GAO、国立衛生研究所に対し、より良いデータが医薬品開発への政府寄与に関する理解を深めると提言

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、「国立衛生研究所:より良いデータが医薬品開発における連邦の寄与に関する理解を深める(National Institutes of Health: Better Data Will Improve Understanding of Federal Contributions to Drug Development)」と題する報告書を発表した。国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)はバイオ医療研究への公的資金提供機関として米国内で最大であり、毎年新たな医薬品の開発もしくは既存の医薬品の新たな使用法の開発に数十億ドルを投資している。しかし、医薬品開発におけるNIHの寄与は、一般市民に十分理解、認識されていない。その理由の一つとして、NIHの資金受益者が特許出願をする際に、NIHからの支援を十分、または正しく開示していないことがある。GAOは、NIHに対して、受益者にはNIHが資金提供機関であると明らかにするようガイダンスを明確にすることなどを勧告している。 Government Accountability Office “National Institutes of Health: Better Data Will Improve Understanding of Federal Contributions to Drug Development” (5/4/23)

NSF、7つの新しい国立AI研究所を発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月4日、その他の連邦機関や高等教育機関、関係機関と協力し、新たに7つの国立人工知能研究所(National Artificial Intelligence (AI) Research Institute)の設立に1億4,000万ドルを投資すると発表した。今回の発表は、AI関連の機会とリスクに対する一貫した手法を進展させるための連邦政府による広範な取り組みの一部である。新たなAI研究所は①AIシステム及び技術の倫理と信頼性の推進、②新規サイバーセキュリティ手法の開発、③気候変動への革新的ソリューションへの貢献、④脳に関する理解の拡大、⑤AIを活用した教育と公衆衛生の強化など6つのテーマの下で設立される。新たなAI研究所は、優れたAI研究者による学際的な共同作業であり、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)や国土安全保障省(Department of Homeland Security)の科学技術総局(Science and Technology Directorate)、農務省(Department of Agriculture)の国立食品農業研究所(National Institute of Food and Agriculture: NIFA)などの連邦機関とIBMによる合同資金提供を受益する。 National Science Foundation “NSF Announces Seven New National Artificial Intelligence Research Institutes” (5/4/23)

プログレス研究所、地域イノベーションのためのグローバル人材育成に関し提言

プログレス研究所(Institute for Progress)は4月25日、「地域イノベーションのためにグローバルな人材を育成する:行政府が新たな地域イノベーション・ハブを支援するためにビザ方策を合理化できる3つの方法(Harnessing Global Talent for Regional Innovation: Three ways the executive branch can streamline visa pathways to support new regional innovation hubs)」と題する報告書を発表した。バイデン大統領は2022年8月、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)に署名して法制化し、米国イノベーションを促進する法的努力をスタートした。その取り組みの中心的要素は、地域の企業や大学、連邦研究所、その他のパートナーを新たな地域イノベーション・ハブに結集させて技術開発を押し上げることであるが、その成功は、新たなハブが引きつけることができる国内外の人材にかかっている。報告書は、ハブが海外の優秀な人材を獲得・維持する能力を強化することで、この機会を全面的に活用できるよう、政府レベルの重要な行動を3つ提案している。それらは、①米国市民権・移民業務局(United States Citizenship and Immigration Services: USCIS)の規制及び政策ガイダンスを通じて、地域イノベーション・ハブがH1-Bビザの上限の例外措置にアクセスできるようにする、②連邦省庁が「関心のある政府機関(Interested Government Agency)」として、J-1ビザ保有者に課せられた「2年後の帰国」要件の免除を要請できるようにする、③連邦機関のガイダンスやハブの構造を更新し、卓越した海外労働者をリクルートできるようにする、である。 Institute for Progress “Harnessing Global Talent for Regional Innovation” (4/25/23)

ハーバード大学元教授、中国との関係に関する事件で刑罰を下される

4月25日、ハーバード大学(Harvard University)の元教授(化学)であるチャールス・リーバー博士(Charles Lieber)に対し、米政府に偽りの陳述をした件と、中国のプログラム「千人計画(Thousand Talents)」及び武漢大学(Wuhan University)との契約の一環として支払われた大金の申告を怠ったことについて、刑罰が下された。禁錮2日と2年間の監視下での保釈及び6カ月の自宅軟禁となる。また、5万ドルの罰金と、内国歳入庁(Internal Revenue Service)への賠償金として3万4,000ドルの支払いを命じられた。検察官によれば、ハーバード大学におけるリーバー氏の研究室は、2008年以来、国防総省(Department of Defense)と国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)から合計1,800万ドルの研究グラントを受益していたが、同氏は、科学的知識と専門性へのアクセス取得を目的とした中国の千人計画からも資金を密かに受け取っていた。リーバー氏は、2018年に連邦捜査官から千人計画への関与について問われた際、それを否定した上、IRSへの申告も怠った。その後、機密情報を中国と共有したことが疑われる科学者を特定することを目的として、米政府が2018年に開始した「中国イニシアチブ(China Initiative)」により、リーバー氏は2021年12月に有罪が確定した。 New York Times “Ex-Harvard Professor Sentenced in China Ties Case” (4/26/23)

世界安全保障研究センター(CGSR)、米国の核戦略の変更を勧告

核の歴史において初めて、米国は大規模かつ多様な核武力を備えた二つの大きな敵対国(ロシアと中国)に直面している。こうした状況は、「米国の核抑止力戦略は、抑止効果を確実に維持するために変更される必要があるか?」「米国の核抑止力の慣行は変更されるべきか?」という二つの疑問を招いている。こうした疑問に答えるため、ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)の世界安全保障研究センター(Center for Global Security Research: CGSR)は最近、「第二の原子力大国としての中国の台頭:米国の核抑止力戦略への意味合い(China’s Emergence as a Second Nuclear Peer: Implications for U.S. Nuclear Deterrence Strategy)」と題する論文を発表した。論文は、問題を定義した後、核抑止や米国の戦略的核武力、リスクの回避といった点での意味合いを概説し、勧告を提示している。論文は、米国の核を巡る政策及び姿勢に何の変更も行わないことは、友好国、敵対国の間で、「米国は自国や同盟国を防御するという決意を失った」との結論を招き、安全保障環境の悪化を加速させるだけであろうと警告している。 Lawrence Livermore National Laboratory “New CGSR report recommends changes to nuclear strategy” (4/25/23)

「生成AIを巡るパニックは、ヒステリーの極みに近い」との報告

データ・イノベーション・センター(Center for Data Innovation)は5月1日、「技術パニックと生成AIと規制面の注意の必要性(Tech Panics, Generative AI, and the Need for Regulatory Caution)」と題する報告書を発表した。報告書は、技術的発展を巡る一般市民のパニックは新しいものではないが、現在の生成AI(artificial intelligence)を巡るパニック状況は最も不安定な段階にあり、「ヒステリーの極み(height of hysteria)」に近づきつつあるとしている。報告書は、過去の技術パニック事例を基に技術パニックのサイクルを4段階に分けて示している。それらは、信頼の開始(Trusting Beginnings)→パニックの浮上(Rising Panic)→懸念の収縮(Deflating Fears)→前進(Moving On)で、現在の生成AIを巡るパニックは、2段階目の「パニックの浮上」の頂点である「ヒステリーの極み」へ進んでいると指摘する。その上で、「政策策定者は、技術パニックの長い歴史を思い出し、生成AIの現在のパニック・サイクルの位置づけを認識し、冷静でいることが必要である」と結論している。 Information Technology & Innovation Foundation “Panic Over Generative AI Is Nearing the “Height of Hysteria”; New Report Urges Policymakers Not to Overreact” (5/1/23)

CHIPS・科学法だけでは包含的なイノベーション・エコシステムを築けないとの報告

ブルッキングス研究所(Brookings Institution)は5月3日、「CHIPS・科学法だけでは包含的なイノベーション・エコシステムを築けない(The CHIPS and Science Act won’t build inclusive innovation ecosystems on its own)」と題する論文を発表した。米国は1980年代初期より、経済開発に自由放任主義的手法を取ってきたが、最近は、場所に基づく産業政策及び、CHIPS・科学法(CHIPS法)など複数の巨額の法律を通じて重要産業の国内回帰を目的とした意図的努力を享受する形へとシフトしつつある。連邦議会はこの軸足の転換を、中国と競争するための地政学的緊急性や世界のサプライチェーンにおけるリスクと費用高騰を制御する必要性の高まりなどで正当化している。CHIPS法は、STEM分野における多様性と包含性は米国イノベーションを強化する鍵となると明確に認識している。本論文は、CHIPS法と、STEM分野の人材及び米国のイノベーション・エコシステムをより広範に多様化するという野心的な目標を詳しく分析したもので、論文は、「CHIPS法による投資は断片的かつ漸次的で、それだけでは教育と訓練、イノベーションの発明と商業化段階における長期的かつ構造的な不平等に対処するには不十分である」と主張する。その上で、指導者達が検討すべき点として、①全国的なキャリアのアウトリーチ及び教育キャンペーンを通じて、STEM分野のキャリアに関する広範な情報の溝を埋める取り組み、②採用やキャリアの進展などにおける学位の要件の軽減、などを提示している。 Brookings Institution “The CHIPS and Science Act won’t build inclusive innovation ecosystems on its own” (5/3/23)

ゼロックス社、PARCをSRIへ寄付

ゼロックス社(Xerox)は4月24日、同社のパロアルト研究センター(Palo Alto Research Center: PARC)を、非営利研究及びイノベーション研究所のSRIインターナショナル(SRI International)へ寄付すると発表した。双方の研究者は技術開発及び科学的研究で協力し、ゼロックス社は中核となるデジタル及びITサービスに焦点を当てていく計画である。PARCの約150名の従業員がSRIに加わり、コンピュータ・ビジョン、人工知能(AI)、機械学習、ロボティクスなどの研究分野で寄与する。ゼロックス社は1970年にPARCを設立し、科学者グループを編成してコンピュータ技術のノベーションの探索に当たらせた。その後の十年間、PARCは、最初のパーソナル・コンピュータ、イーサーネット、グラフィック・ユーザー・インターフェースなどの画期的技術が生まれる場所となった。コンピュータ・マウスやレーザー・プリンターはPARCで開発された。SRIインターナショナルは、1946年に、スタンフォード研究所(Stanford Research Institute)として設立され、1977年にSRIに改称された。 Quartz “Xerox is giving away the lab that birthed the PC, mouse, and laser printer” (4/25/23)

米国と韓国がサプライチェーン及び商務対話に関する閣僚級合同声明を発表

米国商務省(Department of Commerce)のジーナ・レモンド長官(Gina Raimondo)と韓国の産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry, and Energy)のイ・チャンヤン(李昌洋)長官(Chang-Yang Lee)は2022年5月21日、「米韓サプライチェーン及び商務対話(United States – Korea Supply Chain and Commercial Dialogue: SCCD)」を開始する覚書(MOU)に署名した。SSCCD発足後、米韓両国は製造対応力とデュアル・ユースの輸出管理に関する作業部会会合(Working Group meetings on Manufacturing Resilience and Dual-Use Export Controls)を実施し、先端産業のサプライチェーンに具体的な焦点を当てつつ、両国に共通する利益の推進に取り組んだ。2023年4月27日には、ワシントンDCで、SCCDに関する閣僚級会合が初めて開催された。本会合では、先の作業部会による調整の評価が行われ、それぞれの民間部門の世界的競争力と産業の対応力を強化する手段として、更なる協議を行うことに両者の決意が改めて表明された。具体的には、SCCDの下、半導体分野におけるサプライチェーンの対応力向上、ロボティクスと付加製造での協力、輸出管理の協力強化などでそれぞれの取り組みを強化することに同意した。 Department of Commerce “United States – Korea Supply Chain and Commercial Dialogue Ministerial Joint Statement” (4/27/23)

AAAS、「世界における米国の研究開発とイノベーション」2023年更新版を発表

米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)は4月25日、「世界における米国の研究開発とイノベーション(2023年更新版)(U.S. R&D and Innovation in Global Context: 2023 Data Update)」を発表した。本報告書は主として、経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and Development: OECD)が2023年3月に発表した新データに基づいている。報告書によれば、米国の公的R&D投資は引き続き停滞している一方、他国は手厚い投資を行っている。米国は依然として暫定的に世界最大のR&D支出国であるが、公的資金のR&D強度(GDPに占める割合)は13位、民間支出の強度は5位、基礎研究の強度は10位である。また、米国は今回初めて、出版論文の割合で世界1位の座から降り、中国が1位となった。中国は付与された特許件数の割合も最大であった。研究労働力で見ると、米国は世界3位の労働力を有しているが、全労働力に占める研究者の割合で見ると18位となる。 American Association for the Advancement of Science “U.S. R&D and Innovation in a Global Context: the 2023 Data Update” (4/25/23)