テキサス州癌予防研究所からの科学者辞任が相次ぐ

テキサス州癌予防研究所(Cancer Prevention and Research Institute of Texas: CPRIT)で、癌研究へのグラント授与の方法について、「科学よりも商業的利益に重点を置いている」と抗議する形で、少なくとも7名の科学者が辞任した。CPRITは、リック・ペリー・テキサス州知事(Rick Perry)と元癌患者でサイクリストのランス・アームストロング氏(Lance Armstrong)の支援を得て設立されたもので、2009年以来約7億ドルのグラントを提供している。CPRITによるプロジェクト選出方法を巡っては、去る5月にも、科学的審査を経ずに2,000万ドルの商業化プロジェクトを承認した後、首席科学担当官でノーベル賞受賞者のアルフレッド・ギルマン氏(Alfred G. Gilman)氏がこれに抗議する形で辞任しており、内部での懸念が高まっていることが伺える。 New York Times “7 More Cancer Scientists Quit Texas Institute Over Grants” (10/13/12)

マサチューセッツ州が2012年度に受益したNIHグラント合計は27億ドル

ボストン・ビジネス・ジャーナル(Boston Business Journal)の発表によれば、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が2012年度(9月30日締め)にマサチューセッツ州内の機関に交付したグラントの合計は、5,700件、総額26億8,000万ドルであった。これは、米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009: ARRA)によってグラント額が急増した2010年(36億2,000万ドル)から約10億ドルの減少となった。ちなみに2009年度のマサチューセッツ州のNIHグラント受益額合計は23億3,000万ドルであった。マサチューセッツ州内で2012年度の単一事業に対するNIHグラント受益額が最も高かったのはブロード研究所(Broad Institute)で、ゲノム配列解析プロジェクトに3,590万ドルを受益した。一方、NIHグラント受益額の合計が最も高かったのは、マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)で871件のグラントで3億6,240万ドルを受益した。ハーバード大学(Harvard University)は関連機関のグラント受益額を合計すると4億1,780万ドルとなる。 Boston Business Journal “Harvard, MGH and Broad lead the Bay State’s $2.7B haul in NIH grants (BBJ DataCenter)” (10/11/12)

DARPA、次なる「重大課題」を募集

国防高等事業研究局(Defense Advanced Projects Research Agency:DARPA)は、次なる「重大課題」へのインプットを募集している。DARPAは、有人月面着陸や、ヒトゲノムプロジェクト(Human Genome Project)、ウィキペディア(Wikipedia)などを、重大課題に対する野心的で実現可能な解決策の一例として挙げており、一般の人々の関心を集め、イノベーションによって解決が推進できるような新しい21世紀型の重大課題を特定するためのインプットを募集することを目的として、「情報の要請(request for information: RFI)」を公示した。RFIによれば、重大課題は、「政府の支援の下で実施されるプロジェクトに限定されることなく、公的、私的なリソースを使いながら米国内外のグループによって取り組みが行われるものとなるであろう」とされている。インプットの提出は2013年1月1日が締め切りとなっている。 FCW “DARPA seeks the next great challenges” (10/10/12)

ITイノベーション財団(ITIF)、電気自動車用電池の開発支援に注力するよう勧告

ITイノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation: ITIF)は10月11日、「ギア・シフト:従来型経済ドクトリンを超えてより良い電気自動車用電池の開発へ(Shifting Gears: Transcending Conventional Economic Doctrines to Develop Better Electric Vehicle Batteries)」と題する報告書を発表した。同報告書は、現在の電気自動車業界が直面している課題を分析し、これらを克服するための勧告をとりまとめている。報告書は、「過去及び現在の政策では、電気自動車の発展を適切に牽引することができない。電気自動車は、コストと性能の面において深刻な問題を抱えており、開発の焦点を電池イノベーションにシフトすることが重要である」としている。そうした上で、政策策定者がとるべき3つのステップとして、①電池イノベーションへのより積極的な投資、②国防総省(Department of Defense)とエネルギー省(Department of Energy)による協力の強化、③エネルギー省による「サンショット・イニシアチブ(Sunshot Initiative)」のような「バッテリーショット・イニシアチブ(BatteryShot Initiative)」の支援、を挙げている。 Information Technology and Innovation Foundation “Shifting Gears: Transcending Conventional Economic Doctrines to Develop Better Electric Vehicle Batteries” (10/11/12)

NSF、「未来の革命・創出のためのマテリアル設計(DMREF)プログラム」で初の助成

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、省庁横断型取り組みである「マテリアル・ゲノム・イニシアティブ(Materials Genome Initiative: MGI)」の一環として、「未来の革命・創出のためのマテリアル設計(Designing Materials to Revolutionize and Engineer our Future: DMREF)プログラム」における初のグラント受益事業を発表した。NSFの数学・物理科学局(Directorate for Mathematical and Physical Sciences)と工学局(Directorate for Engineering)が、軽量かつ強固なポリマーや、航空エンジン及び発電所向けの高耐久性多層マテリアルなどの新規開発につながるような22件の研究開発プロジェクトに対し合計1,200万ドル以上を提供することになる。 National Science Foundation “Advancing Materials Research” (10/11/12)

消費者エネルギー同盟(CEA)、2020年までのエネルギー自給達成に向けたロードマップを発表

消費者エネルギー同盟(Consumer Energy Alliance: CEA)は、米国が2020年までにエネルギー自給を達成するためのステップを概説した報告書「北米の新しいエネルギー未来(North Americas New Energy Future)」を発表した。報告書は、米国における資源(従来型及び再生可能)の有用性や、これらの資源を開発し世界のエネルギー市場における米国の位置付けを新たにするために必要な政策について分析したもので、計画を実行するための一助となる勧告も提言している。 Consumer Energy Alliance “A Roadmap for energy self-sufficiency. If we choose it.” (October 2012)

エンジェル投資市場が堅調な回復

ニューハンプシャー大学(University of New Hampshire)のベンチャー研究センター(Center for Venture Research)によれば、エンジェル投資市場は2012年上半期において堅実な回復の兆候が見られたという。2012年上半期の投資金額合計は92億ドル(2011年上半期に比べ3.1%増)、エンジェル投資を受けたアントレプレナー数は合計2万7,280名(同3.7%増)、活動しているエンジェル投資家数は13万1,145名(同5%増)となった。2012年上半期の1件当たりの平均的投資額は33万6,390ドルで、これは2011年上半期の33万8,400ドルより微減となっている。 University of New Hampshire “Angel Investor Market in Steady Recovery, UNH Center for Venture Research Finds” (10/10/12)

バイオ倫理問題に関する大統領研究委員会、ゲノミクスとプライバシーに関する報告書を発表

バイオ倫理問題に関する大統領研究委員会(Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues)は10月11日、報告書「全ゲノム・シークエンシングにおけるプライバシーと進展(Privacy and Progress in Whole Genome Sequencing)」を発表した。これは、ゲノミクスとプライバシーの問題についてまとめたもので、「ゲノム・シークエンシングが持つ臨床ケアの発展やより広範な公共の恩恵に関する膨大な可能性を実現するためには、プライバシー問題が確実に対応されなくてはならない」と結論づけている。そして、米国政府が全ゲノム・シークエンスに関する倫理的問題を防止するために可能な策を概説している。具体的には、連邦・州政府に対して、全ゲノム・シークエンスがどのように取得されたかにかかわらず、全ゲノム・シークエンス情報を保護する一貫した基盤を構築するためのプロセスを策定することなどを勧告している。 Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues “President’s Bioethics Commission Releases Report on Genomics and Privacy” (10/11/12)

オバマ政権、全国10件の官民パートナーシップによる製造業支援の取り組みに2,000万ドルを交付

オバマ政権は10月9日、省庁横断型イニシアティブの「先端製造業雇用及びイノベーション加速チャレンジ(Advanced Manufacturing Jobs and Innovation Accelerator Challenge)」を通じて、全国で10件の官民パートナーシップに合計2,000万ドルの助成金を交付すると発表した。これらの官民パートナーシップは、各地域で行われている雇用創出を推進する取り組み(革新的な中小サプライヤー企業と大手企業の関連付けや研究機関とベンチャー企業の関連付け、労働者訓練など)への支援を行う。助成金を受益するのは、アリゾナ、カリフォルニア、ミシガン、ニューヨークなど10州における官民パートナーシップである。 Department of Energy “Obama Administration Announces $20 Million for 10 Public-Private Partnerships to Support American Manufacturing and Encourage Investment in the U.S.” (10/9/12)

EPA規制により最高2,750億ドルの経済負担が見込まれる

米国電力研究所(Electric Power Research Institute: EPRI)が、現行及び現在保留となっている環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の発電所規制の影響についてまとめた分析報告書によれば、規制が予定通り実施された場合、米国経済は2010年から2035年の間に2,750億ドルの負担を強いられる可能性があるという。ただし、「EPAがより柔軟な規制を実施すれば、電力会社は同期間に約1,000億ドルを節約することが可能である」としている。今回発表された報告書は、EPRIが5月に発表した予備的ファインディングの更新版で、「発電所に対してある程度の柔軟性と規制遵守までの時間的余裕を提供することで、ユーティリティに関する金銭的負担を軽減しつつ、同程度の環境遵守を実現することができる」と示唆している。 Environmental Leader “EPA Regulations to Cost Economy up to $275bn” (10/8/12)