NREL、サイバー攻撃による経済損失を定量化できるツールを発表

国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)は先般、ユーティリティの資産管理、リスクの定量化、そして米国の電力グリッドへの導入が進んでいる産業制御システム(industrial control systems: ICS)の視覚性を高めることを狙いとしたサイバーセキュリティ・ツールの報告書を2件発表した。ユーティリティ機関は、NRELの「サイバー100コンパス:高度な再生可能へとシステムを移行する際のサイバーセキュリティ・リスクの定量化(Cyber100 Compass: Quantification of Cybersecurity Risks for Systems Transitioning to High Levels of Renewables)」について、パイロットをリクエストすることができる。これは、エネルギーシステムの改良に伴うサイバー・リスクをモデル化するものである。NRELはまた、「ランゼロ(runZero)」サイバー資産アタック・サーフェス・マネジメント(cyber asset attack surface management: CAASM)システムに関する報告書も発表した。ランゼロはユーティリティ・システムにおける潜在的に「隠れた」リスクを明らかにすることを狙いとしたもので、報告書は、同システムのスキャンニング技法は、導入されたICS資産の性能に影響を及ぼすことなく、可視性を高めることができると結論付けている。 Utility Dive “NREL tool lets utilities quantify potential monetary losses from cyberattacks” (7/29/24)

大統領府、米国海事産業への新たな民間投資を発表

バイデン政権は、米国の造船サプライチェーン全体を支援すること、世界の海事環境の安全保障を同盟国やパートナーとの共同作業を通じて強化することにコミットしている。政権は最近、本件について様々な措置を実施しており、それらは世界中の民間部門パートナーによる対米投資努力を促進している。民間部門のパートナーによる米国海事部門への新たな投資事例として、①世界最大の造船事業者の一つであるHD現代(HD Hyundai)が、米国海軍(U.S. Navy)の造船プログラムを支援する取り組みを加速、②大型極地砕氷船の設計と造船を行う米国の造船事業者、ボーリンガー・シップヤード社(Bollinger Shipyards)が、「砕氷船共同作業努力(Icebreaker Collaboration Effort: ICE Pact)」と、極地砕氷船のフリートを構築することで米国及び同盟国の極地能力を強化する上で重要な役割を担う、などが発表された。また、米政府が米国の造船事業及び造船事業者を支援するために実施した最近の取り組みも発表された。米国の造船事業を支援することは現在も大統領による産業政策目的の中核の柱の一つである。 White House “FACT SHEET: White House Announces New Private Sector Investments in American Maritime Industries Due to Biden-⁠Harris Administration Efforts” (7/29/24)

商務省等、クラスター支援に向けた取り組み発表

バイデン政権は7月23日、商務省(Department of Commerce)の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)や米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、民間部門が、「地域技術及びイノベーション・ハブ(Regional Technology and Innovation Hubs: Tech Hubs(技術ハブ))やNSF地域イノベーション・エンジン(NSF Regional Innovation Engines: NSF Engines)、そしてそれぞれの広範なエコシステムが長期的で持続可能な成功を実現できるよう実施される一連の措置とコミットメントを発表した。これらの発表は、商務省と特別競争力研究プロジェクト(Special Competitive Studies Project: SCSP)が主催し、EDAとNSF、ミルケン研究所(Milken Institute)とのパートナーシップで実施された初めての「革新的資本サミット(Innovative Capital Summit)」で行われた。サミットは、資本提供事業者や地域の技術エコシステムのメンバーなどを結集させることで、米国のイノベーションと競争力への投資を促進する一助となることを目的として実施された。サミットでは、技術ハブへの慈善団体及び民間部門のコミットメントとして、①非営利組織のアメリカ・アチーブス(America Achieves)が「良好雇用経済イニシアチブ(Good Jobs Economy initiative)」を開始、技術ハブを含む地元機関と協力する(イニシアチブは2,000万ドル以上の慈善資金で支えられる)、②グーグル社(Google)は、サイバーセキュリティやITサポートなどの分野でキャリアを積むためのアップスキルを目的とした奨学金を提供する、などが発表された。 Department of Commerce “Fact Sheet: Inaugural Innovative Capital Summit – Spurring Private Sector Investments in Technologies of the Future” (7/29/24)

GAO、極超音速兵器の開発について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は7月29日、「極超音速兵器:国防総省は優れた慣行に従うことで費用とスケジュールのリスクを軽減できる(Hypersonic Weapons: DOD Could Reduce Cost and Schedule Risks by Following Leading Practices)」と題する報告書を発表した。国防総省(Department of Defense)は音速の少なくとも5倍の速度で移動でき、予測不能な飛行経路を持つ極超音速兵器の早急な開発に取り組んでいる。GAOの調べによれば、国防総省による取り組みの多くは、現代的なデジタル工学ツール(物理的な製品の仮想版など)を使用しておらず、そのためにこうしたツールの利点から恩恵を得ることができない。GAOは、ユーザーからのフィードバックをシステム設計に積極的に取り入れること、現代的なデジタル工学ツールの使用を拡大することなど、10件の勧告を提示している。 Government Accountability Office ” Hypersonic Weapons: DOD Could Reduce Cost and Schedule Risks by Following Leading Practices” (7/29/24)

エネルギー省、再生可能資源のパワーの使用を拡大する技術に4,100万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月31日、「再生可能資源から液体への転換(Renewables-to-Liquids: RtL)」技術の開発に取り組む14件のプロジェクトに4,100万ドルを提供すると発表した。風力やソーラーのような再生可能エネルギー資源を活用して、ガソリンまたは石油のように輸送・保管が容易にできる持続可能な燃料または化学剤の生産に取り組む。再生可能エネルギー資源が現行の米国電力グリッドと共同設置されていることが少ない中、今回選出されたプロジェクトは持続可能な燃料の輸送を可能にすることで相互接続に関する障害を排除しつつ、脱炭素化が難しい産業部門での排出削減を助ける。エネルギー省のムーンショット・ファクトリー(Moonshot Factory)であるエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)が、「経済性のある液体と長期保管の新たな方法を実現するグリッド・フリーの再生可能エネルギー(Grid-free Renewable Energy Enabling New Ways to Economical Liquids and Long-term Storage: GREENWELLS)」プログラムを通じて、選出されたプロジェクトを管理する。 Advanced Research Projects Agency-Energy “U.S. Department of Energy Announces $41 Million for Technologies to Expand the Use of Renewable Power” (7/31/24)

エネルギー省、クリーンエネルギー労働力拡大と製造効率強化に2,400万ドルを発表

バイデン政権の「米国への投資(Investing in America)」議題への支援として、エネルギー省(Department of Energy)は7月29日、21件の新規プロジェクトが超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から2,400万ドルを受益すると発表した。クリーンエネルギー労働力の訓練プログラム開発を強化することが目的で、4年制の学位を必要としない職種に焦点を当てる形で、労働組合の訓練プログラムやコミュニティ・カレッジ、全国の職業専門学校内の労働力訓練プログラムが対象。発表された資金の40%以上が、労働組合の雇用訓練の直接支援に充当される。選出されたプロジェクトは、エネルギー省の現行の「産業訓練及び評価センター(Industrial Training and Assessment Centers: ITAC)」ネットワークの拡大につながる。ITACは旧「産業評価センター(Industrial Assessment Centers: IACs)」で、エネルギー効率にかかわる労働者を訓練し、中小規模の製造事業者が炭素排出とエネルギー費用を低減できる助けとする。エネルギー省の製造・サプライチェーン局(Office of Manufacturing and Supply Chains)が運営するITACは、製造部門全般で脱炭素化の障害を排除する助けとなり、バイデン政権のクリーン・エネルギー経済達成へ向けた進展を助ける。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces $24 Million to Further Expand America’s Clean Energy Workforce and Enhance Manufacturing Efficiency” (7/29/24)

国防総省、重要技術向けの融資プログラムについて情報を要請

国防総省(Department of Defense)の戦略的資本局(Office of Strategic Capital: OSC)は、米国内で重要技術を支援することを狙いとした融資プログラムを含め、新たな金融ツールを開発する計画を進めている。OSCは7月24日、情報の要請(requests for information: RFI)を通達した。重要技術及びサプライチェーン・コンポーネント向けの融資及び融資保証を実施する準備の中で行われたもので、パブコメを募集している。この動きは、国家安全保障を目的とした民間資本を引き付け、拡張することを狙いとしている。RFIの一つは貸し手及び金融機関向けで、もう一つのRFIは企業及び業界団体向けとなっている。OSCは特に、2024年度の国防授権法(National Defense Authorization Act:NDAA)の中で有望な重要技術及び資産として認められた31のコンポーネント分野の企業及び貸し手からの情報に関心を持っている。 Space News “Pentagon’s Office of Strategic Capital seeks input on new loan program for critical technologies” (7/25/24)

サンラン社とBGE社、米国で初となる電気自動車=住宅の仮想発電所プログラムを開始

サンラン社(Sunrun)とボルチモア・ガス&エレクトリック社(Baltimore Gas & Electric)は、自動車から住宅へ電力を供給する小規模なグリッド支援プログラムをメリーランド州で開始した。フォード社(Ford)のトラック「F-150ライトニング(F-150 Lightning)」を使って、双方向型の電気自動車(EV)充電がどのようにしてグリッドのストレスを緩和し、顧客に価値をもたらすかを実証する。両社が7月24日に発表したところによれば、プログラムでは、夏季のピーク需要時に所有者の住宅へ電力を供給し、メリーランド州内の電力グリッドをサポートするという。このプログラムは、米国内で、顧客の自動車のコホートを使って行われる初めての双方向型電気自動車発電所である。自動車から住宅への電力供給の試みは、重要な概念証明であり、その他の市場で行われたことはない。サンラン社のCEOは、「これらのプログラムを国内のあらゆる地域に拡大することが目標である」と述べた。自動車から住宅への充電プログラムは、エネルギー省(Department of Energy)からBGE社によるEV仮想発電所の創出へのグラントが資金となっている。 Utility Dive “Sunrun, BGE launch first US electric vehicle-to-home virtual power plant” (7/25/24)

米国で複数の市が正味ゼロ目標到達へ向けて建造物性能基準への焦点を強める

JLL社が7月15日に発表した報告書「未来に備えた投資:資産価値の強化と不動産リスクの軽減を目的として建造物性能基準を受け入れる(Future-proof your investments: Embrace Building Performance Standards for enhanced asset value and reduced real estate risks)」によれば、州政府や地方自治体は、排出削減や気候目標到達の主要な測定として、建造物性能基準(building performance standards: BPS)に注目しつつある。米国の13市がBPSを導入しており、米国の建造物全体の約25%を占める(2024年初頭時点)。そして更に30市以上が2026年までにBPSを成立させると誓っている。ニューヨーク市やボストンでは、こうした規制の初回ラウンドでの非順守率は比較的低いが、費用は第2ラウンド以降、確実に上昇し続けると報告書は述べている。2026年までに少なくとも40市がBPSを導入し、その多くが2050年またはそれより早くに正味ゼロ目標を設定している。JLLの広報担当者は、「建造物の所有者は、データ収集や測定、順守文書を通じて、建造物のエネルギーや排出のパフォーマンスについて理解し、管理し、向上させるための措置を積極的に取り、将来の罰金や罰則を避けるようにすべきである」と述べている。 Utility Dive “US cities sharpen focus on building performance standards to meet net-zero goals” (7/29/24)

大統領府、重要新興技術のための国家標準戦略の実践ロードマップ発表

バイデン政権は7月26日、米政府が2023年5月に発表した「重要新興技術に関する国家標準戦略(U.S. Government’s May 2023 National Standards Strategy For Critical And Emerging Technology: USG NSSCET)」について、「実践ロードマップ(Implementation Roadmap)」を発表した。ロードマップは、民間部門が主導し、公的機関とのパートナーシップによって強化される標準開発への米政府のコミットメントを維持かつ強化し、米国の国家及び経済安全保障を守ることを目的として、重要新興技術の標準化における頑強な関与を要請している。実践ロードマップは、NSG NSSCETの目的を実現するために米政府が取るべきステップについて勧告しており、①将来の標準開発へ向けて強力な土台を確実にするため、研究開発(R&D)資金を増額する、②リスクとセキュリティと対応力に対処する標準開発を支援する、③民間部門の標準開発への参加を阻む障害を排除及び予防する、④標準に関する官民部門間の対話を向上させる、など8つの取り組みを中心に構成されている。 White House “FACT SHEET: Implementing the National Standards Strategy for Critical and Emerging Technology” (7/26/24)