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その他

NASA、月面での原子炉設置に意欲

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)の長官代理を務めるショーン・ダフィー運輸長官(Sean Duffy)は先般、少なくとも100キロワットの電力を生産する原子炉を2030年までに月面へ打ち上げるという計画を発表した。原子炉技術は、人間が太陽系で渡航し、生活する能力に変革をもたらす。現在のNASAのロボット宇宙船は、数個の白熱電球程度の電力で動作しており、宇宙船に搭載できる科学機器には制限がある。国際宇宙ステーション(International Space Station)はソーラーパネルから電力を得ているが、冷たく暗い夜が2週間続く月面や、太陽が遥かに遠い火星では、人間の居住向けには実用的でない。専門家は、月面に原子炉を設置するという計画はサイエンスフィクションではなく、現実的に可能な範囲であると述べるが、様々な技術的課題がある。 New York Times “NASA Is Getting Fired Up About a Nuclear Reactor on the Moon” (08/07/25) https://www.nytimes.com/2025/08/06/science/nasa-nuclear-reactor-moon.html

NIHが研究とイノベーションに及ぼす影響 CSET報告

安全保障・振興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は独自のデータを基に、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の資金を受けたプロジェクトがイノベーションのパイプラインにもたらす影響について、「NIHが研究とイノベーションに及ぼす影響(The NIH’s Impact on Research and Innovation)」と題する記事を発表した。その主要な考察点として、①NIHの資金を受けた研究は、出版された科学論文のわずか1%に過ぎないものの、研究全体の半分に関連性があり、NIHが焦点を当てているトピック(医薬、生物学、化学)は特に大きな影響をもたらしている、②世界の特許のうち、NIHの直接資金を受けたものはわずか0.04%であるが、NIHの影響はより広範囲に及び、NIHの資金を受けた特許は、「世界の特許ランドスケープ(global patent landscape)」と呼ばれるものを構成する特許分野及びサブ分野の4%に登場する、③NIHの資金を受けた研究は、その後の特許化につながるダウンストリーム特許を支援している、等が挙げられている。 CSET “The NIH’s Impact on Research and Innovation” (08/07/25) The NIH’s Impact on Research and Innovation

連邦上下院議員、エネルギースター・プログラムの継続を支持

上院歳出委員会(Senate Appropriations Committee)が7月24日に環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の2026年度予算法案を可決した際、エネルギースター(Energy Star)プログラムへ3,600万ドルを拠出する文言が含まれた。法案の付属文書には、「委員会は、エネルギースター・プログラムの価値を認識し、継続して支持する」と書かれた。一方、下院歳出委員会(House Appropriations Committee)は7月22日に同法案の下院版を可決し、上院版より少ない額(3,200万ドル)ではあるものの、同プログラムへの予算に関する文言が盛り込まれた。両法案とも今後、本会議等での検討や調整を経ることになるが、1992年の実施以来、両党で支持されているエネルギースターをトランプ政権が継続することを要望するメッセージとなっている。トランプ政権は、エネルギースター・プログラムの廃止を望むとは言及していないが、5月に発表したEPAの2026年度予算要求で、同プログラムを運営する大気保護プログラム(Atmospheric Protection Program)の予算を全廃した。 Utility Dive “Lawmakers in House and Senate move to maintain Energy Star” (08/06/25) https://www.utilitydive.com/news/lawmakers-in-house-and-senate-move-to-maintain-energy-star/757046/

88億ドルのエネルギー効率還付金プログラム 多くの州で保留状態

インフレ削減法(Inflation Reduction Act: IRA)の下、住宅所有者及び低・中所得世帯向けにエネルギー効率の向上を支援する還付金プログラムとして、住宅所有者管理エネルギー節約法(Home Owner Managing Energy Savings Act: HOMES)、及び、住宅電気化・家電還付金(Home Electrification and Appliance Rebates: HEAR)に88億ドルが割り当てられた。サウスダコタ州を除く全州がこれらの資金の受給を申請し、条件付き契約を獲得したものの、現在、連邦資金を受益して1つまたは双方のプログラムを実施しているのは、12州及びワシントンDCのみにとどまっている。全国州エネルギー高官協会(National Association of State Energy Official: NASEO)は、「エネルギー省(Department of Energy)からは、還付金プログラムに割り当てられた資金は全て最終的に支給されると繰り返し聞いている」と述べる一方、同省は、「現在、全ての活動が法規を順守し、該当する法定命令に従い、トランプ政権の優先事項に整合していることを確実にするため、省全体で見直しを実施している」と説明する。NASEOは現時点では、政権がプログラムの合理化に取り組んだ上で、残りの州との間の交渉を再開することに楽観的である。 Utility Dive “$8.8B energy efficiency rebate program on hold in most states, underway in some” (08/06/25) https://www.utilitydive.com/news/states-energy-efficiency-rebates-inflation-reduction-doe-trump/756981/

トランプ大統領、輸入チップへ100%の関税を発表 一部の企業は免除

トランプ大統領は8月6日、米国は半導体の輸入品に約100%の関税を課すと発表した。ただし、米国内に製造工場があるもしくは工場建設を誓約した企業には適用されないとの例外措置を提示した。本件は、米国内に製造業を回帰させようとするトランプ大統領の取り組みの一部であり、大統領の発言と同時に、アップル社(Apple)が米国市場で更に1,000億ドルを投資する計画が発表された。米国内での製造を誓約したアップル社のような企業には関税の影響はないとされた一方で、「米国工場の建設を約束しておいてそれを実行しない場合、遡及的に課税される」と大統領は明言した。ただし大統領の発言は関税に関する公式発表ではなく、企業や諸国への影響は不透明である。台湾のTSMC社は米国工場があることから例外措置が適用される可能性が高い。また、韓国政府の貿易特使は、サムスン電子(Samsung Electronics)とSKハイニックス社(SK Hynix)は100%関税の対象とはならず、米韓間の貿易協定の下、半導体について最も有利な関税が適用されるとしている。 Reuters “Trump says US to levy 100% tariff on imported chips, but some firms exempt” (08/07/25) https://www.reuters.com/world/china/trump-says-us-levy-100-tariff-imported-chips-some-firms-exempt-2025-08-07/

米国アカデミー、温室効果ガス排出の公衆衛生及び福利への危険性について研究

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、「人為的な温室効果ガスと米国の気候:エビデンスと影響(Anthropogenic Greenhouse Gases and US Climate: Evidence and Impacts)」と題するファストトラック(早急)研究を開始し、最新の科学的エビデンスを基に、温室効果ガス排出は公衆衛生と福利に危害を及ぼすと合理的に予測されるかどうかについて調査する。研究を行う委員会は、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が「温室効果ガスは公衆衛生に危険である」と宣言した2009年以降に科学コミュニティが収集したエビデンスに焦点を当てる。EPAは最近、「2009年の危険性認定」を撤回する意向を表明している。米国アカデミーは9月までに研究を終え、報告書を発表し、EPAの決定プロセスへの情報提供とする。 National Academies “National Academies Launch Fast-Track Review of Latest Evidence for Whether Greenhouse Gas Emissions Endanger Public Health and Welfare” (08/07/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/08/national-academies-launch-fast-track-review-of-latest-evidence-for-whether-greenhouse-gas-emissions-endanger-public-health-and-welfare

内務省、オフショア風力発電規則の抜本的見直しを開始 

内務省(Department of the Interior)は、オフショア風力エネルギー規則の全面的な見直しを行い、外縁大陸棚法(Outer Continental Shelf Lands Act)及びトランプ大統領による米国エネルギーの優先事項と整合性を確実にする方針を8月7日に発表した。見直しの対象には、再生可能エネルギー現代化規則(Renewable Energy Modernization Rule)及びオフショア風力プロジェクトに関する財務確証要件や終了後の撤去費用試算が含まれ、外国資本によって管理され、信頼性が低いエネルギー資源が、米国産エネルギーよりも優遇されないように連邦規則を改正するという。見直しは、海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management)と安全環境執行局(Bureau of Safety and Environmental Enforcement)が主導し、連邦規則集(CFR)第30編のパート585、586、285の規則の更新を検討する予定である。 Department of the Interior “Interior Launches Overhaul of Offshore Wind Rules to Prioritize American Energy Security” (08/07/25) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-launches-overhaul-offshore-wind-rules-prioritize-american-energy-security

NSF、AIを活用した新規のタンパク質設計手法の加速に約3,200万ドル

8月7日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の技術・イノベーション・パートナーシップ局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships:TIP)は、「使用にヒントを得たタンパク質設計の加速(NSF Use-Inspired Acceleration of Protein Design: USPRD)」イニシアチブからの最初の投資(5件のチームに約3,200万ドル)を発表した。人工知能(AI)をベースとした手法によるタンパク質設計への移行を加速させ、米国バイオ経済に重要な新しい応用を実現させる。タンパク質の三次元構造の予測は大幅に進展しており、研究者は現在、この知識を活用して特定の望ましい性質を持つタンパク質の設計に取り組んでいる。こうした進展は、高分子モデリングや訓練データへのアクセス、AIや機械学習の応用等によって促進されており、USPRDは、学際的かつ分野横断型の専門家を全国から結集させ、この基盤を強化することを目指す。 National Science Foundation “NSF invests nearly $32M to accelerate novel AI-driven approaches in protein design, strengthening the U.S. bioeconomy” (08/07/25) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-invests-nearly-32m-accelerate-novel-ai-driven-approaches

トランプ大統領、連邦助成金の監督を強化する大統領令

トランプ大統領は8月7日、選挙で選出されておらず、説明責任を持たない官僚が無駄な助成金に公的資金を使用することを阻止する大統領令に署名した。今後は、トランプ大統領に任命された者が資金提供公募及び助成金の実施を点検し、各助成金が米国民に恩恵をもたらすことを確実にする。助成は、政治的被任命者と領域専門家によって精査・決定され、米国一般市民に恩恵をもたらし、政権の優先事項に整合し、重複を避けるために連邦機関間で調整されたことを確認した上で実施する。また、この大統領令は、こうした基準を満たさない将来の助成金を打ち切りにすることも可能にしている。大統領令は、連邦機関が公募要綱を平易な言葉で簡素にすることを義務付ける他、毎年のように受給している大学や非営利組織だけでなく、功績のある様々な受給者に助成金を付与するよう指示している。 White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Stops Wasteful Grantmaking” (08/07/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/08/fact-sheet-president-donald-j-trump-stops-wasteful-grantmaking/

NIH、オープンアクセス論文出版費用に上限を設ける複数の提案を発表

ジャヤンタ・バッタチャリアNIH長官(Jayanta “Jay” Bhattacharya)が7月に、研究論文をオープンアクセスにするための政府の支払いに上限を設ける計画を発表した件で、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は7月30日、「情報の要請:出版費用に許容制限を設け、研究資金を最大限化することについて(Request for Information on Maximizing Research Funds by Limiting Allowable Publishing Costs)」を発表し、NIHによる本計画の詳細を提示した。それによれば、①助成金から拠出できる論文出版料について論文1本当たり2,000ドルの上限を設定する、②論文の査読者へ費用を支払い、その内容を公開する専門誌へ支払う論文出版料に3,000ドルの上限を設定する(①に加え、査読者一人につき300ドル×3名分を上乗せ)、③論文出版料の上限を研究助成金受給期間中の直接費用の0.8%または2万ドルのいずれか大きい額とする、など5つの選択肢が提示されている。NIHは、情報の要請へのコメント提出を9月15日まで受け付け、2026年1月1日までにこれらの計画について最終決定する計画である。 Science “NIH details options for limiting its payments for open-access publishing fees” (08/05/25) https://www.science.org/content/article/nih-details-options-limiting-its-payments-open-access-publishing-fees