カウフマン財団、米国大学の改革案をまとめた報告書を発表

ユーイング・マリオン・カウフマン財団(Ewing Marion Kauffman Foundation)は6月7日、米国の大学が直面している課題を分析し、これに対する野心的な改革案をまとめた報告書「大学2.0:高等教育改革に向けた起業家的手法(College 2.0: An Entrepreneurial Approach to Reforming Higher Education)」を発表した。同報告書は、12月に行われたカウフマン財団修養会(30名の教育専門家が集まり、高等教育が直面している課題の分析やその解決策の提示に取り組んだ)の一部として作成されたものである。報告書は、具体的な大学改革策として、6分野(①イノベーションを阻む大学の組織的問題への対策、②認定評価の見直し、③州・連邦規制の合理化、④大学の生産性向上につながるインセンティブ、⑤大学の学習と就職に関する情報の提供、⑥革新的モデルの拡散を阻む障害の克服)を挙げている。 Ewing Marion Kauffman Foundation “U.S. Colleges and Universities Must Take Entrepreneurial Approach to Overcome Challenges, According to Kauffman Foundation Report” (6/7/12)

米国の都市は気候変動への取り組みで中南米都市に遅れ

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)が最近発表した調査報告書「都市の気候と適応における進展及び課題(Progress and Challenges in Urban Climate Adaptation)」によれば、気候変動への準備策において、米国の主要都市は中南米の主要都市に遅れを取っているという。世界468都市を対象に調査を行った同報告書によれば、中南米の主要都市の95%が、気候変動による悪影響への対策を準備しつつあるのに対し、米国の主要都市で対策を準備しつつあるのは59%であった。最も準備が進んでいる都市は、気温や雨量で大幅な変化を既に受けている都市となっている。報告書の著者は、「米国では気候変動の原因に関する議論が多いが、その他の多くの国では気候変動を当然として受け止め、その適応へと進んでいる」と述べている。 USA Today “U.S. cities trail Latin America in climate change efforts” (6/6/12)

「エネルギー用アプリ」コンペの一般投票勝者が発表される

エネルギー省は6月6日、「エネルギー用アプリ(Apps for Energy)」コンペの一般投票勝者を発表した。5月17日から31日の間、ウェブサイト上で行われた一般投票には、1万2,000人以上が参加した。消費者が「グリーン・ボタン(Green Button:9つの大手ユーティリティ・電力企業が3,100万人以上の顧客に自身のエネルギー利用データへのアクセスを提供するイニシアチブ)」を活用して電気代の節約につなげることを目的としたモバイル及びウェブ・アプリケーションの開発を競う「エネルギー用アプリ」には50件以上のアプリが提出された。専門家委員会による審査の勝者は5月22日に発表されていたが、今回は一般投票による勝者が発表された。一般投票の勝者はベロビル(VELObill)社で8,000ドル、2位のイノベイティブ・ソーラー・デマンド・レスポンス社(Innovative Solar Demand Response)は4,000ドルをそれぞれ受益する。専門家委員会による総合評価が最も高かったのはリーフリー社(Leafully)で3万ドルを、2位のメロン社(Melon)は1万5,000ドル、3位のベロビル社は7,500ドルをそれぞれ受益する。 Department of Energy “Popular Choice Winners Announced for “Apps for Energy” Competition” (6/6/12)

DOE、クリーンコール研究を行う9つの大学チームに助成

オバマ大統領の包括的エネルギー戦略の一環として、エネルギー省(Department of Energy)は6月6日、クリーンコール技術のイノベーションや開発に取り組む大学に研究資金を提供すると発表した。対象となるのは、ブラウン大学(Brown University)やダートマス大学(Dartmouth College)など全米9つの大学で、それぞれ約30万ドルを受益する。各大学チームの次世代科学者・工学者は、高温・高圧・さびに耐性を持つ合金や、保護塗装、先端火力発電所やガスタービン用の建築材料などの開発に取り組む。エネルギー省による270万ドルの助成の他、大学側も資金負担を行うため、プロジェクトに拠出される額の合計は310万ドルとなる。 Department of Energy “Obama Administration Announces Clean Coal Research Awards for Universities Across the Country” (6/6/12)

NIH、EPAなどが携行型大気汚染センサーの開発コンペを発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の環境衛生科学研究所(National Institute of Environmental Health Sciences: NIEHS)と厚生省(Department of Health and Human Services)の国立医療情報調整官室(Office of the National Coordinator for Health Information Technology)、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は、大気汚染及びそれに対する個人の生理学的反応を測定する携行型センサーの開発を目的として、「私の大気、私の医療チャレンジ(My Air, My Health Challenge)」の実施を発表した。これらの携行型センサーの利用を通じて、研究者やコミュニティ、医師などが大気質と健康の関係をより良く理解することが目標として掲げられている。コンペ参加者は、容易に携行でき、化学的汚染物質や微粒子に関するデータを収集すると同時に、心拍数や呼吸などの生理学的反応を測定するセンサーの設計案を競う。最高4件の最終選考者が選出され、設計案のプロトタイプ作成費用としてそれぞれ1万5,000ドルを受益する。更に、そのうち最も効果的な解決策を提案した者に対して、10万ドルが提供される。 National Institutes of Health “NIH, EPA announce competition for personal air pollution and health sensors” (6/6/12)

地球温暖化により、米国の原子力・火力発電量が2060年までに最高16%減少する可能性

ネイチャー・クライメット・チェンジ誌(Nature Climate Change)で6月4日発表された研究報告によれば、適切な冷却水の不足を受け、米国における熱電発電は2031年から2060年の間に4.4~16%減少する可能性があるという。熱電発電所は米国の電力混合の約90%を占め、国内の淡水供給の40%を利用している。報告書によれば、欧州における熱電発電も最高19%減少する可能性があるという。熱電発電の問題として挙げられているのは、下流地域における流れの減少と水温の上昇(特に上流における)である。こうした問題は、既にいくつかの問題に直面している米国内の原子力・石炭業界にとり、新たな問題となる。 Think Progress “Global Warming May Reduce U.S. Nuclear And Coal Power Output Up To 16 Percent By 2060” (6/4/12)

炭素排出がユーティリティ企業の環境的懸念事項の第3位に浮上

エンジニアリング及びコンサルティング会社のブラック&ビーチ社(Black & Veatch)が発表した報告書によれば、電力ユーティリティ企業の環境的懸念事項として、「物理的な炭素排出(Physical carbon emissions)」が第3位となっている。これは、昨年の6位からの浮上となっている。同社が電力ユーティリティ企業を対象に調査を行い毎年発表している同報告書において、ユーティリティ企業が環境的懸念事項として挙げているのは、過去6年間にわたり、1位が「炭素排出法案(carbon emissions legislation)」、2位が「水の供給問題(water supply issues)」となっている。また今回の報告書によれば、回答者の90%が「再生可能エネルギーにより消費者価格は5~30%上昇する」と考えているという。一方、世界銀行(World Bank)が発表した報告書によれば、世界における炭素市場は2011年に11%増加して1,760億ドルに成長したという。炭素市場で最も大きな部分を占めているのは欧州連合(European Union: EU)排出枠制度(EU Allowances)で、1,480億ドル相当となった。 Environmental Leader “Global Carbon Market Up 11%; Carbon Emissions No. 3 Among Utilities’ Environmental Concerns” (6/5/12)

エネルギー省、重要マテリアル研究に関するエネルギー・イノベーション・ハブの立ち上げを発表

エネルギー省(Department of Energy)のスティーブン・チュウ長官(Steven Chu)は5月31日、今後5年間で最高1億2,000万ドルを投じて、重要マテリアル研究に関するエネルギー・イノベーション・ハブ(Energy Innovation Hub)を設立すると発表した。5件目となる今回のエネルギー・イノベーション・ハブでは、重要マテリアルのライフサイクル全般にわたる問題の特定や解決策の開発に関し、学際的かつ継続的に取り組みを行う。科学・物理的に独特の性質を持つレアアースやその他の重要マテリアルは、エネルギー技術にとって重要性が増大しつつある一方で、供給混乱のリスクも有している。重要マテリアルのエネルギー・イノベーション・ハブの目標は、重要マテリアルに関する米国の依存性を削減し、国内エネルギー技術の展開が将来の供給不足に左右されないよう確実にすることである。今秋に採択結果の発表が予定されている。 Department of Energy “Energy Department Announces Launch of Energy Innovation Hub for Critical Materials Research” (5/31/12)

NASA、米大学から宇宙技術に関する初期段階のイノベーション提案を募集

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は、大学を対象に、宇宙技術に関する革新的で初期段階の研究提案を募集する。対象となるのは、宇宙放射線からの防護、宇宙線の温度管理、光学システムに関する改良技術である。提案を提出できるのは、米国大学のみで、上述した対象技術で独創的、破壊的、あるいは革新的な提案をすることが期待されている。NASAでは今秋に約10件のプロジェクトに助成を行う見込みである。助成はまずは1年間のみであるが、2年目も助成対象となる可能性はある。一般的な助成金額は約25万ドルとみられる。 NASA “NASA Seeks Early Stage Innovations For Space Technologies From U.S. Universities” (5/31/12)

LBNL、官民コンソーシアム「カルチャージ」立ち上げ

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)とCalCEF社は、現行のエネルギー貯蔵技術を一気に発展させ、先端電池システムの開発につなげることを狙いとした官民コンソーシアム、「カルチャージ(CalCharge)」を発足させた。カルチャージは、数十社のベンチャー企業や大手企業がベストプラクティスや世界クラスの科学施設・人材を共有できる場を作り、新技術の立ち上げや世界市場における米国の成功を後押しする「ベイエリア地域のエコシステム」の確立を目指す。先端電池はクリーン・エネルギーの未来にとって鍵となる可能性があり、カルチャージではエネルギー貯蔵技術の商業化や市場化をスピードアップさせるため、参加企業向けに技術支援や労働力訓練、市場教育などを提供する。参加企業はまた、共同研究開発契約(Cooperative Research and Development Agreement: CRADA)を通じて、LBNLの研究所や試験施設、技術資源、診断機器などを利用することができる。 Clean Technica “Public-Private Partnership Could Jump Start Energy Storage Technology” (5/31/12)