Category:その他
NSFは裁判所の命令を無視してUCLAの300件のグラントを凍結か
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が4月にカリフォルニア大学(University of California)の教員向けの数百件の助成金を停止した件で、米地方裁判所のリタ・リン判事(Rita Lin)は6月23日、「充分な理由がないままNSFは助成金を中止した」としてNSFにそれらのグラントを復活させるよう命じた。そのうち何件の助成金が復活したのかは明らかではないが、NSFは7月30日、同大学の一つであるUCLAに対して、反ユダヤ主義及び大学運営者による偏見を理由に、新たに300件の助成金の凍結を発表した。カリフォルニア大学教員側の弁護士は、NSFによる新たな措置は、リン判事による前回の差止命令を回避する違法な試みであるとし、同判事に現行の命令を維持するよう要請した。一方、政府側の弁護士は、今回のグラントはリン判事の判決の対象とはならないと書簡で主張した。リン判事は8月12日に双方の口頭弁論を聞く予定である。 Science “Has NSF defied a court order by suspending 300 UCLA grants?” (08/05/25) https://www.science.org/content/article/has-nsf-defied-court-order-suspending-300-ucla-grants
NHTSA、米国製自動運転車に初の実証免除を付与
道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)は8月6日、新たに拡張された自動運転車免除プログラム(Automated Vehicle Exemption Program:AVEP)の下、ズークス社(Zoox、カリフォルニア州)のドライバーレス自動車に免除措置を付与したと発表した。同プログラムの下、米国製の自動車に免除措置が付与されたのは今回が初めてである。ショーン・ダフィー運輸長官(Sean P. Duffy)は、米国の自動運転車機能を安全に成長させることを自身のイノベーション議題の主要な要素としており、NHTSAは4月にAVEPを拡大して国内で製造された車もAV枠組みに含めた。それより以前に免除が適用されたのは外国製の自動運転車のみで、米国のイノベーターに不利となっていた。 Department of Transportation “NHTSA Issues First-Ever Demonstration Exemption to American-Built Automated Vehicles” (08/06/25) https://www.transportation.gov/briefing-room/nhtsa-issues-first-ever-demonstration-exemption-american-built-automated-vehicles
内務省、モンタナ州における石炭鉱山の計画拡大を承認
内務省(Department of the Interior)は、モンタナ州ローズバッド郡及びトレジャー郡に位置するローズバッド鉱山の採鉱計画修正を承認した。この決定により、約3,375万トンの連邦所有の石炭の採鉱が可能になり、同鉱山の操業期間は2039年まで延長される。また、300名以上の高賃金雇用が確保され、モンタナ州経済が強化されると共に、米国エネルギー覇権(American Energy Dominance)に関するトランプ政権の誓約が進展する。 Department of the Interior “Interior Department Approves Coal Mine Expansion in Montana, Supporting American Energy and Jobs” (08/05/25) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-department-approves-coal-mine-expansion-montana-supporting-american-energy
内務省、バイデン前政権が承認したラバリッジ風力発電プロジェクトを中止へ
8月6日、ダグ・バーガム内務長官(Doug Burgum)は、バイデン前政権が退任間近に性急に承認したラバリッジ風力プロジェクト(Lava Ridge Wind Project)を撤回すると表明した。これはアイダホ州南部における1,000メガワットの膨大な風力発電プロジェクトである。内務省(Department of the Interior)は、トランプ大統領の下、ラバリッジ風力プロジェクトや急進的なグリーン・ニュー・ディール(Green New Deal)のような信頼性が低く間欠的で農村コミュニティや生計、土地に害をもたらす電力源への優遇的扱いをしないとしている。トランプ大統領が1月20日に発した風力プロジェクトの許認可手続きの見直し等に関する通達に基づき、内務省は、バイデン前政権による2024年12月のラバリッジ風力プロジェクトの承認について見直しを行い、その結果、独自の法定基準が無視されているなど承認には重大な法的欠陥があると判断した。 Department of the Interior “Interior Department Moves to Cancel Reckless Biden-era Approval of Lava Ridge Wind Project” (08/06/25) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-department-moves-cancel-reckless-biden-era-approval-lava-ridge-wind-project
NSF、AI対応型テストベッドへ投資 米国リーダーシップの加速を目指す
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、人工知能(AI)対応のテストベッド開発支援として、200万ドル以上の計画助成金を発表した。実際の環境に近い状況で米国の経済と繁栄に重要な部門でAI技術の設計・評価・導入を加速させるのが狙い。このイニシアチブは、NSFのコンピュータ情報科学工学総局(Directorate for Computer and Information Science and Engineering: CISE)と技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: TIP)が共同で主導する。緊急時応答から無線ネットワークに至る幅広い分野でAIシステムの統合が進んでおり、実際の環境に近い状況でそれらの信頼性や性能を評価することは、長期的で実効性のあるソリューションを開発する上で重要である。今回選出されたプロジェクト(4件)は、無線・ラジオ通信、スマート輸送、災害対策計画、プレシジョン農業など多様な分野でAIの用途を模索する。 National Science Foundation “NSF invests in AI-ready test beds to accelerate U.S. leadership” (08/06/25) https://www.nsf.gov/news/nsf-invests-ai-ready-test-beds-accelerate-us-leadership
オープンアクセス論文出版の世界的状況 NCSES報告
国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、2003~2022年におけるオープンアクセス(Open-access: OA)論文出版(査読を受けた研究論文で専門誌購読や利用料の支払いを必要とせずに誰もがオンライン上でアクセスできるもの)の世界的傾向及び科学的影響について調査した。ゴールドOA(完全なオープンアクセス)の論文出版数は、2003年の19,089件(世界の出版論文の2%)から、2022年には99万1,805件(同30%)に増加した。一方、世界の論文出版に占めるクローズドアクセスの論文の割合は、2003年の58%から2022年の45%へ低下した。記事ではこの他に、国レベルでのゴールドOA論文出版とクローズドアクセス出版論文の比率、国別所得レベルによるOA論文出文などについて記述し、次のような結論を提示している。①OAは時代と共に一般的になりつつあり、世界中で研究者の論文発表の慣行が変化、②米国と中国は過去20年間のOA論文出版が増加傾向(ただし全体的な論文出版は依然としてクローズドアクセスが圧倒的)、③低所得国の執筆者は、高所得国の執筆者に比べてゴールドOA論文出版の割合が高い、④米国、EU27カ国、英国ではゴールドOA論文出版の割合が増加し、クローズドアクセス論文出版の割合は全体的に減少している一方、中国とインドは、クローズドアクセス論文出版の割合は横ばいまたは増加しつつ、ゴールドOA論文出版の割合が増加。 NCSES “Open-Access Publishing in a Global Context” (08/06/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25347
データ財団、第5次「エビデンス能力動向調査」を発表
非営利組織のデータ財団(Data Foundation)は7月31日、第5次「エビデンス能力動向調査(Evidence Capacity Pulse Report)」を発表した。米国のデータ及び評価インフラに影響するトレンドを継続的にモニタリングする取り組みで、今回の調査で認められた新規及び継続的なトレンドとして以下が挙げられている。①連邦機関はオープンデータ計画を推進、②大統領府及び教育省(Department of Education)は統計分野における主要なリーダーシップ人事を任命、③政権は新たなAI行動計画(AI Action Plan)を発表、④農務省(USDA)は新たな「国家補足栄養支援プログラム(National Supplemental Nutrition Assistance Program: SNAP)(旧「フードスタンプ」)情報データベース」案へのコメントを募集、⑤最高裁は、連邦機関による人員削減と再編計画に対する下級審の差止を解除、複数の連邦機関がデータ及びエビデンスの人員に影響する新たな解雇通知を実施。 Data Foundation “Data Foundation Releases 5th ‘Evidence Capacity Pulse Report’” (07/31/25) https://datafoundation.org/news/press-releases/667/667-Data-Foundation-Releases-5th-Evidence-Capacity-Pulse-Report-
厚生省、約5億ドルのmRNAワクチン契約を打ち切り
厚生省(Department of Health and Human Services)は8月5日、mRNAワクチン開発に関する約5億ドルの助成金及び契約を打ち切りにしたと発表した。厚生省は5月にも、鳥インフルエンザのワクチン開発に取り組んでいたモデルナ社(Moderna)への約6億ドルの契約を取り消しており、今回の一件はmRNAワクチン研究への新たな打撃となる。科学者の多くは、mRNAワクチンはパンデミックの際に米国民を守る最良の選択肢と考えており、今回の決定に失望している。伝統的なワクチンの開発・試験には数年を要することもあるが、mRNAワクチンは数か月で開発でき、ウィルスの変化に伴い早急に変更することも可能である。しかし、ロバート・ケネディ厚生長官(Robert F. Kennedy Jr.)を始めとするワクチン懐疑派はmRNAワクチンを疑いの目で見ている。厚生省によれば、今回の中止の対象となるのは、バイオメディカル先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)が管理する22件のプロジェクトである。 New York Times “HHS Winds Down mRNA Vaccine Development Under BARDA” (08/06/25) https://www.nytimes.com/2025/08/05/health/rfk-jr-vaccine-funding.html
ATOMS 中国からオープンソースAIの主導権奪還を目指す米国の新プロジェクト
多面的なAI競争において、オープンソースソフトウェア分野では、米国企業は中国企業に後れを取っている。あるAI分析企業のデータによれば、AIモデルの上位15件のうち、オープンソースはわずか5件で、その全てが中国のAI企業によって開発されたものである。7月には、オンライン小売のアリババ社(Alibaba)が4件のオープンソースAIモデルを発表している一方、米国企業による発表はゼロであった。こうした中、デベロッパーが自由にアクセス、改良できるソフトウェアの作成に特化した米国ベースのAIラボの創出を目指す新たなイニシアチブが8月4日に開始された。「真の米国オープンモデル(American Truly Open Models: ATOM)」プロジェクトと呼ばれ、企業のAI開発を支える最先端のGPUチップ1万個以上の本格的な計算能力へのアクセスが必要であると要請している。米国企業の幹部や投資家、学術関係者等が、このイニシアチブを支援する署名を行っている。 Washington Post “An ambitious new project aims to win back the U.S. lead in open-source AI from China” (08/05/25) https://www.washingtonpost.com/politics/2025/08/05/atom-project-open-source-ai-china/
ロッキード・マーティン社、ゴールデンドーム計画の指揮システム試作ハブを設立
ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)は8月5日、ゴールデンドーム(Golden Dome)計画による国土ミサイル防衛シールドの重要な一部として提供される指揮統制ソリューションを試作するハブを立ち上げたと発表した。試作ハブの機能は、バージニア州サフォークにある同社のイノベーション・センター(Center for Innovation)施設に設立され、既に試作作業が進んでいるという。ロッキード・マーティン社は、米国の世界的なミサイル防衛アーキテクチャの指揮統制戦闘管理及び通信(Command and Control, Battle Management and Communications: C2BMC)システム等で指揮統制に関する十分な経験を有しているが、同社はソリューションの開発を単独で行う計画はなく、その他の防衛大手企業や、防衛分野では非伝統的と考えられる企業との協力が必要であると認識している。 Defense News “Lockheed launches hub to prototype Golden Dome command systems” (08/05/25) https://www.defensenews.com/industry/2025/08/05/lockheed-launches-hub-to-prototype-golden-dome-command-systems/