脱炭素化は米国全体では増加ながら、州によって異なる

ローレンス・リバモア国立研究所(Larence Livermore National Laboratory: LLNL)が発表した最新の「エネルギー・フロー・チャート:エネルギーと水と炭素の間の複雑な関係の図式化(Energy Flow Charts: Charting the Complex Relationships among Energy, Water, and Carbon)」によれば、2023年における米国民の電力と化石燃料の消費は減少した一方、炭素フリーのエネルギーの消費は増加した。LLNLは毎年、このフローチャートを発表し、エネルギーの消費と使用、関連の二酸化炭素排出を報告ている。全体として、米国民のエネルギー消費量は2022年に微減(約1%)減少した。前回、同じように減少したのはCOVIDのパンデミックの間であったが、今回の減少は経済的不振によるものではない。国民総生産(GDP)は実際には2023年に2.9%増加していることから、全体的なエネルギー効率が向上したと示唆される。電力需要の減少は、住宅部門でより顕著で、同部門は5%減少し、次いで、商業部門と産業部門でそれぞれ3%減少した。一方、米国全体では脱炭素化のゴールへ向けて進んでいるが、50州においてはより微妙な動向となっている。例えば、11州は化石エネルギーの消費が減少し、非化石エネルギーの消費は増加しており、脱炭素化へ向けたトレンドを示唆している一方、11州はより多くの化石エネルギーを消費し、化石フリーのエネルギーの消費は減少している。 Larence Livermore National Laboratory “Americans increase overall pace of decarbonization, but state trends vary” (10/28/24)

エネルギー省と国立核安全保障局、AIの国家安全保障ミッションを推進

大統領府は最近、初となる「人工知能に関する国家安全保障通達(National Security Memorandum (NSM) on Artificial Intelligence (AI))」を発表した。AIの最前線における進展は、国家安全保障及び外交政策に大きな意味合いがあるとの認識の下、エネルギー省(Department of Energy)と国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は、AIシステム関連のリスクの理解と軽減、AIシステムのパフォーマンスと効率性の強化、米国AIエコシステムの強化の一助となる取り組みを主導していく。具体的に、NSMはエネルギー省に次のような取り組みを指示している(一例)。①NNSAを通じて、米政府の代わりにAIモデルの最前線の安全性検査とシステム評価を主導し、原子力及び放射線のリスクを評価し、化学/生物/その他の脅威の評価に関する米政府全体の取り組みを調整、②AIモデル及びシステムの体系的検査及び評価を支援するため、専門性、インフラ、施設を提供、③最前線のAIを科学的研究及び諜報的分析に活用できる大規模施設の設計と建設。 Department of Energy “DOE and NNSA Advance Historic Effort to Harness AI National Security Mission” (10/25/24)

エネルギー省、グリッド対応力強化に約4億7,400万ドルを提供

「米国への投資(Investing in America)」議題を支える一環として、エネルギー省(Department of Energy)は10月25日、電力グリッドを現代化して異常気象の影響を削減しつつ、電力部門の信頼性を確実にすることを目的として、49州、5準州、254の部族国家、ワシントンDCに、2024年度の「グリッドの対応力に関する州政府と部族向け公式グラント(Grid Resilience State and Tribal Formula Grants)」から合計4億7,360万ドルを提供すると発表した。同公式グラント・プログラムは、山火事や異常気象の出来事、気候危機によって悪化するその他の自然災害に対する米国の電力グリッドの信頼性を強化することを意図したもので、エネルギー省は、2022年度以来、ほぼ13億ドルのグラントを提供している。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Delivers Nearly $474 Million in New Grid Resilience Funding to States and Tribes as Part of Investing in America Agenda” (10/25/24)

核融合エネルギー、世界的な気候変動対策として注目

壊滅的な気候変動の影響を予防するため、炭素排出を削減する必要に世界が直面する現在、商業的な核融合発電を実現することは新たな重要性を持ちつつある。このような中、炭素排出フリーであるだけでなく、今後数十年に予想される世界的な電力需要の急増に対応できる未来の電力システムにおいて、核融合発電所(fusion power plants: FPPs)の潜在的な役割と価値は何かについて、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)のエネルギー・イニシアチブ(MIT Energy Initiative: MITEI)とMITプラズマ科学及び核融合センター(MIT Plasma Science and Fusion Center: PSFC)の研究者は1年半にわたる共同研究を通じて追求した。彼らによれば、未来の費用とパフォーマンス次第ではあるが、核融合は脱炭素化にとって極めて重要な存在となる可能性があり、さらに一定の状況下では、FPPによって世界の脱炭素化費用を数兆ドル削減できる可能性があるという。25名以上の専門家が結集し、費用や気候政策、運用の特性、その他の要素を含め、FPPの導入に影響を及ぼす要素について分析を試みた。その結果は「脱炭素化電力システムにおける核融合エネルギーの役割(The role of fusion energy in a decarbonized electricity system)」と題する論文として発表されている。 Massachusetts Institute of Technology “Study: Fusion energy could play a major role in the global response to climate change” (10/24/24)

Natcast、国立半導体技術センターの戦略計画を発表

CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)によって設立された国立半導体技術センター(National Semiconductor Technology Center: NSTC)を運営する組織として商務省(Department of Commerce)に指定された非営利事業体、Natcastは10月24日、初となるNSTC戦略計画(NSTC Strategic Plan)を発表した。戦略計画は、半導体技術で米国リーダーシップを強化及び拡大する持続的な組織としてNSTCを構築していくための包括的戦略を概説している。NSTC戦略計画は、CHIPS研究開発局(CHIPS Research and Development Office)が以前に発表した勧告を拡大する形で、NSTCの3つの主要なゴールを達成し、米国内で活気があり持続可能な半導体R&Dの基盤を構築するために、Natcastが講じる策の定義と優先付けを行っている。NSTCの3つの主要なゴールとは、①米国の技術リーダーシップの拡大、②プロトタイプの時間と費用の削減、③半導体労働力開発エコシステムの構築、維持。 NATCAST “Natcast Releases National Semiconductor Technology Center (NSTC) Strategic Plan” (10/24/24)

内務省、ネバダ州のリチウム鉱山を承認

内務省(Department of the Interior)と同省の土地管理局(Bureau of Land Management: BLM)は10月24日、流紋岩リッジ・リチウム・ボロン(Rhyolite Ridge Lithium-Boron)鉱山プロジェクトの承認を発表した。重要鉱物の国内サプライチェーンを強化する取り組みへ向けた主要な一歩となる。プロジェクトが完了すれば、年間約37万台の電気自動車に電力を共有するのに十分なリチウムの供給が得られる見込みである。ネバダ州シルバー・ピーク・レンジ南部に位置するプロジェクトで、地元の生態系を維持する重要な措置が含まれると同時に、数百件の良好賃金雇用を通じて地元のコミュニティと部族メンバーに工学/建設/科学技術の雇用機会がもたらされる。本プロジェクトに関するBLMの決定記録(Record of Decision)は、9月に発表された最終版環境影響声明(final Environmental Impact Statement: FEIS)に概説された優先的代替策を承認しており、このFEISは、絶滅危惧種のタイムズ・バクウィート(植物)に対する保護措置を特定した内容となっている。 Department of the Interior “Major Lithium Mine Approved in Nevada in Latest Effort to Support a Domestic Supply of Critical Minerals” (10/24/24)

バイデン政権、米国国家安全保障にAIを活用

バイデン大統領は10月24日、初めてとなる「人工知能に関する国家安全保障通達(National Security Memorandum (NSM) on Artificial Intelligence (AI))」を発表した。SNMの原則的な前提は、「AIの最前線を進展させることは、近い将来において、国家安全保障及び外交政策上、重要な意味合いを持つ」というものである。NSMは、以下の点を目的として、米政府が具体的かつ影響力のある策を講じるよう指示している。①米国は、世界における安全でセキュアで信頼性の高いAI開発を先導することを確実にする、②米政府が最先端のAIを活用しつつ、人権や民主的価値を守り、国家安全保障上の目的を達成できるようにする、③AIに関する国際的総意とガバナンスを進展させる。(記事ではそれぞれの項目で、具体的な措置について記述している) White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Outlines Coordinated Approach to Harness Power of AI for U.S. National Security” (10/24/24)

エネルギー省、量子コンピューティングを使った化学・マテリアル科学シミュレーションに3,000万ドル

エネルギー省(Department of Energy)傘下のエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は10月24日、化学及びマテリアルを研究する新たな手法の開拓へ資金提供を発表した。「量子コンピューティングによるコンピュテーショナルな化学(Quantum Computing for Computational Chemistry: QC3)」プログラムは、量子アルゴリズムを開発して、新規で持続可能な産業触媒の設計や、効率性が更に高い送電のための新たな超伝導体の発見など、エネルギー研究の多様な分野に革命をもたらすことを狙いとしている。「化学及びマテリアルのコンピュータ・シミュレーションは研究開発を促進するが、伝統的なコンピューティングによって再現できる複雑さには限界がある。QC3プロジェクトは、量子コンピューティングのパワーを活用してこれらの限界を克服し、エネルギー分野における高インパクトの問題を解決するツールを研究者に提供するだろう」と、ARPA-Eのエベリン・ワン長官(Evelyn N. Wang)は述べる。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces $30 Million to Use Quantum Computing for Groundbreaking Chemistry and Materials Science Simulations” (10/24/24)

NSF、地域イノベーション・エンジンの第2次コンペ結果発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の地域イノベーション・エンジン(Regional Innovation Engines: NSF Engines)プログラムは、ほぼ全ての州と準州にある71チームが第2次コンペに進むと発表した。選出された71チームは、最終的なプロポーザルを提出するよう招待される(これまでに6月18日までに意向書の提出、8月6日までに予備的プロポーザルの提出が行われており、最終的なプロポーザルは2025年2月11日までに提出する)。71チームのうち、約3分の1にあたる23チームは、NSFの「競争的研究を促進するための確立されたプログラム(Established Program to Stimulate Competitive Research: EPSCoR)」区域に所在し、13チームは、NSFの資金を初めて受益する組織が先導し、23チームは非学術系組織が主導し、9チームは少数派向け機関が主導する。加えてこれらのチームのほぼ半数が、実質的な計画グラントである「NSFエンジン開発アワード(NSF Engines Development Award)」を受益している。 National Science Foundation “NSF advances 71 teams spanning nearly every U.S. state and territory in the second Regional Innovation Engines competition” (10/24/24)

国防総省、重要技術企業向けに10億ドルの融資プログラムを開始

国防総省(Department of Defense)の戦略的資本局(Office of Strategic Capital)は、重要技術の開発に取り組むプロジェクトの設備資金として9億8,400万ドルが有用であると発表した。企業は、融資を別の公的事業体もしくは非営利事業体にスポンサーしてもらうことができるようになっており、これは、斬新すぎたり、経済的にリスクの高い企業からの申請を補う手段となっている。融資の申請は2025年1月2日から2月3日までで、戦略的資本局は10件の融資(1,000万~1億5,000万ドル)を実施する見込みである。融資の対象となる技術は、「重要」とされる31のカテゴリー(先端製造、オートノマス・モバイル・ロボット、量子検知など)のいずれか。資金を受益するプロジェクトは、米国の国家安全保障または経済的利益を進展させること、公共の利益を伴う技術に民間資本を引き付けることを意図している。 SSTI “Defense launches $1B loan program for critical tech companies” (10/24/24)