エネルギー省、次世代送電インフラの開発に3,800万ドル

エネルギー省(Department of Energy)傘下のエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は11月7日、より効率的なグリッド・インフラを可能にする技術の開発に3,800万ドルを提供すると発表した。「持続可能なエネルギー実現を目的とした対応力のあるグリッド・インフラのためのディスラプティブなDCコンバーター(Disruptive DC Converters for Grid Resilient Infrastructure to Deliver Sustainable energy: DC-GRIDS)」プロジェクトは、現行のグリッドよりも優れた送電能力と柔軟性を持つ高電圧直流技術の開発を支援する。これらのシステムは、様々な電力源から、エネルギーを必要とする住宅や企業への送電ルートを変更してより早く電力供給する。DC-GRIDSプロジェクトは、多端子高電圧直流(multi-terminal high-voltage direct current: MT-HVDC)グリッドの広範な導入における現行の障害を排除することに取り組む(MT-HVDCグリッドは、オフショア電力送電の導入を加速し、電力をより効率的かつより大きな規模で移動させ、米国の3つの電力グリッドの相互接続を目指すもの)。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces $38 Million to Develop Next-Generation Transmission Infrastructure” (11/7/24)

連邦政府内のR&D活動は合計345億ドル(2022年度)

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)の発表によれば、「連邦施設研究開発(Federal Facilities Research and Development: FFRD)」アンケート調査の結果、2022年度における連邦施設での研究および実験的開発(research and experimental development: R&D)支出は345億ドルであった。これらは、連邦施設内のR&D活動に関する初の直接的なデータである(「連邦資金を受けた研究開発センター(federally funded research and development centers: FFRDCs)」は別途調査が行われており、この調査には含まれていない)。FFRD調査における345億ドルのR&D支出のうち、209億ドルは国防総省(Department of Defense)施設で実施され、136億ドルは国防総省以外の施設で実施された。連邦施設で行われたR&D活動の大半(59%。202億ドル)は実験的開発に分類され、約3分の1は応用研究(28%。96億ドル)、残りの14%は基礎研究(47億ドル)に分類される。ただし、全体的な内訳と国防総省/非国防総省施設の内訳は異なり、国防総省施設では圧倒的過半数(83%。173億ドル)が実験的開発であるのに対し、非国防総省施設ではその割合はわずか21%(29億ドル)である。また、連邦施設におけるR&D支出345億ドルを資金源別に見ると、99%に当たる341億ドルが連邦政府による資金であった。この他、連邦施設内で実施されたR&Dを学問分野に見ると、わずかに過半数(51%。176億ドル)が工学となっている(航空宇宙、バイオメディカル、化学、土木など広範なサブ分野が含まれる)。 National Center for Science and Engineering Statistics “New Survey Shows R&D Performance Within Federal Facilities Totaled $34.5 Billion in FY 2022” (11/7/24)

エネルギー省、リ・サイクル社のEV用電池マテリアル回収に4億4,500万ドルを融資

エネルギー省(Department of Energy)は11月7日、リ・サイクルUS社(Li-Cycle U.S. Inc.)に4億7,500万ドルの融資(4億4,500万ドルの元本と3,000万ドルの資本化利息)を決定したと発表した。融資は、ニューヨーク州ロチェスターにおける同社のリチウムイオン電池資源回収施設の建設資金の一助となる。同施設はこの種としては初めてのもので、建設のピーク時には約825件の建設雇用と、本格的な稼働後には200件以上の恒久的雇用が見込まれている。このプロジェクトは、リサイクルされたマテリアルの使用を通じて、年間で最高18万台のEV生産を支援する。リ・サイクル社は、リチウムイオン電池資源回収企業の世界的リーダーで、エネルギー省の融資プログラム局(Loan Program Office: LPO)を通じて行われる融資は、同社の国内事業の拡大を支援する。 Department of Energy “DOE Announces $445 Million Loan to Li-Cycle to Recover Critical Electric Vehicle Battery Materials” (11/7/24)

トランプ氏再選がインフレ低減法やオフショア風力に影響

トランプ次期大統領は9月に、「インフレ低減法(Inflation Reduction Act: IRA)を撤廃する」と述べ、5月には「就任初日に、オフショア風力開発が終了するよう大統領令を発する」と述べるなど、バイデン大統領のエネルギー政策から大幅にシフトする可能性を示唆している。しかし、「IRAに含まれているクリーンエネルギー税インセンティブは、トランプ氏のプラットフォームに概説されている2つのゴール(エネルギー自立と国内製造)を後押しする」と、先端エネルギーユナイテッド(Advanced Energy United)の連邦投資及び製造業作業部会を先導するハリー・ゴッドフレイ氏(Harry Godfrey)は分析している。同氏は更に、「戦略地政学的な経済手法に関して言うと、トランプ前政権の対中方針によって米国政策の中心は現在の位置付けにシフトした。IRAのような産業政策はこうしたシフトから発生したものであり、第2期トランプ政権においても居場所はある」と発言している。 Utility Dive “What Trump’s reelection could mean for the IRA, offshore wind” (11/6/24)

トランプ氏当選後も、クリーンエネルギー進展は続くと分析

トランプ氏の大統領再選は、気候保護及びクリーンエネルギー移行にとっては「後退」となるが、提唱者は、「クリーンエネルギー移行の勢いは続く」と予想している。そしてそれは特に地元レベルで続くと考えられている。世界資源研究所(World Resources Institute: WRI)の米国ディレクターであるダン・ラショフ氏(Dan Lashof)は、「トランプ氏の再就任によって気候危機対策や環境保護の全国的な取り組みが停滞することは間違いないが、米国の州、地方自治体、民間部門のリーダーの多くは、取り組みを前進させることにコミットしている」と述べる。トランプ氏はこれまでに、米国の石油・天然ガス部門への支持、発電所の排出制限規則の撤廃、電気自動車(EV)への政府支援の撤回を約束している。 Utility Dive “Trump win is ‘setback’ for climate protection, but clean energy advocates say progress will continue” (11/6/24)

トランプ次期大統領による関税60%は中国技術産業の成長を阻害する可能性

トランプ氏が次期大統領に就任することで、同氏が選挙運動中に約束していた大規模な関税体制が差し迫っているようである。サプライチェーンへの関税の影響を既に感じている技術産業にとっては、企業が人気技術の価格を引き上げ始めるのは、「実施されるか否か」ではなく、「いつ実施されるか」の問題となっている。トランプ前政権は、中国からの輸入品に広範な関税を課し、対中貿易戦争を勃発させ、バイデン大統領はこれを継続、拡大した。関税が拡大されると中国はしばしば米国製品に報復関税を課し、レアアース・マテリアルへのアクセスを増大的に制限してきた。中国によるこうした報復措置は、米中間の更なる関税の脅威を高めるのみで、それは次期政権でも終結しそうにない。現在、中国製品に3,000億ドル以上の関税が実施されているが、指摘すべき点として、スマートフォンやラップトップ、タブレット、ゲーム・コンソールなどの人気の技術には実施されていない。これは、トランプ前政権時における技術産業のロビー活動の成果である。トランプ氏は60%の関税を提案しており、これが実施されると、技術系企業にとっては、前政権時に実施された関税の時よりも4倍の経済的負担となると考えられる。専門家達は、技術産業を中心に中国とのデカップリングは不可能であることから、「更なる外交が必要とされる」という見解で合意している。 ARS TECHNICA “Trump’s 60% tariffs could push China to hobble tech industry growth” (11/6/24)

トランプ次期大統領、バイデン大統領のAIセーフガードを撤廃する計画

トランプ氏が2025年に次期大統領に就任した後、人工知能(AI)を巡る連邦政策には劇的な変更が予想される。その一つとして、トランプ氏は、「就任したらバイデン大統領による2023年10月のAIに関する大統領令(Executive Order)を撤廃する」と述べている。この大統領令により、AI開発に関する広範な監督が整備され、その中核として人工知能安全性研究所(AI Safety Institute: AISI)が設立され、企業にはAI訓練方法やセキュリティ措置などに関する報告要件が設定された。また、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)はAIモデルに関するガイダンスを策定するよう指示されている。米政府内のトランプ支持派はこうした措置を批判している。AIの規制撤廃に加え、トランプ氏の貿易政策もAI開発に大きく影響する可能性がある。更に、トランプ氏は就労ビザ(H-1Bビザ)の制限や石油・天然ガス開発の拡大も計画しており、これらは人材探しやコンピューティング資源へのアクセスという点でAI企業の能力に影響する可能性がある。また、強力なトランプ支持派であるマイク・ジョンソン下院議長(Mike Johnson)(House Speaker)は、「共和党は恐らく超党派のCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)を廃止するだろう」と述べている。そして、トランプ氏の選挙運動を積極的に応援した億万長者のイーロン・マスク氏(Elon Musk)という要素もある。一方、トランプ氏がAIに関する連邦規制の撤廃に動いたら、州政府が連邦規制の穴を埋めようとするだろう。 ARS TECHNICA “Trump plans to dismantle Biden AI safeguards after victory” (11/6/24)

米国に対し、地域間送電能力35ギガワット追加を提言

非営利組織の北米電力信頼性コーポレーション(North American Electric Reliability Corp.: NERC)が11月4日に発表した送電研究に関する2つ目と3つ目の報告によれば、送電線計画地域の間で35ギガワット(GW)の電力移転能力があれば、異常気象時における米国のエネルギーの適切性を強化し、電気化と電力負荷の増加を可能にする一助となるという。NERCが発表した「地域間移転能力研究(Interregional Transfer Capability Study: ITCS)」は、一定の異常気象のシナリオ下における11の計画地域を対象に、エネルギー不足が生じる可能性を特定している。NERCによれば、異常気象時において必要とされるインポート能力は、国内の地域によって大きく異なり、「ワンサイズ・フィッツ・オール」方式で全てに対処することは非効率的である。今回発表された移転能力に関する2つの事案は、8月に発表された分析と統合して連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)に12月2日までに送付される。 Utility Dive “US should add 35 GW of interregional power transfer capacity to boost energy adequacy: NERC” (11/5/24)

フェルミ研究所とスペイン、深層地下ニュートリノ実験(DUNE)で合意

スペインの科学・イノベーション・大学省(Ministry of Science, Innovation and Universities)と、米国エネルギー省(Department of Energy)傘下のフェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)(フェルミ研究所)は、国際的な「深層地下ニュートリノ実験(Deep Underground Neutrino Experiment: DUNE)」に関する開発及び先端技術生産におけるそれぞれの参加を強化することを目的として、覚書(memorandum of understanding: MOU)に署名した。DUNEは、ニュートリノの動きを研究することを目的として膨大な粒子検出器を使用する国際的な超大規模科学実験である。MOUは、DUNE検出器の建設に共同で取り組むことに対する双方の共通の関心を正式化するものである。MOUの一環として、スペインによるDUNEへの寄与には、CERNプロトタイプの光検出及び温度監視システムと、サウスダコタ州リードにあるサンフォード地下研究施設(Sanford Underground Research Facility: SRUF)で地下深くに埋設される液体アルゴン検出器、DUNEの物理学プログラムの調整などが含まれる。 Fermi National Accelerator Laboratory “Fermilab and Spain sign agreement to strengthen collaboration on the Deep Underground Neutrino Experiment” (11/5/24)

FERC、アマゾン社データセンターに関する原子力発電所相互接続計画を却下

連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)は11月1日、ペンシルバニア州にある原子力発電所から、共同設置されているアマゾン社(Amazon)のデータセンターへの電力販売の拡大を促進する相互接続サービス契約(interconnection service agreement: ISA)の修正案を却下した。この原発の過半数の所有者はタレン・エネルギー社(Talen Energy)。FERCの票決は2対1で、FERCは、「既存のISAと矛盾する契約条項が、信頼性に関する具体的な懸念や新規の法的問題、またはその他の独自の要因によって必要であることを、修正したISAを提出したPJMインターコネクション社(PJM Interconnection)は示せていない」とした。決定に異議を唱えたウィリー・フィリップス委員長(Willie Phillips)は、「本決定は、国家安全保障及びグリッドの信頼性を脅かすものである」との見解を表明した。投資家企業のジェフェリーズ社(Jefferies)によれば、FERCの決定は、投資家にとって驚きであった。別の専門家は、「FERCの命令は、共同設置に関する当局の姿勢に新たな不確実性を加える可能性が高い」と述べている。 Utility Dive “FERC rejects interconnection pact for Talen-Amazon data center deal at nuclear plant” (11/4/24)