エネルギー省、新財団の初代理事を任命

エネルギー省(Department of Energy)は5月9日、エネルギー省関連として初めて設立される財団の初代理事に就任する人々を任命した。設立されるのは、「エネルギー安全保障・イノベーション財団(Foundation for Energy Security and Innovation: FESI)」で、2022年CHIPS・科学法(2022 CHIPS and Science Act)を通じて承認された。独立した非営利事業体で、変革的な科学技術ソリューションを通じてエネルギー及び環境上の課題に対処し、米国の継続的な安全保障及び繁栄を確実にするというミッションにおいてエネルギー省を支援する。発足後は、民間部門や慈善コミュニティとの関与を通じて資金を調達、投資し、新規及び既存のエネルギー技術の商業化を加速させる一助となる。今回発表された初代理事は13名で、エネルギー及び関連分野のトップ・リーダーの代表で構成される。また、これ以外に、投票権を持たない職権上の理事として、ジェニファー・グランホルム・エネルギー長官(Jennifer M. Granholm)など4名が任命された。 Department of Energy “DOE Appoints Inaugural Board of Directors for Groundbreaking New Foundation” (5/9/24)

大型輸送の脱炭素化支援として、アルゴンヌ国立研究所に試験施設新設

輸送部門の脱炭素化と気候変動対策の新たな主要戦略として水素への注目が高まる中、エネルギー省(Department of Energy)傘下のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は、大型及びオフロード用途を目的とした大規模な燃料電池システムを開発及び独立的に試験する施設を建設する。トラックや鉄道機関車、海上船舶、航空機、農業・建設・採鉱向け車両などの輸送用途に使用される燃料電池システムを試験するのが目的。エネルギー省のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)の水素及び燃料電池技術局(Hydrogen and Fuel Cell Technologies Office: HFTO)が約400万ドルを拠出する。施設は2025年秋に稼働開始予定で、業界は150~600キロワット幅の固体高分子膜(PEM)燃料電池システムの試験と検証を目的とした専用の拠点とサポート・スタッフへのアクセスを得ることになる。 Argonne National Laboratory “Harnessing hydrogen: New test facility to support decarbonization of heavy-duty transportation” (5/14/24)

商務省、ポーラー・セミコンダクター社と予備的規約を締結

バイデン政権は5月13日、商務省(Department of Commerce)とポーラー・セミコンダクター社(Polar Semiconductor)(以下、ポーラー社)が、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の下で提案されている最大1億2,000万ドルの連邦インセンティブをポーラー社へ提供する非拘束的な予備的規約覚書(preliminary memorandum of terms PMT)を締結したと発表した。この資金によって、民間及び州の資源による投資を促進し、ミネソタ州ブルーミントンにおけるポーラー社の製造施設の拡大と、新規技術能力の導入へつなげる。拡大及び現代化により、ポーラー社は、センサー及びパワー半導体の米国生産能力を2年以内に2倍にすることが可能になる。加えて、この投資によって、更なる米国の民間資本がもたらされ、ポーラー社は大半を外国籍が所有するインハウスの製造事業者から、大半を米国籍が所有する商業ファウンドリー(受託製造)へと変革し、米国の半導体設計者が国内で技術のイノベーションや製造に取り組む機会を拡大する。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces Preliminary Terms with Polar Semiconductor to Establish an Independent American Foundry” (5/13/24)

バイデン大統領、中国の不当な貿易慣行から米国労働者及び企業を保護する措置

技術移転や知的財産、イノベーションを巡る中国の不当な貿易慣行は、米国の企業や労働者を脅かしている。中国はまた、人工的に価格を引き下げた輸出品を世界市場に大量に送り込んでいる。中国の不当な貿易慣行への返答として、また、その結果として生じる被害への対策として、バイデン大統領は5月14日、米通商代表部(U.S. Trade Representative: USTR)に、1974年通商法(Trade Act of 1974)301条(Section 301)に基づき、米国の労働者と企業を保護するために、中国からの輸入品(180億ドル)を対象とした関税を引き上げるよう指示した。一例として、①一部の鋼鉄とアルミニウム製品の関税率:現行の0~7.5%から、2024年内に25%へ引き上げ、②半導体:現行の25%から2025年までに50%へ引き上げ、③電気自動車:現行の25%から2024年以内に100%へ引き上げ、④電池・電池部品・重要鉱物:現行の7.5%から2024年以内に25%へ引き上げ、などとなっている。 Department of Commerce “FACT SHEET: President Biden Takes Action to Protect American Workers and Businesses from China’s Unfair Trade Practices” (5/14/24)

NSF、3件のEPSCoR区で合計2,400万ドルを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「競争的研究を促進するための確立されたプログラム:研究エコシステム研究インフラを向上する最適化プログラムの共同作業(Established Program to Stimulate Competitive Research (EPSCoR) Collaborations for Optimizing Research Ecosystems Research Infrastructure Improvement Program: E-CORE RII)」を通じて、サウスダコタ、ニューハンプシャー、メインの各州におけるチームに、各約800万ドルを提供した。E-CORE RIIは、2022年EPSCoR報告、「NSF EPSCoRの未来の想定(Envisioning the Future of NSF EPSCoR)」報告、2022年CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act of 2022)への応答として確立されたもので、EPSCoRの適格区の研究エコシステム内で1つ以上の的を絞った研究インフラのコア能力を強化することで、EPSCoRのプログラム・ゴールを進展させることを狙いとした新たなプログラム。多様な学術機関や政府、業界、非営利組織パートナーで構成される受益チームは、今後4年間にわたり、パートナーシップを活用して、研究インフラのコアのニーズに対応し、自律的な研究エコシステムを開発し、STEMへつながる経路を創出し、経済成長や社会的影響を促進することに取り組む。 National Science Foundation “NSF announces $24M investment across three EPSCoR jurisdictions” (5/14/24)

NIST、慎重を要する情報の保護に関するガイドラインを更新

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は今般、「管理された非機密情報(controlled unclassified information: CUI)」として知られるセンシティブな情報の保護に関するガイドラインを更新し、2つの文書を発表した。発表されたのは、「非連邦システム及び組織における管理された非機密情報の保護(Protecting Controlled Unclassified Information in Nonfederal Systems and Organizations)」(NIST SP Publication 800-171, Revision 3)及びその付属文書としての「管理された非機密情報のセキュリティ要件の評価(Assessing Security Requirements for Controlled Unclassified Information)」(NSIT SP 800-171A, Revision 3)の2件。連邦政府と取引をする契約事業者やその他の組織は、センシティブなデータの取扱いについて、NISTのガイドラインに従う義務があり、今回の更新版でより明確でわかりやすいガイドラインを得ることになる。NISTは昨年、ガイドラインの草案を発表しており、今回の更新版はその際に寄せられたパブコメを反映させたものとなっている。 National Institute of Standards and Technology “NIST Finalizes Updated Guidelines for Protecting Sensitive Information” (5/14/24)

CSET、中国と医療AIについて報告

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「中国と医療AI:ビッグ・バイオデータによるバイオ経済の意味合い(China and Medical AI: Implications of Big Biodata for the Bioeconomy)」と題する報告書を発表した。医療面の人工知能(AI)は、大規模な生物学的データに依存しており、医療AIを戦略的に優先付けしている国は、競争的優位から恩恵を受け、世界水準を設定できる可能性がある。本報告書は、発表されている中国の医療AIに関する目標を分析したもので、ファインディングとして、①中国は、公共のバイオデータに世界中からアクセスできる一方、中国国内のデータセットは他国からは閉鎖されている(より多くのバイオデータにアクセスできれば、医療AIの応用はより強化される)、②中国と米国で医療AIの研究論文は増加しており、米国は中国を僅かにリードしているのみ(2021年)、③中国政府は医療AIの商業化を推進し、従来はバイオテクノロジーに関与していなかった中国技術企業が医療AI分野に参入している、といった点を挙げている。その上で、「中国は、医療AI分野で経済的及び技術的リーダーとなる位置付けにある」とまとめている。 Center for Security and Emerging Technology “China and Medical AI: Implications of Big Biodata for the Bioeconomy” (May 2024)

大統領府、リスクの高い病原体の研究に関する規則を改正

大統領府は、パンデミックの原因となる能力を高める形でウィルスのリスク性を高める可能性がある、いわゆる「機能獲得(gain-of-function: GOF)型研究」の連邦監督を強化し、最終的に生物兵器として使用される可能性があることから「デュアル・ユース」とみなされる危険な病原体についても、連邦資金を受けて行われる研究のより広範なカテゴリーで大幅な規則改正を行う。新たな規則は新型コロナのパンデミックが契機となったもので、特別な審査を経なくてはならない研究の対象数が拡大される。ただし、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)が5月6日に発表した新規則は、昨年浮上していた案よりも狭義の内容となっている。国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の資金を受けたGOF型研究の規制方法を巡る集中的な議論に関与していた多くの研究者は、新たな方針に概ね満足しているようである。新たな方針は2025年5月から施行され、2001年に考案された「デュアル・ユースの懸念研究(dual-use research of concern: DURC)」に置き換わる。 Science “White House overhauls rules for risky pathogen studies” (5/7/24)

ブルックフィールド社とマイクロソフト社、過去最大の企業クリーンエネルギー契約を締結

マイクロソフト社(Microsoft)は、ブルックフィールド・アセット・マネジメント社(Brookfield Asset Management)及びその系列であるブルックフィールド・リニューアブル社(Brookfield Renewable)から10.5ギガワット(GW)以上のクリーン・エネルギー・プロジェクトを購入し、マイクロソフト社のデータ・センターやその他の事業を常時炭素フリー電力で稼働させる一助とする。両社が5月1日に発表した。ブルックフィールド・リニューアブル社の最高経営責任者(CEO)でブルックフィールド・アセット・マネジメント社の社長であるコノー・テスキー氏(Connor Teskey)は、「本件は、単一の企業が契約した過去最大の電力購入協定のほぼ8倍の規模で、企業パートナーへ大規模なクリーン電力ソリューションを確実に提供し、エネルギー移行を加速させる我々の能力を示すものである」と述べる。ブルックフィールド社は、2026年から2030年の間に、欧米でマイクロソフト社に、風力、ソーラー、新規もしくは影響力が高い炭素フリー発電技術を提供する。 Utility Dive “Brookfield, Microsoft ink largest-ever corporate clean energy deal for 10.5 GW” (5/2/24)

EVとグリッド統合グループがユーティリティ共同フォーラムを開始

電気自動車(EV)への移行に焦点を当てる自動車メーカーとエネルギー・サービス提供事業者による全国的な非営利組織は、より多くのユーティリティ事業者を対話に含める取り組みを開始した。自動車=グリッド統合評議会(Vehicle-Grid Integration Council: VGIC)は4月30日、「ユーティリティ共同作業フォーラム(Utility Collaboration Forum)」の発足を発表した。電力企業とVGICメンバーの間の協議を促進することを意図した取り組みである。VGICの会員企業には、ホンダ、フォード自動車(Ford Motor)、ゼネラル・モーターズ(General Motors)、北米トヨタ、北米日産グループ、フェルマータ・エネルギー社(Fermata Energy)(自動車とグリッドのソリューションに特化した企業)が含まれる。共同作業フォーラムに参加するユーティリティ事業者には、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(Pacific Gas and Electric)、コンソリデーティッド・エジソン(Consolidated Edison)、ナショナル・グリッド(National Grid)などが含まれる。共同フォーラムに参加するユーティリティ事業者の一つは、「我々がより多くのEVがグリッドと接続するよう取り組む中、VGICのユーティリティ共同作業フォーラムと協力することで、自動車とグリッドの統合に関するベスト・プラクティスについて全国の業界関係各社と協力することが可能になる」と述べる。VGICは、自動車とグリッドの統合に関する主要なトピックについて、詳細な考察を行う四半期会議を開催する計画である。 Utility Dive “EV-grid integration group launches utility collaboration forum with ConEd, PG&E, Ford, GM, others” (5/8/24)