可決・成立までにされた2年以上かかった大型法「CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act)」(通称CHIPS法)は、世界的な技術競争で米国が中国の先を進み続けられるよう、5年間で2,800億ドルを投資するという高い目標を掲げている。同法は、米国のイノベーション政策にここ十年以上で最大の変化をもたらすと考えられるが、研究者は、すぐに新たな資金が急増することを期待すべきではないという。具体的に、CHIPS法は、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の予算を5年間で倍増し、エネルギー省(Department of Energy: DOE)科学局(Office of Science)の予算を45%増加させ、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)の研究予算を50%増額させることを要請しているが、これらの資金は「承認」されたものであって、「誓約」されたものではなく、毎年、議会の歳出委員会の決定に委ねられる。唯一確定している歳出増は、半導体業界向けの520億ドル(5年間)と半導体製造向けの240億ドルの税クレジットである。また、同法は、これらの科学機関が予算を必要としない指令(directive)を通じて行う組織運営方法にも大幅な変更をもたらす。例えばNSFは、商業的可能性や社会的影響のあるイノベーションを育成する新たな技術総局を創出することが可能になる。更に、NSFとエネルギー省に規定された新たな要件により、農村州は両機関から資金拠出を受けることが見込まれる。