USPTO、包含的イノベーションのための国家戦略を発表

米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office: USPTO)は5月1日、庁内の包含的イノベーション評議会(Council for Inclusive Innovation: CI2)と共に、「包含的イノベーションのための国家戦略(National Strategy for Inclusive Innovation)」を発表した。戦略は、経済を成長させ、質の高い雇用を創出し、STEM/発明/イノベーションに若者や歴史的に少数派となっているコミュニティの人々の参加を増やすことで、世界的な課題に対処することを狙いとしている。知的財産の保護は、科学技術の進展の最前線に位置するが、米国のイノベーション・システムに参加する機会は、歴史的に不平等となっている。USPTOは、包含的イノベーションというミッションを進展させる継続的な取り組みの一つとして、連邦政府、学術機関、民間業界向けに、多様な層の問題解決者を意欲付け、支援するベスト・プラクティスを共有及び実践するための包括的な戦略手法を概説した。戦略は、米国の繁栄を最大限にする上で重要となる4つの礎石に基づいている。それらは、①新世代のイノベーターを意欲付ける、②イノベーターの教育と力添え、③政府機関/業界/非営利/学術機関における包含的イノベーションの進展、④イノベーションの市場化、の4点。 United States Patent and Trademark Office “USPTO announces National Strategy for Inclusive Innovation” (5/1/24)

輸送の電気化を支援する地元ユーティリティ事業者を探すUファインダー・ツール

電気自動車(EV)の充電インフラ計画には、事前の検討事項が数多くあり、その一つに地元のユーティリティ事業者との提携方法やその時期が含まれる。ユーティリティ事業者との関与を計画段階から優先付けることで、州やコミュニティ、車両フリートは、地元のユーティリティ事業者と早期から関係を築くことができ、開発段階の遅い時期に同事業者と関与することによる潜在的な遅延を避けることができる。こうした中、国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)が開発した「ユーティリティ・ファインダー(Utility Finder: U-Finder)」ツールは、州及び地元において、EV充電器導入におけるユーティリティ事業者の支援を得られるか否かについて理解を促進する一助となる。Uファインダーは、ウェブベースのツールで、ユーティリティ企業とインセンティブを特定するプロセスを合理化し、地元のユーティリティ事業者や、EV充電に関する照会先、利用可能なインセンティブの一覧を提供する。Uファインダー・ツールは特に、州政府が、都市部以外で小規模なユーティリティ提供事業者を特定する場合、コリドーの取り組みに関するユーティリティの選択肢を特定する場合、フリートの導入を支援する場合、地元の関係機関がユーティリティ提供事業者を特定することを支援する場合に、有益である。 Joint Office of Energy and Transportation “Find Local Utilities to Support Transportation Electrification with U-Finder Tool” (5/6/24)

米国の半導体製造能力は2032年までに3倍との予測、世界最大の成長幅

米国の米国半導体工業会(Semiconductor Industry Association: SIA)は5月8日、ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group: BCG)との協力で作成した報告書「半導体サプライチェーンにおける新興の対応力(Emerging Resilience in the Semiconductor Supply Chain)」を発表した。世界の半導体サプライチェーンに関する報告書で、それによれば、米国の国内半導体製造能力は、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)が施行された2022年から2032年までに3倍増になり、成長率203%を達成する。これは、同期間における世界で最大の成長幅である。報告書はまた、先端ロジック半導体(10ナノメートル以下)の製造能力で、米国のシェアは2032年までに28%に増加すると予測している(2022年は0%)。報告書は、CHIPS・科学法のインセンティブに促進される形で業界の投資は、米国内の半導体製造を復活させ、米国の半導体サプライチェーンを再強化する軌道上にあるとしつつ、サプライチェーンを更に強化し、研究開発及び半導体設計を支援し、半導体労働力を育成し、CHIPS・科学法が米国経済及び国家安全保障に最大限の恩恵をもたらすことを確実にするための政策措置も特定している。 Semiconductor Industry Association “America Projected to Triple Semiconductor Manufacturing Capacity by 2032, the Largest Rate of Growth in the World” (5/8/24)

国防イノベーション・ユニット、最初の商業ソリューション募集(CSO)を開始

国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は、新興技術に焦点を当てた最新のポートフォリオの下、最初の商業ソリューション募集(Commercial Solutions Opening: CSO)を発表した。対象は、「量子センサー移行(Transition of Quantum Sensors: TQS)」。原子レベルで設計されるセンサーは、従来のセンサーに比べ、正確性や敏感性で大幅な向上が期待される。TQSプロジェクトは、ポジショニング/ナビゲーション/タイミング(PNT)や異常検知など統合軍の戦略的な能力に対処するため、量子センサーの軍事的実用性の実証に焦点を当てる。DIUの新興技術ポートフォリオは、商業及び非在来型のエコシステムから派生した学際的かつ極めて技術的で、国防総省(Department of Defense)内で明確かつ十分な経路が確立されていないものに関するイニシアチブを進展させることを狙いとしている。DIUのポートフォリオはこれまでに6件(人工知能と機械学習、オートノミー、サイバーと通信、エネルギー、人間システム、宇宙)あり、今回の新興技術は7番目のポートフォリオとなる。 Defense Innovation Unit “Defense Innovation Unit Launches First CSO Under New Emerging Technology Portfolio” (5/9/24)

NETL:アパラチア山脈での水圧破砕による生産水は、電池生産用リチウムの抽出源になり得る

一部のアパラチア地域で、石油・天然ガスを抽出する水圧破砕のプロセスによって生じた生産水は地表へ戻されるが、国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)が最近発表した新たな論文によれば、この生産水は、コンピュータ製品の重要な要素であるリチウムの抽出源になる可能性がある。論文「デボン紀からの年代を経たマーセルス・シェールからの生産水から抽出されるリチウムの質量収量に関する試算(Estimates of lithium mass yields from produced water sourced from the Devonian-aged Marcellus Shale)の筆頭執筆者であるジャスティン・マッケイ氏(Justin Mackey)は、「アパラチアの掘削ブームは、大量の生産水を生み出し、それらは廃水と考えられているが、この液体には、その他のシェール層に比べて豊富なリチウムが存在していることがわかった」と述べる。NETLの調査結果は、ペンシルバニア州の2つの地域におけるマーセルス・シェールの生産水は、現在の国内のリチウム消費の38~40%を満たす可能性があることを示唆している。 National Energy Technology Laboratory “NETL Report: Produced Water from Appalachian Hydraulic Fracturing Can Be Source for Lithium Used in Battery Production” (5/6/24)

米国CHIPS、デジタル・ツインと半導体CHIPS製造USA研究所に2億8,500万ドルの資金提供機会

バイデン政権は5月6日、半導体業界向けのデジタル・ツインに焦点を当てたCHIPS製造USA研究所(CHIPS Manufacturing USA institute)を設立、運営するための活動について、適格の応募者からのプロポーザルを募集する「資金提供機会通知(Notice of Funding Opportunity: NOFO)」を行った。米国CHIPSプログラム(CHIPS for America Program)は、半導体製造や先端梱包、アセンブリ、試験プロセスのためのデジタル・ツインの開発と検証と使用に焦点を当てるこの新たな研究所に約2億8,500万ドルの拠出を想定している。CHIPS製造USA研究所は、商務省(Department of Commerce)がバイデン政権下で立ち上げる最初の製造USA研究所(Manufacturing USA institute)となる。資金提供を受ける活動には、研究所を運営するための活動、半導体デジタル・ツイン開発に関連する基礎及び応用研究、共通の物理的及びデジタル施設の確立と支援、業界関連の実証プロジェクト、デジタル・ツイン関連の労働力訓練が含まれる(ただしこれらに限定されない)。 Department of Commerce “CHIPS for America Announces $285 million Funding Opportunity for a Digital Twin and Semiconductor CHIPS Manufacturing USA Institute” (5/6/24)

ハリス副大統領、自動車部門労働者及び中小自動車サプライヤーを支援するため1億ドル以上を発表

ハリス副大統領は5月6日、経済機会視察(Economic Opportunity Tour)の一環として、エネルギー省(Department of Energy)のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer Granholm)、労働省(Department of Labor)のジュリー・スー長官代理(Julie Su)、商務省(Department of Commerce)のドン・グラベス副長官(Don Graves)、中小企業庁(Small Business Administration)のディラワー・サイード副長官(Dilawar Syed)(Deputy Administrator)、ミシガン州のガーリン・ギルクリストII副知事(Garlin Gilchrist II)と共に、ミシガン州デトロイトにて、中小規模の自動車製造事業者及び自動車労働者向けの新たな資金と資源を発表した。ハリス副大統領は、将来の自動車業界が米国内で米国の自動車労働者によって形成されることを確実にするため、①中小規模の自動車部品製造事業者が製造施設を拡大もしくは再調整するための資金(1億ドル以上)、②中西部の自動車コミュニティに焦点を当てつつ、労働力訓練を拡大し、電気自動車(EV)サプライチェーンの雇用の質を向上させるための行動、③中小の自動車部品製造事業者及びそのコミュニティが、EV部門やその他の市場の成長を活用できるようにするための新たな技術援助プログラム、などを発表した。 White House “FACT SHEET: Vice President Harris Announces More Than $100 Million to Support American Auto Workers and Small Auto Suppliers” (5/6/24)

マイクロソフト社、ウィスコンシン州にAIデータセンターを構築

バイデン大統領は5月8日、ウィスコンシン州ラシーンを訪問した。ここは、前政権が6年前に訪れ、フォックスコン社(Foxconn)の投資を発表したのと同じ場所で、この投資は結局失敗に終わっている。バイデン大統領は今回、マイクロソフト社(Microsoft)が33億ドルを投資してラシーンに人工知能(AI)データセンターを構築することを発表した。2,300人の労働組合建設雇用に加え、時間の経過と共に、2,000件の正規雇用が創出される。マイクロソフト社はまた、数千人のウィスコンシン住民に、デジタル経済におけるスキルアップの機会を提供する。6年前、前政権は、フォックスコン社による100億ドルの投資によって1万3,000件の製造雇用がラシーンに創出されると報じた。しかし、100件の住宅や農場が製造工場のために解体され、5億ドル以上の公的資金が立地の準備のために投じられた後、かかる投資は実現せず、フォックスコン社は同地に製造工場を建設する計画を放棄した。 White House “Fact Sheet: President Biden to Highlight $3.3 Billion Investment in Racine, Wisconsin, and How His Investing in America Agenda is Driving Economic Comebacks in Communities Across the Country” (5/8/24)

バイデン癌ムーンショットを通じた民間部門の行動により、癌検診へのアクセスが増大

2年前、再開されたバイデン癌ムーンショット(Biden Cancer Moonshot)の最初の行動の一つとして、バイデン大統領夫妻は、癌検診への行動を呼びかけた。パンデミックを通じて、米国民は集合的に、約1,000万人が、推奨されている癌検診の機会を逃した。大統領夫妻は、全ての米国民の健康のアウトカムを向上させるため、理解促進と、重要な癌予防/検診/早期発見の活用を優先事項とした。再開以来、35件以上の民間組織が、癌検診へのアクセスを拡大すること、そして、より多くの癌を発症前に予防することを狙いとして、新たな措置と共同作業を実施した。こうした進展はこれまでの所、約100万人の米国民に前向きな影響を及ぼしている。バイデン癌ムーンショットは、4月を「全国癌予防及び早期発見月間(National Cancer Prevention and Early Detection Month)」とし、その一環として、癌閣僚(Cancer Cabinet)、民間部門、大手雇用主、労働組合による、癌検診へのアクセス性を高める新たな行動を発表した。そして今回、バイデン癌ムーンショットは、癌検診と予防を進展させるため、2022年に参加した主要な民間組織による取り組みの更新状況を発表した。 White House “Highlighting Progress: Private Sector Actions Through the Biden Cancer Moonshot Are Increasing Access to Cancer Screening” (5/9/24)

研究報告:科学の商業的可能性を予測

伝統的に、科学的発見が商業的な可能性につながるかどうかは、大幅な研究開発(R&D)が行われた後に測定されるが、最近、デューク大学(Dule University)の研究者達が発表した論文は、科学的研究の商業的可能性を、それが十分に開発される前に評価する新たな手法を提案している。研究者達は、大規模言語モデルを使って科学的ファインディングを分析し、そうした発見が市場化できる製品またはプロセスにつながるかどうかを予測した。報告書の執筆者達は、3つのキーファインディングとして、①新しい手法は、商業化の可能性を予測する上で効果的のようである、②大学の研究を特許化することは必ずしも企業によるその導入を制限するものではない、③大学や個々の研究者の評判は、それらの研究が企業からどの程度注目を集めるかに影響する可能性があり、さほど知られていない機関の価値ある発見が見過ごされる可能性がある、を挙げている。 SSTi “Recent Research: Predicting the commercial potential of science” (5/2/24)