2012年度大統領予算教書における科学・技術研究開発予算

オバマ大統領による2012年度予算教書は、非軍事部門の裁量支出を2年連続で横ばいとする一方、米国の科学技術分野における予算の戦略的増加を要請している。本予算教書の科学技術分野においては、①米国の将来の競争力にとり重要な3機関(国立科学財団(NSF)、エネルギー省(DOE)、米国標準技術局(NIST))には合計で139億ドル(2010年度成立予算に比較して12.2%増)と二桁増を維持、②エネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy:ARPA-E)への5億5,000万ドル拠出など、クリーンエネルギーの未来への投資強化、③優れたSTEM教師の新採用準備資金(1億ドル)を含むSTEM教育の強化、などが特徴となっている。その一方、退役軍人省(Department of Veterans Affairs)の研究開発プログラムが12%以上削減(2010年度成立予算比)、環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)の研究開発資金が1,100万ドルの削減(同)となっている。 The White House “Innovation, Education, Infrastructure: The FY 2012 Science and Technology R&D Budget” (2/14/11)

自動車研究センター(CAR)が米国における2015年までの電気自動車普及パターンを予測

自動車研究センター(Center for Automotive Research: CAR)は、米国内における2015年までの電気自動車の普及パターンや普及を支援するインセンティブ・プログラムに関する予測を発表した。この調査は、50州におけるハイブリッド自動車の売上を基に電気自動車の普及パターンを州別に算出したもので、それによれば2015年までに49万6,000台のプラグイン電気自動車が米国内を走行すると予測されている。最も電気自動車が普及すると予測されているカリフォルニア州では2012~2015年の間に合計11万台以上が販売されると見られている。その他は、テキサス、ニューヨーク、フロリダといった大きな州でも2万6,000台未満と予測されている。CARでは、これらの予測は不測の事態(石油価格の高騰など)や積極的なインセンティブ・プログラムによって変動すると注釈している。 Green Car Congress “Center for Automotive Research releases study on estimated US distribution pattern of electric vehicles through 2015; focus on incentives” (2/13/11)

OSTP、連邦政府の研究開発データをまとめたウェブサイト「R&Dダッシュボード」を始動

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)は、連邦投資を受けて行われた研究開発に関するデータを収録し、利用者が自由に閲覧できるウェブサイト「R&Dダッシュボード(R&D Dashboard)」のベータ版を始動した。現在のところ、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)と国立科学財団(National Science Foundation:NSF)による2000~2009年までの連邦投資のデータのみであるが、今後は対象機関や情報を拡大する計画である。ウェブサイトでは、連邦投資を受けた研究開発機関およびその投資によって生まれた成果(出版物や特許申請、投資支援を受けた研究者による特許など)が閲覧できる他、投資を州や選挙区、研究機関レベルで分類することができる。 The White House “‘R&D Dashboard’ Makes Federal R&D Data Transparent and Accessible” (2/10/11)

NIH予算:米国景気対策法(ARRA)による資金は来年まで継続の見込みとの分析

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は2年前、300億ドルの年間通常予算の他に、米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)から特別予算として104億ドルを提供された。これらの資金からは2009年と2010年にグラントや契約としてそれぞれ約50億ドルが配分されたが、NIH関係者はこれらの資金交付が終了した後、2011年にはグラント付与が急落するのではないかと懸念していた。しかし、米国実験生物学協会(Federation of American Societies for Experimental Biology: FASEB)による予算分析によれば、逆にARRA資金によるグラント交付は2011年がピークであり、予算急落の可能性があるのは2012年度であるという。FASEBは、これを避けるためにはNIHは基本予算の14%増が必要となるとしている。 ScienceInsider “NIH Budget: Post-Stimulus Cliff Still Looming, But Not Until Next Year” (2/9/11)

NHGRI、ゲノミクスのビジョン発表

国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute:NHGRI)は、ゲノミクスに関する新たなビジョンを示した報告書「ゲノム医療への道:塩基対から診療ベッドへ(Charting a Course for Genomic Medicine from Base Pairs to Bedside)」を発表した。これは約2年間の年月を経て作成された報告書で、世界中の科学者達が多くの有望な機会を最大限に生かし、今後10年間におけるゲノミクス研究で直面する重要な課題に挑戦する上で、フォーカスや投資が必要とされる分野について概説している。執筆者達は、進展が必要とされるコアエリアとして、①ゲノム構造の理解、②基本的なゲノム生物学の理解、③疾病生物学の理解、など5点を挙げている。また、今後数十年間でゲノミクスの発見は医療科学の分野で劇的な進展を遂げるであろうが、それらの進展を臨床へと発展させるには膨大な研究が必要とされるであろうと述べている。 GenomeWeb Daily News “NHGRI Offers ‘New Vision’ for Genomics Future” (2/10/11)

NIHグラントを獲得できなかった者に第二のチャンス

患者擁護団体や企業で構成される米国健康評議会(National Health Council: NHC)は2月7日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)のグラントに応募し、ピアレビューは受けたものの、グラント獲得には至らなかった案件について、希望者はその概要と連絡先を無償で掲載できるデータベースのウェブサイト「Health Research Funding」を立ち上げた。これらのデータベースはウェブサイトの登録企業のみが閲覧できる仕組みになっており、NIHのグラントを得られなかった研究者と潜在的な資金提供機関とをマッチングさせるのが狙いである。 ScienceInsider “Second Chance for NIH Grant Applicants” (2/10/11)

オバマ政権のイノベーション戦略改訂版発表

大統領府は2月の第1週目に、「米国イノベーション戦略(Strategy for American Innovation)」の改訂版を発表し、この中で新たに5つのイニシアチブを加えた。それらは、①ワイヤレス・イニシアチブ(5年以内に米国民の98%が高速ワイヤレスへのアクセスを得る)、②特許制度改革(米国特許商標局(U.S. Patent and Trademark Office:USPTO)による作業の迅速化と特許の品質向上)、③クリーン・エネルギー・リーダーシップへのコミットメント、④K-12教育の強化に対する新たなコミットメント、⑤スタートアップ・アメリカ・イニシアチブ(アントレプレナーシップの振興と有望なベンチャー企業の強化)である。 The Intangible Economy “Obama Innovation Strategy – and doing more” (2/9/11)

下院歳出委員長、予算削減リストを発表

下院歳出委員会(House Appropriations Committee)のハル・ロジャース委員長(Hal Rogers、ケンタッキー州選出共和党)は、2011会計年度の残りの7ヶ月における歳出法案に含まれる予算削減案リスト(70件)を発表した。削減リストには、以下の内容が含まれている。 ・国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)(3億3,600万ドル減) ・航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)(3億7,900万ドル減) ・国立科学財団(National Science Foundation:NSF)(1億3,900万ドル減) ・環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)(16億ドル減) ・食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)(2億2,000万ドル減) ・国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)(10億ドル減) ただし、これらは2011年度大統領予算教書に対する削減案で、2011年度歳出法案は未成立となっているため、実際の削減レベルを判断するのは難しい。 THE WALL STREET JOURNAL “House GOP Spending Cuts: The List” (2/9/11)

SBA長官、2012年度予算で一部のプログラムが廃止される可能性を示唆

中小企業庁(Small Business Administration:SBA)のカレン・ミルズ長官(Karen Mills)によれば、オバマ大統領が2月14日に議会に提出する予算教書で、一部の中小企業向けプログラムが合理化あるいは全面的に廃止されるという。上院の中小企業およびアントレプレナーシップ委員会(Small Business and Entrepreneurship Committee)のメアリー・ランドリュー委員長(Mary Landrieu、民主党、ルイジアナ州選出)とランキング・メンバーのオリンピア・スノウ議員(Olympia Snowe、共和党、メイン州選出)は先月、ミルズ長官とSBAの監査官宛に書簡を送り、廃止あるいは大幅に削減できるプログラムについて勧告を求めた。これに返答したミルズ長官は詳細を語ることは避けたが、「既に予算が横ばいあるいは減少状態にあるSBAはさらなる縮小に直面する可能性がある」と示唆した。委員会は今月、SBAのプログラム削減案に関して公聴会を開催する予定である。 GOVERNMENT EXECUTIVE “SBA chief signals 2012 budget will eliminate some programs” (2/9/11)

NOAA、海洋再生可能エネルギーに関するウェブサイトを立ち上げ

国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)は、再生可能エネルギー生産に対する関心が復活しつつあることを受け、海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion:OTEC)の開発に関心を持つ業界向けに法律およびライセンスに関する情報を盛り込んだウェブサイトを立ち上げた。冷たい深層水と暖かい表層水の温度差を利用して発電するOTECの技術は、飲料水や水素、アンモニアといった製品を生産する可能性も秘めている。ウェブサイトには、OTEC技術や潜在的環境への影響に関する情報、1980年海洋熱海洋温度差発電法(Ocean Thermal Energy Conversion Act of 1980)で定められたNOAAのライセンス権、政府や学界、民間によるワークショップに関する情報が含まれている。 NOAA “NOAA Launches Website on Emerging Marine Renewable Energy” (2/10/11)