学術的なアントレプレナーシップの意欲付けにジェンダーの差

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)による2023年の「イノベーション部隊に関する隔年プログラム報告(I-Corps biennial program report)」によれば、イノベーション部隊(アイコア:I-Corps)の立ち上げ以来、参加者における女性の割合は20%に過ぎない。また、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)で最近発表した論文「学術的アントレプレナーシップにおけるジェンダーの多様性:社会的影響の動機付けとNSFアイコアプログラム(Gender Diversity in Academic Entrepreneurship: Social Impact Motives and the NSF I-Corps Program)」は、社会的影響と商業性に関する動機付けがNSFのアイコアプログラムへの関与にどのように影響するかを調査し、このジェンダー・ギャップの分析を試みている。同分析結果によれば、女性の主任研究者(principal investigators: PIs)は、応募書類中のプロジェクト概要において、社会的影響を強調する傾向が男性PIよりも高いという。また、特筆すべき点として、プロジェクトの商業的可能性の記載については、男女間で大きな違いはなく、このことは、社会的影響を強調することは、プログラムの商業的要件を満たすことを排除するものではないことを示唆する。これを受けてSSTIは、プログラムの設計者及び政策策定者に、これらの機会に関するコミュニケーションの方法だけでなく、プログラムの構造についても再考することを促している。 SSTI “Recent Research: Gender differences in motivations for academic entrepreneurship” (10/10/24)

国防イノベーション部隊、合同予備部隊ディレクターにシャー氏を任命

国防イノベーション部隊(Defense Innovation Unit: DIU)は、合同予備役部隊(Joint Reserve Detachment: JRD)のディレクターとして、ラジ・シャー中佐(Lieutenant Colonel Raj Shah)を任命したと発表した。DIU JRDのディレクターは、軍事サービス部門で約50名の警備隊及び予備役を先導する。DIU JRDは、DIUの予備役の運用上の雇用の責務を負い、戦闘司令部(Combatant Commands)と統合軍(Joint Forces)に自分達の事業対象内において支援と助言を提供する他、技術部門と軍の双方の経験を持つ予備役の積極的な活用を通じて、最先端の技術パートナーシップを進展させ、DIUの重要なミッションを支援する。DIUのダグ・ベック長官(Doug Beck)は、「ラジ氏は、経験のあるリーダーであると同時にアントレプレナーでもあり、商業技術においては創立者及び資金提供者の双方で主要な役割を担い、軍事戦闘及び支援作戦、防衛調達の詳細でもリーダー的役割の経験があり、JRDを先導する個人としてふさわしい」と述べる。 Defense Innovation Unit “Defense Innovation Unit Appoints Raj M. Shah as Director, Joint Reserve Detachment” (10/10/24)

エネルギー省、炭素管理戦略を発表

エネルギー省(Department of Energy)は10月10日、「炭素管理戦略(Carbon management Strategy)」(草案)を発表し、パブコメを要請した。同戦略は、2030年までの包括的なロードマップを提供するもので、エネルギー省が炭素管理ソリューションの開発と導入を目的として利用する多様なツール及び手法を概説している。2030年までの短期的戦略には、①優先的な使用事例に関する研究/開発/実証/導入の資金提供を焦点、②将来最も必要とされる二酸化炭素の輸送及び貯蔵インフラの構築、③その他の連邦機関における炭素管理に関連する効果的で証拠主導型の政策と規則の実施を支援、などの要素が含まれる。エネルギー省は、この戦略草案に対して、業界や非政府組織、労働組合、州及び地方自治体の高官、部族政府、コミュニティ組織、一般市民からの追加のコメントを12月10日まで募集している。 Department of Energy “DOE Releases Carbon Management Strategy, Outlining Steps to Enable These Technologies to Support a Net-Zero Emissions Future” (10/10/24)

ARPA-H、感染予防と抗生物質への依存を削減

厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)傘下の医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は10月10日、「臨床的脅威の根絶と最適な治療のためのプロバイオティクス/プレバイオティクスの制御(Pro/Prebiotic Regulation for Optimized Treatment and Eradication of Clinical Threats: PROTECT)」プロジェクトへの資金提供を発表した。PROTECTは、有益な細菌を活用して有害な細菌に打ち勝ち、感染が定着するもしくは抗生物質耐性を構築する前に感染を予防もしくは早急に治療することを狙いとする。薬剤耐性(Antimicrobial resistance: AMR)は、急務の世界的脅威であり、世界中で死亡の最大原因の一つとなっている。PROTECTは、この課題に対処するARPA-Hとして過去1年間で3回目の投資となり、本件の投資合計額は現在、1億5,000万ドルを上回る。PROTECTは、AMRに対抗するための一般化が可能なプラットフォームの開発を目指す。カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の研究者が主導する学際的チームが最大2,270万ドルを受益し、肺のマイクロバイオームを調査して、有害な細菌に効果的に対抗できるプロバイオティック及びプレバイオティックの製剤の特定に取り組む。 Advanced Research Projects Agency for Health “HHS announces ARPA-H project to prevent infections and limit reliance on antibiotics” (10/10/24)

エネルギー省、高性能コンピューティングの資金提供公募を発表へ

エネルギー省(Department of Energy)の「エネルギー・イノベーションのための高性能コンピューティング(High Performance Computing for Energy Innovation: HPC4EI)」イニシアチブは、今秋後半に新たな資金提供機会を発表する予定である。HPC4EIは、先端マテリアル及び製造技術局(Advanced Materials and Manufacturing Technologies Office: AMMTO)、産業効率及び脱炭素化局(Industrial Efficiency and Decarbonization Office)、化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management)がスポンサーとなっているイニシアチブ。今秋に発表される資金提供機会には、HPC4EIの「製造業のための高性能コンピューティング(High-Performance Computing for Manufacturing)」プログラムが含まれ、このプログラムの下、競争的に選出されたプロジェクトは、モデリングやシミュレーション、データ分析を産業プロセス及び製品に適用し、生産費用の低減や、パフォーマンスの向上、市場化までの時間短縮に取り組む。 Department of Energy “DOE To Release Funding for High-Performance Computing” (10/10/24)

NSFコンバージェンス・アクセラレータ、南東部地域アンカーの設立へ向けて公募

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「NSFコンバージェンス・アクセラレータ南東地域アンカー(NSF Convergence Accelerator Regional Anchor for the Southeast Region)」と題する資金提供機会を発表した。従来、1つの全国プログラムであったNSFコンバージェンス・アクセラレータを10件の地域的なNSFコンバージェンス・アクセラレータへと拡大することを狙いとしたNSFの3カ年計画の一部として、南東部地域アンカーの設立を目指す。地域のアンカーとして、研究/イノベーション/労働力開発を進展させ、指定地域内での急務の社会的及び経済的課題に対処することを目指す。地域アンカーの募集を発表する前に、NSFはNSFコンバージェンス・アクセラレータに関する理解促進を目的とした一連の地域イベントを実施しており、2024年7月には、南東部地域で2つのイベントを主催し、アラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシシッピー、ノースカロライナ、プエルトリコ、サウスカロライナ、米国バージン諸島の学術機関や業界、非営利組織、政府、その他のコミュニティの関係者が参加した。 National Science Foundation “NSF Convergence Accelerator announces solicitation to establish a Southeast Regional Anchor” (10/10/24)

原子力規制委員会、新規原子炉に関する環境審査の合理化案を更新

米原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)が10月4日付連邦広報(Federal Register)に「新規原子炉のライセンシングに関する一般的な環境影響に関する声明(Generic Environmental Impact Statement for Licensing of New Nuclear Reactors)」を発表した。新規原子炉の環境審査プロセスの合理化案の更新版に対するパブコメを12月15まで受け付ける。提案規則により、「NRCの新規原子炉のライセンシングに関する一般的な環境影響に関する声明(NR GEIS)」のファインディングが成文化される。NRCは、「NR GEISは、多くの新規原子炉の建設/運用/廃止に共通する潜在的な環境影響を特定する技術中立の枠組みであり、それゆえ一般的な分析に適切である」とする。義務付けられているプロジェクトごとの環境分析の前にNR GEISのファインディングが全面的に活用されれば、申請1件当たりのNRC及び新規原子炉の申請者に最大200万ドルの正味節約がもたらされる可能性があり、「その節約は、今後10年間で4,010万ドルになる可能性がある(その間に20件の新規原子炉申請があると仮定)」と、NRCは分析している。 Utility Dive “NRC updates streamlined environmental review proposal for new nuclear reactors” (10/9/24)

国防総省、省内のイノベーション迅速化に人工知能を活用

「スピードはイノベーションにとって重要である」との観点から、国防総省(Department of Defense)は、軍を取り巻くイノベーターへの情報のフローを迅速化することを目的とした新たなグループを発足させた。「新たに発足した移行追跡行動グループ(Transition Tracking Action Group)は、研究開発の初期段階から兵士の手による実地能力までの移行を追跡する国防総省の能力を向上させることに取り組む」と、国防総省の高官は述べる。本グループは、技術ポートフォリオ管理の新たな手法となるもので、先端データ分析と人工知能(AI)を活用して、国防総省の高官が、情報に基づき、革新的な意思決定を行うために必要とする洞察を提供する。超党派の「計画とプログラムと予算と改革の実行に関する議会委員会(Congressional Commission on Planning, Programming, Budgeting and Execution Reform)」が今年初めに発表した報告書も、その必要性を強調していた。 Department of Defense “Transition Tracking Action Group Uses Artificial Intelligence, Analytics to Speed DOD Innovation” (10/9/24)

エネルギー省、炭素排出削減に2,900万ドルを投資

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー及び炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management: FECM)は10月9日、2つの炭素管理優先事案への資金提供として、12件の研究開発(R&D)プロジェクトに合計2,900万ドルを提供すると発表した。7件のプロジェクトは、産業や発電施設などから排出される二酸化炭素や、大気から直接回収されるレガシーの二酸化炭素を活用する技術に焦点を当てる。各プロジェクトは、付加価値製品を生産すると同時に二酸化炭素排出の削減に取り組む。5件のプロジェクトは、炭素捕獲という観点で、温室効果ガス以外の排出に対処する工学的手法や先端プロセス制御手法などの実現技術の開発及び試験に焦点を当てる。エネルギー省の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)が、FECMの権限の下、これらの受益プロジェクトを管理する。 Department of Energy “DOE Invests $29 Million to Reduce Carbon Emissions” (10/9/24)

OSTP、国家スペクトル研究開発計画を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は、全ての米国民が米国の最も重要な国家資源の一つであるスペクトルの恩恵を共有できるよう確実にするため、「国家スペクトル研究開発計画(National Spectrum Research and Development (R&D) Plan)」を発表した。この新たな計画は、スペクトル関連の研究について政府が意思決定を行う際のガイドとなり、民間部門の取り組みを形成し、関係者に共通の参照事項を提供するツールとして機能する。具体的には、スペクトル関連のR&Dについて4つのカテゴリーで機会を特定している。それらは、①利用にヒントを得た研究のイノベーション分野、②基礎研究のイノベーション分野、③研究を加速させる活動、④より良いスペクトルR&Dを構築する組織的改良、の4つ。 White House “Biden-⁠Harris Administration Releases National Spectrum Research and Development Plan” (10/9/24)