米国、緊急応答時における電気航空機の使用に着目

連邦政府は、遠隔地における自然災害やその他の公衆衛生緊急時に早急に応答することを目的として、電気航空機(electric air taxis)を試験する準備を進めている。厚生省(Department of Health and Human Services)は電気航空会社のベータ・テクノロジーズ社(BETA Technologies)に、東海岸及びメキシコ湾岸沿いの22の拠点に電気航空機用充電器を設置するため、2,000万ドルの契約を発注した。充電器は電気自動車及び電気航空機に使用でき、厚生省の戦略的準備・応答局(Administration for Strategic Preparedness and Response: ASPR)による試験的取り組み(最先端の輸送手段を使って設備や医薬品、患者を輸送する)を支援する。多くの農村地域において、地元での医療ケアへのアクセス欠落は、高い疾病率や死亡率に寄与している。しかし、航空救急車で人を輸送するのは高費用であり、ヘリコプターが使用されることがしばしばあるが、ヘリコプターは通常、悪天候の場合は飛行できない。電気式垂直離着陸機(electronic vertical takeoff and landing vehicles: eVTOL)は、ヘリコプターよりも安価で効率的である。ただし、ハリケーンで停電した場合、充電器は作動しない。このため、定置型電池貯蔵や発電機のような予備電源も必要となる。 Axios “Exclusive: U.S. looks to electric aircraft for emergency response” (9/4/24)

大統領府国家サイバー局長室、サイバー人材確保に向けた取り組み

米国では現在、50万件のサイバー雇用の求人があり、より多くのサービスや製品がオンライン上に登場し、人工知能(AI)のような技術が拡大する中、求人数は増加する一方である。こうしたニーズに対応するため、大統領府の国家サイバー局長室(Office of the National Cyber Director: ONCD)は、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)及び人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)と協力し、「米国への奉仕(Service for America)」を発表した。これは、バイデン政権によるリクルート/採用/関与の早急な取り組みで、米国民をサイバーや技術、AI分野の良好賃金で有意義な雇用と結びつけることで、デジタル化によって実現される未来へ向けて準備することを狙いとしている。これらの雇用は、米国の国家安全保障を守ることで国に奉仕すると同時に、個人的な繁栄への経路を提供するものである。ONCDは「国家サイバー労働力と教育戦略(National Cyber Workforce and Education Strategy)」を発表しており、政府はその一環として、米国内のあらゆる所であらゆる背景を持つ個人のサイバー雇用へのアクセス性を高めるベスト・プラクティスを推進している。 White House “Service for America: Cyber Is Serving Your Country” (9/4/24)

NSF、「教育AI」アワードに約800万ドルを投資

十分な訓練を受けた多様な人工知能(AI)関連の次世代労働力を育成するため、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)のコンピュータ及び情報科学・工学総局(directorate for Computer and Information Science and Engineering: CISE)及びSTEM教育総局(directorate for STEM Education)は、NSF教育AIイニシアチブ(EducateAI initiative)を開始した。同イニシアチブの狙いは、最先端の包含的AI教育体験を全国的に利用可能にすることである。NSFは、本イニシアチブの下、5件のプロジェクトに約800万ドルを投資する。これらのプロジェクトはまた、米国の研究者をAI研究に必要なコンピュテーショナル・データやソフトウェア、モデル、訓練資源に結びつける全国インフラの創出に取り組む「国家人工知能研究資源(National Artificial Intelligence Research Resource: NAIRR)」パイロット・プログラムの恩恵も受ける。今回の受益プロジェクトの一例として、マイアミ・デード・カレッジ(Miami Dade College)が主導し、コミュニティ・カレッジに在籍する社会的少数派の学生を対象に、AI学位へのアクセスを高めることを狙いとした「NSF AIエントリー・パスウェイ(NSF Artificial Intelligence Entry Pathways)」がある。 National Science Foundation “NSF investing nearly $8M in EducateAI awards to develop next generation of well-trained AI workforce” (9/4/24)

NSF等、コミュニティカレッジ支援に向け戦略的イニシアチブを実施

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)とシンクタンク/アクションタンクのニュー・アメリカ(New America)が、10か所にあるNSF地域イノベーション・エンジン(NSF Regional Innovation Engines: NSF Engines)内のパートナーであるコミュニティカレッジ及び技術専門カレッジ(community and technical college)における能力や効果、インパクトを加速させるイニシアチブを発表した。2022年CHIPS及び科学法(CHIPS and Science Act of 2022)を通じて議会に承認されたNSFエンジン・プログラムは、場所をベースとする研究開発への最も大幅な投資の一つとなるもので、科学技術のリーダーシップを、地域経済の競争力を促進する中心的要素に位置付けている。ニュー・アメリカは、アセンディウム教育グループ(Ascendium Education Group)から受けた300万ドルのグラントを基に、「イノベーション経済におけるコミュニティ・カレッジのアクセラレータ(Accelerator for Community Colleges in the Innovation Economy)」を開始し、NSFエンジンと関与しているコミュニティカレッジに、実践コミュニティや技術援助、ベスト・プラクティス、研究の洞察及び認識、能力強化資金、そして広範なサポート構造を提供し、機関としてのポリシーやプログラム、慣行のイノベーションを実現することで、それがもたらす全国的なインパクトを最大限にすることに取り組む。 National Science Foundation “NSF and New America partner on $3M strategic initiative to empower community and technical colleges nationwide” (9/4/24)

ローレンス・リバモア国立研究所、韓国の研究機関と水素・低炭素技術研究において協力

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)と韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology: KAIST)は先般、覚書(Memorandum of Understanding: MOU)を交わし、水素及びその他の低炭素エネルギー技術における共通の研究関心事に関する共同作業の拡大を目指す。両機関は2018年から非公式な共同作業に従事しており、水素貯蔵や精製といったトピックに関する合同ワークショップを通じて知識の共有を行っている他、両機関の専門家が、水素関連の研究について複数の共同論文発表を行うなどしている。MOUは、こうした共同関係の拡大への双方の関心を示すもので、LLNLが持つエネルギー用途を目的としたマテリアルのマルチスケールのモデリングに関する専門性や、エネルギー貯蔵マテリアルのナノ工学を研究しているKAISTの専門性の活用を図る。 Lawrence Livermore National Laboratory “LLNL signs MOU with Korean research institution to explore hydrogen and low-carbon technology” (9/4/24)

エネルギー省、エネルギー・フロンティア研究センターに1億1,800万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は、世界クラスの科学者チームを結集させて画期的な基礎研究に取り組むことを意図した10件のエネルギー・フロンティア研究センター(Energy Frontier Research Centers: EFRCs)(9州)への資金提供を発表した。EFRCsは、2009年以来、多様な世界的科学者チームが、エネルギー技術を下支えする画期的な科学的進展を加速させる基礎研究に取り組んでいる。センターは、物質の特性化/モデリング/操作のための新たな強力ツールを開発すると同時に、エネルギー科学に情熱を持つ有能な学生を引き付け、次世代科学労働力の訓練を行う。今回受益するプロジェクトは、最大4年間のプロジェクトで、6つの大学と4つの国立研究所が主導し、マイクロエレクトロニクス、量子情報科学、製造、環境管理に関する基礎科学研究を実施する。 Department of Energy “Department of Energy Announces $118 Million for Energy Frontier Research Centers” (9/4/24)

2028年までリチウム電池の供給過多と低価格が続く見通し

クリーン・エネルギー・アソシエイツ社(Clean Energy Associates)が8月29日に発表した「エネルギー貯蔵システム価格予測レポート(Energy Storage System (ESS) Price Forecasting Report)」によれば、世界のリチウムイオン電池市場は、欧米における電気自動車の生産目標が下げられ、エネルギー貯蔵システムの需要が高まる中、2028年までを通じて供給過多が続き、価格の下落が進むと予測されている。CEAによれば、中国は、欧米の貿易障壁や米政府による国内電池製造へのインセンティブがきっかけとなって課題が生じる可能性はあるが、予想される期間を通じて、リチウムイオン電池の生産能力の大半を占めるという。 Utility Dive “Lithium battery oversupply, low prices seen through 2028 despite energy storage boom: CEA” (9/3/24)

NOAA、スパコン「レア」に1億ドルの投資、スパコン能力を拡大へ

商務省(Department of Commerce: DOC)及びその傘下の米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)は9月3日、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)及びインフレ低減法(Inflation Reduction Act)から拠出される1億ドルの資金を、NOAAの最新スパコン・システム「レア(Rhea)」の構築を目的としたアワードとして、ゼネラル・ダイナミクス・インフォメーション・テクノロジー社(General Dynamics Information Technology)へ提供すると発表した。レアは、天候、気象、海洋、生態系予測に関する研究を進展させる。ウェストバージニア州フェアモントにあるNOAA環境安全保障コンピューティング・センター(NOAA Environmental Security Computing Center: NESCC)の一部となる新たなモジュラー施設に導入され、稼働後は、「NOAA研究開発高性能コンピューティング・システム(Research and Development High Performance Computing System)」の一部となる。 HPC Wire “NOAA Expands HPC Capabilities with $100M Investment in Rhea Supercomputer” (9/3/24)

OSTP、PFAS研究戦略を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は9月3日、「パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質に関する連邦研究開発戦略計画(Per- and polyfluoroalkyl Substances (PFAS) Federal Research and Development Strategic Plan)」を発表した。パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質は、「フォーエバー・ケミカル(forever chemicals)」とも呼ばれ、一部の癌やその他の医療問題との関連性が指摘されている。この戦略は、バイデン政権がコミュニティをPFAS汚染から守るために長年行ってきた取り組みの進展と、発がん性化学物質への暴露を削減することを目的とするバイデン癌ムーンショット(Biden Cancer Moonshot)を基盤としている。戦略の目標には、①PFASによる汚染と健康への影響を予防、削減するため、連邦政府の意思決定への情報提供として質の高いデータを提供する、②影響を受けたコミュニティにPFAS研究について効果的にコミュニケーションを行う、③PFAS汚染を修復する一助となり得る技術を特定する、④連邦機関や製造事業者、消費者が情報に基づく判断を行う上で頼りにできる実行可能な情報を生成する、が含まれる。 White House “White House Releases New Research Strategy to Protect Communities from PFAS” (9/3/24)

NIH、外国の干渉に関する申し立てプロセスを明確化

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は8月15日、NIHのポリシーや手順の透明性を維持するための継続的な取り組みの一環として、潜在的な外国の干渉を評価することを目的とした「決定マトリックス(decision matrix)」を発表した。決定マトリックスは、外国の干渉の新たな申し立てに対処するNIHのプロセスを含め、NIHのウェブサイト上に記載されている詳しい情報資源に基づくと共に、NIHが該当機関に追加の情報を要請するか否かを検討する方法について、更なる詳細を提示している。NIHは、原則に基づいて適切に実施される国際的な共同作業を強く支持している。これは、米国が競争的であり続けるための重要な点であるが、共同作業は科学的プロセスの完全性を尊重しなくてはならない。NIHは、今回発表した決定マトリックスが、研究組織及びその科学者がNIHのポリシーを順守するために既に行っていることを強化する一助となることを期待している。 extramural NEXUS “New Decision Matrix Further Clarifies NIH Processes for Handling Allegations of Foreign Interference” (8/15/24)