大統領府、気候の対応力と安全保障のための枠組み発表

現在、世界中の人々や経済が気候危機の深刻な事態から受ける影響が高まりつつある。米国の国家安全保障コミュニティは長きにわたり、気候変動は、既存の安全保障脅威や脆弱性を高め、対応力を弱める「脅威増幅要素」であると理解している。米国安全保障は、気候危機の増大する影響に対処することが求められている。こうした中、米政府は、「気候の対応力と安全保障のための米国枠組み(U.S. Framework for Climate Resilience and Security)」を発表した。米国は、気候の脆弱性に基づく戦略的脅威の削減と対応力の構築の双方の必要性を優先付けており、今回発表された枠組みはこうした優先事項を実行に移すための3つの行動を提示している。1つ目は、気候関連の脅威と機会を評価すること、2つ目は、統合的手法のために国内外で提携すること、3つ目は集合的対応力に投資することである。 White House “A U.S. Framework for Climate Resilience and Security” (9/20/24)

マイクロソフト社、再稼働原発から炭素フリーエネルギー購入を計画

コンステレーション社(Constellation)は9月20日、マイクロソフト社(Microsoft)との間で20年間の電力購入契約に署名したと発表した。これにより、スリーマイル島原子力発電所1号機(Three Mile Island Unit 1)を再稼働し、「クレーン・クリーンエネルギー・センター(Crane Clean Energy Center: CCEC)」として新たに立ち上げる道が開かれた。同1号機は、数十年にわたって業界高水準の安全性と信頼性をもって運用されていたが、5年前に経済的理由から閉鎖されていた。契約の下、マイクロソフト社は再稼働する発電所(CCEC)から炭素フリーのエネルギーを購入し、自社のデータセンターで消費される電力に相当する一助とする。1号機は1979年の事故で閉鎖されたTMI2号機に隣接しているが、その長期的な運用は2号機の事故の影響を受けなかった。1号機の再開へ向けて大幅な投資が行われる予定で、これにはタービンや発電機、主要変圧器、冷却・制御システムが含まれる。原発の再開には原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)の許認可も必要である。CCECは2028年に稼働の予定である。最近行われた経済的影響に関する研究報告では、CCECにより、3,400件の直接的・間接的雇用が創出され、800メガワット以上の炭素フリー電力がグリッドへ供給されるという。 HCP Wire “Microsoft Signs 20-Year Deal for Carbon-Free Energy from Constellation’s Renewed Nuclear Plant” (9/20/24)

大統領科学技術諮問委員会(PCAST)、栄養科学の進展に関する報告書を発表

大統領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology: PCAST)は9月20日、「米国における栄養科学進展のビジョン(A Vision for Advancing Nutrition Science in the United States)」と題する報告書を発表した。本報告書は、バイデン政権による「飢餓と栄養と健康に関する国家戦略(National Strategy on Hunger, nutrition, and Health)」への応答であり、栄養科学を進展させ、栄養研究の恩恵への公平なアクセスを実現するための勧告が含まれる。PCASTによる勧告には、2つの総合的な目標として、①栄養関連の慢性病の負担を削減し、大統領の目標へ向けた勢いを維持するための連邦省庁間の取り組み及び行動の調整の強化、②連邦による栄養研究で「平等」に大幅な優先付けを行う、が挙げられている。 White House “PCAST Releases Report on Advancing Nutrition Science” (9/20/24)

商品先物取引委員会、任意の炭素クレジット・デリバティブ契約の上場に関する最終ガイダンスを承認

商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission: FCTC)は9月20日、任意の炭素クレジット・デリバティブ契約の取引上場に関する最終ガイダンスを承認した。このガイダンスは、CFTCが規制するデリバティブ取引である「指定契約市場(designated contract markets: DCMs)に適用されるもので、任意の炭素クレジット・デリバティブ契約の取引上場に関連する商品取引法(Commodity Exchange Act: CEA)及びCFTCの規則における特定のコア原則(Core Principle)要件に対処する際に、DCMが検討すべき要素を概説している。CFTCのガイダンスは、契約の設計と上場のプロセスとの関連においてDCMが検討すべき要素を概説することで、任意の炭素クレジット・デリバティブ契約の標準化を、透明性と流動性を育成する形で進める一助となることを認識したものである。 Commodity Futures Trading Commission “CFTC Approves Final Guidance Regarding the Listing of Voluntary Carbon Credit Derivative Contracts” (9/20/24)

エネルギー省、エネルギー計画の課題に対するソリューションを模索

エネルギー省(Department of Energy)のグリッド配備局(Grid Deployment Office: GDO)は9月20日、「太平洋北西地域エネルギー計画プロジェクト(Pacific Northwest Regional Energy Planning Project: PREPP)」の開始を発表した。PREPPは、広範な関与に基づく計画プロセスで、地域の参加者の目標や要件を満たすために必要な地域的なインフラ投資分析を作り出す。このプロセスでは、資源の適正さや脱炭素化、エコシステムの優先付け、システムの対応力と信頼性に関する分析が含まれる。GDOとワシントン州商務省(State Department of Commerce)の資金を受けて、18か月間にわたって行なわれる調査で、アイダホやモンタナ、オレゴン、ワシントンの各州のユーティリティ機関がどのようにして、地域が直面している複雑な課題に対処するためのインフラ投資を計画できるかという点について調査研究する。 Department of Energy “DOE Launches Pacific Northwest Regional Energy Planning Study to Explore Solutions to Energy Planning Challenges” (9/20/24)

エネルギー省、変革的な直接空気回収技術に最大18億ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)のクリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations: OCED)は、中・大規模な商用の直接空気回収(direct air capture: DAC)施設及びインフラ拡張プラットフォームの設計/建設/運用に最大18億ドルを提供する意向通知(Notice of Intent: NOI)を発表した。バイデン大統領の超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law)から資金が拠出され、商業化と導入へ向けた広範かつ有望なDAC技術を支援する。これによって、更なるDACハブの成長を促進することが期待されている。今回の資金提供は「地域DACハブ(Regional DAC Hubs)」プログラムの一環で、大気から有害なレガシー二酸化炭素を排除し、バイデン政権の野心的なクリーンエネルギー及び気候目標を達成することを狙いとしたエコシステムを支援する。OCEDは、①DAC開発事業者に運用施設の建設・運用場所を提供するインフラ拡張プラットフォームまたは受入れ拠点(1~3件のプロジェクト。1件あたり最大2億5,000万ドルを提供)、②中規模の商用DAC施設(4~8件のプロジェクト。1件あたり最大5,000万ドル)、③大規模商用DAC施設(2~6件のプロジェクト。1件あたり最大6億ドル)、の3つのトピック分野で資金を提供する意向である。 Department of Energy “OCED Issues Notice of Intent for up to $1.8 Billion to Fund Transformational Direct Air Capture Technologies and Remove Legacy Carbon Dioxide” (9/20/24)

DARPA、英国及びカナダと初の3か国プロジェクト

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)、カナダの国防省(Department of National Defense)、英国の防衛省(Ministry of Defense)は、人工知能(AI)、サイバー、対応力システム、情報領域関連技術の研究/開発/試験/評価技術を協調的に追求することに同意した。技術開発の急速な進展を受け、この3か国のパートナーシップの拡大と成文化は、変化し続ける地政学的環境における将来の課題に対処する上で重要となっている。今回の取り組みは、3か国内で該当する研究プログラムを更に活用し、重複を削減するもので、DARPAの目標は、国際パートナーシップの強化に加えて技術的リスクを削減し続けることにより、新たな能力をできるだけ早く実際の運用につなげるということである。既に「安全保障サイバー・エージェントの試験と学習環境(Cyber Agents for Security Testing and Learning Environments: CASTLE)」と題するプログラムが共同作業による研究プロジェクトとして進められている。本プログラムは、人工知能(AI)を訓練して先端かつ継続的なサイバー脅威からネットワークを自動的に防御することを目指す。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Collaborates with UK and Canadian Government Partners in Agency’s First Trilateral Project” (9/20/24)

エネルギー省、米国の電池製造支援に30億ドル以上を発表

エネルギー省(Department of Energy)は9月20日、先端電池及び電池マテリアルの国内製造を全国的に押し上げるため、25件のプロジェクト(14州)に30億ドル以上を発表した。選出されたプロジェクトが全て契約締結されれば、8,000件以上の建設雇用と4,000件以上の運用雇用を支える見込みである。製造及びエネルギー・サプライチェーン局(Office of Manufacturing and Energy Supply Chains: MESC)が、採択プロジェクトを管理する。プロジェクトは、電池用重要マテリアルや電池コンポーネント、電池製造、リサイクルのための国内施設を新設、改良、拡張する。バイデン=ハリス政権の下、民間部門は、電気自動車のサプライチェーンに1,200億ドルという歴史的な投資を行っており、今回のプログラムは、国内サプライチェーンを強化するというバイデン大統領のクリーンエネルギー産業戦略にとり、重要な要素となる。 Department of Energy “Biden-Harris Administration Announces Over $3 Billion to Support America’s Battery Manufacturing Sector, Create Over 12,000 Jobs, and Enhance National Security” (9/20/24)

米国のエリート大学、石油大手から数百万ドルの寄付を獲得

米国の大学の学生らが作成した報告書によれば、米国のエリート大学は、化石燃料企業から数百万ドルの寄付金を受け取っており、利益相反の懸念が投じられている。報告書は9月18日に発表されたもので、アメリカン大学(American University)、コロンビア大学(Columbia University)、コーネル大学(Cornell University)、プリンストン大学(Princeton University)、ノースカロライナ大学チャペル・ヒル校(University of North Carolina Chapel Hill)、カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)に焦点が当てられている。報告書は各大学の学生主催者によって執筆されたもので、国際的な学生主導同盟であるキャンパス気候ネットワーク(Campus Climate Network)が発表した。研究者によれば、6大学は2003年以来、化石燃料企業もしくはその慈善事業部門からの資金を1億ドル以上受け取っていた。また、6大学は、石油及び天然ガス企業からの資金を基に合計で1,507件の学術論文を発表しており、学生の間でバイアスに対する懸念を引き起こしている。更に、プリンストン大学は、独自の化石燃料企業を所有しており、「ペトロタイガー(Petrotiger)」という企業名は同大学のマスコットに由来している。 The Guardian “Elite US universities rake in millions from big oil donations, research finds” (9/19/24)

電力価格の上昇で、米国世帯の約半数が屋根上ソーラーに移行する可能性

エンヴェルス・インテリジェンス・リサーチ社(Enverus Intelligence Research)の分析によれば、エネルギー価格の上昇は、2050年までに米国世帯の47%が屋根上ソーラーを導入することを促進する可能性がある。更に、その多くは、2032年までに貯蔵と組み合わせて行われる見込みである。テキサスやカリフォルニア、フロリダ、ニューヨークなど、小売電力価格が高い州では、屋根上ソーラーの導入が加速され、アイオアやユタなど、電気代が低い州では加速されないだろうと、同社のエネルギー移行調査チームのアナリストは述べる。屋根上ソーラーの導入が多い地域では、ユーティリティ機関は典型的な一日の電力負荷カーブに大幅な変化を見出す可能性が高く、発電資源の種類について再検討する必要性が出てくるとみられる。 Utility Dive “Rising power prices could drive nearly half of US households to rooftop solar: Enverus” (9/19/24)