ビル・ゲイツ氏、原子力発電ベンチャーに投資

ワイオミング州南西部の小さな石炭町の郊外で、数十億ドルを投資して米国の次世代原子力発電所を建設する初の取り組みが進められている。6月11日から建設が始まった新規の原子炉は、伝統的で巨大な原子炉よりも小型かつ廉価となる見込みである。原子炉を建設しているのは、スタートアップのテラパワー社(TerraPower)で、建設が完了するのは早くても2030年以降となっている上、様々な障害に直面している。原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)は同社の設計をまだ承認しておらず、これまでに数々の原子力発電プロジェクトが直面してきた遅延や費用の超過を克服しなくてはならない。しかし、テラパワー社には、強い影響力と莫大な資金を持つビル・ゲイツ氏(Bill Gates)が背後にいる。同氏はこれまでにテラパワー社に10億ドルを投資しており、その額は今後も増大する見込みである。ゲイツ氏は、気候変動を解決する最良の方法は、イノベーションを通じてクリーンエネルギーを化石燃料と競争的にすることであると考えている。テラパワー社のエンジニア・チームは、原子力発電所の設計をゼロから行った。現行の米国内の原子力発電所は軽水炉を使用しており、水を使って電力を生産するが、水は高圧のため、事故防止措置として重厚な配管や遮蔽壁が必要となる。テラパワー社の原子炉は、液体ナトリウムを使用することで低圧での運用が可能になっている。 New York Times “Nuclear Power Is Hard. A Climate-Minded Billionaire Wants to Make It Easier.” (6/11/24)

DTEエネルギー社、旧石炭火力発電所に220MWの電池貯蔵施設を建設へ

DTEエネルギー社(DTE Energy)は6月10日、2022年に閉鎖した同社の石炭火力発電所、トレントン・チャンネル(Trenton Channel)(ミシガン州)に、220メガワット(MW)の電池エネルギー貯蔵システムを建設する計画を明らかにした。4時間持続可能なリチウムイオン電池システムは、2026年に建設が完了すると、五大湖地域で最大の電池エネルギー貯蔵施設となる見込みである。「この新たなトレントン・チャンネル・エネルギー・センター(Trenton Channel Energy Center)は、我々のクリーン・エネルギーの取り組みを加速させる上で、大きなマイルストーンとなる」と、同社の会長兼最高経営責任者は声明した。DTEエネルギー社は、エネルギー貯蔵能力を2倍以上にし、2042年までに約3ギガワットとする計画を立てている。現在その中心となっているのは、同州ルディングトンにある1,120MWの揚水式発電所である。 Utility Dive “DTE Energy to deploy 220 MW of battery storage at former coal plant” (6/11/24)

商務省、化合物半導体生産拡大に向けて民間と予備的覚書

バイデン政権は6月11日、商務省(Department of Commerce: DOC)とロケット・ラボ社(Rocket Lab)が、拘束力のない予備的覚書(preliminary memorandum of terms: PMT)に署名したと発表した。ロケット・ラボ社は、宇宙電力プロバイダのソルアエロ・テクノロジーズ社(SolAero Technologies Corp.)の親会社。PMTにより、CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の下、最高2,390万ドルがロケット・ラボ社へ提供される。提案されているCHIPS投資は、宇宙船や衛星に電力を提供する宇宙グレードの太陽電池の頑強で柔軟な供給を創出する一助となる。今回の現代化及び拡張プロジェクトにより、ロケット・ラボ社の化合物半導体の生産は、今後3年間で50%拡大され、米国内における国家安全保障上そして商業上の太陽電池需要の増大に対応する。また、この投資計画により、100名以上の直接製造雇用が創出される見込みである。ニューメキシコ州に本社があるロケット・ラボ社は、同州内のイノベーションを加速させることを目的として設立された非営利組織、ニュースペース・ニューメキシコ(New Space New Mexico: NSNM)や政府、学術民間の関係機関と協力する。 Department of Commerce “Biden-Harris Administration Announces Preliminary Terms with Rocket Lab to Expand Production of Compound Semiconductors that Power Spacecrafts and Satellites” (6/11/24)

ITIF、米国の先端産業リーダーシップの復活に向けて、次期政権に提言

情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は6月10日、「次期政権のための技術経済議題(A Techno-Economic Agenda for the Next Administration)」と題する報告書を発表した。米国は、中国との熾烈な競争に直面する中、戦略的に重要な先端産業で米国の世界的なリーダーシップを復活させるため、頑強な技術経済政策議題を極めて必要としている。ITIFは、米国の次期政権がこうした議題を実行するための行動可能な措置を82件提示している。その内容には、予算及び税政策、外交政策、貿易の拡大と取り締まりと輸出促進、規制及び独占禁止法、デジタル政策、研究開発と技術と製造に関する政策、クリーンエネルギー・イノベーション、政府組織及び事業活動といった分野のステップが含まれる。そして、第一ステップとして、大統領府内に、国家競争力会議(National Competitiveness Council: NCC)を創設するよう勧告している。これは、国家安全保障会議(National Security Council)や国家経済会議(National Economic Council)と同じような位置づけとなる。 Information Technology & Innovation Foundation “ITIF Releases Detailed Agenda for Next Administration to Restore US Leadership in Advanced Industries; Step 1 Is Creating a National Competitiveness Council” (6/10/24)

エネルギー省、エネルギー貯蔵の社会的平等プログラムから370万ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)の電力局(Office of Electricity: OE)は、「エネルギー貯蔵の社会的平等(Energy Storage for Social Equity: Es4SE)」プログラムの下、3つのコミュニティに、約370万ドルのプロジェクト開発援助を提供する。OEは2021年にES4SEプログラムを開始し、社会的に不利な立場にあるコミュニティがエネルギー貯蔵を活用して対応力を高め、エネルギーの柔軟性を最大限にすることを支援するため、これまでに900万ドルを提供している。この資金は、平等なクリーン・エネルギー移行を推進し、より手頃な費用で信頼性が高い電力を進展させ、バイデン政権による正義40(Justice40)イニシアチブの目標を支援する。全国の低所得世帯の65%以上がエネルギーの負担に直面していると言われる。ES4SEの第1段階として2022年3月に200万ドルの予算で技術援助(Technical Assistance: TA)が開始され、OEが選出した14件のコミュニティが包括的で個別化されたTAプログラムに参加した。OEは2023年6月に、ES4SEプログラムの第2段階となる「プロジェクト開発及び導入援助(Project Development and Deployment Assistance: PDDA)」のコスト分担援助に参加する4件のコミュニティを選出した。そして今回、新たにPDDAのコスト分担援助に参加する3件のコミュニティが発表された。 Department of Energy “Energy Department Awards $3.7 Million to 3 Communities for Energy Storage Social Equity Program” (6/12/24)

IFP、次世代のAIインフラの国内構築に向けて提言

広範な能力を有するAIシステムは、経済成長と科学的進展のエンジンとなる位置付けにある。その背後には、「大量のコンピュテーション(コンピューティング)をより良く活用することで独自に学習できるAI手法は、人間の知識をコード化するという構築が難しい手法を大幅に上回る」という苦い教訓がある。プログレス研究所(Institute for Progress: IFP)は、現在のトレンドを検討した結果、米国が、コンピューティング・インフラを構築する最前線にあると結論づけている。そのうえで、数百個のパワフルなチップを結びつけ、インフラをデザインして、AIモデルを高度なサイバー攻撃から守り、AIセンターを稼働させるのに必要な大量のエネルギーを生成する必要があるとしている。IFPは、AIインフラの構築について3つのゴールを提案しており、それらは、①米国内にAIコンピューティング・インフラを構築、②それを実現するためにクリーンエネルギーを促進、③将来のAI知的財産を守るためのセキュリティ技術の開発を加速、の3点である。IFPは今後数週間にわたり、これらのゴールを達成するための計画を提案していく予定である。 Institute for Progress “Compute in America: Building the Next Generation of AI Infrastructure at Home” (6/10/24)

2035年までに、住宅の分散型エネルギー資源がピーク需要の上昇を補う可能性

デロイト社(Deloitte)は今般、「住宅がグリッドに変革をもたらす:分散型エネルギー資源が手頃な費用のクリーン電力の鍵となる(Households transforming the grid: Distributed energy resources are key to affordable clean power)」と題する報告を行った。それによれば、電気自動車(EV)及び住宅内電池を中心とした住宅の分散型エネルギー資源は、2035年までに、予想されるエネルギーのピーク需要の伸びを補う可能性がある。更にそれは、新たなインフラを構築するよりも低費用で行なえるという。ただし、これらの資源を活用するためには、多くのユーティリティ機関がこれまで以上に顧客との関与に投資することが必要となる。ユーティリティ企業は、ソーシャル・メディアやデータ分析、その他の関連技術を駆使して、住宅顧客との対話を改善し、具体的な顧客層に適した分散型エネルギー資源(distributed energy resources: DER)プログラムを創設することが可能である。 Utility Dive “Residential DERs could compensate for rise in peak energy demand by 2035: Deloitte” (6/12/24)

学術機関への連邦科学工学支援、2022年度に3%増

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)の発表によれば、高等教育機関の科学工学(S&E)活動を支援するための連邦支出(obligation)は、2022年度に446億ドルに到達した。これは前年度(432億ドル)から3.3%の増加となる。S&E活動は、①研究及び実験的開発(R&D)、②R&Dプラント、③S&E学習指導のための施設及び機器、④フェローシップ、訓練生、訓練グラント、⑤その他の一般的なS&Eサポート、の5つの主要分類で構成されている。2022年には、R&DがS&E活動支援全体の大部分を占め(413億ドル)、2021年度の395億ドルから4.6%増加した。2022年度の高等教育機関向けS&E活動支援の連邦支出は、現行ドルで446億ドルと過去最高を記録したが、インフレ調整後では2021年度から3.5%減少して382億ドル(2017年を基準とする不変ドル)となった。記事ではこの他に、高等教育機関向けの連邦S&E活動支援支出の省庁別の数値や、歴史的に黒人の多い大学への同支出について記述している。2022年度の高等教育機関の連邦S&E活動支援支出のうち、最大を占めたのは厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)で、全体の60%を占めた(267億ドル)。 National Renewable Energy Laboratory “How To Realize the Maximum Value of Interregional Transmission” (6/14/24)

バイデン政権、食品ロスと廃棄物を削減し、有機物をリサイクルするための国家戦略を発表

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)、農務省(U.S. Department of Agriculture: USDA)、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は6月12日、「食品ロスと廃棄物の削減と有機物のリサイクルに関する国家戦略(National Strategy for Reducing Food Loss and Waste and Recycling Organics)」を発表した。これは、気候変動に対処し、人々が食料を得られるようにし、環境正義に対処し、循環経済を推進するためのバイデン大統領による政府全体での取り組みの一部となるものである。戦略は、2030年までに食品のロス及び廃棄物を50%削減するという「食品ロスと廃棄物に関する国家目標(National Food Loss and Waste Reduction Goal)」へ向けた進展を促すもので、①食品ロスの防止、②食品廃棄の防止、③全ての有機物廃棄物のリサイクル率を高める、④食品ロス及び廃棄物と有機物リサイクルを奨励する政策を支援する、の4点を目的として掲げ、EPA、FDA、USDAによるそれぞれの行動について記述している。 Environmental Protection Agency “Biden-Harris Administration Announces National Strategy to Reduce Food Loss and Waste and Recycle Organics” (6/12/24)

エネルギー省、廃棄物をクリーンエネルギーに転換する水素技術に900万ドル以上を投資

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon management: FECM)は6月11日、電力生産や産業及び輸送の脱炭素化を目的として、クリーン水素の利便性を高め、より手頃な費用にするための最先端の技術ソリューションの開発に取り組む6件のプロジェクトに約930万ドルの連邦資金を提供すると発表した。受益プロジェクトは、様々な廃棄原料マテリアルをクリーンエネルギーに転換する水素システムの進展に焦点を当てる。「米国内で生産される水素の95%以上は、天然ガスによって行われており、二酸化炭素の捕獲や地質貯蔵などは行われていない。廃棄原料を使用し、水素ベースのシステムと炭素捕獲との統合を進展させるプロジェクトに投資することで、炭素削減とクリーン水素生産の費用を低減させる一助とする」と、エネルギー省の高官は述べる。受益するのは、GTIエネルギー社(GTI Energy)やリーハイ大学(Lehigh University)など6機関。エネルギー省傘下の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)が選出されたプロジェクトの管理を行う。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Invests Over $9 Million to Advance Hydrogen Technology That Converts Waste to Clean Energy” (6/11/24)