米国アカデミー、研究・医療の現場の両方で利用できるデータネットワーク立ち上げを提言

米国アカデミー(National Academies)の政策評価機関である米国研究評議会(National Research Council:NRC)は、病気の分類をより正確に行い、診断・治療を向上させるような手法の開発に向け、疾病の分子構成に関する新研究成果と患者の臨床データとを統合させたデータネットワークの構築が望まれるとの提言を出した。また、このようなデータネットワークを通じて、研究者が患者情報にアクセスできるようになるため、バイオ医療研究の促進にもつながるとしている。この提言の背景には、科学的研究の成果が実際の臨床に生かされていないという現状がある。このため、「疾病知識ネットワーク(knowledge network of disease)」を構築し、疾病の原因に関する情報を、研究者・医療従事者・国民の間で共有することが望ましいとし、ネットワーク開発の第1歩として、分子データと患者の医療記録を集め、開発第2期として、ネットワークの立ち上げと情報データマイニングの実施を行うことを提言している。 National Academics “Report Calls for Creation of a Biomedical Research and Patient Data Network For More Accurate Classification of Diseases, Move Toward ‘Precision Medicine’” (11/211)

国防総省、軍事産業マップ作成を計画

国防総省(Department of Defense)で製造・産業基盤政策を担当するブレット・ランバート副次官補(Brett Lambert)は11月1日に開催された下院軍事委員会(House Armed Services Committee)の公聴会において、物資とサービスを米軍に供給する軍事産業を理解するため、軍事産業マップの作成を計画していることを発表した。ランバート氏によると、マップ作成プロジェクトは「S2T2」と呼ばれ、既に、各セクターごとに国防総省が行っているプログラム5つを特定し、その中で、主請負企業から孫請企業までの各企業がどのように関連しているかを網羅的に理解できるようなデータを収集したという。このデータを基に、今後は、各企業へのアンケート、有識者や国防総省のプログラムマネージャーへの聞き取りなども実施し、特に国防総省が直接関係しない孫請企業に関する洞察を得ることで、軍事産業全体のダイナミクスを理解し、産業基盤へのよりよい支援が行えると考えているという。 Federal Radio News.com “DoD to create map of defense industry” (11/2/11)

風力タービン価格、2008年の3分の2に

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が「過去十年に亘る風力タービンの価格傾向の理解(Understanding Trends in Wind Turbine Prices Over the Past Decade)」と題した報告書を発表し、この中で、米国の風力タービン価格が2008年と比較して3割ほど下落したことを明らかにした。本報告書によると、労働コスト、製品保証、製造業者の収益性、風力タービンの規模、原材料価格、エネルギー価格、外国為替レートの7点が風力タービン価格変動の7~9割の原因を占めているという。また、2002年から2008年までは、特に風力タービン規模(高さ、ローター直径等)が急激に拡大したこと、そして、ドル価値が他の通貨に比べて下落したことから、風力タービンの価格が2倍となったとしている。 Renewable Energy Focus. com “US wind turbine prices fallen by a third since 2008” (11/3/11)

FDA、2011年度に35の医薬品を承認

食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は11月3日、2011年度で35の医薬品の新規認可を行い、これは、2009年度の37件に次いで過去10年間で2番目の高さであることを発表した。2011年度の承認結果は「2011年度イノベーティブ医薬品承認(FY 2011 Innovative Drug Approvals)」報告書の中にまとめられているが、この中では、海外と比べてもFDAの承認スピードが加速しており、35の医薬品のうち海外やEUを抑えてFDAが最初の認可を下したものは24に上っているという。 U.S. Food and Drug Administration “FDA: 35 innovative new drugs approved in fiscal year 2011” (11/3/11)

NIST、クラウドコンピューティング技術ロードマップ草案を発表

国立標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は11月1日、連邦機関におけるクラウドコンピューティング技術の導入、民間セクターの支援、クラウドコンピューティングモデルのさらなる技術向上を目的とした「米国政府クラウドコンピューティング技術ロードマップ(U.S. Government Cloud Computing Technology Roadmap)」を発表した。今回発表されたのは、全3巻のうち第1巻及び第2巻であり、第3巻は現在も検討が続けられている。米国政府は、2011年2月に「連邦政府におけるクラウドコンピューティング戦略(Federal Cloud Computing Strategy)」を発表しており、その中で、NISTは、標準の特定及び促進に加え、クラウドコンピューティング技術と標準化優先順位の検討及びコンセンサス合意に向けて、産学官及び国際機関と協力実施という役割が与えられている。 NIST “NIST Releases Draft Cloud Computing Technology Roadmap for Comments” (11/111)

連邦議会下院、中国との宇宙科学技術分野における協力に関し公聴会開催

下院外交委員会調査・監督小委員会が11月2日に開催した公聴会において、米中科学技術協力の是非に関する議論が行われた。大統領府科学技術政策局(White House Office of Science and Technology Policy:OSTP)のジョン・ホールデン長官(John Holdren)は、他国との科学技術協力により米国が得るものは多いとして中国との協力を進めるべきであるとしたのに対し、NASAとOSTPが連邦予算を利用して中国と科学的交流を行うことを禁止する通称「ウルフ条項」を発案したフランク・ウルフ下院議員(Frank Wolf、バージニア州選出共和党)は、人権侵害やチベット問題、国内抑圧等の問題を抱える中国政府への協力は断固反対の姿勢を貫いている。また、同公聴会に出席したNASAのチャールズ・ボールデン長官(Charles Bolden)は、中国の受信所から衛星データを受け取ることができなくなったという悪影響があるものの、ウルフ条項の遵守に賛成する内容の発言を行った。 Nature.com “US science talks with China debated by lawmakers – November 02, 2011” (11/02/11)

エネルギー省、支援・委託付与に当たり、コントラクターの業績確認が不十分

エネルギー省(Department of Energy)の監察長官は11月1日、過去2年間に亘りエネルギー省が付与した指名委託及び金銭支援の20%について、コントラクターが過去に行った業務のパフォーマンスについて評価が行われていなかったことを明らかにした。業績パフォーマンス審査が行われないまま支援・委託付与が行われたのは2009~2010年度だけで890億ドルに上っており、監査長官は「競争的公募において、そして、指名委託の場合はコントラクター決定において、最大の価値を生み出すような採択が行えるような取り組みが行われていない」と結論付けている。しかし一方で行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)は、監査長官の報告に大筋で賛成しているものの、「契約に当たり被採択者の過去のパフォーマンスの評価は義務付けられていない」とコメントしている。 Government Executive “Energy Department often fails to vet contractor past performance, watchdog finds” (11/1/11)

SLAC国立加速器研究所所長、辞職を表明

スタンフォード大学(Stanford University)SLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)のパーシス・ドレル所長(Persis Drell)は11月1日、現職から退き研究・教育活動に戻る意向を明らかにした。2002年から同研究所の運営に携わり、過去4年間に亘って所長としてSLAC全体の監督を行ってきたドレル所長は、予算規模3.5億ドルの研究施設と1,600人の科学者を統率するという多忙な中で、専門分野である粒子天体物理研究が十分に行えなかったとしている。なお、ドレル所長はスタンフォード大学が後任を選出するまで、現職を継続する予定である。 San Francisco Chronicle “Stanford SLAC lab director plans return to research” (11/02/11)

エネルギー長官諮問小委員会がシェールガス開発に関する報告書草案を公表

スティーブン・チュウ・エネルギー長官(Steven Chu)の諮問委員会(Secretary of Energy Advisory Board: SEAB)のシェールガス生産小委員会(Subcommittee on Shale Gas Production)は、2011年8月18日付け報告書で示した20件の勧告の実施状況についてまとめた第二次(および最終)「90日報告(ninety-day report)」の草案を発表した。同小委員会は、シェールガス開発の安全性と環境的影響を向上させるために実施可能なステップについて報告書を作成するよう委任され、人体の健康と環境を保護し、国家にとって最も有益な形でシェールガスの責任ある開発が確実に行われるために、20件の勧告を提示していた。小委員会は政権や州政府、業界、公的利権団体によるこれまでの活動や計画に満足しているものの、現時点までの進展は小委員会による期待を下回っているという。「小委員会による手法が実施されるか否かにかかわらず、シェールガス生産による過剰な環境への影響や同開発の継続や拡大に対する国民の反対がもたらすリスクを回避するためには、協調的かつ持続的な活動が必要である」と警告している。 Energy.gov “Secretary of Energy Advisory Board Subcommittee (SEAB) on Shale Gas Production Posts Draft Report” (11/10/11)

NRC、メキシコ湾原油流出事故による生態系被害評価に関する中間報告発表

メキシコ湾原油流出事故による生態系被害について報告書を作成中の米国研究評議会(National Research Council: NRC)の中間報告書(最終報告書は2013年春の予定)によれば、事故による生態系被害の深刻さや規模を評価し、メキシコ湾内の被害地域の復興計画を策定するには、これまでにない努力が必要とされるという。流出事故による特定の天然資源被害の復旧に加えて、生態系プロセスを修復させることも重視したより広範な「生態系サービス(ecosystem services)」の評価手法を取ることが同報告書では提言されている。 National Academies “New Report Offers Broad Approach to Assessing Impacts of Ecological Damage From Deepwater Horizon Oil Spill” (11/10/11)