Category:レポート
風力エネルギー市場、2011年は復活の年
世界風力エネルギー協会(World Wind Energy Association: WWEA)が発表した2011年上半期の報告書によれば、2010年に低迷した風力エネルギー業界は、新たな勢いを取り戻し、健全な復活を示しているという。世界の風力エネルギー能力は2011年半ばまでに21万5,000メガワットに達し、そのうち1万8,405メガワットが今年上半期に加えられた。この増加は2010年同期に比べて15%増となっている。また、中国、米国、ドイツ、スペイン、インドが世界のエネルギー大国上位5カ国として挙げられており、これらの国の合計は世界の風力エネルギー能力全体の74%を占めると試算されている。報告書は、多くの国が新市場として台頭していると述べる一方、「先進国の中では、日本が今後、風力エネルギーにおいて積極的かつ前向きな役割を果たすであろう」との期待を示した。 Renewable Energy World.com “Wind Energy Markets Gather New Momentum” (11/7/11)
世界で最もイノベーティブな都市はボストン
オーストラリアのコンサルティング会社、2シンクナウ社(2thinknow)は、2011年版「世界で最もイノベーティブな都市(most innovative cities in the world)」のランキングを発表した。331の対象都市から、そのうち上位125都市が発表された。ランキングは、①文化的資産、②人的インフラ、③ネットワーク市場の3つの要素に基づいて行われ、最もイノベーティブな都市から順に、「ネクサス(Nexus)」「ハブ(Hub)」「ノード(node)」の3種類に分類、定義されている。ランキングの1位はボストンで、次いでサンフランシスコ、パリ、ニューヨーク、ウィーンとなっている(上位20都市に日本の都市は入っていない)。 URENI “Most Innovative Cities 2011” (11/2/11)
カリフォルニア州高速鉄道建設計画の総工費は985億ドルとの予測
カリフォルニア州の高速鉄道委員会(high-speed rail commission)は11月1日、州内の主要都市を高速鉄道で結ぶ野心的な計画について、その最新事業計画を発表した。それによれば、総事業費は今後20年間以上で約1,000億ドルと試算されている。この膨大な金額は事業の積極支持派にとっても相当の衝撃をもたらすとみられている。最新事業計画はジェリー・ブラウン知事(Jerry Brown)が高速鉄道委員会に対して、事業計画を精査し、その実行可能性を分析するよう求め、それを受けて作成された。最新事業計画書では、「事業は段階的に建設されれば実施可能であるが、その費用は初期予測(430億ドル)の2倍以上である985億ドルになるであろう」との結論を出している。計画書はまた、「高速鉄道システムは、利用者数が最も低い予測値となった場合でも、運営費の公的助成を必要とせずに利益を上げることは可能である」としている。 CBS News.com “Plan says California high-speed rail to cost $98B” (11/1/11)
NSTC、ビルにおけるサブメータリング導入を提言
国家科学技術審議会(National Science and Technology Council:NSTC)は11月4日、電力グリッドの最大限の活用と省エネ推進を目的とし、商業・住居ビルにおけるエネルギーや水の利用状況をモニタリングできるようなサブメータリング技術に関して、今後、体系的な検討を行うことを提言した。これは報告書「ビルのエネルギー・水利用のサブメータリング(Submetering of Building Energy and Water Usage: Guidance and Recommendations of the Subcommittee on Buildings Technology Research and Development)」の中で取りまとめられたもので、サブメータリングの利用により、ビルのパフォーマンスの飛躍的向上及びエネルギー・水使用量の削減が達成でき、導入単位もビル、部屋、ビルシステム等、様々なものが可能であるとしている。 The White House “Smart Buildings = Better Buildings” (11/4/11)
米国アカデミー、研究・医療の現場の両方で利用できるデータネットワーク立ち上げを提言
米国アカデミー(National Academies)の政策評価機関である米国研究評議会(National Research Council:NRC)は、病気の分類をより正確に行い、診断・治療を向上させるような手法の開発に向け、疾病の分子構成に関する新研究成果と患者の臨床データとを統合させたデータネットワークの構築が望まれるとの提言を出した。また、このようなデータネットワークを通じて、研究者が患者情報にアクセスできるようになるため、バイオ医療研究の促進にもつながるとしている。この提言の背景には、科学的研究の成果が実際の臨床に生かされていないという現状がある。このため、「疾病知識ネットワーク(knowledge network of disease)」を構築し、疾病の原因に関する情報を、研究者・医療従事者・国民の間で共有することが望ましいとし、ネットワーク開発の第1歩として、分子データと患者の医療記録を集め、開発第2期として、ネットワークの立ち上げと情報データマイニングの実施を行うことを提言している。 National Academics “Report Calls for Creation of a Biomedical Research and Patient Data Network For More Accurate Classification of Diseases, Move Toward ‘Precision Medicine’” (11/211)
風力タービン価格、2008年の3分の2に
ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が「過去十年に亘る風力タービンの価格傾向の理解(Understanding Trends in Wind Turbine Prices Over the Past Decade)」と題した報告書を発表し、この中で、米国の風力タービン価格が2008年と比較して3割ほど下落したことを明らかにした。本報告書によると、労働コスト、製品保証、製造業者の収益性、風力タービンの規模、原材料価格、エネルギー価格、外国為替レートの7点が風力タービン価格変動の7~9割の原因を占めているという。また、2002年から2008年までは、特に風力タービン規模(高さ、ローター直径等)が急激に拡大したこと、そして、ドル価値が他の通貨に比べて下落したことから、風力タービンの価格が2倍となったとしている。 Renewable Energy Focus. com “US wind turbine prices fallen by a third since 2008” (11/3/11)
NIST、クラウドコンピューティング技術ロードマップ草案を発表
国立標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は11月1日、連邦機関におけるクラウドコンピューティング技術の導入、民間セクターの支援、クラウドコンピューティングモデルのさらなる技術向上を目的とした「米国政府クラウドコンピューティング技術ロードマップ(U.S. Government Cloud Computing Technology Roadmap)」を発表した。今回発表されたのは、全3巻のうち第1巻及び第2巻であり、第3巻は現在も検討が続けられている。米国政府は、2011年2月に「連邦政府におけるクラウドコンピューティング戦略(Federal Cloud Computing Strategy)」を発表しており、その中で、NISTは、標準の特定及び促進に加え、クラウドコンピューティング技術と標準化優先順位の検討及びコンセンサス合意に向けて、産学官及び国際機関と協力実施という役割が与えられている。 NIST “NIST Releases Draft Cloud Computing Technology Roadmap for Comments” (11/111)
エネルギー省、支援・委託付与に当たり、コントラクターの業績確認が不十分
エネルギー省(Department of Energy)の監察長官は11月1日、過去2年間に亘りエネルギー省が付与した指名委託及び金銭支援の20%について、コントラクターが過去に行った業務のパフォーマンスについて評価が行われていなかったことを明らかにした。業績パフォーマンス審査が行われないまま支援・委託付与が行われたのは2009~2010年度だけで890億ドルに上っており、監査長官は「競争的公募において、そして、指名委託の場合はコントラクター決定において、最大の価値を生み出すような採択が行えるような取り組みが行われていない」と結論付けている。しかし一方で行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)は、監査長官の報告に大筋で賛成しているものの、「契約に当たり被採択者の過去のパフォーマンスの評価は義務付けられていない」とコメントしている。 Government Executive “Energy Department often fails to vet contractor past performance, watchdog finds” (11/1/11)
エネルギー長官諮問小委員会がシェールガス開発に関する報告書草案を公表
スティーブン・チュウ・エネルギー長官(Steven Chu)の諮問委員会(Secretary of Energy Advisory Board: SEAB)のシェールガス生産小委員会(Subcommittee on Shale Gas Production)は、2011年8月18日付け報告書で示した20件の勧告の実施状況についてまとめた第二次(および最終)「90日報告(ninety-day report)」の草案を発表した。同小委員会は、シェールガス開発の安全性と環境的影響を向上させるために実施可能なステップについて報告書を作成するよう委任され、人体の健康と環境を保護し、国家にとって最も有益な形でシェールガスの責任ある開発が確実に行われるために、20件の勧告を提示していた。小委員会は政権や州政府、業界、公的利権団体によるこれまでの活動や計画に満足しているものの、現時点までの進展は小委員会による期待を下回っているという。「小委員会による手法が実施されるか否かにかかわらず、シェールガス生産による過剰な環境への影響や同開発の継続や拡大に対する国民の反対がもたらすリスクを回避するためには、協調的かつ持続的な活動が必要である」と警告している。 Energy.gov “Secretary of Energy Advisory Board Subcommittee (SEAB) on Shale Gas Production Posts Draft Report” (11/10/11)
NRC、メキシコ湾原油流出事故による生態系被害評価に関する中間報告発表
メキシコ湾原油流出事故による生態系被害について報告書を作成中の米国研究評議会(National Research Council: NRC)の中間報告書(最終報告書は2013年春の予定)によれば、事故による生態系被害の深刻さや規模を評価し、メキシコ湾内の被害地域の復興計画を策定するには、これまでにない努力が必要とされるという。流出事故による特定の天然資源被害の復旧に加えて、生態系プロセスを修復させることも重視したより広範な「生態系サービス(ecosystem services)」の評価手法を取ることが同報告書では提言されている。 National Academies “New Report Offers Broad Approach to Assessing Impacts of Ecological Damage From Deepwater Horizon Oil Spill” (11/10/11)