アル・ゴア氏の気候監視団体、国連会合で不正排出を指摘

二酸化炭素とメタンガスは、気候に明白な影響をもたらすが、苛立つほどに捕らえどころがない。先端の衛星をもってしても、気体をピンポイントで見つけることは難しい。アラブ首長国連邦で開催された国連の気候変動年次会議において、諸国はそれぞれの排出インベントリを発表し、自国が約束した排出削減に関する進捗状況を示した。しかし、独立系の監視団体、クライメット・トレース(Climate Trace)は、それらの数値はしばしば誤解を与えるとしている。同団体は、新種の衛星データと人工知能(AI)を組み合わせて排出を追跡している。クライメット・トレースが12月3日に発表した所によれば、2021年に、ロシアは15億トン相当の二酸化炭素に相当する温室効果ガスを排出しており、米国は4億トンを取り逃した(その多くは石油及び天然ガス事業からの二酸化炭素排出による)。更に、国連での報告が義務付けられている富裕国家の間で、30億トンの二酸化炭素が未報告になっているという。これは、世界の排出全体の約5%に当たる。クライメット・トレースは、米国の元副大統領であるアル・ゴア氏(Al Gore)の支援を受けた非営利組織と学術機関の同盟で、2年前に世界の温室効果ガスの最大排出源(7万2,000件)に関する分析を初めて発表し、注目を集めた。最新の評価報告では、3億5,200万件の温室効果ガス排出源について調査を行っている。ゴア氏は、長期的な構想として、クライメット・トレースがいずれは本国連プロセスに統合されることを期待している。 Science ” Al Gore’s climate watchdog spots rogue emissions” (12/2/23)

エネルギー省、炭素貯留パートナーシップを通じた地域的な技術援助の提供に4,000万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は12月1日、産業活動及び発電所、大気中のレガシー排出における二酸化炭素排出を削減するため、商業規模の炭素捕獲/移送/貯留を支援するプロジェクトに、最高4,000万ドルの連邦資金を提供すると発表した。「技術援助パートナーシップの地域イニシアチブ(Regional Initiative for Technical Assistance Partnerships)」と題する資金提供公募(FOA)を通じて、炭素の移送と貯留に関する技術/管理/規制/ビジネス/社会科学の専門性を持つ関係機関を含む学際的なパートナーシップを確立する。各パートナーシップは、特定の地域に焦点を当て、複数の炭素貯留プロジェクトが実施される計画である。そして、その地域内で、プロジェクトの開発事業者や規制当局、コミュニティ提唱グループ、労働組織、その他の関係機関に、客観的で公平な技術援助を提供する。 Department of Energy “DOE Announces $40 Million to Provide Regional Technical Assistance Through Carbon Storage Partnerships” (12/1/23)

国家量子イニシアチブの2024年度大統領予算発表

12月1日、バイデン大統領の2024年度予算の国家量子イニシアチブに関する補足文書(National Quantum Initiative (NQI) Supplement to the President’s FY 2024 Budget)」が発表された。本件は、量子情報科学(QIS)及び技術における米国のリーダーシップを加速させることを目的として、2018年12月に法制化されたNQI法で義務付けられたNQIプログラムの年次報告で、今回で4年目となる。報告書は、QISに関する連邦の研究開発(R&D)エコシステム全体及び、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)や米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、エネルギー省(Department of Energy)などの連邦機関の資金提供を受けて行われる大幅かつ継続的な取り組みについて、年間でまとめたものである。報告書には、各当局による取り組みの概略や、分野横断型のQIS政策トピックの進展も含まれている。 Quantum.gov “The National Quantum Initiative Supplement to the President’s FY 2024 Budget Released” (12/1/23)

内務省、6件目となるオフショア風力プロジェクトを承認

内務省は11月21日、エンパイア・ウィンドUS社(Empire Wind US LLC)によるオフショア風力発電プロジェクトを承認したと発表した。バイデン政権の下、商業規模のオフショア風力エネルギー・プロジェクトとして6件目の承認となる。政権は、2030年までに30ギガワットのオフショア風力発電能力を導入することを目標としており、今回の発表はそれを支援する。エンパイア・ウィンドUS社は、エンパイア・ウィンド1とエンパイア・ウィンド2の2件のオフショア風力発電施設を開発することを提案している。リース・エリアは、ニューヨーク州ロングアイランドの南方約12海里、ニュージャージー州ロングブランチの東方約16.9海里に位置する。両方あわせて最大147基の風力タービンが設置され、合計2,076メガワットのクリーンな再生可能エネルギー能力を有する。内務省(Department of the Interior)の海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management: BOEM)の試算によれば、毎年70万世帯以上に電力供給が可能となる。本プロジェクトにより、建設段階では毎年830人以上の、運用段階では毎年約300人の雇用を支える見込みである。 Department of the Interior ” Biden-Harris Administration Approves Sixth Offshore Wind Project” (11/21/23)

電気自動車とハイブリッド車が米国の乗用車販売に占める割合が過去最高の18%に

ワーズ・インテリジェンス社(Wards Intelligence)のデータによれば、2023年第3四半期の新規乗用車販売において、ハイブリッド車、プラグイン式ハイブリッド車、電池式電気自動車(battery-electric vehicles: BEV)が占める割合は、17.7%に上昇した。今年これまでの所、新規乗用車販売に占めるこれらの自動車の割合は16.0%となっている。同割合は、2022年は12.5%、2021年は9.0%であった。ハイブリッド車、プラグイン式ハイブリッド車、BEVの割合が上昇している背景には、非ハイブリッド車、ガソリン自動車、ディーゼル自動車の売上の減少と、既存のBEVモデルの売上増加がある。BEVの平均取引価格は、第3四半期に5%低下して、5万283ドルとなった。これは過去最高であった2022年第2四半期に比べて24%低い。同期間における全ての乗用車の平均価格の低下率は0.5%以下であった。 Energy Information Administration “Electric vehicles and hybrids grow to a record-high 18% of U.S. light-duty vehicle sales” (11/27/23)

二酸化炭素排出減少の部分的要因は発電源のシフト

米エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は、米国のエネルギー部門は2023年に、47億9,000万メトリックトンの二酸化炭素を排出すると予測している。これは前年から3%の減少である。主な理由は、ソーラー電力などの再生可能資源からの発電増加を受け、石炭火力発電所による発電が低下したことである。EIAは、こうしたトレンドは2024年も続き、同年における二酸化炭素の排出量は2023年と比べて1%減少すると予測している。米国における二酸化炭素排出のほぼ半分は、輸送部門を中心とする石油消費によるものである。EIAは、2023年の石油消費による排出について、航空燃料の消費増加がガソリン消費の低下を相殺し、全体の排出量はほぼ変わらないと予測している。 Energy Information Administration “Lower CO2 emissions are partially due to shifts in power generation sources” (11/28/23)

2022年に石炭発電は減少したが、全体の排出は増加との報告

米エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)の発表によれば、米国における2022年の石炭関連の二酸化炭素排出は、前年比で7%(6,800万メトリックトン(68MMmt))減少した。この減少の主な要因は、石炭火力発電設備の閉鎖により、石炭火力発電が8%減少したことである。電力源の変化を受け、2022年における電力の炭素強度は4%減少した。天然ガス火力発電と再生可能エネルギー資源の増加、そして石炭の供給不足が、石炭関連の排出低下に寄与した。一方、全体としては、米国におけるエネルギー関連の二酸化炭素排出は、2021年の4,905MMmtから2022年の4,939MMmtと僅かに増加した。その背景には、輸送部門の排出の2%増加と、住宅・商業部門をあわせた1%の増加がある。2022年における石炭による排出の減少は、長期的なトレンドの一部で、同排出は、ピークであった2005年の2,180MMmtから57%減少した。 Energy Information Administration “Coal generation decreased in 2022, but overall U.S. emissions increased” (11/29/23)

SCSPとオーストラリア戦略政策研究所、AI、人間と機械のチーム化、諜報分析の将来に関するプロジェクトを開始

特別競争研究プロジェクト(Special Competitive Studies Project: SCSP)とオーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute: ASPI)は11月29日、「人工知能、人間と機械のチーム化、諜報分析の未来(Artificial Intelligence, Human-Machine Teaming, and the Future of Intelligence Analysis)」と題する合同プロジェクトを始動し、オーストラリアのキャンベラにおいて作業部会を開始した。本プロジェクトを通じて、米豪の諜報高官や技術者、官民の研究者が結集し、両国及び緊密な二国間関係における未来の諜報手法について情報提供を行う。具体的には、現在及び新興のAI能力によって、オールソース諜報分析の質と適時性をどのように強化できるか、そしてこの新しい技術が諜報活動の性質をどのように変えるかといった点に焦点が置かれる。プロジェクトの目標は、AIを迅速かつ安全、効果的に導入する方法について、米豪それぞれの諜報コミュニティ向けの勧告を策定し、優先付けすることである。 Special Competitive Studies Project “SCSP and ASPI Launch a New Project on Artificial Intelligence, Human-Machine Teaming, and the Future of Intelligence Analysis” (12/4/23)

アルゴンヌ国立研究所とアイダホ国立研究所、革新的な長期エネルギー貯留プロジェクトでCMBluエナジー社と協力

エネルギー省(Department of Energy)は、電池製造事業者のCMBluエナジー社(CMBlu Energy)が開発した革新的な長期エネルギー貯留システムの検証に取り組むアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)とアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)のプロジェクトを選出した。3者による協調的プロジェクトは、寒冷気候下でのマイクログリッドの向上と、社会的に不利な立場にあるコミュニティでの電気自動車の急速充電をより手頃なものにすることを狙いとしている。プロジェクト期間を通じて、両国立研究所は、CMBluエナジー社が開発した電池技術「オーガニック・ソリッドフロー(Organic SolidFlow)」を導入、検証する。これらの電池の構造に使用されるマテリアルは非金属で豊富に存在しており、対応力のある国内サプライチェーンの構築へつなげることを目標としている。本プロジェクトは、エネルギー省のクリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations: OCED)が、長期エネルギー貯留に関するラボコール(プロジェクト募集)の一部として9月に選出した6件の実証プロジェクトの一つ。 Argonne National Laboratory “Argonne and Idaho National Laboratories partner with CMBlu Energy for innovative long-duration energy storage project” (12/4/23)

米国の大学におけるR&D支出、2022年度は前年度比80億ドル増

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)の発表によれば、米国の高等教育機関における2022年度の研究開発(R&D)支出は合計978億ドルとなり、前年度から80億ドル増加した。この増加分のうち、49億ドルを連邦政府が占める。大学内部資金によるR&D支出は前年度比21億ドル増で、企業による大学R&D支出は5億8,700万ドル増加した。これらの増加は、現行ドル価で最大の年間増加額となる。非営利組織と州及び地方自治体による大学R&D支出も増加した。資金源別のR&D支出で見ると、連邦政府による2022年度の大学R&D支出は約540億ドルで、全支出の55%を占める。そのうち最大のシェアを占めるのは、厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)である。また、大学内部資金による大学R&D支出は245億ドルで、全体の25%を占める。記事ではこの他に、学問分野別のR&D支出、費用の種別によるR&D支出、大学研究の上位大学について報じている。 National Center for Science and Engineering Statistics “R&D Expenditures at U.S. Universities Increased by $8 Billion in FY 2022″ (11/30/23)