電力グリッドは本質的にテロ攻撃に脆弱との報告

米国研究評議会(National Research Council: NRC)が発表した報告書「テロと電力送電システム(Terrorism and the Electric Power Delivery System)」によれば、米国の電力送電システムはテロ攻撃に脆弱であり、その被害は自然災害によるものよりも遥かに甚大となる可能性があるという。報告書は、「米国の電力システムの安全保障は早急の対応を要する」としている。そして、電力送電システムの脆弱性を低下させ、攻撃或いは事故後の電力復旧をより早く行い、重要な社会的サービスが送電システムの混乱の被害をできるだけ受けないようにするための策を勧告している。本報告書は、NRCが2007年秋に完成させたものであるが、資金を提供した国土安全保障省(Department of Homeland Security)が当面は全面的に機密扱いとすることを決定したため、公開されずにいた。今般、NRCの新たな要請を受け、公開された。 National Academies “Electric Power Grid ‘Inherently Vulnerable’ to Terrorist Attacks; Report Delayed in Classification Review, Will Be Updated” (11/14/12)

EPA、ガソリン混合エタノールの義務付け緩和を拒否

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は11月16日、ガソリンに混合されるトウモロコシ由来エタノールの使用義務付け基準を緩和するよう求めた要請を拒否した。これは、今夏の干ばつを受けてトウモロコシの価格が急騰し、畜産業やその他の業界が被害を受けていることから、複数の州が基準の緩和を要請していたものである。ある試算によれば、輸送燃料用として設けられている連邦再生可能エネルギー基準を満たすために、今年国内で生産された作物の最大で半分がエタノール生産に利用されるという。EPAの高官は、「今年の干ばつが経済の一部の分野で厳しい状況をもたらしていることは認識しているが、包括的な分析の結果、義務付け放棄の条件として議会が定めている要件は満たされていないことが明らかとなった」との声明を発表した。 New York Times “E.P.A. Upholds Federal Mandate for Ethanol in Gasoline” (11/16/12)

NIH、パブリック・アクセス政策の施行を強化へ

国立衛生研究所(NIH)は、NIHの資金提供を受けて行われた研究の結果が国民に無償で入手可能となることを意図したパブリック・アクセス政策を2008年から実施している。これに基づき、NIHの資金提供を受けた研究者は、承認された雑誌文献をNIHの記録保管所であるパブメド・セントラル(PubMed Central)に提出することが義務付けられている。しかし、この文献提出が完全に実施されていない状況が続いていたことから、今回、「このパブリック・アクセス政策を遵守しない研究者は、その次のグラント受益分を受け取れないとする」という方針が発表された。この方針は早ければ来春にも開始されるという。 Science Insider “NIH Steps Up Enforcement of Public Access Policy” (11/16/12)

NIH、中毒関連の研究所の統合計画を白紙化

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)のフランシス・コリンズ所長(Francis Collins)は11月16日、国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse: NIDA)と国立アルコール乱用・アルコール依存症研究所(National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism:NIAAA)を統合する計画を撤回すると発表した。フランシス所長は2年前、NIH諮問委員会からNIDAとNIAAAを統合するよう勧告を受けた時には前向きな見解を示していたが、この考えに関連研究コミュニティの意見は二分していた。その後、コリンズ所長は双方からの意見を聞き、今回の白紙化が決定された。同所長は声明の中で、「統合はせずに、組織全体で中毒・乱用研究を調整していく」との見解を述べた。 Science Insider “NIH Backs Off Plan to Merge Addiction Institutes” (11/16/12)

「私の大気、私の医療チャレンジ(My Air, My Health Challenge)」の4件の決勝進出チームが発表される

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の環境衛生科学研究所(National Institute of Environmental Health Sciences: NIEHS)及び連邦パートナー機関が6月に発表した、「私の大気、私の医療チャレンジ(My Air, My Health Challenge)」で、4件の決勝進出チームが発表された。各チームは1万5,000ドルを受益し、今後、大気汚染物質やそれに関連する生理学的な計測を行う機器の設計を作動可能なシステムへと作り上げる。2013年6月に発表される総合優勝者には、10万ドルの現金が授与される。 National Institutes of Health “Finalists of air pollution sensor challenge announced” (11/15/12)

米国研究評議会(NRC)、STEM教育に関する報告書を発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)から資金を得て米国研究評議会(National Research Council: NRC)が作成した報告書「K-12におけるSTEM教育の成功に向けた進捗観察(Monitoring Progress Toward Successful K-12 STEM Education)」が11月15日、発表された。本報告書は、小学校教育の重要性を確認した上で、K-12 STEM教育の3つの目標として、①最終的にSTEM分野で高度な学位やキャリアを進む学生数を増やし、女性や少数派の参加を拡大する、②STEM能力を必要とする労働力を拡大し、女性や少数派の参加を拡大する、③学生全体の科学教養を拡大する、を挙げている。報告書はまた、K-12 STEM教育制度の進展を測定するための鍵となる指標を示している。 National Science Foundation “Science, Technology, Engineering and Mathematics Education: A Nation Advancing?” (11/15/12)

米国科学アカデミー(NAS)、メキシコ湾岸における人体の健康と環境の保護に取り組むプログラムを発表

2010年に発生したディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)の原油流出事故を巡り、連邦政府とBP社は11月15日、40億ドルの和解金で合意したことを発表した。これと同時に、司法省(Department of Justice)は和解案の一部として、米国科学アカデミー(National Academy of Sciences: NAS)に対して、メキシコ湾岸における人体の健康と環境の保護について取り組むプログラム(3億5,000万ドル)を設立するよう要請し、NASはこれを承諾した。NASは今後30年間に亘り、湾岸地域の人々の健康や環境資源の保護の強化を目的として、科学的及び技術的理解を深める取り組みを行っていくという。 National Academies “Statement Regarding New NAS Program on Human Health and Environmental Protection in the Gulf of Mexico” (11/15/12)

大学コンソーシアム、クレジットの取得が可能な小規模オンラインコースを提供へ

デューク大学(Duke University)やノースカロライナ大学(University of North Carolina)など大手大学はコンソーシアム「セメスター・オンライン(Semester Online)」を立ち上げ、来年秋から約30件のオンラインコースを提供する。対象は、コンソーシアム参加大学の学生及び外部の学生(コースに応募し、参加が認められ、1コース当たり4,000ドル以上の学費を支払った者)である。セメスター・オンラインは、教育プラットフォーム「2U」を通じて提供され、教室と同じような環境(学生が挙手をしたり、小さなグループに分かれて議論を行ったりする)で行われる。現在人気が高まりつつある大規模な公開オンラインコースとは異なり、セメスター・オンラインの特徴は、小規模であることとクレジットが提供されることである。 New York Times “University Consortium to Offer Small Online Courses for Credit” (11/15/12)

2013年世界製造競争力指数が発表される

デロイト・トウシュ・トーマツ・リミテッド社(Deloitte Touche Tohmatsu Limited: DTTL)の世界製造業界グループ(Global Manufacturing Industry group)と米国競争力評議会(U.S. Council on Competitiveness)は、「2013年世界製造競争力指数(2013 Global Manufacturing Competitiveness Index)」報告書を発表した。それによれば、20世紀の製造大国である米国、ドイツ、日本は今後5年間に、中国やインド、ブラジルといった新興国との激しい競争に直面するという。報告書は、「競争的な製造業は現在、大幅なパワーシフトの過渡期にある」としている。報告書は、現在世界で最も競争力のある製造国は中国で、これは5年後も変わらないとしているが、現在2位と3位であるドイツと米国は5年後には4位と5位に順位を落とすと予測している。更に、現在は上位10位以内にランクインしている日本は12位に転落するという。報告書によれば、競争力の最も重要な鍵は有能な労働者へのアクセスで、次いで貿易、金融・税制、労働及び材料費となっている。 Deloitte “2013 Global Manufacturing Competitiveness Index: CEOs see emerging nations surge as U.S., Germany and Japan face changing game” (11/16/12)

プライスウォーターハウス・クーパーズ社(PwC)、製薬業界の今後を予測

プライスウォーターハウス・クーパーズ社(PricewaterhouseCoopers: PwC)は11月15日、同社が2007年以来発表している「2020年製薬業界(Pharma 2020)」シリーズの最新報告書として、「2020年製薬業界:展望から決断へ(Pharma 2020: From vision to decision)」を発表した。それによれば、窮地にある製薬業界は、将来における前代未聞の世界的成長が予想される一方で、現在一般的となっているビジネス・モデルや経営文化は、今後の市場機会をつかむのに適した状態ではない」という。報告書は、「パイプラインの無駄を省き、顧客の期待増や乏しい科学的生産性、文化的障害に対処する厳しい決断をする意思があれば、今後数年間の難しい過渡期を生き残り、2020年に繁栄することができる」と主張している。 PricewaterhouseCoopers “PwC report forecasts a golden era ahead for pharmaceutical companies, but global growth markets won’t guarantee success” (11/15/12)