「米国はSTEM人材をリクルート・維持する戦略が必要」との報告

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、新たな報告書「変化するグローバル環境の中での国際人材プログラム(International Talent Programs in the Changing Global Environment)」と題する報告書を発表した。報告書は、米国は、STEM分野での人材をリクルート及び維持するため政府全体による新たな戦略を採用する必要があるとしている。報告書を作成した委員会は、国際的なSTEM人材をリクルート及び維持するための国内外のプログラムを調査し、米政府、大学、市民社会へ勧告を行っている。歴史的に米国は海外のSTEM人材が目指す国であったが、敵対国や伝統的なパートナー国による世界競争の高まりや、複雑なプロセス、移民に関する二極化した議論、包括的な人材戦略の欠落により、米国の魅力やSTEM全体における世界的リーダーシップを維持する上で課題が生まれている。また、報告書は、国内のSTEM人材を育成する機会も見逃していると指摘する。そうした上で、議会や連邦・州・地方自治体、大学、業界など様々な部門やレベルに向けて勧告を提示している。 National Academies “United States Needs New Strategy to Recruit and Retain STEM Talent, Says New Report” (8/29/24)

NSF、国内量子科学工学の拡大に3,900万ドルを投資

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、3,900万ドルを投資し、「NSF量子情報科学及び工学における能力拡大(Expanding Capacity in Quantum Information Science and Engineering: ExpandQISE)」プログラムを通じて、米国でより多くの機関で量子研究活動が増加することを支援する。投資は23の研究プロジェクトを支え、これらのプロジェクトは量子コンピューティングやセンサー、マテリアルなどの分野で新たな領域を開くことを目指す。資金は、研究重視型の機関で確立されたQISEプログラムと、量子研究開発インフラの構築を目指す機関で実施される今後のプログラムを結びつけることで、研究や訓練、教育活動を直接支援する。23の受益機関は、ExpandQISEのトラック2アワード(5年間で最高500万ドル)が5件、トラック1アワード(3年間で最高80万ドル)が18件となっている。 National Science Foundation “Quantum science and engineering expands across the nation with $39M from NSF” (8/29/24)

小型オートノマス・シャトル車両は交通事業にはまだ不適

2024年7月、「イノベーションを支えるコネクテッド・オートノマス・シャトル /ノースカロライナ大学シャーロット校(Connected Autonomous Shuttle Supporting Innovation (CASSI) at UNC Charlotte)」と題する報告書が発表された。ノースカロライナ州運輸省(North Carolina Department of Transportation: NCDOT)がカリー市及びノースカロライナ大学シャーロット校で実施した、オートノマス車両(autonomous vehicle: AV)シャトルの使用に関するパイロット・プロジェクトを調査したもの。それによれば、AVで都市型交通を管理するにはまだ数多くの限界がある他、速度が遅すぎて多くの乗客が満足できない。両パイロット・プロジェクトとも、CASSIプログラムの一部として実施されたもので、フランスの企業、ナヴィヤ・オートノム社(Navya Autonom)のシャトル技術を使用した。シャトルはフロリダを拠点とするビープ社(Beep)が運営した。 Government Technology “Small AV Shuttles Not Yet Suitable for Transit Operations” (8/28/24)

エネルギー省コンソーシアム、ヘリオスタット技術・商業化に向けた労働力の進展に300万ドル

ヘリオスタット(大型の鏡で太陽を追い、太陽光線を反射し、それを特定の方向へ向ける)は、効率的でコスト効果の高い集光型太陽熱発電(concentrating solar-thermal power : CSP)プラントにとって重要である。大規模CSP施設でヘリオスタットが担う重要な役割を認識しているエネルギー省(Department of Energy)のヘリオスタット・コンソーシアム(Heliostat Consortium: HelioCon)は、ヘリオスタットの革新的な制御、導入、労働力訓練に取り組む6件のプロジェクトに合計300万ドルのアワードを提供する。プロジェクトは大学や業界主導のチームが、エネルギー省傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)及びサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)と密接に協力しながら取り組む(両国立研究所はHelioConの共同リーダー)。プロジェクトが成功すれば、CSPの費用を低減する一助となり、高度な訓練を受ける次世代労働者の支援につながる。 National Renewable Energy Laboratory “DOE Consortium Awards $3 Million for 6 Projects To Advance Heliostat Technology and Workforce for Commercial Readiness” (8/28/24)

DIU、新規応答型宇宙配達プロジェクトの最初のアワードを発表(更新版)

宇宙ベースの能力の再構成や、時間的制約がある中での軌道上での貨物の正確な再供給は重要であるが、現在の所、開発があまり進んでいない。この状況に対応するため、商業ソリューションを活用して宇宙発着の応答的な貨物配達に取り組む国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は、「新規応答型宇宙配達(Novel Responsive Space Delivery: NRSD)」プロジェクトを開始した。本プロジェクトは、新規の再突入機及び手法を用いて、応答的で、軌道への(または軌道上の車両機間で/地球への正確な)ポイント・トゥ・ポイントの配達を実現する商業ソリューションのプロトタイプ化に取り組む。DIUは5月に、NRSDプロジェクトの最初のアワード受益者として、モバイル式の海上発射による新規手法の開発に取り組むスペースポート社(Spaceport Company)を選出した。そして最近、2件目のアワードとして、ストーク・スペース社(Stoke Space)を選出した。 Defense Innovation Unit “Defense Innovation Units Issues First Awards Under Its Novel Responsive Space Delivery Project” (8/28/24)

炭素貯留計画に利用できる調査ツールがNETLのエネルギー・データ・エクスチェンジで利用可能に

国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)のエネルギー・データ・エクスチェンジ(Energy Data eXchange)で、「炭素貯留計画調査ツール(Carbon Storage Planning Inquiry Tool: PlanIT)」が利用可能になった。14の信頼できる情報源からの数千件に及ぶ関連データ機能や属性を一つの場所にまとめ、これを調査、評価するための容易なアクセスを利用者に提供し、炭素貯留の実行可能性評価及び計画の取り組みを加速、支援する。炭素貯留プロジェクトの計画には、地質学、技術、社会的及び環境的要因など、数多くの事項を慎重に検討する必要があり、プロジェクト・チームは、炭素貯留プロジェクトによってコミュニティがどのように恩恵・影響を受けるかを評価する必要がある。PlanITは、関連するデータ・セットを視覚化、調査、分析するためのワンストップ・ショップとして機能し、研究者や政策策定者、運用者、その他の関係者に炭素貯留計画の実行可能性と資源評価努力を支援する効率的なアクセスと洞察を提供する。 National Energy Technology Laboratory “Carbon Storage Planning Inquiry Tool Available on NETL’s Energy Data eXchange” (8/28/24)

クリーンエネルギー雇用増加率、米経済全体の増加率の2倍以上

エネルギー省(Department of Energy)は8月28日、年次報告「米国エネルギー及び雇用報告(U.S. Energy and Employment Report: USEER)」を発表した。それによれば、バイデン=ハリス政権の気候やクリーンエネルギー、製造業に対する記録的な投資により、クリーン・エネルギーの雇用は2023年に14万2,000人増加し、新規のエネルギー部門の雇用の半分以上(56%)を占め、その他のエネルギー部門と米経済全体の雇用増加の2倍以上のペースで増加している(クリーンエネルギー部門の雇用は4.2%増加し、米経済全体の雇用成長率(2.0%)を2倍以上上回った)。また、クリーンエネルギー部門での労働組合加入率(12.4%)が、初めてエネルギー部門の平均(11%)を上回った。これは、建設業とユーティリティ業界での組合加入率が急速に増加していることによる。報告書のその他の考察点として、①クリーンエネルギー部門の雇用は50州とワシントンDCの全てで増加し、特にアイダホ州、テキサス州、ニューメキシコ州での増加率が高かった、③ソーラーと風力の双方の部門が力強い雇用成長を示した、といった点が挙げられる。 Department of Energy “DOE Report Shows Clean Energy Jobs Grew at More Than Twice the Rate of Overall U.S. Employment” (8/28/24)

エネルギー省、35の州/地方自治体/部族政府に1,200万ドル以上を提供

エネルギー省(Department of Energy)は8月28日、「エネルギー効率及び節約ブロック・グラント(Energy Efficiency and Conservation Block Grant: EECBG)」プログラムを通じた公式グラントの新たなラウンドとして、32の地方自治体、2州、1つの部族政府に合計1,262万ドルを提供すると発表した。EECBGプログラムは、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から資金拠出を受け、エネルギー省の州及びコミュニティ・エネルギー・プログラム局(Office of State and Community Energy Programs)が管理する。プログラム資金は極めて柔軟で、応募機関は、クリーンエネルギー・プロジェクトや、エネルギー消費の削減/エネルギー効率の推進/環境正義の進展の助けとなるプログラムに関する14の適格カテゴリーで申請することができる。今回のEECBGプログラムによる公式アワードの発表は8回目。DOEは2023年10月に最初のアワードを発表して以来、210のコミュニティに約1億6,200万ドルを提供している。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Awards More than $12 Million to 35 State, Local and Tribal Governments to Support Clean Energy Local Projects and Lower Energy Costs” (8/28/24)

NSF、科学と工学部門の進展促進を目的にバイオファウンドリーに投資

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、イノベーションを促進し、全国の研究者にツールと技術を提供し、生物学、バイオテクノロジー、そして広範な科学、技術、工学、数学の分野の進展を助ける5件のバイオファウンドリー(BioFoundries)の設立に、5件のアワード、合計7,500万ドルを提供した。NSFのバイオファウンドリーの統合的施設で、研究者は、バイオ経済を進展させるための研究の加速を目的として、ツールと製品開発の設計、創出、試験、合理化に取り組むことができる。各NSFバイオファウンドリーは、生物学またはバイオテクノロジーの異なる分野に焦点を当てるが、いずれも内部プロジェクト及び利用者が立ち上げたプロジェクトを進展させ、次世代の科学的労働力に訓練を提供し、開発される製品の消費者及び利用者と関与し、アイデアの移行を加速させるため、ワークフローとプロセスの強化に継続的に取り組む。今回受益したのは、①NSF人工知能主導のRNAバイオファウンドリー(NSF Artificial Intelligence-driven RNA BioFoundry)(ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)とプエルトリコ大学(University of Puerto Rico)が主導、②NSFバイオファウンドリー:糖科学の資源と教育と訓練(NSF BioFoundry: Glycoscience Resources, Education, and Training)(ジョージア大学(University of Georgia)が主導)など。 National Science Foundation “NSF invests in BioFoundries to drive advances across science and engineering” (8/28/24)

「国防総省は半導体技術に投資し、国内の生産能力復帰に取り組むべき」との報告

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、「国防総省による半導体への確実なアクセスを実現するための戦略(Strategies to Enable Assured Access to Semiconductors for the Department of Defense)」と題する報告書を発表した。報告書は、国防総省(Department of Defense)が先端半導体技術へのアクセスを確保するには、新規かつ多面的な戦略が必要であると述べている。報告書は、世界的な半導体エコシステム(基盤のマテリアル・サプライチェーンから必要とされる専門的な労働力に至るまで)における米国の競争的な立場について分析したもので、2022年CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act of 2022)によって確立された省庁間の取り組みを基盤として、国防総省が、長期的な投資やパートナーシップ、商業部門や大学、政府のその他の部門との調整を実施するよう勧告している。 National Academies “Defense Department Should Invest in Leap-Ahead Semiconductor Technologies, Work to Reshore Production Capabilities, and Strengthen Industry and Interagency Engagement, Says New Report” (8/28/24)