臨床試験報告の監督責務がFDAに移行

9月26日付の連邦公報(Federal Register)によれば、企業が医薬品及び医療機器の臨床試験に関して義務付けられているデータの提出を監督する権限が、厚生長官(Secretary of Health and Services)によって食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)に委任されたことが明らかになった。義務付けられている情報は、www.clinicaltrials.govを通じて提出されており、米国内で実施されているほとんどの臨床試験が記録されている。しかし、今年発表された複数の分析報告によれば、連邦資金によって行われた臨床試験も含め、臨床試験の結果の多くが公開されていないことが判明している。今発表された監督権限の移行によって報告義務の成果が拡大するのかどうかや、これを遵守しない場合にいかなる罰則が適用されるのかは不明である。 Nature News Blog “FDA to oversee reporting of clinical trials” (9/27/12)

気候変動により世界のGDPが1兆2,000億ドル削減される可能性

スペインの人道主義団体ダラ(DARA)と気候脆弱フォーラム(Climate Vulnerable Forum)が発表した報告書「気候脆弱性モニター(Climate Vulnerability Monitor)」によれば、気候変動及び二酸化酸素排出に関連した汚染により、世界の総生産(GDP)は年間1.6%(約1兆2,000億ドル)削減されているという。そして、これが手付かずの状態となった場合、世界のGDPは2030 年までに年間3.2%削減されるという。気候脆弱フォーラムを構成する発展途上国の代表は、「気候変動が経済に及ぼす影響が大きくなるに従い、それを削減する費用も増大する」と述べた上で、「現在1,000億ドルで可能なことが、2030年には10倍の費用がかかる」と発言した。 Inside Climate News “Climate Change Reducing Global GDP by $1.2 Trillion” (9/27/12)

NASA委員会、火星の表層土を持ち帰る方法について要旨報告書を発表

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が欧州主導のエクソマーズ(ExoMars)火星探査計画からの撤退を発表した直後の2012年3月に、NASAによって編成された「火星プログラム計画グループ(Mars Program Planning Group: MPPG)」が、今後の火星探査について複数の選択肢を提案する要旨報告書を発表した。それによれば、2018年の火星軌道衛星ミッションで火星の表層土を持ち帰り、その後の火星探査機で表層土の返還を行う方法や、軌道衛星ミッションは実施せずに2020年に探査機を火星へ送り、サンプルを収集、その後持ち帰る方法などが提案されている。NASAは選択肢を決定する期限を明確にしていないが、もし2018年に軌道衛星ミッションを実施する場合、2014年度の予算要請に影響することから早急な対応が必要となる。本報告書の最終版は10月下旬までに発表される予定である。 Science Insider “Panel Gives NASA Options for How to Bring Back Pieces of Mars” (9/25/12)

PCAST、医薬品審査の迅速化を支持

大統領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology:PCAST)が9月25日に発表した報告書「医薬品の発見、開発、評価におけるイノベーションの加速に関する大統領への報告(Report to the President on Propelling Innovation in Drug Discovery, Development, and Evaluation)」によれば、医薬品の開発や承認方法において重要な改正が実施されれば、今後10~15年間で新たに利用可能な革新的治療方法の数が2倍になる可能性がある」という。PCASTはその重要な改正として、食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)が、限定的な情報を元に新たな医薬品の承認作業を加速させるファスト・トラックを拡大すること(現在このファスト・トラックが適用されるのは癌治療薬がほとんど)、新たに承認される医薬品について利用可能な疾病患者層を限定すること、などを挙げている。 Science Insider “White House Panel Backs Accelerated Drug Reviews” (9/25/12)

州政府から公立研究大学への資金削減状況は一様ではないとの報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が2月に発表した「2012年科学工学指標(Science and Engineering Indicators 2012)」で、「上位101件の公立大学への州政府による資金提供(学生一人あたり)は、2002年から2010年の間に平均20%減少した」と報告されていたが、米国科学審議会(National Science Board: NSB)が9月25日に発表した本件に関する詳細な報告書では、その削減内容が国全体で一様ではないことが明らかになった。例えば、4つの公立研究大学に全米で10番目に多い学生が在籍しているニューヨーク州では、州政府から提供される学生一人当たりの資金が72%増加したのに対し、イリノイ州の3件の公立研究大学では州政府からの学生一人当たりの資金が37%減少している。こうした背景には、厳しい州政府予算の他、不況を受けて大学に入学する学生が増えたことが挙げられる。 Science Insider “Funding Cuts to Universities Vary Widely by State” (9/25/12)

カリフォルニア州知事、自律走行車の公道走行を認める法案に署名

カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事(Jerry Brown)は9月25日、自律走行車が州内の公道を走ることを認める法案に署名した。同様の法律がネバダ州とフロリダ州で成立しており、カリフォルニア州はそれに続く。ブラウン知事は、グーグル社(Google)によって改良された自律走行車のプリウスの助手席に乗り、署名式典へと臨んだ。グーグル社は2010年から自律走行技術の開発に取り組んでいる。自律走行車はビデオカメラ、レーダー・センサー、レーザー、手動走行者から集められた情報データベースに基づいて走行する。カリフォルニア州の新法は来年施行となり、今後、自律走行車の試験に関する安全性と性能の規則が制定されることになる。 Reuters “Gov. Brown gives green light to driverless cars in California” (9/25/12)

イェール大学研究者ら、特殊金属のリサイクルに関する国際政策制定を呼びかけ

イェール大学(Yale University)の研究者グループは、一部の消費者電子機器やその他の製品の生産で使われている貴重な特殊金属をリサイクルに向けた国際的政策の制定を呼びかけている。レアアース元素などの特殊金属は、赤色蛍光体や高強度磁石、薄膜太陽電池、コンピューターチップなどの精密技術機器に少量が使われている。研究者グループによれば、こうした特殊金属のリサイクルや回復は技術的及び経済的に難しく、これらをリサイクルする取り組みはほとんど実施されていないという。研究者グループの一人は、「金属のリサイクルは原則的には無限だが、社会的行動や製品設計、リサイクル技術などが障害となり現実的には不十分或いはほとんど行われていない」と述べている。 Daily Tech “Researchers at Yale Call for International Policy for Specialty Metals Recycling” (9/25/12)

オバマ政権、商務省と労働省による「メイク・イット・イン・アメリカ・チャレンジ」を発表

オバマ政権は9月25日、企業が雇用を米国内に回帰させ、米国内で更なる投資をするというインソーシングの傾向を加速させることを目的として、「メイク・イット・イン・アメリカ・チャレンジ(Make it in America Challenge)」を行うと発表した。同チャレンジでは、商務省(Department of Commerce)の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)、米国標準技術局の製造拡大パートナーシップ(National Institute of Standards and Technology Manufacturing Extension Partnership: NIST-MEP)、労働省(Department of Labor)の雇用研修局(Employment and Training Administration: ETA)から4,000万ドルが拠出される。コンペは、米国企業が米国内でより多くの事業をするために必要なインフラや戦略計画、能力強化、労働力研修などを提供することを目的とし、米国企業による生産的活動の国内回帰、外国企業による直接投資の増加、米国内で事業や雇用を維持する米国企業へのインセンティブ、或いはそれらの事業で必要とされる労働力の育成などが受益対象となる。詳細は2013年初頭に発表される。 Department of Commerce “Obama Administration Announces $40 Million Initiative to Challenge Businesses to Make it in America” (9/25/12)

教育省、STEM関連の大学院を目指す学生の支援を目的としたグラントを発表

教育省(Department of Education)は9月25日、32州とワシントンDCの大学における478件の奨学金制度の財政的支援を目的として、2,100万ドル以上のグラントを提供すると発表した。このグラントは、「国家的ニーズ分野の大学院生支援(Graduate Assistance in Areas of National Need: GAANN)」プログラムを通じて行われ、高等教育に金銭的支援を必要としている学生で、優れた学業成績を示した学生向けに行われている大学院奨学金制度の支援が目的である。「国家的ニーズのある学問分野」には、生物科学、化学、コンピューター情報科学、物理学、研究などSTEM分野が含まれている。 Department of Education “Colleges and Universities in 32 States and D.C. Awarded More Than $21 Million in Grants to Help Students Pursue Graduate Fellowships in STEM-Related and Other High-Need Subjects” (9/25/12)

NSF、新規エネルギー研究プログラムへのグラントを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は2011年、次世代に負担をかけることなく、社会的ニーズに対応する革新的なエネルギー・ソリューションを促進することを目的として、「持続可能なエネルギー経路(Sustainable Energy Pathways: SEP)プログラム」を新設した。今回、SEPプログラムによる第1回グラントとして、ピアレビューの結果、20件の学際的SEPチームが選出された。これらのSEPプロジェクトは、新規の太陽電池開発(レアアース元素を地球に豊富に存在する元素と置換した太陽電池など)、エネルギー貯蔵ソリューション(革新的な電池術を含む)、再生可能燃料を生産する新規触媒作用手法など多岐に渡る。各プロジェクトは、年間最高50万ドルを最高4年にわたってNSFから受益する。 National Science Foundation “Finding New Paths Forward for Sustainable Energy” (9/25/12)