Category:その他
宇宙軍、ボーイングと28億ドル契約 安全保障通信衛星を刷新
ディフェンスニュース(DefenseNews)は7月4日、宇宙空間における脅威の変化対応に向け、宇宙軍(Space Force)がボーイング社(Boeing)と28億ドルの契約を締結し、新たな戦略通信衛星システム(Evolved Strategic SATCOM: ESS)を導入すると報じた。この契約により、ボーイング社は戦略任務における確実で防御性の高い通信を提供する2基の衛星製造に加え、追加で2基を購入するオプションを獲得した。ESSは従来の先進EHF通信衛星(Advanced Extremely High Frequency: AEHF)コンステレーションの後継機にあたり、サイバー防御や耐障害性を強化する。契約期間は2033年までで、計画全体で120億ドル規模が見込まれている。宇宙軍は対ジャミング機能を持つ保護された軍用通信波形(Protected Tactical Waveform: PTW)を中核とした迅速な機能提供を目指す新戦略に移行する予定で、初期型のPTS衛星の打ち上げを来年に予定しているが、別の通信計画である戦術軍事通信衛星(Protected Tactical SATCOM–Resilient: PTS-R)を中止する。 DefenseNews “Space Force picks Boeing for $2.8B strategic communications program” (07/04/25) https://www.defensenews.com/space/2025/07/03/space-force-picks-boeing-for-28b-strategic-communications-program/
NIH、生物医学データの新5カ年計画を発表 AIとコンピューティングを重視
HPCwireは7月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が2025~2030年の生物医学データサイエンス戦略計画を発表したと報じた。今後5年間で、人工知能(AI)と高度なコンピューティング技術の活用を中心に据え、医療研究の変革を進める。主な柱は、データ管理・共有能力の向上、ヒト由来データの研究活用の促進、ソフトウェアと計算手法及びAIの進展、連携型生物医学研究データインフラの支援、データサイエンスコミュニティの強化の5つで、特に注目すべき点は、高速ヘルスケア相互運用性リソース(Fast Healthcare Interoperability Resources: FHIR)や信頼できる交換フレームワークと共通合意(Trusted Exchange Framework and Common Agreement: TEFCA)などの医療IT標準の導入、プライバシーを保護する計算技術の導入、そしてがん研究データ・コモンズ(Cancer Research Data Commons: CRDC)などの複数のデータプラットフォーム間の相互運用性の向上である。また、データサイエンス教育の拡充や研究者支援も計画に含まれている。 NIH “NIH Strategic Plan For Data Science” (07/03/25) https://datascience.nih.gov/sites/default/files/2025-05/NIH%20Strategic%20Plan%20for%20Data%20Science%202025-2030.pdf 参照:HPCwire “NIH Highlights AI and Advanced Computing in New Data Science Strategic Plan” (07/03/25) NIH Highlights AI and Advanced Computing in New Data Science Strategic Plan
共和党、R&D減税と国防費増額を含む大型法案を可決
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は7月3日、共和党が民間研究開発費の即時償却(全額損金算入)を復活させ、国防費と航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)予算を大幅に増額する大型法案を218対214の僅差で可決し、7月4日にトランプ大統領の署名をもって成立したと報道した。同法の主な内容は、企業のR&D投資促進のための税制改正、私立大学への最大8%の基金課税、ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム(Golden Dome)」への250億ドルの予算配分、NASAプログラムへの100億ドル規模の投資、エネルギー省(Department of Energy)におけるAI科学モデル開発の促進などとなっている。一方で、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)で定められたクリーンエネルギーや気候研究への資金は大幅に削減される見通しである。同法はまた、放射線被曝補償法(Radiation Exposure Compensation Act: RECA)の再承認や、農業研究施設の建設・改修のための競争的資金の提供も含んでいる。 AIP “Tax and Spending Megabill Boosts Private R&D, Defense, NASA” (07/03/25) https://www.aip.org/fyi/tax-and-spending-megabill-boosts-private-r-d-defense-nasa
環境保護庁、政策批判の公開書簡に署名した職員139人を一時停職処分
Axiosは7月3日、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が政治的理由による環境・健康保護プログラムや助成の解体を非難する「反対声明」に署名した職員139人を休職処分にしたと報じた。非営利団体のスタンドアップ・フォー・サイエンス(Stand Up for Science)による今回の署名に関してEPAの広報担当者は、「キャリア官僚が国民の投票で選ばれた政権の政策を不当に妨害することは容認できない」と声明を発表し、同庁による「恐怖の文化」と書かれたリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)宛ての書簡について言及した。これまでに620人が署名し、うち約500人が現職のEPA職員であることから、連邦政府職員を組織する米政府職員総同盟238(American Federation of Government Employees Council: AFGE 238)はEPAによる今回の報復行為に対し、組合員を保護する方針であるという。一方、ゼルディン長官と政権当局は、バイデン政権の政策が国内エネルギー生産者に過度な負担を課していたと主張している。 Axios “EPA places 139 on leave over letter bashing Trump policies” (07/03/25) https://www.axios.com/2025/07/03/epa-workers-on-leave-letter
NIH、南アフリカへの研究助成金を再開
サイエンス誌(Science)は7月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が南アフリカへの研究助成金の支給凍結を解除し、海外の臨床試験継続のための新たな資金提供オプションを導入したと報じた。トランプ政権による資金提供禁止措置により、3月から凍結されていた約280件の助成金に関する方針転換となる見込みで、特に人を対象とする研究については、新たな補足的資金制度を通じて海外協力機関への直接的な資金提供が可能となる見通しである。これを受け、現地でHIV研究を行うカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)やウィットウォータースランド大学(University of the Witwatersrand)はHIV及び結核研究の迅速な再開を期待しているが、NIHは新システムを9月30日までに準備できない可能性を指摘している。また一部の裁判所は国内の特定の州における助成金の一部のみの復活を命じており、全面的な助成回復には遠いとも伝えた。 Science “NIH restores grants to South Africa scientists, adds funding option for other halted foreign projects” (07/03/25) https://www.science.org/content/article/nih-restores-grants-south-africa-scientists-adds-funding-option-other-halted-foreign
エネルギー輸入依存度、40年ぶりの低水準に
エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は7月7日、2024年のエネルギー輸入依存度が17%となり、約40年ぶりの低水準を記録したと発表した。2006年の過去最高34%から半減した水準で、同局の月次エネルギーレビューによると過去20年間の輸入供給割合の低下は、国内での生産増加と2006年以降の輸入減少に起因しているという。これで米国は3年連続でエネルギー純輸出国となり、国内生産は記録的な水準に達した。天然ガスや原油、天然ガスプラント液(Natural Gas Plant liquids: NGPLs)、バイオ燃料、太陽光、風力のいずれも過去最高の生産量を記録し、2024年のエネルギー輸入の84%は原油と石油製品が占め、残りの大部分は天然ガスとなった。輸入先については、2014年以降、カナダからの原油・石油製品の輸入量が石油輸出機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries: OPEC)諸国からの輸入量を上回り、特に2024年はカナダのトランス・マウンテン・パイプラインの拡張により、過去最高の輸入量を記録した。 EIA “Imports made up 17% of U.S. energy supply in 2024, the lowest share in nearly 40 years” (07/07/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65664
外国人留学生に関する連邦政策は高等教育部門に信用リスクを呈する ムーディーズ
ムーディーズ・レーティング社(Moody’s Ratings)が6月30日に発表したところによれば、外国人留学生に対する制限を強化しつつある連邦政策は、米国の大学にとって深刻な金融リスクをもたらしているという。特に、外国人留学生が支払う学費への依存度が高い大学において顕著である。ムーディーズ社は、「ビザ政策、渡航制限、国外退去措置が、高等教育を受ける目的地としての米国の地位に否定的な影響を及ぼしており、一般的に学費を全額支払う外国人留学生への依存が大きい大学は大幅な収入減に繋がる可能性がある」と分析している。 Divers “Moody’s: Federal Policies on International Students Pose Credit Risk to Higher Ed Sector” (07/02/25) https://www.diverseeducation.com/international/article/15749931/moodys-report-restrictive-federal-policies-on-international-students-pose-credit-risk-to-higher-ed-sector
プリンストン大学、「一つの大きくて美しい法案が米国エネルギー移行にもたらす影響」報告
プリンストン大学(Princeton University)ゼロ炭素エネルギーシステム研究・最適化研究所(Zero-carbon Energy Systems Research and Optimization Laboratory: ZERO Lab)は7月3日、「一つの大きくて美しい法案が米国エネルギー移行にもたらす影響-要旨報告(Impacts of the One Big Beautiful Bill On The US Energy Transition – Summary Report)」(Version v4)を発表した。それによれば、同法案の成立(トランプ大統領が議会を通さずに行う行政措置を含む)により、次のような影響が予測されるという。①米国の世帯及び企業のエネルギー支出は、2030年に年間280億ドル、2035年には500億ドル以上増加、②米国世帯の平均的なエネルギー費用は、2030年には一世帯当たり年間約165ドル、2035年には同280ドル以上増加、③2025~2035年の間に米国の電力及びクリーン燃料生産への累計資本投資は5,000億ドル削減、④2025~2030年の間に、ソーラー発電の新規導入容量の累積は最大29ギガワット(GW)、風力発電の新規導入容量の累積は最大43GW減少し、2035年までを通じてソーラーは最大140GW、風力は最大160GW減少。 Princeton University ZERO Lab “Impacts of the One Big Beautiful Bill On The US Energy Transition – Summary Report” (07/02/25) https://zenodo.org/records/15794489
タンパク質構造コンペ、NIHグラント資金の枯渇に伴い終結間近
生物学に関するAI開発を促進するきっかけになったとして国際的に広く知られる科学コンペが立ち消えの危機にある。これは、「タンパク質構造予測重要評価(Critical Assessment of protein Structure Prediction: CASP)」コンペで、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の助成金を受けて30年間に亘って実施されてきたが、その資金が枯渇し、助成金を監督するカリフォルニア大学デイビス校(University of California Davis)が行ってきた緊急支援も8月8日に尽きる。同大学はプログラムを担当する2名の研究者に、彼らの職務は数週間以内に終了すると通達している。CASP運営組織は昨年、80万ドルの助成金の再交付をNIHへ要請し、数回に亘って照会しているものの、NIHは何の確約も提示していない。CASPが終了した場合、コミュニティにとっては甚大な損失となると、タンパク質構造解析専門家は述べる。 Science “Exclusive: Famed protein structure competition nears end as NIH grant money runs out” (07/02/25) https://www.science.org/content/article/exclusive-famed-protein-structure-competition-nears-end-nih-grant-money-runs-out
国防総省、ミサイル防衛用宇宙配備型迎撃システムに関する情報を要請
国防総省(Department of Defense)は6月27日、ミサイル防衛としての宇宙配備型迎撃システムについて、情報の要請(Request for Information: RFI)を発表した。本件は、弾道ミサイル及び極超音速ミサイル攻撃の脅威に対応する宇宙配備型迎撃(Space Based Interceptor: SBI)能力を明確にすることを目的とした、宇宙軍(Space Force)プログラム執行局宇宙戦闘力(PEO Space Combat Power)による市場調査である。このRFIの目的は、既存の宇宙配備型ミサイル防衛能力を特定すること、(発射直後の)加速段階、中間飛行段階、滑空段階で、広範囲に多数配備されたSBIコンステレーション能力のアーキテクチャについて戦略を立てることである。本RFIでは、SBIについて、「飛行中に、敵のターゲット(ミサイルもしくは関連するペイロード)を迎撃及び破壊することを目的として設計された兵器システムの一つ」と定義し、①大気圏外SBI(Exoatmospheric SBIs)、②大気圏内SBI(Endoatmospheric SBIs)、③ターミナル・ガイダンス(Terminal Guidance)など複数の派生型及びコンポーネントで構成されるとしている。 SAM.gov “Missile Defense Space Based Interceptors (SBI) Request for Information (RFI)” (06/27/25) https://sam.gov/opp/0e2c8bdac1704aafb3377aa92e3e01f6/view