プリンストン・ニューエナジー社、サウスカロライナ州で施設立ち上げ

プリンストン・ニューエナジー社(Princeton NuEnergy: PNE)は6月20日、サウスカロライナ州チェスター・カウンティで、米国内で初となる商業規模のリチウムイオン電池直接リサイクル施設の着工式を行った。完成すれば、電池グレードのカソード・マテリアルの年間生産量は1万トン以上と試算されており、これは毎年10万個以上の電気自動車(EV)用電池を生産するのに相当する。同州のヘンリー・マックマスター知事(Henry McMaster)は、「チェスター・カウンティ及びサウスカロライナ州は、PNE社を歓迎する。同社の新たな事業は、新たに41件の雇用を創出し、州の代替エネルギー部門を進展させ、コミュニティに大きな影響をもたらす」と述べた。プリンストン大学(Princeton University)で始まった研究から開発されたPNEの低温プラズマ支援分離プロセス(low-temperature, plasma-assisted separation process: LPAS)(特許取得済み)により、全てのリチウムイオン電池の化学構成に含まれるリチウムイオン・マテリアルの95%以上を回収することが可能である。PNEの直接リサイクル・プロセスは、従来のリサイクルもしくは新規のカソード生産に比べ、大幅にクリーンで速く、費用も少ない。 AP News “PRINCETON NUENERGY LAUNCHES FLAGSHIP FACILITY IN SOUTH CAROLINA” (6/20/24)

NSF、SBIR/STTRのフェーズ1及び2プログラムの資金を増額

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、中小企業技術革新制度(SBIR)及び中小企業技術移転制度(STTR)プログラムの新たな資金提供機会を発表した。フェーズ1の最大アワード金額を30万5,000ドルに、フェーズ2の最大アワード金額を125万ドルに引き上げ、米国内のスタートアップや中小企業から発信される創造的なアイデアの開発支援を強化する。SBIR/STTRプログラムは、米国の「シード・ファンド(Seed Fund)」とも呼ばれ、ディープテックを前向きな社会的影響を持つ製品やサービスへと開発することに取り組むスタートアップに非希釈型資金を提供する。受益を目指す場合、スタートアップはまず、3頁のプロジェクト・ピッチ(Project Pitch)をSBIR/STTRチームへ提出する。プロポーザル・ピッチのイノベーションがNSFのSBIR/STTRの審査基準に合致すると認められた場合、正式なプロポーザルを提出するよう招待を受ける。招待を受けたスタートアップは規定された2つの締め切り日のいずれかまでに正式なプロポーザルを提出しなくてはならない。 National Science Foundation “NSF boosts funding amounts for SBIR/STTR Phase I and Phase II programs to better support the nation’s innovation and entrepreneurship community” (6/17/24)

NSF、中小企業向けファスト・トラック開発パイロットを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は6月24日、スタートアップ及び中小企業を対象に、これまでにNSFの資金提供を受けた研究を基に新たな製品やサービスの開発を支援するパイロット・イニシアチブ「中小企業技術革新制度及び中小企業技術移転制度ファスト・トラック(Small Business Innovation Research SBIR)/Small Business Technology Transfer (STTR) Fast-Track」」を開始した。適格の企業は、完了までに最高3年を要する研究開発活動を支える「ファスト・トラック」アワードとして、200万ドル以上を受益できるプロポーザルを1件提出することができる。従来のSBIR/STTRプログラムは、同等額のアワードを得るために一般的に2つのフェーズで複数のプロポーザルの提出が必要であるが、SBIR/STTRファスト・トラックは、3年間で200万ドル以上をコミットされた資金への直接的な経路を提供する。SBIR/STTRファスト・トラックに応募するには、ファスト・トラックのプロポーザルを提出するよう正式な招待を受けることや、応募する研究開発活動は過去5年以内にNSFの資金を受けた研究から発生したものであることなど、一定の条件を満たす必要がある。 National Science Foundation “NSF announces pilot for startups and small businesses to ‘fast-track’ successful development of technological innovations” (6/24/24)

米エネルギー貯蔵市場、第1四半期の導入量は過去最大

ウッド・マッキンゼー社(Wood Mackenzie)と米国クリーン電力協会(American Clean Power Association: ACP)が6月18日に発表した「米国エネルギー貯蔵モニター(US Energy Storage Monitor)」(四半期報告)によれば、米国のエネルギー貯蔵市場は、2024年第1四半期に、全体で過去最大となる1,265メガワット(MW)の能力を導入した。これは、前年同期比84%増となる。モニター報告によれば、グリッド規模部門の導入能力は993MWで、同部門は過去最大の第1四半期の新規能力導入となる。ネバダ、カリフォルニア、テキサス州がその90%を占めた。住宅部門が第1四半期に導入した能力は250MWで、前年同期比8%増。前年同期比24%増の導入となったカリフォルニア州が、住宅部門の成長を先導した。同州は、コミュニティ/商業/産業部門でも先導役となり、19.4MWを導入したが、これは前期比43%減である。ニューヨーク及びマサチューセッツ州も、同部門で近年における最大の鈍化を記録した。 American Clean Power Association “NEW REPORT: US Energy Storage Market Sets Q1 Capacity Installation Record” (6/18/24)

原子力発電所の費用低減と溶融塩燃料開発のためGAINバウチャーを2社に提供

「原子力におけるイノベーション加速のためのゲートウェイ(Gateway for Accelerated Innovation in Nuclear: GAIN)」プログラムは6月20日、原子力発電所での運用費用を低減し、先端原子炉における溶融塩燃料の更なる開発につながる可能性がある先端原子力技術のイノベーションと応用を加速させるため、2社にバウチャーを提供すると発表した。受益企業はバウチャーを通じて、エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所複合施設における包括的な原子力研究能力及び専門性へのアクセスを得る。受益するのは、オーク・リッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)と共に取り組むエンタージー・オペレレーションズ社(Entergy Operations, Inc.)と、パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)と共に取り組むテレストリアル・エネルギーUSA社(Terrestrial Energy USA, Inc)。GAINバウチャーの受益者は、経済的なアワードは受けない。資金はエネルギー省傘下の研究所に提供され、企業が技術的及び商業化の重要な課題を克服することを助ける。 Department of Energy “2 Companies Awarded GAIN Vouchers to Lower Costs for Nuclear Plants and Further Develop Molten Salt Fuel” (6/20/24)

USPTO、イノベーターとアントレプレナー支援に向けた国家戦略を発表

商務省(Department of Commerce)傘下の米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office: USPTO)は、イノベーションとアントレプレナーシップを促進するため、より多くの米国民を資源と結びつける「包含的イノベーションのための国家戦略(National Strategy for Inclusive Innovation)」を発表した。USPTOと包含的イノベーション評議会(Council for Inclusive Innovation: CI2)との協力に基づいて策定された同戦略は、経済を成長させ、質の高い雇用を創出し、若い世代や歴史的に恵まれないコミュニティの人々のSTEMや発明活動、イノベーションへの参加を増大させることで、世界的な課題に対処にすることを目指す。戦略は、4つの礎石に基づいて構築されており、それぞれが米国の繁栄を最大限化する上で重要である。4つの礎石とは、①小中高の教育的不均衡に対処し、あらゆる背景を持つ若者がイノベーターになることを意欲付ける上で必要なニーズに対処にする、②高等教育における学生と教員の格差に焦点を当てる、③組織の包含性を推進する、④全ての米国民を対象に、イノベーションの商業化機会を高める。 Department of Commerce “Commerce’s USPTO Announces National Strategy to Empower Innovators and Entrepreneurs from All Communities” (6/21/24)

商務省、労働省、教育省によるセレクト人材USAのパートナーシップを新たな海外市場に拡大

商務省(Department of Commerce)は6月24日、労働省(Department of Labor)及び教育省(Department of Education)と共に行っている合同イニシアチブ、セレクト人材USA(SelectTalentUSA)の海外市場を拡大し、海外企業が米国労働者を対象としたリクルート活動や訓練プログラムを実施するための技術援助を提供すると発表した。セレクト人材USAは2023年5月に、オーストリア、ドイツ、リヒテンシュタイン、スイスの市場で初めてパイロット事業として行われたもので、登録見習い制度(Registered Apprenticeships)に焦点を当て、協力と情報交換を強化することを目的としている。そして今回新たに、日本、韓国、台湾の市場へと拡大された。それぞれの国において、米国での事業を確立もしくは拡大を目指すサプライチェーン企業やその他の企業のニーズに対応する。セレクト人材USAは、海外の投資企業が、地域や州とのパートナーシップを構築し、それぞれの人材開発手法を米国に適用させ、米国における「多様かつ有技能の労働力」という優位性を活用することを支援する。 Department of Commerce “U.S. Departments of Commerce, Labor, and Education Expand SelectTalentUSA Partnership to New International Markets, Increasing Quality Jobs and Apprenticeships through FDI” (6/24/24)

エネルギー省、次世代の軽水型小型モジュラー原子炉の開発加速に9億ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は6月17日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、米国における第3世代プラス(Generation III+)となる小型モジュラー原子炉(Small Modular Reactor: SMR)技術の初期導入を支援するため、最高9億ドルを資金提供する「意向通知(Notice of Intent: NOI)」を発表した。資金の一部は、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から拠出され、米国の国内原子力産業の強化と、後続の原子炉プロジェクトの促進を支援する。エネルギー省は、「第3世代プラスの小型モジュラー原子炉の導入経路プログラム(Generation III+ Small Modular Reactor Pathway to Deployment Program)」と題する公募を2024年夏~秋に発表する予定である。エネルギー省はまた、適格な応募チームどうしのパートナーシップを促進するため、8月に対面式の業界デー(Industry Day)を開催する計画である。 Department of Energy “DOE Announces $900 Million to Accelerate the Deployment of Next-Generation Light-Water Small Modular Reactors” (6/17/24)

エネルギー省、サプライチェーン・サイバーセキュリティ原則を発表

エネルギー省(Department of Energy)は6月18日、新たな「サプライチェーン・サイバーセキュリティ原則(Supply Chain Cybersecurity Principles)」を発表した。アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)との共同で開発したもので、同原則により、エネルギー・インフラを支えるサプライチェーン全体のサイバーセキュリティに関するベスト・プラクティスを確立する。製造事業者及びエンド・ユーザーの双方を対象として策定されており、世界中の電力や石油、天然ガスのシステムを管理及び運用する主要技術の強化につながる枠組みを提示している。GEベルノバ社(GE Vernova)、シュナイダー・エレクトリック(Schneider Electric)、日立エネルギー(Hitachi Energy)を含むエネルギー部門の大手サプライヤー及び製造事業者がこの原則への支持を表明している。 Department of Energy “DOE Leads Effort to Improve the Cybersecurity of Energy Supply Chains” (6/18/24)

エネルギー省と環境保護庁、石油・天然ガス部門からメタンガス汚染削減に8億5,000万ドル

エネルギー省(Department of Energy)と環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は6月21日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」議題の一環として、石油・天然ガス部門から排出されるメタンガスを監視/測定/削減する一助となるプロジェクトに8億5,000万ドルを提供する資金提供機会(FOA)「インフレ低減法-メタンガス排出削減プログラム 石油及び天然ガスのメタンガス監視と軽減(Inflation Reduction Act (IRA) – Methane Emissions Reduction Program Oil and Gas Methane Monitoring and Mitigation)」を発表した。石油及び天然ガスの施設は、米国内で最大の産業メタンガス排出源で、気候のスーパー汚染源となっている。今回のFOAは、①中小の事業者が、石油・天然ガスの事業から排出されるメタンガスを大幅に削減することを支援する、②低生産の油田・ガス田からのメタンガス漏洩の修復を加速させる、③コミュニティによる実験データへのアクセスと監視への参加を向上させる、などを主要な目的としている。 Department of Energy “DOE and EPA Announce $850 Million to Reduce Methane Pollution from the Oil and Gas Sector” (6/21/24)