is Impacting People’s Health and the Environment” (7/2/24)

EPA、5,000万メトリック・トンの温室効果ガス・クレジットをGM社から没収

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は7月3日、ゼネラル・モーターズ(General Motors: GM)が、EPAの普通自動車使用試験を通じて特定された過剰な二酸化炭素排出を解決するため、約5,000万メトリック・トンの温室効果ガス・クレジットを没収されることに同意したと発表した。この同意は、現在使用されているGM社の2012-2018年のモデル車約590万台から排出されている過剰な二酸化炭素を特定したEPAの調査の結果に基づくものである。EPAとGMの双方が行った試験結果は、GMの自動車による排出が、同社が当初の温室効果ガス排出の順守報告で主張していた水準より、平均して10%多いことを示した。GMのクレジット没収は、EPAによるオートモーティブ・トレンド(Automotive Trends)の次回更新時と今年後半に発表される温室効果ガス順守報告(GHG Compliance Report)に反映される。 Environmental Protection Agency “General Motors Agrees to Retire 50 million Metric Tons of Greenhouse Gas Credits to Resolve Excess Emissions from 5.9 million Vehicles” (7/3/24)

EVへの転換で予想される燃料費用の節約を州別に示した地図発表

一般的に、ガソリン自動車から全電気自動車(EV)への転換は、燃料費用の節約につながるが、その節約の可能性は州によって大きく異なる。自動車が燃料を消費すればするほど、EVへの転換による潜在的な燃料費用の節約は大きくなるが、現在は、ガソリン価格や電気価格など、その他の重要な要素も、「EVへの転換は経済的に最も合理的な判断か?」を決定する上で重要である。アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)が発表した報告書「プラグイン電気自動車の導入:米国における地元の燃料使用と温室効果ガス排出の削減(Adoption of Plug-in Electric Vehicles: Local Fuel Use and Greenhouse Gas Emissions Reductions Across the U.S.)」は、ガソリン自動車からEVに転換した場合の燃料費用の節約(試算)を郵便番号別に示している。それによれば、アイダホ州とワシントン州を筆頭に北西部地域の州が、燃料費用の節約の可能性が最も大きい。その主な理由は、電気価格が比較的低いこと、ガソリン価格が比較的高いこと、大型の自動車(ピックアップ・トラックなど)の割合が高いこと、のようである。節約の平均は、1マイル当たり0.16ドルとなる可能性がある。一方で、南部や北東部地域における潜在的な燃料費用の節約は小さい。その理由は、北東部地域は、電力価格がより高いこと、そして南東部州の一部では、ガソリン価格が低いことである。最悪の事例では、潜在的な燃料費用の節約の平均は、1マイル当たり0.06ドルとなっている。報告書は、「地域の電気価格が比較的高く、ガソリン価格が比較的低い場合、EVへの転換による全体的な経済性は縮小されるかもしれない」としている。 InsideEVs “This Map Reveals The Average EV Fuel Cost Savings Potential By State” (7/2/24)

国土安全保障省、プライバシー強化デジタル財布技術開発を支援

国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の科学技術総局(Science and Technology Directorate: S&T)は、クレデンスID(Credence ID)、ハッシュメッシュ(Hushmesh)など6社が、移民と渡航を目的として発行されるクレデンシャル(資格や認証などの情報)のデジタル版を使用する個人のプライバシーを保護する技術の開発に取り組む政府契約を受注したと発表した。これらのデジタル・クレデンシャルの使用者は、最終的に、プライバシーが強化されたデジタル財布に自分の情報を保管することができる。DHSは他の連邦機関に比べて米国の一般市民と日常的に頻繁にやり取りすることから、セキュアで部外秘となるデジタル上のやりとりを維持することは、国内居住者のプライバシーやセキュリティ、安全に大きな影響をもたらす。DHSは、プライバシー保護デジタル・クレデンシャル財布及び検証者(Privacy Preserving Digital Credential Wallets & Verifiers)の募集を通じてアワードを提供した。6社の受注金額は18万7,285ドル~19万9,960ドルとなっている。 Department of Homeland Security “News Release: Homeland Security Awards Contracts to Six Startups to Identify, Develop, and Implement Privacy-Enhancing Digital Wallets Technologies” (7/8/24)

シェブロンとコーナー・ポストに関する最高裁判決により、エネルギー投資が遅れ、訴訟が増発する可能性

クリアビュー・エネルギー・パートナーズ社(ClearView Energy Partners)によれば、米連邦最高裁が、新規の規則を巡る連邦当局の権限を制限する判決と、行政手続法(Administrative Procedure Act)の下で既存の規則を提訴できる時効を大幅に延長するという2つの判決を下したことで、エネルギー部門は不確実性に直面している。最高裁は6月28日、「ローパー・ブライト・エンタープライズ対レイモンド事件(Loper Bright Enterprises v. Raimondo)」でシェブロン・ドクトリン(Chevron doctrine)を覆し、7月1日には、「コーナー・ポスト対連邦準備制度理事会事件(Corner Post v. the Board of Governors of the Federal Reserve System)」で、「原告は、規則の影響を受けてから最大で6年以内に規則を提訴することができる(規則発効から6年以内でなく)」との判決を下した。クリアビュー社は、「不確実性は投資を抑制し、リターンを損なう可能性があるという点において、ローパー・ブライト事件の判決は、米国エネルギー・インフラそのものに大幅な影響をもたらす可能性があると考えられる」と述べた。更に、「コーナー・ポスト事件の判決は、論争を再開(もしくは延長)する手段を提供するという点において、将来の政策の流動性の振れ幅と頻度が高まる可能性があると考える」と加えた。 Utility Dive “Supreme Court’s Chevron, Corner Post decisions could delay energy investments, spur litigation: analysts” (7/2/24)

米国電力価格が再び上昇

バンク・オブ・アメリカ研究所(Bank of America Institute: BofA)の発表によれば、米国の電力価格の前年比インフレ率は5月に5.9%に達し、1月の3.8%から上昇した。BofAのアナリストが7月2日に発表した「革命の動力源(Powering the revolution)」によれば、公益事業費(電力、ガス、廃水処理、水道)は2024年初頭に1.4%減少したが、人工知能(AI)と産業の国内回帰は、この支払いの小休止が短期間で終わる可能性が高いことを示す。電気自動車とヒートポンプは消費者の電力需要を高め、産業の国内回帰とデータ・センターやAIの増加もまた、価格に上昇圧力をかけている。BofAのグローバル・リサーチ(Global Research)は、AIコンピューティングにより、2026年までに更に18~28ギガワットの発電能力が必要になると試算している。 Utility Dive “US electricity prices rise again as AI, onshoring may mean decades of power demand growth: BofA” (7/8/24)

オーク・リッジ国立研究所と日本、先端マテリアルの研究及び製造の強化を目的とした共同作業計画

オーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)と日本の国立研究開発法人物質・材料研究機構(National Institute of Materials Science: NIMS)は、「先端マテリアル研究を通じて、エネルギー効率に優れ、費用競争力があり、環境に優しい技術を日米のために実現する」ことを目標とした覚書(memorandum of understanding: MOU)を締結した。ORNLのマテリアル科学・技術部門(Materials Science and Technology Division)のYutai Kato氏は、「本件は先端マテリアル科学研究において重要な前進である」と述べ、NIMS の宝野和博理事長は、「今回のMOUを通じて先端マテリアル及び製造での共同研究の更なる発展を期待する」と述べた。ORNLを運営するUTバテル社(UT-Battelle)とNIMSの間の今回のMOUは、双方の国立研究所の間の共同作業の強化を推進することと、新たなマテリアル及び製造過程の開発を通じて、先端マテリアル及び製造分野での協力関係を築くことを意図している。 Oak Ridge National Laboratory “ORNL, Japan plan for collaboration to boost advanced materials research and manufacturing” (7/3/24)

連邦のR&D契約拠出予定額(obligations)、2022年度に1.8%増

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)の発表によれば、連邦政府による2022年度の研究開発(research and experimental development: R&D)の交付決定予算(obligations)(以下、「予算」)は合計1,904億ドルで、2021年度の1,896億ドルから0.4%増加した。連邦機関は、内部の実施者(連邦当局及び連邦資金を受けたR&Dセンター)と、外部の実施者(企業、高等教育機関、非営利組織、州及び地方自治体、米国以外)の双方を通じてR&D資金を拠出する。連邦機関による外部のR&D実施者への予算は1,043億ドルで前年度比2.2%であった。このうち、連邦政府のR&Dの契約の予算は合計519億ドルで、前年度の510億ドルから1.8%増加した。R&Dのグラントの予算は合計524億ドルで、前年度比2.7%増となった。連邦によるR&Dプラントの契約の予算は合計10億ドルで、前年度比23.2%増、連邦によるR&Dプラントのグラントの予算は6億2,570万ドルで、前年度比12.5%増となった。(連邦機関によるR&D及びR&Dプラントへの資金提供は、契約またはグラントによって実施される。) National Center for Science and Engineering Statistics “Federal Obligations for R&D Contracts Increase 1.8% in FY 2022; Obligations for R&D Grants Increase 2.7%” (7/1/24)

量子技術への公的資金では欧州がリード

マッキンゼー社(McKinsey)の新たな報告書「量子の優位性への手法で着実な進展(Steady progress in approaching the quantum advantage)」によれば、量子技術への民間投資は減少している一方、公的投資は急増している。2023年には、スタートアップに17億1,000万ドルが民間から投資された。これは過去最高だった2022年の23億5,000万ドルから27%の減少となる。対照的に、公的投資は前年から50%以上増加し、量子技術への投資全体のほぼ3分の1を占めた。ドイツ、英国、韓国を中心に、量子技術への大幅な新投資が発表されており、公的資金投資額はこれまでのところ420億ドル前後となっている。更に、本報告書は、量子技術開発に一貫した需要があることを示しており、欧州連合(EU)内の機関の科学者が量子関連の出版論文で最も貢献している点がそれを裏付けている。欧州委員会(European Commission)は2023年10月、量子コンピューティングを4つの重要技術の一つと位置付けており、このことは将来、更なる措置が実施される可能性を残している。 HPC Wire “McKinsey Report: Europe Leads in Public Funding for Quantum Tech” (6/26/24)