DOE、国内電力グリッドのサイバーセキュリティ策強化を狙いとしたイニシアチブを開始

エネルギー省のスティーブン・チュウ長官(Steven Chu)は1月5日、電力グリッドをサイバー脅威から保護する策の強化を目的としたイニシアチブ「電力部門サイバーセキュリティ・リスク管理円熟(Electric Sector Cybersecurity Risk Management Maturity)」プロジェクトを発表した。これは大統領府によるイニシアチブで、エネルギー省が国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)と提携・主導の上、業界や公的セクターの専門性を活用しながら行われる。今回のイニシアチブでは、オバマ政権と業界の既存のサイバーセキュリティ措置を強化することを目的とし、ユーティリティ企業やグリッド運営事業者が自身の現行能力の測定やサイバー防衛策における問題点の分析を行えるよう「円熟モデル」を開発する。今後数ヶ月をかけて、民間セクターと一連のワークショップを開催し、円熟モデル草案の開発に取り組む。 Energy.Gov “Department of Energy Launches Initiative with Industry to Better Protect the Nation’s Electric Grid from Cyber Threats” (1/5/12)

気候・地球環境の変化に関する10ヵ年連邦政府プログラム草案の評価報告発表

米国研究評議会(National Research Council: NRC)は、連邦省庁における気候及び地球環境の変化に関する研究取り組みを策定及び調整することを目的とした10ヵ年計画「米国地球変動研究プログラム(U.S. Global Change Research Program: USGCRP)」草案の評価を行い、報告書として発表した。報告書は、「USGCRPがその対象を気候変動だけでなく気候関連の地球的環境も含めるよう拡大を提案していることは適切かつ重要なステップである」としたが、草案は必ずしもそれに伴う重要な課題(予算問題の深刻化や目標達成方法など)を認識しておらず、このような課題にどのように対処するのか明確な戦略も示していないと述べた。報告書はまた、USGCRP計画を強化する策として、①過去の重要な達成事項に関してより明確な要旨を提示する、②プログラムの優先案件の設定などに明確なプロセスを確立する、などを提案している。 National Academies “New Report Reviews 10-Year Plan for Federal Program On Climate and Global Environmental Change Research” (1/5/12)

IEE、電力省エネプログラムの結果・予算に関する報告書を発表

電力効率研究所(Institute for Electric Efficiency: IEE)が発表した報告書「2010-2011年公共料金納付者が資金を提供する電力省エネプログラムの影響・予算・支出(Summary of Ratepayer-Funded Electric Efficiency Impacts, Budgets and Expenditures (2010-2011))」によれば、米国における公共料金納付者の資金提供によって行われている省エネプログラムや需要対応プログラムにより、2010年にはほぼ1,000万世帯分の電力(約1億1,200万メガワット時)が節約されたという。これは2009年に比べ21%の増加となる。IEEでは、これらのプログラムによる省エネ合計額は今後も2桁成長を続けると予測している。また、2010年における効率プログラムの支出は48億ドルに達し、その88%を電力ユーティリティが占めているという。 Institute for Electric Efficiency “Electric Utility Efficiency Program Results, Budgets Steadily Growing, New Report Shows” (January 2012)

MIT研究者、「シェールガス市場の発展により、将来の研究開発活動が削減される可能性がある」と指摘

米国のシェール・ガス市場がここ数年で急成長している中、同市場の成長が再生可能エネルギーに及ぼす影響を指摘する報告書が発表された。マサチューセッツ工科大学(MIT)の「地球変動科学・政策合同プログラム(Joint Program on the Science and Policy of Global Change)」のヘンリー・ジャコビー共同名誉所長(Henry Jacoby, co-director emeritus)がその他の研究者と共に、エネルギー・環境政策経済学誌(Economics of Energy and Environmental Policy)創刊号で発表した「シェールガスが米国エネルギー・環境政策に及ぼす影響(The Influence of Shale Gas on U.S. Energy and Environmental Policy)」がそれである。ジャコビー所長らは、米国における今後のエネルギー事情をシェールガスが存在する場合と存在しない場合について、幾つかの政策シナリオに基づいて予想分析している。それによれば、シェールガスの存在により、天然ガス価格は低下し、経済は刺激され、温室効果ガス削減で大きな柔軟性がもたらされるが、その一方でシェールガスの成功により再生可能エネルギーの発展が抑制されることになると指摘している。 MIT news “A shale gas revolution?” (1/3/12)

MIT研究者、米国の自動車燃費の実質的向上はわずかとする研究結果を発表

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)の経済学者、クリストファー・クニッテル氏(Christopher Knittel)がアメリカン・エコノミック・レビュー(American Economic Review)に発表した研究報告書「ステロイド依存の自動車(Automobiles on Steroids)」によれば、ここ数十年の技術革新により自動車の燃費は向上したものの、自動車自体がより大きくパワフルになっているため、実際の1ガロン当たりの走行距離(以下「マイレージ」)の向上はわずかとなっているという。具体的には、1980年から2006年の間に、米国で販売された車の平均マイレージは15%強増加した一方、同期間に車の平均的重量は26%、馬力は107%増加しており、マイレージの増加率を大きく上回っている。一方、全ての条件が同じであった場合、車のマイレージは1980年から2006年の間に60%増加したという。これが現実のマイレージに反映されていない理由は、消費者が大きくて馬力のある車を望み、自動車メーカーがそれらを製造するためである。クニッテル氏は、こうした消費者の心理は理解できるとした上で、排出ガス削減のための最も論理的な方法は、ガソリン税の引き上げであると述べている。 MIT News “The case of the missing gas mileage” (1/4/12)

NIH、国立一般医科学研究所(NIGMS)を再編

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の一部で基礎研究及び研究研修を支援する国立一般医科学研究所(National Institute of General Medical Sciences: NIGMS)に、新たに2部門が発足した。いずれもNIGMSの既存プログラムおよび旧「国立研究資源センター(National Center for Research Resources: NCRR)」からNIGMSに移動されたプログラムの運営管理を行う。一つは、「訓練・労働力開発・多様性部門(Division of Training, Workforce Development, and Diversity)」で、NIGMSの研究研修プログラムと、以前は「研究における少数派機会部門(Division of Minority Opportunities in Research: MORE)」で行われていた活動、そしてNCRRの「制度的開発アワード・プログラム(Institutional Development Award program)」を管理する。もう一つの新部門は「バイオ医療技術・バイオインフォマティクス・コンピュテーショナル生物学部門(Division of Biomedical Technology, Bioinformatics, and Computational Biology)」で、NIGMSの「バイオインフォマティクス・コンピュテーショナル生物学センター(Center for Bioinformatics and Computational Biology)」で行われていたプログラム及びNCRRのバイオ医療技術プログラムが含まれる。 NIH News “National Institute of General Medical Sciences reorganizes” (1/4/12)

米国科学審議会(NSB)、NSF助成金受益事業に関し研究データのアクセス強化を勧告

米国科学審議会(National Science Board:NSB)は1月3日、報告書「デジタル研究データの共有および管理(Digital Research Data Sharing and Management)」を発表し、国立科学財団(NSF)の助成金受益プロジェクトで収集された研究データへのアクセス強化について5つの勧告を行った。ここでは特に、受益者に対し、データや方法論の学術誌などでの公表を義務付けることなどが勧告されている。そして、これらの目標を達成するために、NSFは研究者のデータ共有に向けたスケジュールなどを概説したデータ管理計画を策定すべきであるとしている。 American Institute of Biological Sciences “National Science Board Report Aims for Grantees to Make Data More Available” (1/3/12)

巨大望遠鏡建設計画、期待していたNSF助成を受益できない可能性に直面

米国では現在、カリフォルニア大学(University of California)を中心とするチームがハワイに30メートル望遠鏡(Thirty Meter Telescope: TMT)を建設する計画と、カーネギー天文台(Carnegie Observatories)およびアリゾナ大学(University of Arizona)などによるチームによってチリに巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope: GMT)を建設する計画が進められている。いずれも数十億ドルの事業で、両チームは近年、数百万ドル規模の民間資金調達を行い、残りは国立科学財団(National Science Foundation: NSF)の助成を受けることを期待してきた。しかし2011年末にNSFにより、「巨大望遠鏡建設計画への助成が行われるのは2020年以降」との見解が示された。TMTとGMTは2020年以前の稼動を目的としていることから、NSFの助成を受益する可能性はほぼなくなったことになる。NSFの担当官は巨大望遠鏡建設計画への助成が行われない点について「現在のNSFには巨大望遠鏡事業計画に拠出できる予算がない」と説明している。 Science Insider “Giant Telescopes Face NSF Funding Delay” (1/3/12)

NIH助成を受けた臨床試験の多数において終了後2年以内に研究結果が発表されず

イエール大学医学部(Yale School of Medicine)の研究者が、ClinicalTrials.gov内に登録されている国立衛生研究所(NIH)の助成を受けて行われた臨床試験のサンプル(2005年9月30日までに登録され、2008年12月31日までに試験を終了しているもの)を対象に行った調査によれば、試験終了から30ヶ月以内にその結果がピアレビューのバイオ医療誌に掲載されたのは半数以下であるという。英国医師会誌(British Medical Journal)の1月号で発表されたこの結果について、筆頭著者でイエール大学医学准教授のジョセフ・ロス氏(Joseph Roll)は、「臨床試験結果の情報が普及されなければ、研究や研究結果の意味が損なわれる。試験結果が発表されていないのには、多くの理由があるかもしれないが、研究結果へのアクセスをタイムリーに提供するための手段は他にもある」と述べている。 Medical press “Many NIH-funded clinical trials go unpublished over two years after completion” (1/4/12)

NIH、社会・行動科学者向けのオンライン遺伝学コースを開設

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の行動・社会科学研究局(Office of Behavioral and Social Sciences Research: OBSSR)は、遺伝学における医療専門家教育米国同盟(National Coalition for Health Professional Education in Genetics)と提携し、社会学・行動科学研究者を対象に、遺伝学研究者と効果的な学際研究を行えるよう、遺伝学に関する無料のオンラインコースを立ち上げた。オンラインコースの名称は「遺伝学と社会科学 ~学際研究の拡大~(Genetics and Social Science: Expanding Transdisciplinary Research)」である。公衆衛生の発展や科学の飛躍には、社会科学者と遺伝学研究者の学際的研究が鍵となりつつあり、社会及び行動科学者は複雑な遺伝学が医療や疾病、行動に及ぼす影響について理解する必要が生じつつある。このため、今回のオンラインコースの目的は、こうした社会及び行動科学者の遺伝学知識を向上させることにある。 NIH News “NIH launches first online genetics course for social and behavioral scientists” (1/3/12)