「州と連邦は、クリーンエネルギーインフラについて議会の行動を待つべきではない」との報告

クリーンエネルギー団体のエバーグリーン・アクション(Evergreen Action)が発表した報告書「ワープ・スピードのクリーン・エネルギー(Warp Speed Clean Energy)」によれば、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)によってクリーンエネルギー・プロジェクトが前代未聞のペースで進んでいる中、米国は今後数十年間に電力グリッドの規模をほぼ2倍にする必要があるという。報告書によれば、これは、追加の連邦の成立を待たずに、州や地方自治体の行政機関が自身の権力を使って目指すべき目標である。また、報告書は、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission)、エネルギー省(Department of Energy)、各州政府が、電力移送やクリーンエネルギー・プロジェクトのサイト選出及び許認可プロセスを即座に迅速化するよう提案している。報告書の筆頭執筆者であるチャールス・ハーパー氏(Charles Harper)は、全国の電力グリッド構築のためには長期的な議会の行動が必要であるとの見解に同意した上で、「議会が行動を起こすことを待っていると誤った希望を抱くことになる。国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)の実践や州政策を通じて、許認可や移送、クリーン・エネルギーをスピードアップするために、短期的に実施できることは数多くある」と述べる。 Utility Dive “States and federal agencies shouldn’t wait for Congress to act on clean energy infrastructure: report” (12/7/23)

エネルギー省、アラバマ州で先端観測所を設置へ

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所の環境科学者で構成されるチームは、アラバマ州にあるウィリアム・バンクヘッド国立森林(William Bankhead National Forest)に高度な一連の科学設備を導入する。大気及び地上のサンプリング機器の導入は、DOEの大気放射線測定(Atmospheric Radiation Measurement: ARM)ユーザー施設及び大気システム研究(Atmospheric System Research :ASR)プログラムの支援を受けて進められている主要な5か年研究計画の一部であり、「雲や植生、大気中に浮遊するエアロゾル粒子はどのように相互作用し、地域の気象や地球の気候に影響を及ぼしているのかについてデータを収集すること」を目標としている。科学者が収集するデータは、気象や気候のモデルにおけるこれらの要素や相互作用の示し方をより良いものとする一助となる。そしてひいては、気候変動がこの地域にもたらす影響を理解する上での情報提供となると期待されている。 Brookhaven National Laboratory “DOE to Deploy Advanced Observatory to Alabama” (11/17/23)

GAO、中小企業研究プログラムについて報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は11月16日、「中小企業研究プログラム:当局は海外のリスクを管理するプログラムを実践、更なる改良を計画(Small Business Research Programs: Agencies Are Implementing Programs to Manage Foreign Risks and Plan Further Refinement)」と題する報告書を発表した。連邦機関による中小企業技術革新制度(SBIR)及び中小企業技術移転制度(STTR)は、連邦資金を受けた研究や技術を不正に入手しようとする海外政府のリスクに直面している。こうしたリスクへの対処の一環として、「2022年SBIR及びSTTR拡大法(SBIR and STTR Extension Act of 2022)」は、この制度に参加する機関に、連邦資金を模索する中小企業の側面を評価する適正評価プログラムを開発するよう求めた。2023年に中小企業庁(Small Business Administration: SBA)は、12のベストプラクティスを発表しており、GAOの調査によれば、これらの制度に参加する12機関が、ベストプラクティスを使ってリスク評価を行う様々な手法を講じている。そしてこれらの機関は、自らの経験に基づき、手法の改良を計画している。 Government Accountability Office “Small Business Research Programs: Agencies Are Implementing Programs to Manage Foreign Risks and Plan Further Refinement” (11/16/23)

大統領府、COP28で世界の気候行動を促進するよう諸国に要請

発足初日から気候変動対策に取り組むバイデン=ハリス政権は、アラブ首長国連邦で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、その他の主要経済国に、この重要な十年間における気候行動を加速させるよう要請すると共に、摂氏1.5度目標を可能な範囲に維持すべく、世界的な努力を働きかける新たなイニシアチブを発表した。ハリス副大統領は、COP28での講演の一環として、グリーン気候基金(Green Climate Fund)への30億ドルの誓約の他、次のようなイニシアチブを発表した。①米国内での野心的な気候行動を進展させ、気候行動への投資は経済にとって良いことであると国内外に示す、②脆弱な発展途上国への米国支援を拡大し、世界的な気候対応力を強化する、③気候に最も脆弱な国とコミュニティが受けている気候変動の影響に対応する、④摂氏1.5度目標を可能な範囲に維持する世界的な気候行動を加速させる、⑤あらゆる所からの資金を動員させる、⑥気候変動対策における女性と女子のリーダーシップを進展させる。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Leverages Historic U.S. Climate Leadership at Home and Abroad to Urge Countries to Accelerate Global Climate Action at U.N. Climate Conference (COP28)” (12/2/23)

クリーンエネルギー・イノベーションへの誓約にもかかわらず、多くの国は過少投資

情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は今般、「ミッション・イノベーション フェーズ2:気候変動対策への意欲が更に頓挫(Mission Innovation, Phase 2: More Failed Aspirations to Fight Climate Change)」と題する報告書を発表した。それによれば、クリーンエネルギー・イノベーションの研究開発実証(RD&D)活動及び投資を促進することを目的とした世界的なイニシアチブ「ミッション・イノベーション」は、その目標を大きく下回っている。2015年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、23カ国及び欧州連合(EU)は「2020年までにクリーンエネルギーのRD&Dへの公的投資を2倍にする」というミッション・イノベーション1.0を開始した。しかしその報告内容によれば、支出合計はわずか16%増加したのみであった。それでも諸国は2021年、新たな誓約と共に、「ミッション・イノベーション2.0」を開始した。しかしそれから2年が経過した現在、多くの国はクリーン・エネルギーのRD&Dへの投資が悲惨なほどに少ない。ITIFのロバート・アトキンソン社長(Dr. Robert D. Atkinson)は、「ミッション・イノベーションは主として話だけで行動をほとんど伴っていない。しかし、加盟国がその姿勢を修正するのに遅すぎることはない」と述べる。 Information Technology & Innovation Foundation “Most Nations Woefully Underinvest in Clean Energy Innovation Despite Pledges, ITIF Analysis Shows” (11/30/23)

核融合エネルギー開発の新時代における国際パートナーシップ

米国は、核融合エネルギーを含むクリーン・エネルギー技術の次世代ブレイクスルーを加速させるため、市場勢力、包含的な技術イノベーション、投資を活用する国内外の努力を拡大している。世界の核融合研究開発(R&D)コミュニティは、過去60年にわたり、力強い協調の伝統を享受しており、その伝統は核融合の科学技術進展につながっている。豊富で持続可能なクリーン・エネルギー資源としての核融合エネルギーの可能性を十分に発揮させ、数十億人をエネルギー貧困から脱却させる上で、国際協力は重要である。米政府は2022年3月に、「商業核融合エネルギーの大胆な十年間ビジョン(Bold Decadal Vision for Commercial Fusion Energy)」を発表するなどしている。米政府は、国際的な関与とパートナーシップを呼びかける分野として、①核融合R&Dに関する国際協力もしくはパートナーシップの機会を特定、追求し、主要インフラへのアクセスもしくは共同開発を実現する、②未来の世界市場を成長させる、③核融合エネルギーに安全確実な環境を創出する規制枠組みを調整する、など5点を挙げている。 White House “International Partnerships in a New Era of Fusion Energy Development” (12/8/23)

NSF、グローバル・センター・プログラムのコンペについて報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国際科学・工学局(Office of International Science and Engineerign: OISE)は、2023年度に「グローバル・センター・プログラム(Global Centers Program)」を開始した。グローバル・センター・プログラムは、海外の資金提供パートナー機関との提携によって実施される分野横断型の資金提供機会で、単一国では解決できない世界的な課題に対処するため、国際的なパートナーとの協力で、ユーザーの使用経験にヒントを得て大規模に行われる研究を支援する。資金提供レベルは、NSFグローバル・センターの実践アワード(Implementation award)で最高500万ドル(4~5年間)、設計アワード(Design award)で最高25万ドル(2年間)となっている。2023年度の初回コンペにおける資金提供額は、両アワードをあわせて合計7,640万ドルであった。2024年度のグローバル・センター・プログラムのコンペのテーマは、「バイオ経済を通じて社会的課題に対処する(Addressing Societal Challenges through the Bioeconomy)」となる見通しである。プログラムでは、5~7件の実践アワードを提供する(1プロジェクトに500万ドル。4~5年間)見込みで、設計アワードは実施されない予定。 National Science Foundation “Dear Colleague Letter: Global Centers Program Competition” (11/21/23)

大統領府、温室効果ガスの測定と監視能力を強化する国家戦略を発表

行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)、大統領府国内気候政策局(White House Office of Domestic Climate Policy)は11月29日、「米国の総合的な温室効果ガスの測定/監視/情報システムを進展させる国家戦略(National Strategy to Advance an Integrated U.S. Greenhouse Gas Measurement, Monitoring, and Information System)」を発表した。温室効果ガスの監視と測定に関する省庁作業部会が、連邦政府内の取り組みの調整と統合を強化することを目的として作成した。報告書は、①米国の温室効果ガスの測定/監視/情報システムに関する概念的な枠組み、②連邦・非連邦の事業体における温室効果ガスの集合的な測定と監視に焦点を当てるための国家的な目的、③現在の成熟した能力を最大限に活用しつつ、将来の進展への道を開く段階的な実践手法、を提供することで、集合的な取り組みのガイドとなることを目指している。 White House “Biden-⁠Harris Administration Releases National Strategy to Enhance the Nation’s Greenhouse Gas Measurement and Monitoring Capabilities” (11/29/23)

大統領府、国家ナノテクノロジー・イニシアチブ法制定20周年を記念

「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century Nanotechnology Research and Development Act)」の制定20周年を祝い、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)と国家ナノテクノロジー調整局(National Nanotechnology Coordination Office: NNCO)は、ナノテクノロジーにおける米国のリーダーシップを促進する一連のイベントを発表した。過去20年にわたり、国家ナノテクノロジー・イニシアチブ(National Nanotechnology Initiative: NNI)は、20以上の省庁機関で、社会への恩恵を目的として、物質をナノスケールで理解及び管理するというビジョンの進展に取り組んできた。政府内の調整により、米国民はナノテクノロジーの恩恵を安全に享受することができる。NNIコミュニティは、2024年3月5日に、米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)でシンポジウムを開催し、ナノスケールの研究開発の影響を確認し、NNIの有望な未来について計画する。また、今週は、NNCOが、NNIの影響を象徴する報告書やストーリーを発表する。それ以外にも、今後数か月間にわたり、イベントが行われる予定である。 White House “Celebrating the 20-Year Anniversary of the Authorization of the National Nanotechnology Initiative” (12/4/23)

国防総省、中国対策を視野に入れ、オーストラリア及び英国と新たなハイテク合意を形成

米国は、インド太平洋地域で急速に影響力を高めている中国への広範な対抗努力の一環として、海中ドローンから電子戦争に至るまでのハイテク軍事分野でオーストラリア及び英国との協力を拡大している。国防総省(Department of Defense)のロイド・オースティン長官(Lloyd Austin)は12月1日、シリコンバレーの米軍防衛技術ハブで、豪英両国の防衛長官と会合し、技術協力と情報共有を高める新たな合意を形成した。発表された合同声明によれば、協定の目標は、世界の安全保障課題により良い対処ができるようになること、各国が急速に進展する脅威から自国を確実に防衛できるようにすること、そしてインド太平洋地域内外の安定と繁栄に寄与することである。新たな技術合意は、2021年に初めて発表されたオーストラリアとの軍事協力拡大における新たなステップである。米豪英は、いわゆる「オーカス(AUKUS)」パートナーシップを通じてオーストラリアが8隻の原子力潜水艦を装備することを支援する計画を概説している。新たな合意の下、オーストラリアは、米国からバージニア級原子力潜水艦3隻を購入し、英国と協力して新たなAUKUS級の原子力潜水艦5隻を建造する。 NEWS10NBC “Pentagon forges new high-tech agreement with Australia, United Kingdom, aimed at countering China” (12/1/23)