世界のAI研究の現状

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)によるプロジェクト、新興技術オブザーバトリー(Emerging Technology Observatory: ETO)は5月2日、「世界のAI研究の現状(The state of global AI research)」と題する記事を発表した。人工知能(AI)研究が世界でどのように成長、区別化、拡散しているかを調査したもので、キーファインディングとして、①世界のAI研究は2017年から2022年の間に2倍以上増加しており、その大きな要因は、自然言語処理とコンピュータ・ビジョン研究の急速な成長である。ロボティクス研究は鈍化しつつあるものの、依然として顕著な成長をしている、②AIの安全に関する研究は急速な勢いで成長しているが、AI研究全体に占める割合はわずか2%と試算される、③中国はAI研究の出版論文数(全体)で首位となっているが、引用された論文の数だけで見ると、米国が首位となる、④中国科学院(Chinese Academy of Sciences)は、AI研究の出版論文数及び引用件数の多い論文数の双方で世界をリードしている。(記事では各項目について詳細に記述されている) Emerging Technology Observatory “The state of global AI research” (5/2/24)

商務省、中国の企業37社をエンティティ・リストに追加

商務省(Department of Commerce)の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security: BIS)は5月9日、輸出管理規則(Export Administration Regulations: EAR)の下、中国の37の事業体をエンティティ・リスト(Entity list)に追加した。今回の措置を含め、商務省は355の中国の事業体をエンティティ・リストに追加したことになる。これは過去のどの政権よりも多い。新たに加えられた事業体のうち、22の研究所と企業は、中国の量子技術の進展に関与していること、中国の量子能力の強化を目的として米国発の品目を調達(または調達しようと)したことが理由で追加された。これらの活動には、大幅な軍事用途があり、米国の国家安全保障に大きな脅威を呈している。4件の事業体は、中国の無人航空機システムの軍事用途に使用される米国発の品目を調達(または調達しようと)したことが理由。11の事業体は、中国の高高度気球プログラム(High Altitude Balloon program)における関与で追加された。 Bureau of Industry and Security “Commerce Adds 37 PRC Entities to Entity List for Enabling PRC Quantum and Aerospace Programs, Aiding Russian Aggression in Ukraine” (5/9/24)

パーデュー大学、シカゴ量子エクスチェンジに参加

パーデュー大学(Purdue University)は、量子情報の科学及び工学を進展させ、未来の量子労働力を構築し、米国の量子経済を促進する協調的な取り組みとして、シカゴ量子エクスチェンジ(Chicago Quantum Exchange: CQE)に参加する。CQEは、中西部が量子技術における米国のリーダーシップの中心的ドライバーとなるよう先導する知的ハブで、その新しいメンバーとなるパーデュー大学は、シカゴ大学(University of Chicago)、エネルギー省(Department of Energy)傘下のアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)、フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)などが中心となって行なわれる学際的な研究活動に参加する。CQEは、シカゴ大学のプリツカー分子工学スクール(Pritzker School of Molecular Engineering)を拠点とし、約50の企業、国際、非営利、地域パートナーが参加している。 HPC wire “Purdue University Joins Chicago Quantum Exchange” (5/10/24)

NSF、STEMキャリアを目指す大学院生を支援する訓練生トラックを開始

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「NSF研究訓練生プログラム(NSF Research Traineeship (NRT) program)」の新たなトラックを発表した。高度な研究活動が行われていない非R1高等教育機関の大学院生が、STEMの様々なキャリアを追求する上で必要なスキル、知識、能力を開発する一助となることを意図している。「NSF研究訓練生大学機関パートナーシップ・パイロット(NSF Research Traineeship Institutional Partnership Pilot: NRT-IPP)」は、新しいパートナーシップ手法を促進し、2022年CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act of 2022)で概説されている主要な技術分野で、業界が参加して、学生が業界に関連する経験を得られるようにする。NRTプログラムは、長きにわたって実施されており、大学院レベルで学生の効果的な訓練を形成及び支援することに特化している。NRT-IPPは、業界とSTEM内の特定の焦点分野に更なる重点を置きながらこれらのゴールを進展させる。 National Science Foundation “NSF launches trainee track to help prepare graduate students to enter STEM careers” (5/9/24)

メタ社、インディアナ州で210メガワットのソーラー・エネルギー契約

メタ社(Meta)は最近、インディアナ州で拡大しつつある自社事業を支援するため、スペインのエネルギー開発業者、ソーラーパック社(Solarpack)との間で、2件の長期的なエネルギー契約を交わしたと発表した。これは「環境属性購入契約(Environmental Attribute Purchase Agreements)」と呼ばれ、同州内で2件のソーラー・プロジェクトの建設を支援する。これにより、210メガワット(MW)の再生可能エネルギー(試算)が生産される計画である。メタ社は、州内での事業を支援するため、電力を購入する。その対象には、同社が最近発表したインディアナ州南部に8億ドルを投じて建設予定のデータセンター(2026年に稼働予定)も含まれる。 Utility Dive “Meta to bring 210 MW of solar energy to Indiana” (5/16/24)

バイデン政権、インフラ分野における歴史的成果を強調

バイデン大統領は2021年11月に超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)に署名した際、米国のインフラと競争力を再構築するために数十年ぶりの大型投資を実施することにコミットした。そして政権は5月13日、米国内各地で、道路や橋梁を再建し、クリーンで安全な水を提供し、レガシーの汚染に対策を講じ、高速インターネットへのアクセスを拡大し、クリーン・エネルギー経済を構築することを目的としたプロジェクトの着工式を行った。前政権による「インフラ週間(Infrastructure Week)」は空虚なものであったが、バイデン大統領は、今後数世代にわたってコミュニティに恩恵をもたらす「インフラの十年(Infrastructure Decade)」を実現する。現政権はこれまでに、超党派インフラ法から約4,540億ドルの資金を発表しており、これには、50州、ワシントンDC、準州、部族で4,500以上のコミュニティにおける5万6,000件以上の具体的なプロジェクトやアワードが含まれる。同法の広範な影響を示すため、ホワイトハウスは、これらのプロジェクトやアワードを示した更新版のマップを発表した。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Kicks Off Infrastructure Week by Highlighting Historic Results Spurred by President Biden’s Investing in America Agenda” (5/13/24)

バイデン政権、農村イノベーター・イニシアチブへの一般推薦を募集

バイデン政権は5月14日、ホワイトハウスで「行動する農村コミュニティ(Rural Communities in Action)」を主催し、政権がどのように農村コミュニティに投資を行っているかを強調した。大統領府国内政策顧問(White House Domestic Policy Advisor)のニーラ・タンデン氏(Neera Tanden)、大統領府一般関与局局長(White House Office of Public Engagement Director)のスティーブン・ベンジャミン氏(Stephen Benjamin)、農務長官(Agriculture Secretary)のトム・ビルサック氏(Tom Vilsack)、運輸長官(Transportation Secretary)のピート・ブティジェッジ氏(Pete Buttigieg)が、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題がどのようにして、農村に住む米国民が機会を求めて故郷を離れる必要がないことを確実にしているかについて説明した。また、このイベントの一環として、バイデン政権は、新しく「農村イノベーター・イニシアチブ(Rural Innovators Initiative)」を発表した。農村の卓越したリーダーにスポットライトを当てることを目的としたイニシアチブで、一般市民から農村イノベーターを推薦するよう呼び掛けた。政権は更に、農村のインフラを強化するための新たな投資として6億7,100万ドル以上を発表した。 White House “FACT SHEET: The Biden-⁠Harris Administration Highlights Investments in Rural America, Invites Public Nominations for Rural Innovators Initiative” (5/14/24)

国防総省、米国及び一部の国際パートナーへ向けて代替契約権限を通じた公開募集発表

国防総省(Department of Defense)は今般、国防産業基盤コンソーシアム(Defense Industrial Base Consortium: DIBC)の代替契約権限(Other Transaction Authority: OTA)を通じた公開募集発表(Open Announcement)を行った。国防生産法(Defense Production Act: DPA)第3章(Title III)及び産業基盤分析及び維持(Industrial Base Analysis and Sustainment: IBAS)プログラムの資金給付先として検討されるための任意の白書提出を受け付ける。DIBCの会員企業が対象。DIBCのメンバーシップは無料で、米国の組織及び英国、オーストラリア、カナダの国際的なパートナーに開放されている。2024年度国防承認法(FY24 National Defense Authorization Act)は、英国とオーストラリアをDPA資金の国内調達源として指定しており、カナダは1992年以来、同調達源に指定されている。「この公開募集発表は、我々の産業基盤に恩恵をもたらす研究/プロトタイプ/生産について新しいアイデアを募集するものである」と国防総省の高官は述べる。DIBC OTAの発表は、プロジェクト・アワードの日程を大幅に加速させ、ひいては重要能力が産業基盤へ達する時間を短縮する。今回の公開募集発表の対象となる重要部門は、動的能力、エネルギー貯蔵と電池、鋳物及び鍛造、戦略的重要マテリアル、マイクロエレクトロニクス、労働力開発の6部門。 Department of Defense “DOD Releases Open Announcement Through Other Transaction Authority for U.S. and Selected International Partners” (5/14/24)

エネルギー省、米国の産業部門の脱炭素化戦略について見解を募集

エネルギー省(Department of Energy)の産業効率及び脱炭素化局(Industrial Efficiency and Decarbonization Office: IEDO)は5月14日、米国の産業部門を脱炭素化し、米国を世界のクリーン・エネルギー経済のリーダーとして位置付けるための戦略的及び技術的なフィードバックを得るため、情報の要請(Request for Information: RFI)を発表した。このRFIは、エネルギー省の新たなビジョン研究「米国の産業変革への経路:米国イノベーションの解放(Pathways for U.S. Industrial Transformations: Unlocking American Innovation)」への情報提供となる。今回のRFIでは具体的に、①産業脱炭素化の障害、課題、分野横断型戦略、②産業脱炭素化経路の枠組み、③産業脱炭素化経路のための影響と評価の基準、④具体的な産業サブセクターのための正味ゼロ排出経路、⑤製造業の6つのサブセクター(セメント、化学剤、飲料食品、鉄・鋼鉄、パルプ製紙、精油)、⑥その他の産業(その他の製造業、農業・林業、鉱業・石油・天然ガス、建設、データ・センター、水・廃水処理)、について見解を募集している。 Department of Energy “DOE Seeks Input on Strategies to Decarbonize America’s Industrial Sector” (5/14/24)

エネルギー省、オフロード輸送の脱炭素化達成に関する情報の要請を発表

エネルギー省(Department of Energy)のバイオエネルギー技術局(Bioenergy Technologies Office: BETO)、自動車技術局(Vehicle Technologies Office: VTO)、水素及び燃料電池技術局(Hydrogen and Fuel Cell Technologies Office: HFTO)は合同で、「オフロード部門向け正味ゼロ排出推進技術の前進(Progression of Net-Zero Emission Propulsion Technologies for the Off-Road Sector)」に関する情報の要請(request for Information: RFI)を発表した。今回のRFIの目的は、オフロード部門の代替推進技術の嗜好性、最も有望と考えられる技術、2050年までの正味ゼロ排出移行を達成する上で鍵となる障害について理解することである。オフロード車両は主として既存の道路以外で操作されることを意図したもので、建設・採鉱機器、産業機器、農業機器などが含まれる。バイデン=ハリス政権は、世界の気候変動に対処する野心的な目標を確立し、頑強で行動可能な輸送脱炭素化戦略を策定、実践することにコミットしている。オフロード部門の脱炭素化に関する国家戦略を策定するため、①オフロード車両の現状、②オフロード車両の脱炭素化に最も有望なパワートレイン技術は何か?③オフロード部門が温室効果ガスの正味ゼロ排出へ移行するためのスケジュールはどのようなものか?といった3つの重要な質問が提示されている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Releases Request for Information to Achieve Off-Road Transportation Decarbonization” (5/7/24)