宇宙軍、航空機追跡衛星開発に6億1,500万ドル

ディフェンススクープ(DefenseScoop)は8月4日、宇宙軍(United States Space Force: USSF)が宇宙配備型航空移動目標指示器(Space-Based Airborne Moving Target Indicator: SB-AMTI)機能の整備と開発ベンダー拡充に向け、3社と総額6億1,500万ドルの契約を締結したと報じた。5月のスペースX社(SpaceX)向け41億6,000万ドルの初期衛星コンステレーション(複数の人工衛星を連携させた運用システム)開発に続く第2弾となる。採択されたのはロケット・ラボ社(Rocket Lab)とシステム&テクノロジー・リサーチ社(Systems & Technology Research: STR)で、もう1社は運用上の安全保障を理由に非公表とした。従来の航空機による追尾は敵の接近阻止・領域拒否(Anti-access: A2/ Area-denial: AD)能力の向上で脆弱化しているとし、複数のセンサー技術を組み合わせた衛星網を構築し、作戦上の死角を排除していく。また多くの企業の参加を期待しており、新たな技術を模索することで多様な環境条件、地理的・脅威環境での運用上様々な利点があると説明した。 DefenseScoop “Space Force awards $615M in deals for second batch of aircraft-tracking satellites” (08/04/26) Space Force awards $615M in deals for second batch of aircraft-tracking satellites

エネルギー省、地下1マイルの小型原子炉の安全協定を承認

ディープ・フィッション社(Deep Fission)は8月6日、地下約1マイル(約1.6キロ)に設置する加圧水型小型原子炉「グラビティ(Gravity™)」について、エネルギー省(Department of Energy)から原子力安全設計協定(Nuclear Safety Design Agreement: NSDA)の承認を取得したと発表した。同省の実証炉プログラムに基づく規制上の重要な節目で、継続的な原子炉開発に向けた安全枠組みが確立されることとなった。これに伴い、同社は地下原子炉技術の実証試験や最終的な実用化に向けた次段階へ移行する。既にカンザス州パーソンズのグレートプレーンズ工業団地で商業実証事業を推進し、2025年12月の着工以来、地下6,000フィート(約1.8キロ)のデータ収集用井戸の掘削を終え、試作型原子炉容器を搬入した。一回きりの臨界試験ではなく、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)とエネルギー省認可を取得し、発電を開始していく計画で、データセンターなど増大する電力需要対応に向け、安定した低炭素電力供給に注力すると意欲を見せている。 Deep Fission “Department of Energy Approves Nuclear Safety Design Agreement for Deep Fission’s Gravity™ Reactor, Designed to Convert to Commercial Operation” (08/06/26) https://www.deepfission.com/pr-media-kit/press-releases/detail/116/department-of-energy-approves-nuclear-safety-design-agreement-for-deep-fissions-gravity-reactor-designed-to-convert-to-commercial-operation

ORNL、民間と核融合開発で連携

米国原子力学会(American Nuclear Society: ANS)が運営する原子力専門のニュースサイト、ニュークリアニュースワイアー(NuclearNewswire)は8月7日、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)と核融合コンサルティングのラザフォード・エナジー・ベンチャーズ社(Rutherford Energy Ventures: REV)が、核融合技術の商業化加速に向けた新たな官民連携組織「開発加速に向けた核融合拡充コンソーシアム(Fusion Upscaled Leveraged Consortia for Rapid Acceleration: FULCRA)」を立ち上げたと報じた。官民協働で共有試験施設を構築するエネルギー省(Department of Energy)のロードマップに基づく取り組みで、18カ月間の実施予定となっている。REV社は「核融合分野に必要な試験インフラの不足を解決する」とし、今回の連携の重要性を強調した。検証用テストベッド基盤の整備と技術的・財務的な枠組みを構築する予定で、今後同様の施設を新設する際の設計や資金調達モデルとして活用が期待されている。 Nuclear Newswire “ORNL, Rutherford Energy Ventures launch fusion partnership” (08/07/26) https://www.ans.org/news/2026-08-07/article-8276/ornl-rutherford-energy-ventures-launch-fusion-partnership/

AIデータセンター海外設置に安保上リスク ブルッキングス報告

ブルッキングス研究所(Brookings Institution)は8月3日、最先端人工知能(AI)データセンターの海外建設による国家安全保障上のリスクについての調査結果を発表した。3月に中東のアマゾン・ウェブ・サービス社(Amazon Web Services: AWS)3施設がイランの攻撃を受け、甚大な被害を受けた例を挙げ、海外インフラが地政学的な標的になっているという。また、データセンターの秘匿にはコストがかかるほか、施設の継続的な保全など物理的にも脆弱性が露呈しつつある。こうした中、報告書は政府が進める中東でのAI基盤整備計画に対し、通常の商業的な立地決定では捉えきれない安保上のリスクがあるとし、不正アクセスなどによる知的財産や開発技術の損失や、高額なインフラ投資を背景とした現地での建設推進は、有事における施設差し押さえにつながるなどのリスクを指摘している。国内での電力確保や許認可手続きの遅れから海外移転が進む中、同研究所は経済競争力と安保上のバランスを考慮した包括的な枠組みの確立を提言した。 The Brookings Institution “The national security implications of building frontier AI data centers overseas” (08/03/26) The national security implications of building frontier AI data centers overseas

トランプ大統領、ポリシリコン関税を導入

ポリティコ誌(Politico)は8月6日、太陽光パネルや半導体の重要原料であるポリシリコンとその関連製品に対し、トランプ大統領が新たな関税を導入すると発表したと報じた。輸入ポリシリコンやその派生製品であるインゴットとウェハー、太陽電池、太陽光発電モジュールなどに15%の関税と最低輸入価格を設定するもので、中国が握る供給網(サプライチェーン)のチョークポイント(choke point、要衝)を遮断する狙いがある。これに合わせ、政府は駆け込み輸入を防止する規定も盛り込んだ。ただし発効は物価高や対中交渉に不満を抱く有権者に配慮し、11月の中間選挙や9月の米中首脳会談後の12月4日とした。こうした政府の対応策について、関税推進団体の「繁栄する米国のための連合(Coalition for a Prosperous America)」は国内製造業を保護する歴史的措置と歓迎しており、商務省(Department of Commerce)のハワード・ラトニック長官(Howard Lutnick)も業界が小規模である現状を指摘し「今後、国内生産が爆発的に拡大していく」と期待を寄せている。 Politico “Trump announces tariffs on key component for solar panels and semiconductors” (08/06/26) https://www.politico.com/news/2026/08/06/trump-tariffs-solar-semiconductors-01028009

小規模大学の半数、今秋入学者数は目標以下

8月12日、今秋の定員目標を達成できると見込む小規模大学が全体の半数にとどまる調査結果が発表された。調査会社のニッチ社(Niche)が7月に実施した調べによると、高等教育機関全体の61%が目標達成を見込む一方、学生数2,000人未満の小規模大学に限ると50%にとどまったことが明らかになった。また、小規模大学による入学金の割引率は63%と大規模校の34%を大きく上回っているものの、こうした学費減額が必ずしも定員充足に結びつかない現状も浮き彫りとなった。このほか、小規模大学では、明確な奨学金制度の提示や、保護者の関与などの対応策を推進しているものの、多くの大学がブランド認知や他校との差別化が、生徒獲得における課題となっていると指摘している。 IHE “Where Enrollment Stands as Fall 2026 Approaches” (08/05/26) https://www.insidehighered.com/news/students/financial-aid/2026/08/05/61-percent-colleges-have-met-their-enrollment-goals-fall

上院、研究助成への政権介入を阻む予算臨時措置を可決

サイエンス誌(Science)は8月7日、上院が行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)による連邦資金給付のルール変更を阻止する条項を含んだ暫定予算案を可決したと報じた。新年度予算未成立による10月1日からの政府閉鎖を回避する内容で、12月11日まで現行支出水準での運営を継続するつなぎ予算として、超党派(賛成90票、反対6票)で承認された。問題視されたOMBの変更案は、政治任用職員に研究助成の採択決定権を与え、現行政権の優先事項に沿わない研究の中止や、中国など安全保障上の脅威とされる国との共同研究を禁止する内容を含んでいた。こうした内容に対し科学者らが激しく反発し、上院歳出委員会のスーザン・コリンズ委員長(Susan Collins)主導で阻止条項を盛り込んだ経緯がある。両院の協議を経て成立すれば、ルール変更は少なくとも12月まで足止めされる。 Science “Senate votes to block rule giving White House more control over research” (08/08/26) https://www.science.org/content/article/senate-votes-block-rule-giving-white-house-more-control-over-research

国防総省、磁石不使用磁石の量産化へ1億5,000万ドルを融資

国防総省(Department of Defense)の戦略資本室(Office of Strategic Capital: OSC)は8月7日、ナイロン・マグネティクス社(Niron Magnetics)に対し、レアアース(希土類)を使用しない永久磁石の生産能力拡大に向け、1億5,000万ドルの条件付き融資を行うと発表した。ミネソタ州サーテルに新工場を建設し、国内で充分に調達が可能な鉄と窒素などの素材を活用した高性能磁石を年間最大1500トン生産する計画で、民間資本と合わせた総額6億500万ドル規模の事業の一環となっている。同社技術を活用した永久磁石生産により国内調達を強化することで、電動化やロボティクス、防衛装備品の高度化など、商業・安全保障の双方における基盤技術として活用する方針で、特に、海外への依存度が高いレアアース供給網(サプライチェーン)の脆弱性解消を目指している。同社製磁石は、希土類元素を使用せずとも、同等の性能と物理的特性を備えているとし、画期的な製品として期待されている。 Department of Defense “Office of Strategic Capital Signs $150 Million Conditional Loan Commitment With Niron Magnetics, Inc. to Scale Domestic Rare Earth-Free Magnet Production” (08/07/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4566567/office-of-strategic-capital-signs-150-million-conditional-loan-commitment-with/

国防総省、防衛産業向けに調達改革への意見公募を開始

国防総省(Department of Defense)は8月7日、防衛産業基盤及び調達関係者に対し、業務システムの監査やデータ提出要件の簡素化に関する意見を募る公開書簡を発行したと発表した。ピート・ヘグセス長官(Pete Hegseth)が進める調達改革戦略の一環で、煩雑な規制や不要な手続きを撤廃して調達の柔軟性を最大化する。これに伴い、防衛産業との協働を促進していくとし、業務システムに関連するデータ・監査内容を簡素化する提案を募集しており、提出期限は8月31日までとなっている。官民連携による軍事力の再構築に向け、弾薬製造や戦車、ヘリコプターに搭載する兵器システムの修繕を担う防衛産業基盤や政府所有の補給処の生産能力を向上させる計画で、軍が必要とするシステムや資材の大規模生産を目指している。 Department of Defense “War Department Releases Open Letter to Defense Industry Stakeholders” (08/07/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4566672/war-department-releases-open-letter-to-defense-industry-stakeholders/

NIH、国立ヒトゲノム研究所新所長にジュディ・チョー氏選任

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は8月7日、傘下の国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute: NHGRI)の次期所長にジュディ・チョー氏(Judy Cho)を起用すると発表した。8月23日付けで就任する予定で、ゲノム研究成果を予防や診断、治療といった臨床現場へ迅速に応用するトランスレーショナル研究(橋渡し研究)の推進に向け、今後6億6,000万ドルを超える予算を運用していく。チョー氏はマウントサイナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)で学部長や遺伝学における橋渡し研究の教授などを歴任し、炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)の遺伝的要因解明など、現在広く用いられているクローン病や潰瘍性大腸炎の治療開発に貢献した。また、患者の血液サンプルと医療記録の大規模データベースを構築した精密医療実現にも寄与しており、これまでの知見を活かした基礎ゲノム研究や医療への応用、倫理的課題への対応、人材育成主導が期待されている。 NIH “Strengthening America’s Grid Supply Chain” (08/10/26) https://www.energy.gov/oe/articles/strengthening-americas-grid-supply-chain