送電線を先進導体と交換すれば2035年までに送電容量4倍に

カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)のゴールドマン公共政策大学院(Goldman School of Public Policy)とグリッドラボ(GridLab)が4月9日に発表した報告書によると、従来型の送電線を先進的な導体で張り替えれば新たに送電線を建設するよりも低コストで米国の送電容量を短期的に大幅に増やすことが可能となる。先進導体で張り換えることで、2035年までに約64TWマイルのインターゾーン送電容量が新たに追加され得るが、新しい送電線を建設するだけの場合は約16TWマイルとなると同報告書は分析している。先進導体を使って古い送電線を張り換える場合、既存のインフラを使うために同容量の新たな送電線を建設する場合の半分のコストで済む。また、先進導体の使用によってインターゾーン送電容量が増えることで低コストのクリーンエネルギーへのアクセスが可能になり、卸電力コストが平均3%から4%削減されて、2035年までに850億ドル、2050年までに1,800億ドルのシステムコスト節約につながる。米国の送電線の約98%は50マイル未満で、張り換えに適していると報告書の著者は述べている。 Utility Dive “Reconductoring US power lines could quadruple new transmission capacity by 2035: report” (4/9/24)

ACEEE、住宅の気候変動対策改修用インセンティブを提唱

米国エネルギー効率経済評議会(American Council for an Energy-Efficient Economy: ACEEE)は4月1日に発表した報告書の中で、壊滅的な気候変動を回避し、何百万人もの人々の生活環境を改善するためには、老朽化した住宅ストックの包括的な改修が必要であるが、改修の普及にはパッケージ化や販売方法が大きく影響すると指摘した。ACEEEによると、米国の世帯のうち約3分の2は1,000ドル程度かそれ以上を改修に投じてエネルギーの使用量を20%減らすことに前向きであり、その支払い能力がある。しかし、改修にかかる費用は一般的にそれより高額であるため、改修の普及を推進する州や自治体は、その売り込み方を異なる消費者層ごとに変えるなど工夫する必要がある。インセンティブとして、前払い不要の無利子ローンなどの金銭的インセンティブを提供すれば関心が高まる可能性があるが、特に低所得層より少し所得の多い層はインフレ削減法(Inflation Reduction Act: IRA)などのもとに低所得層に提供されるリベートの対象とならず、改修に手が届かないため、考慮する必要があるとしている。 Utility Dive “More incentives for moderate-income home retrofits needed to combat climate change: ACEEE” (4/10/24)

1TW以上の発電プロジェクトが系統接続待ち

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)の4月10日の発表によると、昨年末時点で米国の送電網への接続を希望している発電プロジェクトは約2.6TWとなった。前年比27%増で、既存の発電容量の2倍に相当する。太陽光発電、バッテリー、風力発電のプロジェクトが、相互接続待ちの容量の95%を占めている。1TW以上の太陽光発電と1TW以上の蓄電池が接続待ち状態で、そのほとんどがハイブリッドプロジェクトである。風力の360GWとガス火力発電の79GWがそれに続く。2013年以降、接続を申請する発電プロジェクトの数とその容量が急増しており、2021年は561GW、2022年は759GW、2023年は908GWへと増えている。LBNLの研究者によると、相互接続待ちの容量の12%にあたる合計311GWのプロジェクトが、相互接続の最終的なプロセスである相互接続契約を既に締結している。プロジェクトが建設されるまでに接続希望状態で待つ時間が増える傾向にあり、2023年に建設された典型的なプロジェクトでは、相互接続調査の申請から商業運転開始までに5年近くかかったが、2015年には3年、2008年には2年未満であった。 Utility Dive “Grid interconnection queues jumped 27%, to 2.6 TW, in 2023, led by solar, storage: DOE lab” (4/11/24)

VPPの導入で電力システムのコスト大幅減

コンサルティング会社のブラトルグループ(Brattle Group)は4月11日、カリフォルニア州で2035年までに容量が現在の5倍に相当する7.7GWのバーチャルパワープラント(Virtual Power Plant: VPP)が導入されれば、従来型電力システムのコストが7億5,500万ドル減り、電力消費者は年間5億5,000万ドルを節約できるようになるとする報告書を発表した。同報告書は、スマートサーモスタット、ビハインドザメーターバッテリー、管理された電気自動車充電、商業・産業ユーザー向けの自動デマンドレスポンス、インタラクティブ給湯を含む5つのVPP技術の累積的な可能性を分析した。EVの双方向充電など、普及には依然として技術的、商業的な障壁があるテクノロジーは考慮しなかった。分散型エネルギー資源の普及率が高く、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(Pacific Gas &Electric)がサンラン(Sunrun)と行った30MWのロードシェーピング・パイロットのような革新的なプログラムがあるのにもかかわらず、同州のVPP展開は「期待されるような規模ではまだ起こっていない」と、ブラトルグループのプリンシパルで報告書の共同執筆者であるライアン・ヘレディック氏(Ryan Hledik)は述べている。 Utility Dive “Virtual power plant adoption could save California ratepayers $550M annually: Brattle report” (4/15/24)

政府が輸出管理規制リストの宇宙システム関連品目を更新へ

大統領府の国家宇宙会議(National Space Council)のシラク・パリク事務局長(Chirag Parikh)は4月9日に開催された第39回宇宙シンポジウムで講演し、国務省(Department of State)と商務省(Department of Commerce)がこの夏、宇宙システム関連品について輸出管理規制リストの更新に着手することを明らかにした。2010年代初頭に宇宙分野の輸出規制が改革されて以来、同分野の能力に急速な変化があったため、それを反映した見直しが必要であることを理由に挙げている。同氏によると、6月中旬に両省が規則制定の可能性に関する予告を発表する見込みで、現在、国際武器取引規則(International Traffic in Arms Regulations: ITAR)の管理下にある米国軍需品リスト(U.S. Munitions List)に掲載されている技術のうちどれをより規制の緩い輸出管理規則(Export Administration Regulations: EAR)の規制品目リスト(Commercial Control List: CCL)に移すことができるか検討することになる。 Space News “U.S. government plans review of space technology export controls” (4/10/24)

GAO、連邦政府機関の科学プログラムマネージャーの主な役割に関する調査結果を発表

連邦政府機関で基礎研究や応用研究の監督にあたる科学プログラムマネージャーは通常、アワードの選考管理、進行中のアワードの監視、受賞者や研究コミュニティとの調整などの役割を担っている。GAOは、今回の調査にあたって実施した連邦政府機関の科学プログラムマネージャーへのインタビューに基づき、彼らがこうした役割を果たすために用いている主な慣行を(1)担当科学分野の専門知識の強化と構築、(2)他の連邦政府機関で同様の職務に就いている人たちや科学コミュニティとの人脈づくり、(3)所属政府機関の研究ミッションと科学知識の進展につながる強固な研究ポートフォリオづくり、の3つに大別した。科学プログラムマネージャーたちは、これらの慣行が各政府機関の目標を達成し、科学を発展させ、不必要な重複を避けるのに役立っているとするほか、プログラム管理者、連邦政府機関、その他が基礎研究や応用研究の管理を評価し、改善していくのに役立つ可能性があるとしている。 Government Accountability Office “Federal Research: Key Practices for Scientific Program Managers” (4/8/24)

エネルギー省と文科省、核融合エネルギーの実証と商用化加速に関する共同声明を発表

エネルギー省(Department of Energy)のデイビッド・ターク副長官(David M. Turk)と森山文部科学大臣が4月9日にワシントンで会談し、核融合エネルギーの実証と商用化を加速する戦略的パートナーシップに関する共同声明を発表した。両国はこれまでにも長年にわたり、研究者の交流や核融合調整委員会(Coordinating Committee on Fusion Energy: CCFE)を通じた共同研究や合同計画などを行って協力関係を築いてきたほか、イーター(ITER)への参加を通じて核融合エネルギーの実現に向けた取り組みにともに関わってきた。今回結ばれたパートナーシップのもとに、両国はCCFEを活用して、大学や国立研究所、民間企業などにある核融合関連の資源や施設の相互補完性を高め、核融合研究開発施設の共有と開発、規制や標準に関する国際的な協調の促進、核融合の商業的展開を促す世界的サプライチェーンの支援、次世代の核融合セクターに必要な人材の育成などに力を入れていく。 Department of Energy “Joint Statement between DOE and the Japan Ministry of Education, Sports, Science and Technology Concerning a Strategic Partnership to Accelerate Fusion Energy Demonstration and Commercialization” (4/10/24)

DARPA、重要材料の世界市場透明化をねらうOPENプログラムを開始

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は、市場が卑金属やレアアースなどの様々な重要材料のコンポーネントベースの価格や需要と供給を理解しやすくする予測技術の開発を目指して同局が実施する「国家安全保障のための公開価格調査(Open Price Exploration for National security: OPEN)」プログラムに参加する組織とその研究内容を明らかにした。OPENには(1)重要材料を投入するコストを見積もるシステムのプロトタイプづくり、および(2)重要材料の需要と供給の関数を予測するシステムのプロトタイプづくり、という2つのテクニカルエリアが設けられており、(1)についてはExigerとS&P Global Commodity Insights、(2)についてはCharles River Analytics、GE Research、S&P Global Commodity Insightsがそれぞれ選ばれた。DARPA戦略技術局(Strategic Technology Office)のプログラムマネージャーであるジョナサン・ドイル氏(Jonathan Doyle)は「正確かつ公平な価格、供給、需要の予測に向けて彼らが開発する技術によって、米国政府と投資家がより正確な情報に基づいた意思決定を行えるようになり、サプライチェーンの混乱に直面した際の回復力が高まる」と述べている。 Defense Advanced Research Projects Agency “OPEN Program Seeks to Prove Technology Capability for Global Critical Materials Market Transparency” (4/11/24)

国防総省のデジタルAI最高責任者にラダ・プラム博士が就任

国防総省(Department of Defense)のデジタルAI最高責任者(Chief Digital and Artificial Intelligence Officer: CDAO)にラダ・プラム博士(Radha Plumb)が就任した。就任前は国防次官補(調達・維持担当)として強固な国家安全保障基盤とサプライチェーンの構築と維持などを担当していた。また、グーグル(Google)やランド研究所(RAND)、フェイスブック(Facebook)などでも様々な職務に就いた経験があり、データとAI開発に関しても専門知識を持つ。プリンストン大学(Princeton University)で経済学博士号を取得している。CDAO室は国防総省全体でAIの能力を統合し最適化する部署として2022年6月に設けられた。国防総省のデータ、分析、AIの導入を加速化して同省のデジタルインフラストラクチャと政策の導入を可能にし、エンタープライズおよび共同使用のケースに拡張可能なAIソリューションを提供して、米国を既存および新たな脅威から守る役割を担っている。 Department of Defense “Dr. Radha Plumb Assumes Role as Department of Defense Chief Digital and AI Officer” (4/9/24)

NETL、電池製造セクターの人材育成イニシアティブを開始

エネルギー省(Department of Energy)化石エネルギー炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)は米国で急成長中の電池製造セクターの人材を育成するパイロットプログラム(Battery Workforce Initiative: BWI)を労働省(Department of Labor)とともに立ち上げた。両省は電池製造業者やコミュニティカレッジ、労働組合などの協力を得て3月にBWIのガイドラインとなる基準を発表し、その中で成長する電池産業の支援に必要な熟練労働者を育てる厳格な訓練要件を示した。EVの売上げが急速に高まる中、米国では2025年までに電池の製造能力が2倍になる見込みであり、今後5年間に10以上の電池製造工場が操業を開始する予定となっている。この訓練プログラムには雇用主によるテストと検証のプログラムが含まれており、優先度の高いポジション向けの訓練の効果が試される。エネルギー省は労働省と連携したことによって新しい訓練プログラムに対する労働省の認可プロセスが迅速化され、国家資格の基盤づくりに貢献すると見ている。 National Energy Technology Laboratory “NETL Releasing Pilot Training for Battery Workforce Initiative” (4/10/24)